インタビュー
日本一ソフトウェアらしい尖ったタイトルを届けていきたい――「NEWBRAND」での新IP展開や新作への意気込みを,新川宗平社長に語ってもらった
日本一ソフトウェアのゲームというと,多くの人はおそらく「ディスガイア」シリーズを思い浮かべるだろう。実際,ディスガイアは同社の看板IPであり,2003年に第1作が発売されて以来,ナンバリングタイトルで4作,スピンオフや「ディスガイア D2」,リメイクなどを含めれば,2ケタに届くタイトルが発売されている。
そんな同社が,今年は新規IPに力を入れていくということで,代表取締役社長の新川宗平氏に,NEWBRANDについての意気込みを語ってもらった。
本日はよろしくお願いします。
今回は日本一ソフトウェアの新たな取り組みについてお話いただけるとのことですが,まずはNEWBRANDというものがいったい何なのか,ご紹介いただけますか。
新川宗平氏(以下,新川氏):
はい。もともとは,NEWBRANDという企画を立ち上げようとか,そういう売り方をしていこうという考えがあったのではなく,結果的にこうなったという感じなんですけども……。
我々,日本一ソフトウェアとしては,コンテンツメーカーとして,今後も安定的に新作を作っていかなければならないと,常々考えていました。シリーズものや,大規模なタイトルだけでなく,いろいろなタイトルがあっても良いだろうと。
4Gamer:
最近では,ダウンロード専用タイトルやインディーズタイトルが,話題になるケースも増えましたしね。
新川氏:
ええ。それに,社内にも,まだいろいろな才能が眠っているんじゃないかという期待もあり,1年ほど前に,試験的に社内で新作の企画を公募してみたんですよ。当時,開発スタッフで60人,社員全体で100人ぐらいの規模だったので,10企画ぐらい集まってくれるといいな,なんて思いながら。そうしたら,最終的に52企画も集まったんです。
4Gamer:
そんなにですか。単純計算でも,2人に1人は企画を出してきたことになりますよね。
新川氏:
そうなんですよ,公募した側が驚いてしまいました。日本一ソフトウェアは,わざわざ岐阜という場所(※本社が岐阜にある)に集まって,ゲームを作っているような会社ですから,彼らの中には,内に秘めた何かがあったんでしょうね。その公募が,新しいディレクター達が新しいタイトルを生み出すきっかけになりました。
4Gamer:
なるほど。
新川氏:
それと同時に,2013年7月に,おかげさまで日本一ソフトウェアは20周年を迎えました。近年,コンシューマゲーム市場が縮小傾向にあるですとか,続編しか発売されない傾向にあるということを,嘆かれているゲーマーも多いと思うんですが,我々としては,自分達を20年間育ててくださったコンシューマゲーム業界で,引き続き新作を作っていきたい。どこかで,その宣言をしたいと考えていたので,今回の新しいタイトルがお披露目できるタイミングで,NEWBRANDという看板を打ち立てたというわけです。
4Gamer:
流れは分かりました。しかし,おそらく多くのゲーマーは,日本一ソフトウェアというと,やはりディスガイアの会社というイメージを持っていると思うんですよ。それでもあえてNEWBRANDの宣言をするのは,ディスガイアの会社から脱却したい,みたいな意志があるのでしょうか。
新川氏:
それはありますね。ディスガイアもおかげさまで10周年を迎えましたが,その間に,ほかのタイトルもいろいろと展開してきました。ただ,やはり代表作というと,シリーズとしてヒットしたディスガイアという答えになってしまいます。
我々がこの先,5年,10年,20年とゲームメーカーとしてやっていくのであれば,ディスガイア1本ではダメだというのは,数年前から意識していて。とにかく積極的に新規IPを出していこうという強い意志がありますから,今回のNEWBRANDでお伝えしていければと思っています。
4Gamer:
ちなみにNEWBRANDというのは,具体的には何を示すものなんですか? 今年から発売される新規IPを,NEWBRANDと呼ぶような形でしょうか。
新川氏:
今のところ,我々の中で定義しているのは,まずコンシューマゲームであること,新規IPであること,そして独自性の高い何らかの挑戦を盛り込んでいることです。せっかく何か新しいことをやるからには,「日本一ソフトウェアだからこれができた」と言っていただけるような,特徴のあるゲーム作りがしたいと考えています。
4Gamer:
あえてコンシューマゲームに限定したのはなぜでしょう?
