プレイレポート
ターゲットは「中二」? スマホなのにアドホック通信主体という,異端のひっぱりハンティングRPG「モンスターストライク」は共闘ゲームの新機軸になれるか
現在提供中のスピナンのほかに,複数のスマホをアドホックでつないで協力プレイができる「モンスターストライク」がiOS用にリリースされている。こちらのタイトルは,しばらく前からサイレントリリースされていたのだが,まったく広告を打っていない状況ながら,今までにないタイプのゲームが評価されてか,主にゲームファンがアーリーアダプタとなって口コミで広がっていた。App Storeのカスタマー評価は5つ星が目立ち,多くの人が本作を面白いと感じているようだった。
今回は,ミクシィのイチオシ,やり込み要素ありのモンスターストライクを紹介していこう。簡単な操作ながら奥深いゲーム性と,アドホック機能を使った顔を突き合わせてのプレイ込の協力プレイで,携帯ゲーム機で流行している“共闘ゲーム”同様の楽しさを引き出したタイトルになっている。
「モンスターストライク」公式サイト
モンスターを引っ張って敵にぶつける“ひっぱりハンティングRPG”とは
ビー玉ゲームながら,ぶっちゃけて言うと,本作が目指しているのはスマホでの「モンハン」的ゲーム性だ。標準で通信機能を持つスマホでは,オンライン機能はいくらでも使えるのだが,本作ではあえてアドホック通信による,その場での共闘プレイにこだわっている。スマホゲームとしては特異な存在と言っていいだろう。
アドホックを利用した最大4人の共闘プレイが行えるのが最大の特徴の本作だが,当然ながら一人でプレイすることも可能となっている。一人プレイでクエストを進めて手持ちのモンスターのレベルを上げ,協力プレイで難しいクエストに挑む感じだろうか。まずは,基本となる一人プレイの要素から紹介してみたい。
一人プレイでのゲームの進行は,ステージクリア型の「クエスト」にチャレンジし,各ステージのボスを倒すとクリアとなる。ステージクリア時に入手できる報酬で,実際にバトルを行うモンスターを育成行うといった流れだ。
モンスターストライクのバトルは,自分のモンスターを引っ張って,敵のモンスターにぶつけるという直感的でシンプルなものになっている。おはじきやビリヤードのイメージで,味方モンスターにぶつけることでスキルが発動したり,さまざまな効果を持つアイテムが出現したりと,シンプルなゲーム性の中にも奥深い戦略性があったりする。
最初のうちは,何も考えずただ敵にモンスターをぶつけてダメージを与えるだけでもクリアしていけるが,ステージが進んで敵が強力になってくると,モンスターの特性やスキルの効果を効果的に使わないと厳しい戦いになるだろう。なお,引っ張り始める場所はモンスターの場所でなくてもかまわないので,画面の端などでも動きが制限されることはない。
では,モンスターの能力を簡単に説明していこう。
バトルでは,自分の手持ちモンスターから3体を選んで出撃させることができる。出撃モンスターはあらかじめデッキに組んでおけるが,このとき,モンスターの属性に注意しておこう。モンスターは火/水/木/光/闇の5属性に分類され,水は火に強く,火は木に強く,木は水に強い(水→火→木→水……)という強弱の関係があることを覚えておこう。光と闇については,お互いが弱点属性となり,ほかの属性よりも与えるダメージが増える。
ステージによっては,特定の属性の敵が多く出現するので,序盤はさほど気にしなくていいが,どうしてもクリアできない面が出てくるようになったら属性を見直してみるといい。
属性とは別に,モンスターには戦闘スタイルが設定されており,バランスタイプ,パワータイプ,スピードタイプ,砲撃タイプといった個性がある。局面によって使い分けたり,自分のスタイルにあったキャラを育てたり,ベストな組み合わせを模索したりといったデッキビルドの楽しみが用意されているわけだ。
バランスタイプ |
パワータイプ |
スピードタイプ |
砲撃タイプ |
すべての能力がバランスよく振られている |
攻撃力は高いが,スピードは遅め |
