「GTAオンライン」の大型アップデート「カヨ・ペリコ強盗」が実装。カリブ海の孤島で繰り広げられる強盗ミッションの魅力を紹介

　「GTAオンライン」の大型アップデート「カヨ・ペリコ強盗」が2020年12月15日に実装された。過去最大級のアップデートと称される今回の舞台はカリブ海の孤島。プレイヤーは麻薬王の息子であるミゲル・マドラッゾと組み，強盗ミッションに挑むこととなる。本記事では，実装前に実施されたプレビューから感じられた本ミッションの魅力をお届けする。開発者へのメールインタビューも行っているので，そちらは記事後半でお伝えしよう。


　今回プレイヤーと手を組むミゲルの一家は苦境に陥っていた。麻薬を仕入れている組織から“契約の見直し”を迫られており，従わなければ秘密を暴露すると脅されているからだ。そこでミゲルは仕入れ先の施設を襲撃し，一家の秘密を闇に葬るミッションをプレイヤーに依頼する。


　舞台となるのは南国のリゾートアイランドであるカヨ・ペリコ。麻薬組織の大物，ルビオが支配するこの島では，浜辺でビーチパーティーが行われ，パリピたちが陽気に騒ぐ一方，島の中には麻薬組織が拠点を築き，武装した構成員たちがうろついている。プレイヤーはDJユニット・カイネムジークのマネージャーとしてカヨ・ペリコに潜入し，パーティーを抜け出して秘密を探っていく。


　探索を進めていくとさまざまなミッションが増え，最終的なミッションである「強盗フィナーレ」の内容が変化する。例えば，あらかじめ敵の武器商人を始末しておけば，強盗フィナーレで敵が使用する武器が少なくなるといった具合だ。
　目的地への潜入一つとっても，特殊な機器で壁を登ったり，ヘリや密輸船を使ったり，ステルス爆撃機からパラシュートで降りたりと，11種ものアプローチが実行可能というから驚きだ。カヨ・ペリコ強盗では，これまでの“ミッションの定型を崩す”ことがテーマの1つとなっており，強盗フィナーレの最中にも状況が変化していくとのこと。これらの多岐にわたる変化がリプレイ性を高める要因になっているわけだ。


　今回のミッションの拠点となるのが，本作初登場となる「潜水艦」。遠隔操作型のミサイルを発射できるほか，小型ヘリと潜水艇を搭載しており，すべての準備をここで整えられる。まさに海の要塞といっても過言ではないだろう。また，ソナーを使って隠し財産や敵の潜水艦を探すといった，潜水艦によるアクティビティも用意されているとのことで，こちらも非常に楽しみだ。


　さらに今回のアップデートでは音楽面も見逃せない。かねてからアナウンスされていた通り，イースト・ロスサントスに「ミュージック・ロッカー」がオープン。ムーディーマン，カイネムジーク，パームス・トラックスといった実在のDJたちが登場し，本人からキャプチャーされたモーションと，忠実に再現された機材がプレイヤーを楽しませてくれる。また，3つのラジオ局が新設され，240曲以上の新曲を楽しめるとのことで，こちらにも注目が集まる。

潜水艦以外にもさまざまな乗り物が追加されるとのことだ

　また，今回の大型アップデート「カヨ・ペリコ強盗」について，デザインプロダクションディレクターを担当するタレック・ハマード氏と，デザインディレクター：ワールド＆コンテンツのスコット・ブチャード氏にメールインタビューで話を聞けた。ミッションのコンセプトや見どころについて語ってもらえたので，こちらも読み進めてほしい。

大型アップデート「カヨ・ペリコ強盗」
開発者メールインタビュー

4Gamer：
　カヨ・ペリコ強盗のコンセプトや全体のゲームデザインについて聞かせてください。

Scott氏：
　これまで私たちは看板やナイトクラブの外観の変更などを行って，少しずつロスサントスを発展させてきましたが，今回はついにカジノに変更を加えます。そして次の段階として，まったく新しい場所を作ってみようということになったのです。いつもの場所から離れて何かやってみたらどうだろうか？　と考えた結果，島というアイデアにたどり着きました。使用するキャラクター自体は変わりませんが，周りの環境はまったく異なります。サウンドも，ビジュアルも，今までとはまったく違う新しいものになっています。