新川氏:
今って,多くのゲームメーカーがコンシューマゲーム事業を縮小して,ソーシャルゲームに力を入れていたりしますよね。でも,やっぱりそれは,いちゲーマーとしても作り手としても寂しいじゃないですか。それに,これはプラットフォームに関係なく,長くやっていけるメーカーというのは,コンテンツを作る力をしっかり持っているところだと思うんです。だから,一番得意なコンシューマゲームというジャンルで,しっかりとしたコンテンツを作って,お客様に安心していただき,我々自身も強いメーカーになっていきたいので,コンシューマゲームにこだわっています。
社内の公募企画から生まれた2本の新作
これまでの日本一とは違ったテイストに
今回,NEWBRANDとして発表されたタイトルは,「ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。」と「htoL#NiQ −ホタルノニッキ−」の2本ですよね。NEWBRANDの定義に,独自性の高いタイトルということを挙げていましたが,この2本はそれぞれ,どういった部分を意識したタイトルなのかを教えてください。
まずはハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。からですが……そもそもこれは,どういった企画から立ち上がったものなのでしょう?
新川氏:
企画自体は,先ほどの公募の中から生まれたものではないのですが,目立つものというか,話題作りができるアドベンチャーゲーム,1回聞いたら忘れないようなタイトルを作ろうという発想から生まれていますので,NEWBRANDに加えました。
4Gamer:
タイトルだけで相当なインパクトはありますよね。実際,発表時にはかなり話題になっていましたし。
新川氏:
ええ,注目していただけたのは,やはり題材が尖っているからだと思います。見どころは,登場キャラクター全員がヤンデレなのと,ゆるキャラっぽいのが事件に絡んでくるギャップみたいな部分でしょうか。
4Gamer:
発表時は美少女アドベンチャーのような見せ方でしたが,続報が公開されるたびに,だんだん嫌な予感しかしない雰囲気になっていましたよね。実際のところ,本作のジャンルは美少女アドベンチャーというわけではないんですか?
新川氏:
違いますね。ギャルゲーというより,ミステリーやホラーの要素が強いタイトルになっています。タイトル名や画面写真を見てピンときた人は,怖いもの見たさで構わないので,ぜひ触ってみてください。ディレクターも,「空振りでもいいから,ホームラン狙いでフルスイング」という気持ちで作っていますから。
もう1本のホタルノニッキのほうはどうでしょう。なんとなく,雰囲気押しのタイトルのようで,日本一さんにしては珍しいテイストな気がするのですが。
新川氏:
ホタルノニッキは,端的に言ってしまうと,荒廃した世界の中で,ミオンという女の子が冒険をしていくアクションアドベンチャーです。ステージ上にいろいろなギミックが隠されていますので,光と影を使い分けてギミックを解きながら先に進んでいく感じなんですが……。
実はこれ,相当ハードルの高い死にゲーです。
4Gamer:
え? このキャラクターで?
新川氏:
ええ。見た目に反して,結構エグいシーンもあって,CEROもDだったりします。死にながら攻略法を考えていくようなバランスですね。ストーリーを文章で語るようなゲームではないので,雰囲気で感じ取ってもらう部分が多いんですが,その内容もけっこうシリアスですよ。
4Gamer:
それは意外です。死にゲーということは,ミオンは敵に殺されてしまうんですか?
新川氏:
はい,殺されます。基本的には,直接的な攻撃ができない子なので,うまくギミックを解きながら,例えば岩を敵の上に落として倒すみたいなゲームプレイになっています。
4Gamer:
そう言われると,公開されているイメージイラストは,確かにエグいことになりそうな印象が伝わってきますね……。
新川氏:
そのイメージイラストは,かなりゲーム画面に近い雰囲気になっているので,それがそのままPS Vita上で動くようなゲームになっていると思っていただければ。
4Gamer:
ちなみに,ホタルノニッキは,どういった企画から生まれたのでしょうか。PS Vita用のアクションアドベンチャーを作りたい,あるいはこの世界観を表現したいというところからですか?
