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iOS/Android版「ドラゴンクエストVIII」のプレイレポートをお届け。さまざなま変更が加えられながらも,オリジナル版の雰囲気はそのまま
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印刷2013/12/20 00:00

プレイレポート

iOS/Android版「ドラゴンクエストVIII」のプレイレポートをお届け。さまざなま変更が加えられながらも,オリジナル版の雰囲気はそのまま

画像集#037のサムネイル/iOS/Android版「ドラゴンクエストVIII」のプレイレポートをお届け。さまざなま変更が加えられながらも,オリジナル版の雰囲気はそのまま
 スクウェア・エニックスは2013年12月12日,「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」iOS / Android。以下,DQ8)の配信を開始した。

 2004年11月に発売されたPlayStation 2版は,それまでのシリーズ作品にない豊かな動きを持つグラフィックスや,それによって表現される個性的なキャラクター,豊富に用意されたやり込み要素などが幅広いプレイヤーから支持され,全世界出荷本数が490万本以上という大ヒット作品になった。

 そんな人気タイトルであるにもかかわらず,発売以降約9年間,他機種に移植されることがなかったDQ8の初移植がスマートフォンということで,その出来が気になっている人も多いだろう。
 本稿では,ユーザーインタフェースやゲームシステムを中心に,どのような作品に仕上がっているかを見ていきたい。

iOS版,Android版ともに価格は2800円(税込)。対応端末が一般的なスマートフォン用ゲームと比べて限られるうえ,ファイルサイズが1GBを優に超えるので,購入前には自分の端末の対応状況やストレージの空き容量を確認しておこう
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iOS版「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」ダウンロードページ

Android版「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」ダウンロードページ


 ゲームを起動すると,PS2版と同じオープニングが流れる。グラフィックスや音は,PS2版と遜色ない出来だ。PS2発売当時はSD解像度のディスプレイが主流だったので,PS2より上と感じる人も多いかもしれない。

 ゲーム画面は,11月に配信され,4Gamerでもプレイレポートを掲載した「ドラゴンクエスト」と同様,縦長表示となっている。
 本作は3Dグラフィックスが採用されているので,筆者はプレイ前に「元は横長の画面なのに,それを縦長に変更してしまうと視界が狭くなるのでは?」という不安を感じていたが,それは杞憂だった。カメラの位置がPS2版に比べてやや引き気味になっているのだ。

PS2版では,トゥーンシェードで再現された鳥山 明氏デザインのキャラクターが話題になった。iOSやAndroidでもその出来は変わらない
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 基本的な操作は,画面に表示される仮想パッドと,画面のタップやスワイプで行う。
 移動は,パッドの中央にあるボタンを軽くスライドさせるとその方向に歩き,スライド幅を大きくすると走るという具合。スマホ版の初代「ドラゴンクエスト」では,2Dグラフィックスということもあって4方向の移動だったが,本作では8方向への移動が可能になっている。また,画面中の「AUTO」ボタンをタップすると,キャラクターの向いている方向に自動で走り続けるなど,3Dグラフィックスに合わせて操作方法も調整されている印象だ。

 カメラ視点の変更は画面内の何もない場所を上下左右にスワイプすればいい。視点を左右にのみ動かしたいときは,画面最下部に表示されている帯をスワイプするのがスムーズだ。

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パッド位置は「AUTO」の上に表示されているボタンのタップで変更可能だが,スマホ版「ドラゴンクエスト」で可能だったパッドの大きさは変更できなくなっている
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「はなす」や「しらべる」といった行動を行うには,対象となる人や物に近づくと現れる「!」をタップすればいい。「はなす」は,人物の周囲に表示されるサークル内に立ち止まるだけでも可能だ

 ……と,操作方法を書くだけなら簡単なのだが,操作に慣れないうちは,位置を微調整するつもりがキャラクターを走らせてしまったり,カメラ位置をうまく調整できなかったりして,少々戸惑うはず。
 だが,筆者の場合は30分程度のプレイで感覚がつかめてきただけでなく,数時間もプレイしているとむしろPS2版より快適にさえ感じされた。とくにAUTOは本作の広大な世界を動き回るにあたって非常に便利。

 移動関係では,ルーラボタンが追加されたのもうれしい点。シリーズファンにはおなじみの呪文「ルーラ」は,一度入った町や建物などに一瞬で移動できるものだが,PS2版ではウインドウメニューから「まほう」を開き,そこから「ルーラ」を選択して,さらに移動先を選ぶ,という手順が必要だった。一回だけならなんてことのない作業なのだが,ルーラは使用頻度が高いため,何回も使っていると少しわずらわしく感じることもあった
 だが,スマートフォン版ではパーティのキャラクターいずれかがルーラを使用できる状態であれば,画面上に専用のボタンが出現するようになった。これをタップすればあとは移動先を選択するだけでよく,ストレスがかなり軽減されている。

