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「オーバーウォッチ」のゲームデザイナー,スコット・マーサー氏の合同インタビュー。新モード,新ヒーロー実装でますます盛り上がる本作の今後を聞いた
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印刷2016/07/14 20:03

インタビュー

「オーバーウォッチ」のゲームデザイナー,スコット・マーサー氏の合同インタビュー。新モード,新ヒーロー実装でますます盛り上がる本作の今後を聞いた

 発売から1か月も経たないうちに全世界のプレイヤーが1000万人を突破し,6月末には新モード「ライバルプレイ」がスタート,さらには新プレイアブルヒーロー「アナ」が公開されるなど,盛り上がる一方の「オーバーウォッチ」PC / PlayStation 4 / Xbox One)。そのゲームデザインを担当しているBlizzard EntertainmentのScott Mercer(スコット・マーサー)氏への合同インタビューが実施されたので,本稿でその模様をお伝えしよう。

合同インタビューはSkypeによるビデオ会議で行われた
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スコット・マーサー氏。1997年にBlizzard Entertainmentへ入社したベテランで,これまでに「StarCraft: Brood War」「Warcraft III: The Frozen Throne」「World of Warcraft」といったタイトルを手がけ,オーバーウォッチではキャラクターデザインを含むゲームデザインを行っているとのこと。趣味はアニメ鑑賞
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――プレイヤー数が1000万を突破したとのことですが,現状の盛り上がりをみての感想をお願いします。

スコット・マーサー氏(以下,マーサー氏):
 まずはとても嬉しいです。同時に,大勢の方々に引き続き楽しんでいただけるように,改善を含むアップデートの追加などに取り組んでいきたいと思っています。
 これまでBlizzard Entertainmentのタイトルは日本でなかなか日の目を見る機会がなかったんですが,オーバーウォッチはとても楽しんでいただけているようです。

――先日始まった「ライバルプレイ」モードについてお聞きしたいのですが,ポイントが上下する基準は何でしょうか?

マーサー氏:
 一番大きなものは,チームの勝敗です。ただ,既に実装している「アンダードッグ」というシステムがあります。これはチームの平均レートをとって,弱いほうのチームが勝った場合は大幅にレートが上がり,逆に強いチームが負けるとレートが大きく下がる仕組みになっています。

――個人の活躍も反映されますか?

マーサー氏:
 もちろん反映されますが,ロールが異なればプレイ中に求められる役割も変わってくるので,複雑なシステムになっています。例えば,オフェンスの「ゲンジ」とサポートの「マーシー」を比べることはできません。ゲンジとゲンジ,あるいはマーシーとマーシーを比べることはできるので,その相対的な評価で個人のレートが変動することはあります。

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――ライバルプレイモード導入後に浮き彫りになった問題点があれば,その内容と解決策を教えてください。

マーサー氏:
 全体的にはライバルプレイモードの導入は成功したと感じていて,Blizzard Entertainmentとしても喜んでいます。ただ,問題点があるということも認識しています。
 特にサドンデスは不評だったので,こちらはシーズン2では取り除くことを検討しています。またスキルレートの変動については,レートが上がるにつれてより強い相手とマッチングされることになるので,今後はプレイヤーにもう少し分かりやすくお伝えできるようにします。
 コンシューマゲーム機版では,プラットフォーム別の全世界トップ500までのランキング表示を実装予定です。PC版はサーバーごとのトップ500になると思います。

――ライバルプレイモード以外で,認識している問題点はありますか? もしあれば,その解決策についても教えてください。

マーサー氏:
 特に大きな問題はないと思っていますが,プレイヤーの皆さんからいただいているフィードバックを参考にしつつ,細かい部分での修正や最適化などは日々行っています。最近では,マーシーのヒールビームからダメージブーストのビームへの切り換えがうまくいかないことがありましたが,こちらもアップデートにより短期間で修正しています。

――ライバルプレイと通常の試合でプレイ傾向に何か違いは見られますか?

マーサー氏:
 最も顕著な違いは,ライバルプレイのプレイヤーはボイスチャットを活用している割合が高いということです。オーバーウォッチではチームプレイが何よりも重要なので,皆さんがボイスチャットでコミュニケーションをとりながらプレイされているということは,我々としても,とても嬉しいことです。

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――シーズンごとにマッチのルールなどが変わるようですが,今後何か予定されていることがあれば教えてください。

マーサー氏:
 シーズンごとに大幅にシステムやゲームモードを変えるということはありません。シーズン1で皆さんから寄せられているご意見をもとに,精度を高めてより良いものにしていきたいと考えています。

――新ヒーローとして「アナ」を実装した背景と,キャラクターデザインの特徴を教えてください。

マーサー氏:
 現在,サポートのヒーローだけ,ほかのロールと比べて数が少なくなっているので,新ヒーローを追加したいと考えていました。同時に,従来のヒーローとは異なる特徴を持っていて,使いこなすのがより難しいキャラクターにしようとも思っていました。それで,スナイパーとして狙撃をしつつ,味方を回復できるキャラクターが面白いんじゃないかと思ったんです。
 キャラクターデザインに関しては,「ファラ」の母親という設定なので,それが一目でわかるように心掛けました。

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――アナはどのようにプレイするのがおすすめですか?

マーサー氏:
 彼女を使う場合,状況判断が何よりも重要になります。メイン武器である「バイオティック・ライフル」(Biotic Rifle)は,味方に当てれば回復,敵に当てるとダメージになりますが,どの味方を回復させるか,あるいはどの敵を攻撃するかということを,状況に応じて判断しなければいけないからです。
 これはあくまで個人的な話になりますが,なかなか命中しません。特に飛んでいる「ファラ」を撃つのはとても難しいので,腕の見せどころですね。

――なるほど。

マーサー氏:
 また,もう一つの武器となる「バイオティック・グレネード」(Biotic Grenade)は,爆発範囲内の味方が回復し,敵にダメージを与えるというものですが,味方の回復効果はライフルより大きくなっています。ですからマーシーのようなほかのサポートキャラクターとの相性が良いと思います。敵に対しては,ダメージを与えるだけでなく,一定時間回復できなくなる効果もあるので,その点でも状況判断が必要になってきます。
 ほかにも独特な能力を持っているキャラクターなので,既存のヒーローと協力することによってより効果的な使い方ができます。プレイヤーの皆さんが,アナをどのように使うのか,我々も楽しみにしています。

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――アナの実装時期はいつ頃ですか?

マーサー氏:
 今月中を目途に進めています。PC版とコンシューマゲーム機版の実装時期の差については,まだお答えできません。

――年内に新ヒーローや新マップなどを追加する予定はありますか?

マーサー氏:
 年内にリリースする新ヒーローはアナだけではありませんが,その数や時期についてはまだお話できません。新マップについても2016年中に実装できるように開発していますが,詳細は未定です。
 また,現在社内で高い支持を得ているゲームモードがあるので,こちらも年内に実装できるかもしれません。

――世界大会を開催する予定はありますか?

マーサー氏:
 もちろん考えてはいます。ただ,e-Sportsとして成功するには,プレイするのが楽しいだけでなく,見ていて楽しいということも必要です。観戦モードはありますが,まだ求められるところまでは達しておらず,今後改善しなければいけないと思っています。ですから現時点では,具体的なことはお話できません。

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