新川氏:
最初のコンセプトは,「光と影のギミックを使った,雰囲気を重視したようなゲーム」という感じでした。開発は少人数なんですが,だからこそ,初期の企画段階からコンセプトはブレていないと思います。本作のディレクターは,今回が初めての経験となるのですが,そういった人材を掘り起こせた,チャンスを作れたということで,社内で積極的に企画を公募するのは,私達にとってもゲーム業界にとってもプラスになるのではないでしょうか。
4Gamer:
この企画を出された方は,もともと何をされていたんですか?
新川氏:
もともとは,ディスガイアシリーズの高解像度アニメーションの,チビキャラをずっと作っていたチームの人間ですね。彼がディレクターとキャラクターデザイナーとゲームデザイナーを兼任しているような感じですから,隅々までこだわりを持って作っています。そういう意味では,インディーズタイトルに近い作り方をしているかもしれません。
4Gamer:
なるほど。そう言われると,世界観で魅せるアクションアドベンチャーは,インディーズゲームに多い気がします。ただ,その手のタイトルって,海外の作品に多いじゃないですか。ホタルノニッキは,その中でも日本のゲームと思えるビジュアルなのが珍しいですね。
新川氏:
日本人がインディーズ的なスタンスでゲームを作ると,こういうものができあがるという一例かもしれません。
ところで,NEWBRANDのタイトルはどちらも,おそらく日本一ソフトウェアって名前を付けずに発表していたら,どこが作ったか分からないだろうと考えているんですが,どう思います?
4Gamer:
確かに,日本一さんと予想するのは難しいですね。
新川氏:
それも狙いの1つなんですよ。ゲーム画面を見ただけで「日本一だ!」というのは,ブランドとして成立している半面,悪く言えばマンネリでもあります。我々がコンテンツメーカーとしてやっていくには,いろいろなタイトルで勝負できなければなりませんから,NEWBRANDでは,また違ったテイストのタイトルも作れるんだということを,皆さんにお伝えできると嬉しいですね。
次のステップは「日本一魂」のこもったゲームを届けること
4Gamer:
そういえば,今回はNEWBRANDということで,新IPを打ち出していますが,日本一さんは以前にも,一度方向転換みたいなものがあったと思うんです。ディスガイアがヒットしてから,とにかくシミュレーションRPGを出していた時期がありましたよね。でも,いつしかああいったタイトルがぱったり出なくなり,違うジャンルのゲームが増えていきました。今回も,その時のように,違う方向に舵を取りだしたのではないかという印象を受けます。
新川氏:
そうですね。これは日本一ソフトウェアの創業時代からのストーリーになるんですが,大きな転機は何回かあったんですよ。もともと日本一ソフトウェアって,PlayStationで「ジグソーワールド」という,ジグソーパズルのゲームでデビューした会社なんです。ほかにも,麻雀ゲームやボードゲームを出していました。
4Gamer:
テーブルゲームが中心だったんですね。
新川氏:
でも,そういったタイトルだけ出していても,いずれ会社は潰れてしまう。当時の私は,新卒で入社した,2,3年目ぐらいの社員で,広報や営業,開発の手伝いをしていたんですけど,「どうせ潰れるんだったら,RPGをやりたい!」と思い,当時の社長に直談判したんです。そうしたら,OKをもらえてしまいまして。
4Gamer:
その状況でゴーサインが出るというのもすごい話です。そこが1回目の転機なわけですか。
ええ。そこで立ち上げた企画が「マール王国」なんです。幸い,1年間くらいかけて,みんなで死ぬ思いで作ったマール王国が評価され,この後は「リトルプリンセス マール王国の人形姫2」「天使のプレゼント マール王国物語」と開発を続けてきました。
でも,もともとマール王国って,シミュレーションRPGとして作る案もあったんですよ。当時は,技術的にRPGでないと無理だったので,最終的にRPGになったんですが,それでも,やっぱり作ってみたかった。そうして次のステップとして開発がスタートしたのが,「ラ・ピュセル 光の聖女伝説」です。
4Gamer:
懐かしいですね。今の「シミュレーションRPG+やり込み要素」の日本一さんの作風が生まれたのって,ラ・ピュセルですよね。
新川氏:
はい。マール王国の時は,RPGのノウハウがなかったので,ストーリーに8割,ゲームシステムに2割といった感じの力の入れ方だったんです。でも,ラ・ピュセルはせっかくシミュレーションRPGにするんだし,ストーリー5,システム5くらいの割合で,ゲーム性を高めようと。そうしたら,高い評価をいただけたので,これが今の作風の基礎になりました。
4Gamer:
その後はディスガイアが登場してくるわけですが,これはどういった経緯で生まれたんですか?
