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韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
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印刷2014/10/16 12:18

インタビュー

韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた

画像集#012のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
 2014年8月下旬,韓国のNaddic GamesはオンラインアクションRPG「Closers」の第1次クローズドβテストを実施した。同作は,日本のアニメを彷彿とさせるキャラクタービジュアルやストーリー,そしてMOBAスタイルのPvPなどが特徴となっており,韓国のプレイヤーから大きな反響があったという。

 まだ韓国でのCBTが行われたばかりということもあって,日本での知名度は低く,現時点では日本展開については未定とのことだが,今回4Gamerでは来日中のスタッフにインタビューする機会を得た。Naddic Gamesでプロデューサー/ディレクターを務めるKumtae Ryu氏と,アートディレクターのDoYoung Kwak氏に話を聞くことができたので,その模様をお伝えしよう。

画像集#002のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
Naddic GamesのKumtae Ryu氏(右),DoYoung Kwak氏(左)

「Closers」公式サイト



特殊能力を持つ者「Closers」と「次元種」の戦いを

描いた王道アニメ調のストーリー


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは「Closers」におけるお2人の役割を教えていただけますか。

Kumtae Ryu氏(以下,Ryu氏):
 私は,プロデューサーとメインディレクターを務めています。

DoYoung Kwak氏(以下,Kwak氏):
 私はアートディレクターとして,メインビジュアルやグラフィックス全般の統括などを担当しています。

4Gamer:
 所属しているNaddic Gamesについても紹介をお願いします。失礼ながら,日本ではあまり知られていないものですから……。

画像集#003のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
Ryu氏:
 それは当然でしょうね。Naddic Gamesは2012年1月にソウル(韓国)を拠点に設立した開発会社で,「Closers」が最初のタイトルになります。

Kwak氏:
 在籍するスタッフの多くは,日本でも知られている「ELSWORD」の開発初期から2010年頃まで関わっていたメンバーです。

Ryu氏:
 そのなかでも,私は「ELSWORD」の立ち上げ当時から携わっていました。

4Gamer:
 それはつまり,オンラインゲーム開発の実績があるスタッフが揃っているということですね。ちなみにスタッフの総数はどれくらいですか。

Ryu氏:
 現在は50人強です。

4Gamer:
 それでは,開発中の「Closers」について教えていただけますか。

Ryu氏:
 「Closers」は,横スクロールタイプのアクションMORPGです。日本のコミックやアニメなどでよく見られるような世界観で,近未来の2020年を舞台に特殊能力を持つ者達が活躍する冒険活劇を描いています。

Kwak氏:
 メインターゲットとしては,10代から20代の学生や社会人を想定しています。そこでプレイヤーが親近感を覚えやすいように,主人公達を高校生に設定しているのです。
 日本では高校生の主人公が活躍するコミックやアニメはポピュラーですが,韓国にはそのような作品がほとんどありません。その点では,私達にとってチャレンジと言えますね。

画像集#007のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた

4Gamer:
 主人公達が戦う敵はどのような存在でしょうか。

Ryu氏:
 「次元種」と呼ばれるモンスターです。ある日突然,主人公達が暮らす世界に「次元の門」が開き,そこから次元種がやってきて人々を襲うようになりました。次元種がどのような存在なのか,何を目的にしているかといったことは,ゲームのストーリーを追っていくなかで語られます。
 そして,主人公達は特殊能力を駆使して次元の門を閉じる存在,つまり“クローズする者”ということで「クローザーズ」と呼ばれているのです。

画像集#017のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた 画像集#018のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた

4Gamer:
 なるほど。それでは,主人公達はどのようにして特殊能力を身につけたのでしょうか。何らかの資質を持っていたとか?

Kwak氏:
 その点は,あえて説明していません。というのも,「Closers」は緻密なSF設定を前面に打ち出すのではなく,少年ジャンプの作品のような,誰でもすぐに理解できる単純明快で面白い内容を目指しているからです。

Ryu氏:
 本作では高校生の主人公達をクローズアップしていますが,彼らは「ユニオン」と呼ばれる政府機関のエージェントとして戦っています。ちなみに,同じような特殊能力を持った者は年齢や性別を問わず,世界中に数多く存在しているという設定になっています。


第1次CBTでは3タイプの

プレイアブルキャラクターを実装


4Gamer:
 「Closers」にはどのようなコンテンツが用意されているのでしょうか。

Ryu氏:
 先ほどお話したようなストーリーに沿って進行する「ダンジョンモード」に加え,近年,世界的に人気を集めているMOBAスタイルのPvPモードを用意しています。