Tarek氏：
　デザインの観点からすると，島のコンセプトで重要なのは強盗とビーチパーティーです。とくに，ビーチパーティーはストーリー上でも欠かせない存在になっています。プレイヤーは手持ちのデバイスを使い，島を調べて細かく把握していくことになりますが，その結果に応じて調達ミッションをこなしていき，最終的にルビオの屋敷へ侵入するというダイナミックなフィナーレを迎えることになります。

Scott氏：
　「カジノ強盗」では建物と金庫室という制約がありましたが，今回は島そのものを金庫室にして，その制約を取り払おうと考えました。また，プレイヤーをロスサントスから何千キロも遠く離れたところに放り込むことで，次に何が起こるか分からない新鮮さを味わっていただくという狙いもあります。


4Gamer：
　島の広さはどれくらいの大きさですか。実在の島がモデルやイメージのベースになっていたりはしますか。

Scott氏：
　直接的なモデルがあるわけではありませんが，カリブ海の島々を参考にしています。サイズに関してはとても大きいとだけ言わせてください。島には乗り物も用意してありますので，乗りながらマップを探索できます。また，ルビオの屋敷はもちろんのこと，滑走路や2か所ある船のドック，そのほかにもいろいろな場所を探索できます。

Tarek氏：
　島には独自の歴史と物語があり，探検すればするほどさまざまなものを発見できるでしょう。


4Gamer：
　島にはどんな施設がありますか。ユニークなものがあれば教えてください。

Tarek氏：
　施設については，ロスサントスでご利用いただいているようなガレージや武器店などはありません。

Scott氏：
　島は完全に敵の支配下になっており，あちこちに警備員がいます。ただし，偵察時には好きなだけ拠点と島を行き来でき，タイムリミットもありません。フレンドと一緒でもシングルプレイでも，思う存分探検できます。また，この探検を楽しめるように，島中にイースターエッグやさまざまなアイテム，武器を隠しています。

4Gamer：
　マルチプレイだけでなくソロプレイでも楽しめるようになりましたが，ここはプレイヤーからの要望が多かったのでしょうか。

Scott氏：
　確かにコミュニティのプレイヤーの意見を参考にしたのは間違いありません。ですが，強盗ミッションは各自の責任でグループでプレイするように設計されていました。「強盗：ドゥームズ・デイ」で調達ミッションをシングルプレイで遊べるようになって，とくにフレンドと一緒でもシングルプレイでも遊べるジェラルドやマドラッゾ，シミオンの「コンタクトのミッション」で好評をいただいたことが大きいですね。島でも同じような方式を採用していますので，ちょうど良いバランスになっていると思います。

4Gamer：
　ソロプレイとマルチプレイでミッションの難度は変化しますか。報酬はソロプレイであればすべて独り占めできるのでしょうか。

Scott氏：
　ミッションの難度についてですが，これは良い部分と悪い部分があります。例えばこっそり島を動き回りたいなら，シングルプレイが最良の方法です。誰かのせいで見つかる，といったことがありませんからね。報酬も100％受け取れます。ですが1人だけではそれほど多くは運べないので，メインターゲットと多少の現金といった程度しか回収できないでしょう。逆に，チームならもっとたくさん持ち帰ることができますが，報酬を山分けしなくてはいけません。


　なお，ミッションが計画通りに進まなかった場合は，すべての敵が襲い掛かってきます。島を襲撃するような過激なアプローチをとるなら，チームメイトにカバーしてもらうのが最善の方法になるでしょう。チームメイトがいれば強盗を完了させる可能性が上がるかもしれませし，一匹狼を好むプレイヤーなら，シングルプレイでお楽しみいただけるはずです。

Tarek氏：
　調達ミッションの中にはシングルプレイの方がやりやすいものもありますし，グループの方がやりやすいものもあるんです。

Scott氏：
　ルビオの勢力を弱体化させる方法は複数ありますが，ミッションの難度はどれも同じなので小規模チームの方がやりやすいかもしれません。
　最後にもう一度報酬について説明しましょう。各ミッションにはルビーのネックレスといったメインターゲットがあります。ですが，それ以外にも資金や金塊，絵画などを略奪できます。プレイヤーが運べる量には限りがあり，荷物が多いほどスピードも落ちます。つまり，グループの人数については，多いほど盗める金品の量が増えるのです。