ええと……「評価してもらえたゲーム性をとにかく高くしよう,ストーリーは2割でいい!」「魔界という自由な舞台だけ用意して,後はもう,とにかく面白いと思うものを入れよう!」という考えで,ゲームデザインを担当していた者と,ストーリーを担当していた私,デザイン担当の人間が好き放題やった結果,ごちゃごちゃなものが完成しました。それがディスガイアです(笑)。
4Gamer:
いやいやいやいや(笑)。
新川氏:
今にして思えば,当時の日本一ソフトウェアは,1年に1本ちゃんと売れなければ潰れる状況だったので,インディーズ魂みたいなもので生み出したタイトルと言えるかもしれないですね。
それからは,今度はシミュレーションRPGを得意ジャンルにしようということで,「ファントム・ブレイブ」「ファントム・キングダム」「ソウルクレイドル」などを作っていきました。でも,海外で子会社を立ち上げたり,株式上場したりするにつれ,タイトル数や開発ラインを増やしていく必要が出てきて,そうした“重い”タイトルばかり自社で開発するわけにもいかなくなりまして。それで,社内だけでなく,社外でいろいろなタイトルを作る方向にシフトしたんです。
4Gamer:
シミュレーションRPG以外のジャンルのタイトルが増えてきたのは,そういう理由からでしたか。
新川氏:
ただ,やはり「日本一ソフトウェアの持ち味」みたいなものを出していくには,やはり自分達の手で作るべき,と去年ぐらいから考えを改め,今はほとんどを社内で作るように切り替えています。「魔女と百騎兵」や「神様と運命革命のパラドクス」は,そうした流れで生まれたタイトルですね。とはいえ,こういった大型タイトルは,失敗するわけにはいきませんから,本当の意味での日本一魂をお見せしにくいときもあるというのが悩みです。
4Gamer:
開発費が高くなるぶん,冒険するのが難しいですよね……。
新川氏:
ええ。そういう意味でも,NEWBRANDで社内インディーズみたいな形でゲームを開発していくのは,魂のこもったタイトルを皆さんにお見せするチャンスになるかなと。
やっぱり,毒にも薬にもならないゲームは,出しちゃダメだと思うんです。我々としては,ライトな人達に受けたいというより,ライトな人達をコアに洗脳したいという気持ちでいるので,とにかくハマってしまうようなタイトルを出していきたいですね。
“神様シリーズ”などの既存IPも展開
PS4向けの新作タイトルも開発中
4Gamer:
ところで,せっかくの機会ですから,NEWBRAND以外の今後の展開についてもお聞きしておきたいのですが。既存のIPについても,もちろん展開されるんですよね?
もちろんです。最初に来るのは,「神様と運命覚醒のクロステーゼ」ですね。これは,神様と運命革命のパラドクスに続く“神様シリーズ”の1本になります。シリーズとして統一しているのは,天使と悪魔の戦いを舞台に,悪魔側が圧倒的有利,追い込まれた天使達が手段を選ばず勝つ方法を選んだ結果,人間の主人公が巻き込まれるというシチュエーションです。このソリッドなシチュエーションから起こるストーリーを描くというのが,神様シリーズのテーマですね。
4Gamer:
今回のストーリーのポイントとなるのは,どういった部分なんですか?