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ゲーム中,繰り返し使うことになるルーラをタッチ一発で呼び出せるのは快適
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AUTO中の進行方向は画面最下部の帯を左右にスワイプすることで調整できる

 さて,DQ8はもともとコンシューマ機向けに開発されたタイトルなので,ちょっとした空き時間にプレイすることが多いスマートフォンやタブレット向けタイトルとして,ゲームのセーブや中断がスムーズなのかも気になるところだ。

 本作でプレイヤーがゲーム中に意識して記録できるセーブデータは,通常のセーブデータ3つと,中断データ1つだ。
 通常のセーブデータは,PS2版同様,ゲーム内に登場する城や教会などの施設で記録できる。中断データは,ワールドマップ上であればどこでも記録できるが,戦闘中であったり,町やダンジョンの中にいたりすると使用できない。町でいろいろな買い物をしたり,深いダンジョンに潜ったりするのは,時間的な余裕があるときにしたほうがいいだろう。

 これらとは別に,オートセーブも用意されている。本作では「戦闘終了後」,「フィールド移動による画面切り替え後」のタイミングでオートセーブが行われているようで,アプリが予期しない終了をした場合などはそのタイミングからやり直すことができる。
 ただし,オートセーブのタイミングは限定されているので,場合によっては再び同じ部分をけっこうな時間プレイすることになるかもしれない。また,記録されたオートセーブデータは一度ロードすると消失してしまうため,これはあくまで保険と考えた方がいいだろう。

本作に限った話ではないが,セーブはこまめにしておいて損はない。中断セーブができるのはワールドマップ上のみで,戦闘中や町にいるときは不可能だ
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 ゲーム本編のシステムはPS2版とほぼ同じと言っていいのだが,プラットフォームの変更に合わせて細かい調整が加えられているようだ。筆者が気づいたものは以下の3点。

1.錬金釜の待ち時間が廃止され,一度に複数個のアイテム生成も可能になった
 ゲームを少し進めると登場する「錬金釜」は,さまざまなアイテムを組み合わせることで,別のアイテムを生成できる道具である。装備品のレパートリーが少ない序盤〜中盤においても強力なアイテムを入手できるという便利な存在で,終盤ではやり込み要素としても楽しめる。

 本作の魅力の1つとなっている錬金釜だが,PS2版では材料となるアイテムを決定した後,しばらく時間を経過させないとアイテムが生成されなかった。要するに待ち時間が存在したのだが,スマホ版ではこの待ち時間が廃止された。また,以前は同じアイテムが複数個欲しくても,一つ一つ生成しなければならなかったが,今回はまとめて作れるようになっている。

2.スキルポイントの割り振りが任意のタイミングに
 本作ではレベルアップ時に「スキルポイント」と呼ばれるポイントを取得し,それをキャラクターごとに決められたスキル項目に割り振って強化するというシステムが採用されている。
 どのスキルを重点的に伸ばすかは,本作の醍醐味である反面,頭を悩ませる点でもある。というのも,(一部のアイテムを除くと)スキルポイントを取得できるのはレベルアップのみのため,ある程度計画性をもってポイントを配分しないと,育成が中途半端になってしまうからだ。

 PS2版ではスキルポイントの割り振りはレベルアップ時にしか行えなかったが,スマホ版ではフィールドコマンドが実行できる状態であるならば,任意のタイミングで割り振り可能になっている。方向性を決めるまでポイントを溜めておくことができるわけだ(もちろん割り振らない分,その後の冒険は少々厳しいものになるとは思うが……)。

3.ダンジョンの地図を取得する必要がなくなった
 PS2版ではダンジョン内に,そのダンジョンの「地図」が入った宝箱が配置してあった。そのため,まずはその宝箱を探し,それからじっくり全体を探索していくのがセオリーだったが,スマホ版では,初見のダンジョンであっても画面上に地図が表示されるようになっている。
 これにより,ダンジョン探索がかなり楽になったと言っていいだろう。

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PS2版でやきもきしながら出来上がりを待った経験がある人にとって,錬金釜の待ち時間廃止は大ニュースのはず
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スキルポイントの割り振り画面で,取得可能なスキルの一覧が表示されるようになり,育成計画が立てやすくなった

 以上のように,PS2版からの細かい変更点を紹介したうえで言うのもちょっとおかしいかもしれないが,筆者が本作をプレイしたうえでの率直な感想は「変わっていない」である。プレイフィールは驚くほどPS2版に近いのだ。価格を見て手を出しづらいと感じている人もいるかもしれないが,PS2の名作ソフトがほぼそのまま手のひらで楽しめるなら,2800円という金額は決して高くないと感じた。

 かつて遊び倒した人,興味はあったけれどプレイしていなかった人,また,シリーズに初めて触る人,いずれも問題なく楽しめるだろう。プラットフォームがスマートフォンやタブレットになっても変わらないこの懐の広さは,さすがドラゴンクエストと,改めて唸らされた。

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