インタビュー
「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」,前回テストとの違いはハッキリと分かる。ネットワークテスト直前,開発陣インタビューを掲載
シリーズ初のPCオンラインゲームとなる「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」もその一つ,2015年2月6日〜8日にアルファテストが実施され,とくに4Gamer読者であれば触れてみたという人も少なくないだろう。
ただ,そのテストでは初日から,対戦のマッチング中に“通信が切断されました”というメッセージが表示されてマッチングに失敗し,なかなか遊べないというケースが頻繁に発生していた。オンラインゲームによくあるスタート時の混雑のせいなのか,個々のPC環境の問題によるネットワークトラブルなのかが分からず,結局のところ限られた時間の中であまり遊べなかったプレイヤーもいたはずだ。
もちろん,前回は“アルファ”テストということで,不具合やバランスなどを含めた問題点の洗い出し,検証が重要な目的になる。しかし,そうだとしてもプレイヤーの心理としては,ゲームプレイまでなかなかたどり着けないことに,不満を感じてしまうものだ。
アルファテストにおける,こうしたトラブルの原因とは何だったのか。ネットワーク関連のトラブルと言えば,根が深いことも多く解消に至るのか心配されるところだ。3月14日,15日に行われるネットワークテストでは,しっかりと修正されているのだろうか。
・「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」の新要素コアユニットはアリかナシかで言えば“アリ”。アルファテストのプレイレポートを掲載
そんなファンが気になる点を含めて,本作のプロデューサーを務めるスクウェア・エニックス 坂本慎治氏,開発を担当するバイキングの代表取締役社長 尾畑心一朗氏,ディレクター 芹澤義行氏,プランナー 佐野晋太郎氏に聞いてみた。
プロデューサー 坂本慎治氏(スクウェア・エニックス) |
バイキング代表取締役社長 尾畑心一朗氏 |
ディレクター 芹澤義行氏(バイキング) |
プランナー 佐野晋太郎氏(バイキング) |
「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」ネットワークテスト
4Gamer読者枠に応募する(3月9日12:00 締切)
マッチングトラブルの原因は特定。3月のネットワークテストに向けて修正も完了
4Gamer:
よろしくお願いします。まずは「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」(以下,リローデッド)における,担当部分を教えてください。
スクウェア・エニックスの坂本です。リローデッドのタイトルプロデューサーで,運営関連を担当します。
尾畑心一朗氏(以下,尾畑氏):
バイキングの尾畑です。ガンスリンガー ストラトスシリーズ全体のゲームデザイン部分に関するアドバイスやヘルプをしています。リローデッドでは,バトル部分のゲームデザインをバックアップしています。
芹澤義行氏(以下,芹澤氏):
バイキングの芹澤です。リローデッドのディレクターをしています。
佐野晋太郎氏(以下,佐野氏):
バイキングの佐野です。主にバトルの調整を行っています。
4Gamer:
ではさっそくですが,先日のアルファテストで,テスターからどのような反応がありましたか。
坂本氏:
面白い,面白くない以前に,やはり対戦のマッチングに関するご意見が多かったです。
4Gamer:
マッチングできたと思ったら,「切断されました」と表示されて,またマッチングが始まるというのを,何度も繰り返す現象ですよね。何度かトライしていれば,遊ぶことはできましたが……。
坂本氏:
そうです。実はマッチングのプログラムに不具合があり,「通信が切断されました」と表示されて,再マッチングを試みるという現象が頻繁に起きてしまい,皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました。これは大きな反省点だと捉えています。
4Gamer:
ネットワークのトラブルで,マッチングがうまくいかないのかと思っていましたが,あれはプログラム上の問題だったんですか?
坂本氏:
はい。プログラムの不具合です。というのも,「プレイヤーさんがマッチングの部屋に出入りする過程で,以前の情報が残ってしまう」という現象が起こっていました。そのため,プレイヤーさんがすでに去ったはずの部屋,そのプレイヤーさんが移動された別の部屋といった,複数の部屋に同一人物の情報が存在する状況になっていることが,問題発覚後の調査で判明しました。
4Gamer:
実際にはいないプレイヤーとでマッチングされて,不成立になってしまう状況が起きていたということですね。
坂本氏:
そのとおりです。これによりエラーが発生し,その部屋に集まったすべてのプレイヤーさんが影響を受けることになりました。
4Gamer:
なるほど。そんな理由だったんですね。
坂本氏:
そうした不具合をチェックする責任は,スクウェア・エニックス側のチームにあるのですが,今回のような大きな影響がある不具合を見過ごしてしまった点は反省しなければなりません。
また,この件では,「通信が切断されました」というエラーメッセージも良くなかったです。問題がプレイヤーさん自身にあるのか,ほかの人にあるのか,それともプログラムにあるのか,プレイヤーさんには区別が付きませんから。
4Gamer:
実際にPCだったり,ルーターだったりの回線環境を疑いましたね。個々のPC環境や回線状況でのトラブルだと,原因の特定や対策が困難に思えますが,プログラム上の不具合であれば開発側で対応できそうです。
坂本氏:
ええ。原因はハッキリしていますから,すでに開発環境下での修正は完了しています。
4Gamer:
なるほど。ということは,3月14日からのネットワークテストでは,そうした修正点が確認できるわけですね。
坂本氏:
はい。修正点の確認はもちろんですが,ゲームバランスを含めて,さまざまな部分を改善しています。ですから,新たに当選された方はもちろん,前回のテストでちゃんと遊べなかったにも,あらためて遊んでいただければと思います。
“理想の戦い方”は永遠のテーマ
アーケードよりも役割分担を重視したバランス調整
4Gamer:
ちなみに,前回のアルファテストでは,どのキャラクターが人気だったんですか?
