インタビュー
「レインボーシックス シージ」のプロリーグがアジア太平洋地域に拡大。その狙いと期待について,Ubisoftのe-Sportsディレクターにメールインタビュー
2015年12月に発売された「レインボーシックス シージ」は,ユービーアイソフトの看板ともいえる「レインボーシックス」シリーズの最新作で,特殊部隊をテーマに,5人対5人のマルチプレイに軸足を置いた作品だ。ゲームの難度は比較的シビアで,オペレーター(特殊部隊員のことを,カッコよくそう呼ぶ)の特性など,勝つために覚えるべきことも少なくない。さらには,ストーリーモードもないという,聞くだけではかなりコアゲーマー向きという雰囲気の作品だったが,世界的に大ヒットし,日本ではリリースから1年以上経った現在でも売れ続けるという息の長いゲームになった。
「レインボーシックス シージ」公式サイト
アメリカ,ヨーロッパ,ラテンアメリカ,そしてアジア太平洋地域のチャンピオンは,11月17日〜19日にブラジルのサンパウロで開催されるワールドファイナルに招待されるのだ。
そんな「レインボーシックス シージ」のプロリーグなのだが,今回,ユービーアイソフトのe-Sportsディレクターを務める,François-Xavier Dénièle氏にメールインタビューをする機会を得た。
果たして,このタイミングで同社がアジア太平洋地域に門戸を広げるのはなぜなのか,プロリーグの現状はどうなっているのかなどを質問できたので,お届けしたい。なおメールインタビューという形式上,残念ながらツッコミ的な質問はできないので,その点はあらかじめご了承願いたい。
François-Xavier Dénièle氏(以下,Dénièle氏):
まず,自己紹介をさせてもらいます。私はUbisoftのEMEA(ヨーロッパ,アジア,中東諸国)でe-Sportsディレクターを務めるFrancois-Xavier Dénièleです。私のチームは「レインボーシックス シージ」や「Just Dance」といったタイトルのe-Sportsアクティビティをすべて取り仕切っています。
4Gamer:
「レインボーシックス シージ」のプロリーグについて,歴史や目的,そして現状などを簡単に説明してください。
Dénièle氏:
私達は最初から,「レインボーシックス シージ」が多くの可能性を秘めた,とても特別なゲームであると信じていました。開発チームが見せてくれたゲームはアクション満載で戦略性も高い,とてもすばらしいものだったからです。PvPだけではなく,マッチの長さやカメラの動きなど,開発チームは,どのようなゲームがe-Sportsで成功するのかということを十分に理解しており,コミュニティのサポートがあれば,すぐにでもe-Sportsの扉を開けられるようにデザインされていました。
しかし,e-Sportsで成功するにはゲームがすばらしいというだけではダメで,どうしてもコミュニティのサポートが必要になります。その点,「レインボーシックス シージ」のコミュニティはとても協力的で,e-Sportsについてだけでなく,このゲームが最高のクオリティになるようにサポートしてくれています。彼らの支援なしには,このゲームはここまで来れませんでした。ラテンアメリカ,とくにブラジルでの成功もその一例ですが,私達はコミュニティにとても感謝しています。
そして,本作が短期間でこれほど成長できたことを,とても嬉しく思っています。たくさんの人々が,このゲームをプレイするだけでなく,高いレベルの戦いを見て楽しんでいます。私達もゲームだけではなく,見ている人々の体験も向上できるよう,これからも努力していくつもりです。
すでに発表したように,アジア太平洋地域の最終決戦はオーストラリアのシドニーで2017年10月21日〜22日に開催されます。ここでは日本,韓国,東南アジア,そしてオーストラリア,ニュージーランドのトップのチームが競います。シーズン3のファイナルは11月17日〜19日,ブラジルのサンパウロで行われる予定ですが,その前の8月には,ドイツのgamescomを舞台に,過去最大の「レインボーシックス シージ」のe-Sportsショーになる“シーズン2ファイナル”が行われます。
4Gamer:
これまでアジア太平洋地域がリーグに含まれていなかった理由と,今回,それがなぜ含まれるようになったのかについて,理由を教えてください。
Dénièle氏:
「レインボーシックス シージ」のチームは,コミュニティの声に耳を傾けることを重要視しています。最初の1年,「レインボーシックス シージ」のプロリーグは北アメリカとヨーロッパだけにフォーカスして,パートナーであるESL(Electronic Sports League。e-Sportsの運営会社)やコミュニティと一緒に,プロリーグをどうしたら最高の体験にできるかを考えていました。プロリーグをアジアまで広げることは,次の自然な流れです。
4Gamer:
e-Sportsディレクターの立場で,アジア・太平洋地域のチームをどう見ていますか。
Dénièle氏:
Tyloo やVG.CyberZenといったアジア太平洋地域のプロチームは,自分達が世界大会でも通用することをずっと証明してきました。日本のコミュニティはとくに重要で,日本のプレイヤーの皆さんの多くが,大会を自分達の地域にまで広げてくれるように要望していました。ですので,日本のプレイヤーの皆さん参加できることは,私達にとっても光栄なことです。
4Gamer:
格闘ゲームは人気がありますが,日本のe‐Sportsの現状は欧米に比べて発展途上の部分も少なくありません。「レインボーシックス シージ」は,日本のプロゲーマーに受け入れられると思いますか。
Dénièle氏:
はい,「レインボーシックス シージ」のプロリーグをラテンアメリカに拡大したときのブラジルがそうだったように,日本の皆さんにも受け入れられると考えています。とくに,日本を舞台にしたDLC「オペレーション レッドクロウ」の配信(関連記事)以降,どんどん成長しつつある大きくて力強いコミュニティが日本にはありますから。
4Gamer:
プロリーグに参加するには,どういう資格や手順が必要ですか。
Dénièle氏:
アジアのプロリーグの参加手順などについては,次の発表まで今しばらくお待ちください。
4Gamer:
プロチームをサポートするような施策は予定していますか。
Dénièle氏:
プロチームのためのメインイベントは,プロリーグになります。そのほか,プロチーム以外の人でも参加できるようなトーナメントなどを各地域で作ろうと考えています。
4Gamer:
最近,Ubisoft Entertainmentはe‐Sportsに対して力が入っているようですが,その理由を聞かせてください。
Dénièle氏:
我々にとって,長く遊んでもらえるゲームを提供してプレイヤーの皆さんに楽しんでもらうことは,とても重要だと考えています。e-Sportsは,ベースとなるゲームがあって,プレイヤーがその大会――プロやセミプロ,アマチュアを問わずに参加できたり,その様子を会場やオンラインで楽しんだりできます。また,お気に入りのプロプレイヤーを応援したり,配信で戦い方を教えたり学んだりできるほか,自分達で大会を開催したり,配信したりなど,さまざまな新しい楽しみ方を与えることができるものだと思っています。
4Gamer:
決勝戦の舞台がブラジルのサンパウロになっていますが,理由はなんでしょうか。
Dénièle氏:
ラテンアメリカが「レインボーシックス シージ」のプロリーグに参加するようになったのは,2017年3月初めのことで,今のところ,コミュニティのフィードバックはとてもポジティブです。ブラジルには優れたプレイヤーがたくさんいて,環境も整っているため,e-Sportsもとても活発です。
決勝戦をサンパウロで行おうことになったのも,ブラジルのコミュニティと近づく絶好の機会だと思ったからです。
4Gamer:
日本チームが優勝した場合,賞金が受け取れないとのことですが,それに代わるものは考えていますか。
Dénièle氏:
私達は日本の規制について承知しています。そして,できるだけ最善の解決策を見つけ出そうとしています。
4Gamer:
最後に,読者に向けて,何かコメントをください。
Dénièle氏:
私達は「レインボーシックス シージ」のプロリーグがアジアに広がることを嬉しく思っており,アジアトップのプロチームが違う地域のチームと戦うのをとても楽しみにしています。
アジアのe-Sportsはとても大きな可能性を秘めています。私達もぜひ,すばらしいファンの皆様と一緒にその可能性の一部になりたいと思っています。
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