スピードは速いが,攻撃力は低め |
友情コンボの攻撃力が高め |
もう一つ,モンスターの特性を表す重要な属性がある。それは「反射」と「貫通」だ。反射属性のモンスターは,敵に当たると“反射”して進行方向が変わる。壁やほかのモンスターの間を何度も行き来して,コンボを長く継続できるのが特徴で,うまくはまれば大ダメージを期待できる。
貫通属性のモンスターは,敵キャラに当たっても“貫通”して真っ直ぐに飛んでいくのが特徴で,行き先が予測できることから,ボスの弱点をピンポイントで狙う場合や,アイテムを確実に入手したいときに重宝する。
モンスターのステータスは,HP/攻撃力/スピードの3種類だ。HPは出撃する3体分がトータルされ,敵の攻撃を受けてHPがなくなるとクエスト失敗となってしまう。課金もしくは一部のクエストで入手できる「オーブ」を使うと,一応コンティニューすることは可能だ。スピードとは,モンスターを放ったときのスピードを表し,この数値が高いとより速いスピードで,より遠くまで飛んでいく。これらのステータスは「強化合成」によって伸ばすことができる。
スキルについては「ストライクショット」と「友情コンボ」という二つが,モンスターごとに設定されている。
ストライクショットは,クエストスタートから特定のターン(スキルによって固定)が経過すると使用可能となるもので,触れた敵の近くで爆発を起こして大ダメージを与えたり,スピードが飛躍的に上昇して反射回数を増やしたりといった,必殺技に近い扱いのスキルとなっている。効果が高いことから,道中のザコ戦で使用可能になったストライクショットは温存して,ボスが登場したところで効果的に使うのがよさそうだ。
友情コンボは,飛ばしたモンスターが味方のモンスターに接触したときに発動するもので,コンボを狙う際の重要なスキルとなっている。ただし,上下のみにレーザーを放ったり,自分を中心とした狭い範囲しかダメージを与えられなかったりといった攻撃範囲に制限があるスキルが多いため,位置取りを考えないと空振りに終わってしまうこともある。
敵を攻撃するか仲間を援護するか,プレイヤーに選択を迫るターン制バトル
クエストで攻略したいステージを選んだら,自分のモンスター3体と,フレンドもしくは自動的に選ばれるレベルの近いプレイヤーからモンスターを1体借りてバトルスタートだ。
バトル全体のプレイ感は,スマホのタイトルらしくスピード感があり,アクションの気持ちよさにこだわって制作された印象だ。実は「ストリートファイター」シリーズなど,友人と一緒に楽しむアクションゲームに携わってきたゲームクリエイターの岡本吉起氏が,アクション面の監修を行っているとのこと。
実際のバトルは,ターン制となっていて,モンスターを1体ずつ発射してマップ内に配置されている敵に直接ぶつけたり,各種スキルを使ったりして敵にダメージを与えて撃破していく。モンスターが自分で移動することはないので,基本的には壁でバウンドする方向を考えながら,より多くヒットさせるようにモンスターを飛ばすのが望ましい。敵モンスターの弱点属性を持った味方モンスターがいる場合,そのモンスターの友情コンボを活用するのも良い作戦だ。
画面内にランダムで出現するアイテム類もうまく使っていきたい。画面の3辺に出てくるフルーツには,攻撃力アップやHP回復といった効果があり,ターンが経過すると育っていって,より効果が高くなったりする。とくに回復アイテムは,最大まで成長するとHPを全回復させるため,どのタイミングで入手するのかも重要となるだろう。
こうして,画面内のザコ敵を一掃するとステージ移動となり,新しく敵が配置される。ステージ移動を繰り返しながら,どんどん先へと進んでいくわけだが,クエストの目的であるボスがどこで出現するかはランダムとなっている。できるだけ浅いマップでストライクショットを使える状態にし,新しいステージに入る前にHPを回復しておくなど,常にボスに備えた万全の状態で移動したいところ。