4Gamer:
 MOタイプのゲームとのことですが,プレイ人数はどのようになっていますか。

ストライカータイプ
画像集#010のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
Ryu氏:
 ダンジョンモードは最大4人,PvPモードは最大8人(4人対4人)のプレイヤーが参加可能です。またダンジョンモードには,大人数でプレイできるレイド戦の導入を検討しています。
 韓国で実施した第1次CBTではプレイアブルキャラクターとして,「ストライカータイプ」「キャスタータイプ」「レンジャータイプ」の3キャラクターを実装しました。このほか,同じチームのメンバーとして2人のキャラクターを発表しています。
 クローザーズは5人1組のチームで協力して戦うという設定なので,今後はチーム単位でプレイアブルキャラクターを追加する予定です。

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左から,キャスタータイプ,レンジャータイプ

4Gamer:
 異なるチームに所属するキャラクター同士でも,一緒にプレイできますか。

Ryu氏:
 もちろんです。ただ,ストーリーはプレイしているキャラクターによって一部変化します。

4Gamer:
 それでは,それぞれのキャラクターの特徴を教えてください。

Ryu氏:
 ストライカーは,主人公のポジションとしてスタンダードな能力になっています。プレイヤーが遊びやすいように,強力なスキルも使えます。

画像集#005のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
Kwak氏:
 キャスターは,いわゆる魔法使いのような役割です。移動速度が遅く,体力も低めですが,その代わりに3人の中で最大の火力を誇ります。

Ryu氏:
 そしてレンジャーは,外見的な魅力で最も人気を集めたキャラクターです。すごく明るい性格が気に入ったという意見も多かったですね。

Kwak氏:
 移動速度の速さを活かしたヒット&アウェイを得意とします。近接と遠距離,どちらの攻撃手段も持っており,スタイリッシュに戦える点でも人気でした。

4Gamer:
 この3人を第1次CBTで実装したことには,なにか理由があったのでしょうか。

Ryu氏:
 MOアクションにおいて最も一般的な3タイプのキャラクターを用意することで,ゲームのバランスを確認したいと考えていました。
 今回,実装しなかったのは「格闘家」「召喚士」のキャラクターです。どちらも少々操作が難しいため,まだ投入する段階ではないと判断したのです。

4Gamer:
 なるほど。それでは,キャラクターの転職システムはあるのでしょうか。

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Ryu氏:
 「Closers」はファンタジーベースの世界観ではないので,転職の概念はありません。その代わりに訓練生やインターンといった「階級」が存在し,昇格するにつれて使用可能なスキルや武器,装備品がアンロックされる仕組みです。
 ちなみに,武器や装備品には2種類の強化手段を用意しています。まず「エンチャント」では,攻撃力や防御力などの基本性能を高めることができます。さらに「チューニング」で武器のパーツを強化すれば,毒の効果や火炎抵抗力,攻撃速度の上昇といったオプション効果を付与できるというわけです。


バトルはコンボによる爽快感を重視

PvPモードはキャラ性能を一律にした実力勝負に


画像集#011のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
4Gamer:
 続いて,バトルの特徴やシステムを教えてください。

Ryu氏:
 「Closers」では,スタンダードではあるものの高い爽快感をもたらすテンポの速いバトルを目指しています。そのため,綺麗かつ派手に見えるアニメーション処理で表現することにしました。
 また,「スキルチェインシステム」によって,簡単な操作でさまざまなコンボを繰り出せます。このシステムは狙ったコンボを出しやすくする,より多くの局面でコンボを発動できるようにするといった,プレイヤーをサポートする役割を持っています。


4Gamer:
 初心者がキーをガチャガチャと叩いても自動的にコンボがつながるということですか。

Ryu氏:
 どちらかと言うと,まったくの初心者向けではないですね。ただ,「アラド戦記」や「ELSWORD」といった,同じ横スクロールタイプのタイトルをプレイしたことがあれば,非常に理解しやすいシステムだと思います。
 現時点でシステムの基本的な部分は完成しています。しかし,コンボの種類が多いことや新キャラクターのコンボなど,まだまだ考えることは山積みです。

4Gamer:
 それでは,先ほど紹介された「MOBAスタイルのPvPモード」とはどのような内容でしょうか。

画像集#004のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
Ryu氏:
 一般的なMOBAのルールを採用したものになっています。ダンジョンモードでは,プレイヤーによってキャラクターのレベルや装備品の性能が異なりますが,PvPモードでは誰もが同じ条件で戦うことになります。

4Gamer:
 つまり,PvPではキャラクターの性能が一律になると?