坂本氏:
アーケードシリーズと同様に,しづねがダントツで多かったですね。
これは想像どおりでした。しづねは,スピーディな上,ウエポンパックのバリエーションも豊かで強いですから。と言っても,そこまで極端すぎる偏りがあったわけではないですし,我々としては,全キャラクターの使用率が均等でなくても良いと思っています。
4Gamer:
つまり,使用率が低いキャラクターがいても,とくに見直すといったことはないと?
尾畑氏:
もちろんゲームとして面白くなかったり,バランスが良くないところには手を入れていきます。しかし,マイナーなキャラクターを使いたいという方もいますから,そこを無理矢理に使用率が高くなるような調整は考えていません。
4Gamer:
不人気なキャラクターだからこそあえて使いたいという人はいるでしょうね(笑)。では,具体的にどのようなキャラクター間のバランス調整を考えているのでしょうか。
佐野氏:
方向性を挙げるとするなら,「1人で何でもできてしまうキャラクターは作らないこと」ですね。チームの中での役割を分担し,連携してほしいんですよ。そのために,長所を伸ばしたり,あえて短所を作ったりといった調整を行っています。
4Gamer:
アーケードとリローデッドではゲームのルールが違いますから,そのあたりのバランス調整も手探りになりますね。
坂本氏:
そうですね。アルファテストに参加されたプレイヤーさんからも,両者のゲーム性の違いに関してご意見がありました。アーケードは純粋な4対4の対戦ゲームで,相手のキャラクターを倒して「勢力」を減らしていきますが,リローデッドではこれに「コア」という要素が加わっていますから。
4Gamer:
コアという新ルールを取り入れようと考えた理由を教えてもらえますか?
尾畑氏:
そもそもリローデッドの企画が生まれたのは,スクウェア・エニックスさんから「ゲームセンターが遠かったり,筐体が置いていなかったりする地域の方に向けてコンテンツが作れないか」という打診をいただいたのがきっかけなんです。
4Gamer:
たしかに都市圏以外では,ゲームセンターもそうですが,最新のゲーム筐体が設置されている店を見けるのは大変かもしれません。
ただ,PCで展開するとしても,アーケードと全く同じ内容では面白くありません。PCとゲームセンターの筐体とでは,1プレイの時間も違いますし,まったく同じものを出してゲームセンターの盛り上がりに水を差しても……。といったことから,アーケードとリローデッドの両方をそれぞれ楽しめるようにと考えた結果,コアの導入を決めました。また,アーケードよりも4人の役割分担を明確化したいというのも理由の一つです。
4Gamer:
役割というのは,先ほどのキャラクター間のバランスのお話でもおっしゃっていましたね。
尾畑氏:
ええ。コアを焦点とし,コアの破壊,仲間のフォロー,コアの防衛というように,4人がそれぞれが異なった役割を持ってほしいんですよ。
4Gamer:
一方で,テストに参加したプレイヤーからは,「コアにだけ集中攻撃したほうがいい」という声もあったように思います。
尾畑氏:
4人でコアに突撃したほうが有利な状況があったのは事実です。我々の意図としては「コアに突撃されても,連携して守りに徹すれば,逆に敵の勢力を減らすことができるバランス」を目指しています。ですが,最初のアルファテストということで,プレイヤーさんの腕前を考慮しないマッチングだったこと,チャット時間が少なく作戦を練ることができないという環境だったことなどがあり,まだまだプレイヤー間での連携や役割分担が難しかったことが影響していると思います。
4Gamer:
そのあたりは,もっとプレイに慣れてからの話になるでしょうし,最初は……まあ,お互いゴリ押しになるのも仕方ないかもしれません。
尾畑氏:
そうですね。ただ,2日めにもなると,自然とお互いの動きを見て連携するプレイヤーさんもいましたから,ネットワークテスト以降の遊びやすい環境になれば,また変わってくると思います。
4Gamer:
では,コアに集中して突撃する戦い方は通用しなくなる?
