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[SPIEL’14]「ルールブックが要らないボードゲーム」を目指す,老舗メーカーの挑戦。「Orongo」「ABLUXXEN」で賑わうRavensburger AGブースレポート
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印刷2014/11/08 21:56

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[SPIEL’14]「ルールブックが要らないボードゲーム」を目指す,老舗メーカーの挑戦。「Orongo」「ABLUXXEN」で賑わうRavensburger AGブースレポート

今年のドイツゲーム大賞で金の羽根賞を受賞した「ABLUXXEN」も大人気だったRavensburger AGブース。その一角には,金の羽根賞のトロフィーも展示されていた
画像集#014のサムネイル/[SPIEL’14]「ルールブックが要らないボードゲーム」を目指す,老舗メーカーの挑戦。「Orongo」「ABLUXXEN」で賑わうRavensburger AGブースレポート
 Ravensburger AGと言えば,「カタンの開拓者たち」のKOSMOSと並んで,ドイツゲームのメーカーでは老舗中の老舗だ。元々は木製のおもちゃや子供向け書籍からスタートしたメーカーであり,とくにジグソーパズルが有名で,そのほかのラインナップもファミリー向けの製品が多い。日本での知名度はそれほど高くはないものの,1993年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作である「ラビリンス」などは国内でも人気が高く,同社初期の作品である「Ra」(ラー)は,今でも筆者のお気に入りの一つとなっている。

 そんな同社の今回の目玉は,その「Ra」のゲームデザイナーであり,ボードゲーム界にこの人ありと言われる名デザイナー,Reiner Knizia氏の新作「Orongo」だ。
 イースター島を舞台とした同作は,島のリソースを奪い合いながらモアイ像を建てていく4人対戦ゲーム。モアイ像を建てるためには,盤上に示されたリソースをほかのプレイヤーに先んじてを集めなくてはならず,リソースを集めるためには,まずほかのプレイヤーとの“競り”に勝たなくてならない。上位入札者ほど多くのリソースを多く集められるが,実際にお金を支払うのは1位のプレイヤーのみ,というのが本作のミソだ。うまく2番手を狙って,お金を温存しながらモアイ像をどんどん建てていく……というわけである。

「Orongo」のプレイ風景。“競り”の場面では,お金である宝貝のトークンを自分の入札したい額だけ握りしめ,一斉にオープンする。握った宝貝の数が0個=入札から降りたプレイヤーはリソースを入手できないが,支払いに使われて場にプールされている宝貝を入手できる
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 さて,そんな「Orogo」やドイツゲーム大賞受賞作である「ABLUXXEN」の試遊で賑わっていたRavensburger AGブースだが,同社のイチオシはこれだけではない。それがスマートフォンと連動したボードゲームシリーズ「smartPLAY」である。


スマートフォンがゲームマスターになってくれる「smartPLAY」


SmartPLAY
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 デジタルデバイスと連動したタイトルが多く見られた今回のSPIEL'14だが,その目指すところは各社によって微妙に異なる。例えば先に記事を掲載した「Golem Arcana」は,よりリッチでスピーディなゲームプレイを目指したタイトルといえるだろう。
 ではRavensburger AGがsmartPLAYで目指す方向性はなにかと問われれば,それは同社の担当者が語った「もう二度とルールを読む必要はない」という言葉にすべてが込められている。

 具体的なプレイ風景を見ていこう。
 smartPlay対応タイトルの一つである,これまたReiner Knizia氏の「King Arthur」は,騎士となったプレイヤー達が,マップに示された冒険の舞台をめぐりながら,王になるためのアイテムを集めていく対戦型のボードゲームだ。
 机には,ボードのほかスマートフォンをセットするための専用の台座が用意されている。ここに専用アプリ(無料)がインストールされたスマートフォンをセットすると,スマートフォン内蔵のカメラがボードの状態を認識し,ゲームの進行に応じた進行を行ってくれる。

SPIEL’14での「King Arthur」のプレイデモ。スマートフォンからの指示は音声を通じて行われる仕組みだ
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 例えばボード上をプレイヤーのコマが移動したとする。すると移動した先でのイベントを,スマートフォンが雰囲気たっぷりのナレーション(魔法使い風)で語りだし,何をすべきかを指示してくれる。戦闘になってダイスを振れば,ダイス目を認識して,戦闘結果をBGMや効果音付きで知らせてくれる。つまり,スマートフォンがゲームマスターの役割を果たしてくれるというわけだ。

こちらがsmartPLAY対応ゲームに付属する台座。ちょうどボードを見下ろす位置にくるよう,スマートフォンをセットする必要がある
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現在の順位などの戦況を確認するときには,この紙製のリモコン(?)を使う。これをカメラの視界内で操作することで,スマートフォンがコマンドを読み取ってくれる
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ダイスロールは台の真下にある専用スペースで行う。ダイスの出目はカメラに認識され,結果がゲームに反映される
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老舗Ravensburger AGの挑戦


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 smartPLAYは,ファミリー向けのゲームを多く手がける同社にとって,とてもシンプルかつ重要な課題への挑戦といえる。ボードゲームは,どんな簡単なものであってもまずインストラクションを読むところから始めなくてはならないし,往々にしてそれをほかのプレイヤーにも説明しなくてはならない。そのための時間はボードゲームにとって最初の,そして避けようのないダウンタイム(無駄な待ち時間)なのだ。

 このダウンタイムを解消するために,デザイナー達は知恵をひねり,メーカーは工夫を忘れない。ドイツゲーム大賞に,模範ルール部門である金の羽根賞が用意されているのはこのためだし,その今年の受賞作がRavensburger AGの「ABLUXXEN」だというのも,ある意味象徴的と言えるのではないだろうか。

 さて,そんなsmartPLAY対応ゲームだが,先の「King Arthur」を含め,現在3タイトルが発売されているとのこと。同社ブースにて筆者も挑戦してみようと思ったのだが……今のところ対応言語はドイツ語のみとのことで,断念せざるを得なかった。
 ちなみに専用の台座が付属すると言うことで価格について聞いてみたところ,台座付のセットが50ユーロで,ゲームのみの場合は40ユーロとのことだった。その差10ユーロ(約1400円)であるなら,まあ納得のいく範囲といえるかもしれない。
 ローカライズが大変そうなので日本での発売は難しいとは思うが,ぜひ成功してほしい試みといえるのではないだろうか。

「Das magische Museum」は,smartPLAYに対応した協力型ボードゲーム。恐竜の模型が歩き出した真夜中の博物館で,プレイヤー達は制限時間内に迷子の愛犬を見つけ出せるだろうか。デザイナーはInka氏 & Markus Brand氏
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smartPLAY対応のファミリー向けのクイズゲーム「YES or kNOw」。スマートフォンがクイズ番組の司会者となり,プレイヤーに適した難度のクイズを出題してくれるという。デザインは「Das magische Museum」と同じInka氏 & Markus Brand氏だ
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    Orongo

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