4Gamer：
　繰り返し楽しめるミッションと紹介されていますが，リプレイ性について説明できる範囲で聞かせてください。

Scott氏：
　1回目のプレイではぜひ素晴らしいストーリーを楽しんでほしいですね。ストーリーが進むにつれてルビオとカヨ・ぺリコについての知識が深まっていきます。ミッション目標はプレイヤーごとに異なります。屋敷の地下から絵画を盗むことになる場合もあれば，保管場所に隠された金塊を盗むことになる場合もあるでしょう。

　また，屋敷へのアプローチ方法やそのための乗り物にも，さまざまなものがあります。例えば，上空から気づかれずに降下したり，船に乗りながら激しい銃撃戦を潜り抜けてドックに上陸したりもできます。さらには，潜水艦に乗って水中からアプローチする手もあります。プレイヤーのアプローチ方法はミッションの開始前に行う偵察の内容によって変わっていきます。場合によっては島のまったく違う場所に向かうことになるかもしれません。もちろん，どの順番でやるかということも影響してくるでしょう。


4Gamer：
　新要素の「潜水艦」ですが，これまでの「潜水艇」との違いを聞かせてください。

Scott氏：
　今回新たに登場する潜水艦は強盗作戦の作戦基地となります。以前登場した機動作戦センターのようなものだとお考え下さい。もちろん，自分で操縦もでき，一人称視点と三人称視点を切り替えられます。

Tarek氏：
　今回登場するのは原子力潜水艦なので過去に登場したどの潜水艇よりもはるかに大きなものになります。


Scott氏：
　以前にも沿岸の重要なロケーションにファストトラベルできるギャラクシークルーザーが登場していますが，操縦できませんでした。それもあって，今回のアップデートでは潜水艦を操縦できるようにすることが1つの目標となりました。フリーモードではリーダーとして指揮を取りながら，フレンドに潜望鏡を使ってもらい，ロスサントスの沿岸にミサイルを撃ち込むこともできます。一方，島では潜水艦が直接ミサイルを撃ち込むのを防ぐためにルビオが防衛施設を整えています。

　ソナーを実装しているので，お宝を探すヒントとしても使用できますし，潜水艦には4シーターの潜水艇も収容されているので，フレンドと一緒に海中を探索して隠し財産を探すこともできます。もちろん，プレイヤー同士の潜水艦で海中戦もできます。


4Gamer：
　島を偵察するほどプレイヤーが採れるアプローチが増えていくとのことですが，とくにユニークなアプローチを聞かせてください。

Scott氏：
　初めて島に向かう際には，カイネムジークのツアーマネージャーに変装していくことになります。それ以降は，侵入地点，脱出地点，ターゲット，あるいはミッションで必要になる道具を自分で探していくことになります。今回は「カジノ強盗」と比べてプレイヤーがフィナーレでできることが大幅に増加しているほか，成功率を高めるために必要なキーアイテムを探す機会も用意しています。

　私が気に入っているアプローチの1つは，密輸用の航空機を盗んで島の滑走路に着陸し，誰にも気づかれずにこっそり脱出するものです。このアプローチでは，島への到着時に警備員からセキュリティチェックを受けることになりますので，変装がバレないような武器を見つける必要があります。

4Gamer：
　今後，カヨ・ペリコ強盗ではどんなアップデートが予定されているのでしょうか。

Scott氏：
　リリース後も数週間にわたって，ミュージック・ロッカーをはじめとしたさまざまなコンテンツを追加していく予定です。

4Gamer：
　最後にカヨ・ペリコ強盗を楽しみにしているプレイヤーにメッセージをお願いします。

Scott氏＆Tarek氏
　日本のプレイヤーの皆さんに「カヨ・ペリコ強盗」と「ミュージック・ロッカー」に登場するさまざまなコンテンツをプレイしていただけるのを楽しみにしています。革新的な「GTAオンライン」のゲームプレイ体験を実現するために，チーム一丸となって制作してきましたので，ぜひお楽しみください。

「Grand Theft Auto V」公式サイト