気になる報酬については,まず道中のザコ敵から,同じモンスターが生まれる「卵」が入手できる可能性がある。ザコ敵だけにそれほど高い性能ではないが,進化させると化けることもあり,主要モンスターの強化素材としても活用できる。ボスを見事撃破すると,大量のゴールドや進化素材が入った宝箱などが降ってくる。画面をタッチして,これらの報酬を残らずゲットしよう。
クエストやガチャで入手したモンスターは,より強力なモンスターに育成していくことができる。育成には,モンスターを素材にして経験値を得てレベルアップさせる「強化合成」と,特定の進化素材を集めて別のモンスターへと進化させる「進化合成」の2種類がある。
レアリティの低いモンスターは,最大レベルが低く進化素材も簡単に手に入る早熟タイプが多く,逆にレアリティの高いモンスターは最大レベルが高く必要な進化素材の入手が難しい。最終的には晩成型のレアリティの高いモンスターのほうが強くなるのだが,バトル中にモンスター同士が連携することを考えると,レアリティが低いモンスターをバリエーション多く揃えておくのもアリだろう。
アドホックによる協力プレイを実際に体験
スマホ側の設定に関しては,iPhoneの場合,設定からBluetoothをオンにするだけでとくに難しい操作は必要ない。ゲーム内の「MULTI PLAY」から「顔合わせ通信」を選択したら,ホスト側は「仲間を募集する」,参加する側は「パーティに参加する」を選んでゲームスタートする。マルチプレイでは,ソロ用のステージがそのまま遊べるほか「ストライカーの試練」という専用のステージも用意されている。
2人での協力プレイということで,お互いモンスターを2体ずつ出し合う形になる。必ず4体のモンスターを出すのが決まりのようで,3人プレイ時はホストプレイヤーが2体でほかのプレイヤーは1体ずつ,4人プレイ時は全員が1体ずつモンスターを出すことになる。
さて,協力プレイの内容はというと,中級者らしく緻密にルートを選ぶものの思ったようにダメージを与えられない筆者に対し,完全に感覚的にプレイしているがなぜかコンボ数が増える相方……といった感じの展開となった。
上級者になると,敵を攻撃しつつも,次のターンでの攻撃に備えて最後に止まる場所も考えるというが,モンスターの移動距離までは把握できていない自称中級者は,狙いがすべて裏目に出てしまっているようだ。ただ,モンスターのスキル性能は頭に入っているので,シチュエーションさえ整えば効果的な攻撃を仕掛けられ,それによって狙い通りの成果が出るとかなり気持ちがいい。
ぎりぎりルールだけは覚えた程度の相方は,なんとなく打ち出したモンスターが,うまいこと味方のモンスターに当たって友情コンボを発動していた。あとで聞いてみると,スキルのエフェクトが派手なこともあり,なんとなくでもコンボがつながっていくとそれだけで楽しかったとのこと。
モンスターストライクの協力プレイは,初心者から上級者まで,自分のレベルに合った楽しみを見出せるのが魅力といえそうだ。いつ出現するか分からないボスモンスターにドキドキし,稀に理不尽とも思える攻撃を仕掛けられてハラハラする。そして,ボスキャラ以外でもレアドロップが狙えるところにワクワクする協力プレイを,ぜひ一度体験してもらいたい。
引っ張って離すだけの簡単操作ながら,協力プレイをとことん楽しめる高いゲーム性を持ったモンスターストライク。全体的な雰囲気や「友情コンボ」といった単語からも察せられるように,本作のメインターゲットは「中二」と分かりやすいものになっている。実際,学校など,リアルで友人が集まる場で最も効果的にプレイできるゲームだ。
本作は,今までソーシャルゲームのプラットフォーマーとして活動していたミクシィが,既存のソーシャルグラフではなく,プレイヤーのリアルなソーシャルグラフを母体に展開しようという意欲的なタイトルでもある。これまでコミュニケーションに重点を置いたゲームを提供してきたミクシィではあるが,スマホでの新しい挑戦はどのように評価されるのだろうか。
「モンスターストライク」公式サイト
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