新川氏:
「究極の選択」です。神様になった主人公に対して,重大な選択が次々と襲いかかるというのが,本作の面白いところになります。例えば,天使と悪魔でそれぞれヒロインがいるんですけど,最後にこのどちらかを救って,どちらかを殺さないといけない,という感じです。
4Gamer:
それは,究極の選択ですね……。
新川氏:
あとは,システム面にもだいぶ手を入れています。基本的には,ライトノベルが好き,いとうのいぢさんの絵に惹かれたという,比較的ライトな人でも,1回のプレイでちゃんと楽しめるようにしたかったので,システムが入り組んだディスガイアなどとは,違う方向にしようかなと。前作は,ディスガイアのチームが作ったので,ごちゃごちゃとシステムを入れて,世界観とマッチしない部分があったので,今回は世界観とゲーム性が合うよう,整理してるんですよ。
4Gamer:
ゲームジャンルとしては,前作同様にローグタイプのRPGなんですよね?
新川氏:
はい。でも,死んだら装備がなくなるとか,レベルが1に戻るみたいな要素は省いて,遊びやすくしているので,いろいろな人に楽しんでいただけるかと思います。もちろん,遊び込みたい人向けには,日本一らしい要素も入れてあります。
ところで日本一さんでローグタイプのRPGというと,「絶対ヒーロー改造計画」を思い出すんですが,神様シリーズになって,ガラっとテイストが変わりましたよね。
新川氏:
はい。絶対ヒーロー改造計画は,シミュレーションRPG以外の得意ジャンルを作りたかったので,ローグタイプのRPGに手を出してみたタイトルです。あれのシナリオは私が書いていて,すごく気に入っているタイトルなんですけど,80年代ノリが濃すぎて,あまり広く受け入れてもらえなかったんですよね。それで題材を変えようということで作ったのが,神様シリーズだったりします。
4Gamer:
絶対ヒーロー改造計画のノリも,個人的には好きだったんですが。ディスガイアもそうですが,基本はおバカなノリだけど,どこかにウルっと話を入れるみたいな形は,新川さんの好みで書かれているんですか?
新川氏:
ああ,それは私の書くシナリオの特徴かもしれません。でも,違うものもちゃんと書けますよ。初代「流行り神」のシナリオも,実は私なんです。
4Gamer:
そうだったんですか。日本一さんのアドベンチャーの仕掛け人も,新川さんだったわけですね。
本当は,今ももっといろいろやりたいんですけどね。社長やりながらシナリオ書くのは疲れるんですよ。日本ファルコムの近藤さん(※近藤季洋社長)も,書きながら社長をやられているので,よく話をするんですが,「やっぱりしんどいよね」って(笑)。
4Gamer:
今後は,NEWBRANDが立ち上がったことで,これまで新川さんが作ってきた日本一テイストとは,違う作品がいろいろと生まれてくるんじゃないですか?
新川氏:
それは期待しています。私をはじめ,20周年までの時代を作ってきたスタッフ達の限界が,もしもここまでなんだとしたら,それを超えるものを生み出していってほしいと思っていますから。
当然,これまで日本一を応援してくれた皆さんに向けて,これまでどおりのタイトルも出していきます。ディスガイアや神様シリーズは継続していきたいですし,ほかのタイトルでもまた新シリーズをやろうかと思っているので,続報をお待ちください。
4Gamer:
今回はようやく日本でもPlayStation 4が発売されたタイミングなのでお聞きしますが,新世代ゲーム機への展開は考えられているんですか?