Ryu氏:
 そのとおりです。もちろん,各キャラクターの性能の違いはありますが,PvPでは純粋にプレイヤーのテクニックとチームワークだけで腕を競ってもらう予定です。
 しかし,このモードとは別に,ダンジョンモードで育てたキャラクターと武器をそのまま活かせるようなPvPの実装も検討しています。

4Gamer:
 第1次CBTでは,PvPモードの評判はどうでしたか。

Ryu氏:
 事前に予想していた以上の評価でした。MOBAと言えば韓国でも「League of Legends」の人気が高く,いろいろな懸念はあったのですが,おおむね良好な結果を残せました。
 第1次CBTは1万人の募集枠に対し,約10万人のプレイヤーが応募してくれたのですが,この数字はこれまでに私達が関わってきたタイトルと比較しても非常に大きいです。

Kwak氏:
 キャラクターを軸に据えたコンテンツとして,非常に高い評価を得られました。カットシーンのアニメーションやボイスなど,キャラクターに焦点を当てて開発を進めているのですが,韓国ではあまり類を見ないスタイルということで,どんな評価をされるか不安だったのです。プレイヤーの評判が良かったことで,本当にホッとしました。

画像集#013のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた

Ryu氏:
 私の知る限り,ここまでキャラクターに焦点を当てたオンラインゲームは日本でも数少ないでしょう。その意味では,チャレンジが評価されたことを嬉しく思っています。PC向けのオンラインゲームでも,SFやファンタジーではなく現代をベースにしたアニメ的な作品に潜在的なニーズが存在していることを実感できました。

4Gamer:
 メインビジュアルやトレイラーを見たところ,日本のアニメはもちろん,アニメ調の演出を採用したコンシューマゲームの影響も受けているように感じました。参考にした作品があれば教えてください。

画像集#006のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
Kwak氏:
 あくまでも私の作業範囲においてですが,世界観の構築には「新世紀エヴァンゲリオン」「機動警察パトレイバー」を参考にしています。キャラクターに関しては……数え切れないほど多くの作品から影響を受けていますね。

Ryu氏:
 バトルの演出や表現においては,2D格闘ゲームの「THE KING OF FIGHTERS」「MELTY BLOOD」をかなり研究しました。とくに,超能力者が速いテンポで戦うというところに影響が見られると思います。
 ちなみにストーリーは設定的に暗い話になってしまいがちなので,意識して明るい近未来を描くように心がけています。


2014年内には次の展開に移行予定

日本でのサービスにもチャレンジしたい


4Gamer:
 今後はどのようなスケジュールを予定していますか。

Ryu氏:
 どのような形になるかは未定ですが,2014年内には韓国で新しい展開に移行する予定です。

4Gamer:
 日本での展開はいかがでしょう。現在,公式サイトは日本語表示に対応しているようですが,具体的に何か決まっていることはありますか。

Ryu氏:
 もちろん,日本でのサービスも視野に入れており,日本のプレイヤーに向けてローカライズやカルチャライズを行う予定です。ぜひ私達の作ったキャラクターで,日本市場にチャレンジしたいですね。

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画像集#015のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
4Gamer:
 「Closers」の舞台はソウルの街並みがモチーフになっていますが,たとえば日本でサービスを展開するにあたり,パブリッシャから「舞台を東京に変えたい」とのリクエストがあったらどうしますか。

Ryu氏:
 そうしたリクエストには,できる限りお応えするつもりです。確かにソウルの街並みをモチーフにしていますが,開発にあたっては,テキストにしてもグラフィックスにしても「ここは韓国である」と明確に分かる表現を避けています。それは,海外向けのローカライズやカルチャライズを想定しているからです。

Kwak氏:
 ただ,開発当初はそこまで考えていませんでした。開発を進めていくなかで,海外展開を強く意識するようになった結果,最終的に現在の形になりました。

4Gamer:
 それでは,最後の質問です。近年,日本のオンラインゲーム市場は一部のタイトルに人気が集中し,そのほかのタイトル──とくに新規IPはかなり苦戦しています。そんな厳しい状況の中へ,「Closers」を投入していこうという意気込みをお願いします。

画像集#016のサムネイル/韓国で第1次CBTが実施されたオンラインアクションRPG「Closers」の開発スタッフにインタビュー。ゲームの概要と日本展開に向けた意気込みを聞いた
Ryu氏:
 私個人としては,現在の世界的なゲーム市場はパイが大きくなっている状態だと捉えています。たとえば,韓国ではオンラインゲームが大きく盛り上がった時期に,「コンシューマゲームはもうダメだ」と言われていましたが,現在でもコンシューマゲームの人気は高くなっています。一方,オンラインゲームの成長率は下がりつつも,一定の人気を維持しています。ご存じのとおり,モバイルゲームも大きな成長を見せています。
 そのような状況を踏まえたうえで,私達は新しいチャレンジとして「Closers」を開発しています。第1次CBTでは高い評価を得ているので,こうしたゲームを求める潜在的なニーズは各国に存在するのではないでしょうか。だから日本での展開に関しても,希望的な予測を持っているんですよ。

Kwak氏:
 先ほどお話したとおり,私達はかつて「ELSWORD」を開発していました。その当時は一介の開発者に過ぎず,プレイヤーの皆さんのリクエストにお応えしたくても,なかなか実現できませんでした。
 しかし,今はNaddic Gamesとして,どの国のどんなリクエストにも対応できる体制を整えました。もちろん,日本の皆さんのリクエストにもお応えしますので,ぜひ期待してください。

4Gamer:
 近いうちに良いニュースが届くことを期待しています。ありがとうございました。

「Closers」公式サイト

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