尾畑氏:
コアへの突撃も,戦略の一つとして否定されるものではありません。特定の戦略が突出して強いのではなく,どの戦略が強いのか。そんなテーマの答えを,プレイヤーの皆さんの間でずっと探して遊んでもらえるバランスを我々は理想としています。そして,プレイヤーさんも成長すれば,コンテンツも追加されていきます。それに合わせて,プレイヤーさん自身の理想を求め,ずっと戦い方を研究していただけると思います。
「ネットワークテスト」とアルファテストの違いは触ればすぐに分かる
4Gamer:
では,3月14日から実施されるネットワークテストですが,先ほどお話しした不具合の修正のほかに,どのような変更が加えられているのでしょうか。
尾畑氏:
変更点を上げると20〜30項目以上になりますね。ただ,「敵を倒しても,コアを攻撃しても相手の勢力が減らせる。そして最後はコアを格闘で潰して勝利する」というコンセプトの部分は変わりません。
4Gamer:
その修正項目の中で,とくに変わった場所や見てほしい点というものはありますか?
前回のアルファテストでは,先ほども話していたように,敵がコアに突撃してきたとき,自軍のコアを防衛するだけ無駄だと感じられた方が多く,お互いのコアにただ突撃するようなケースが見られました。ネットワークテストでは,攻める側と守る側が共に面白さを感じられるように改善していますので,そこを見ていただきたいですね。
尾畑氏:
あと「操作した際のレスポンスを良くしてほしい」というお声は,多くいただきましたので,見直しを行っています。
4Gamer:
それは,戦闘スピードが上昇するといったことですか。
佐野氏:
ジャンプしたときの最高高度に達するまでの時間や,方向転換操作への反応などを改善しています。
尾畑氏:
単純にスピードを上げることも難しくはないんですよ。実際に社内テストで,スピードアップさせたバージョンを試したこともありますから。ただ,スピードが上がると一人で遊ぶには気持ち良いのですが,(展開が早すぎて)仲間が何をしているのか分からなくなり,8人がただ集まってバトルしているだけのゲームになりかねないんです。
4Gamer:
ゲームバランスそのものがおかしくなると。
尾畑氏:
はい。チームプレイができて,かつ,敵の戦略が読めてそれに対応できる……というリズムでプレイできるゲームバランスを目指しています。ネットワークテストでは,こうしたリズムを残した上で,レスポンスの向上はもちろん,アーケードでできていた操作が,リローデッドでもできるようにするなど,かなりの見直しを加えています。
レスポンスが向上し,操作してすぐに次のことが考えられるので,立ち回りがアルファテストよりも相当早くなり,シューティングとしてもよりエキサイティングになっています。それによって,自分の行動で戦局が変化していくまでの速度も上がりました。
尾畑氏:
このほかにも,ウエポンパックの役割を「対人に強い」「コアへの攻撃に強い」「守りに強い」と,もっと分かりやすく際立たせようと考えています。
4Gamer:
それは,やはり役割分担をはっきりさせようというものですね。
尾畑氏:
そうなります。たとえば,コアを破壊するのに適しているが対人戦には向かないウエポンパックを持っていた場合,仲間がフォローしてくれないと厳しいですが,コアにたどり着いたなら大活躍できるといった感じになると思います。
4Gamer:
ところで,各キャラクター自体にも変化はあるのでしょうか。
尾畑氏:
みんな変化していますよ。ただ,役割分担の明確化については,ウエポンパックを変えることによるものだと思ってください。
坂本氏:
それこそ,触ってすぐにアルファテストとの違いを感じていただけると思います。
4Gamer:
どんな手触りになっているのか楽しみです。では,最後に本作に期待する読者へのメッセージをお願いします。
佐野氏:
リローデッドは,テスターの皆さんと一緒に成長していけるタイトルだと思っています。大量のご意見,ご要望をお待ちしております。
芹澤氏:
アルファテストでは遊びづらい状態でしたが,それでもたくさんの方にプレイしていただいたことに感謝しています。いろいろなご意見を頂きましたが,今度のネットワークテストで変化しているというところをお見せできると思います。今後もご意見をたくさんいただけると助かります。
尾畑氏:
そうですね。ご意見は大歓迎です。無茶なご意見でもいろいろと言ってほしいですね(笑)。いただいたご意見はすべて見るようにしていますし,我々の目の届くところはチェックするようにしています。このゲームはプレイヤーの皆さんと育てていただきたいので,いただいたご意見は我々が咀嚼したうえで,ゲームに反映できればと思います。たくさん遊んで,たくさんのご意見をお寄せください。
坂本氏:
初めて触った方にも「面白い」と思っていただけるのが一番です。ぜひ触ってみていただき,感じられたことをストレートにご意見にしていただければと思いますまた,4月からはアニメーションの放映もスタートしますので,「ガンスリンガー ストラトス」の世界を盛りあげていければと思います。
4Gamer:
「とにかくプレイヤーからの直接の意見がほしい!」という点で,みなさん共通していますね(笑)。マッチングも修正され,バランスもはっきりと分かるくらいに前回から変わっているということですし,ネットワークテストの結果を受けて,プレイヤーからどのような意見が出てくるのかも楽しみです。本日は,ありがとうございました。
「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」ネットワークテスト
4Gamer読者枠に応募する(3月9日12:00 締切)
「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」公式サイト
- 関連タイトル:
ガンスリンガー ストラトス リローデッド
- この記事のURL:
(c) 2014 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.