新川氏:
もちろんです。PlayStation 4向けタイトルの開発には,もう取り組んでいます。おそらく,東京ゲームショウのタイミングで発表できると思いますよ。
4Gamer:
おお,どういったタイトルになるのか気になります。
新川氏:
今は秘密ですが,「一番期待していただいているであろうタイトルをリリースしたいと思っています」とお伝えしておきましょう。
4Gamer:
それはかなり答えに近い気も……。
新川さんとしては,PlayStation 4,あるいは新しいコンシューマゲーム機に対して,どういった印象をお持ちでしょうか。
新川氏:
作り手としては,日本国内に限定すれば,ハードの転換はちょっと早かったんじゃないかなという印象はあります。PlayStation 3が成熟して,すごく良い時期に入っている中,PlayStation 4の話が出てきましたから。でも,海外のことを考えたら,スイッチしなければならないタイミングだったということも分かるんです。
4Gamer:
実際,海外ではかなりの盛り上がりを見せていますからね。
新川氏:
日本でも,好調なスタートを切っているようですし,我々が予想していたよりも早く,新しいゲーム機への移行も進むかもしれません。
新ハードで盛り上がるということは,それだけ新しい体験を待っていた人達が多かったということですから,作り手としては期待してくださっている皆さんに,きちんとタイトルをお届けしていければと思います。
あとは先の話になりますが……今期には無理ですが,PlayStation 4に限らず,来期,再来期でやりたいことは,いろいろあるんですよ。
4Gamer:
お話できる範囲で聞いてもいいですか?
まず,魔女と百騎兵の続編はやりたいと思っています。おかげさまで,皆さんにプレイしていただき,いろいろなご意見もいただいていますから,それをきっちり反映した形で続編につなげていくというのが,メーカーの務めだと思いますので。
あと,もうすぐアサギが暑中見舞いで登場して10周年になるんですよ。ここを逃したら次は15年ということになりかねないので,何か動きを見せたいなぁと。
4Gamer:
これまで日本一さんのゲームをやってきた身としては,アサギが主人公のゲームをまだ出すつもりでいたことに驚いてしまうんですけども……。
新川氏:
ありますよ。私の中では,アサギが主人公のゲームが出るとしたら,「魔界ウォーズ」にしようと,ずっと思っています。ただ,シミュレーションRPGにすると,ディスガイアにしかならないとも思うので,違ったジャンルにするかもしれません。
4Gamer:
それはそれで楽しみです。でも,またディスガイア以外のシミュレーションRPGを作っていく予定はないんですか?
新川氏:
実は,それもすごくやりたいんですよ。これはまだ開発予定には入っていないんですが,いつか私がやるべきミッションの1つとして,一度,「ファイアーエムブレム」や「タクティクスオウガ」のような王道シミュレーションRPGを,日本一ソフトウェアとしてリリースしたいんです。
4Gamer:
それはまた意外な方向ですね。日本一さんのシミュレーションRPGは数多く出ていますが,そういえば直球の王道ファンタジーみたいなのは,1本もなかった気がします。
新川氏:
そうなんですよ。最近は,直球のタイトルって少なくなってきましたし,シミュレーションRPGを長く作ってきたメーカーとしては,何か考えたいですね。でも,「持ち上げて投げる」みたいなコマンドを体験してしまうと,それがないシミュレーションRPGは不便に感じてしまうので,悩ましいです。真面目なファンタジーで,あれはないでしょう!
4Gamer:
あれは,これまでの日本一さんのテイストだからこそ許されたシステムですよね(笑)。
新川氏:
とにかく,これからも日本一ソフトウェアらしい,尖ったタイトルはいろいろと出していきます。日本一ソフトウェアは20周年を迎えることができましたが,これはすべてユーザーの皆さんのおかげです。そのお返しというわけではないですが,引き続きコンシューマゲームでしっかりと新作に取り組んでいきますから,応援していただければと思います。
目標としては,25周年を迎えるまでに,ディスガイア以外に「日本一といったらこれ」と言われるようなタイトルを2本以上生み出したいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
新川氏は,ディスガイアだけでなく,新たな日本一ソフトウェアらしい人気作を生み出すべく,今後の展開を考えているようだが,新たに踏み出す一歩はどう評価されるだろうか。まずは,NEWBRANDとして登場する「ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。」と「htoL#NiQ −ホタルノニッキ−」や,これから発表される新作タイトルの続報に期待しつつ,同社の動向に注目したい。
「日本一ソフトウェア」公式サイト
「ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。」公式サイト
「htoL#NiQ −ホタルノニッキ−」公式サイト
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