インタビュー
「Dragon's Dogma Online」のプレイ料金体系が発表。運営面のポリシーや有料サービスの意図を運営プロデューサーの谷中政基氏に聞いた
そこで,今回4Gamerでは「Dragon's Dogma Online」の運営プロデューサーを務めるカプコンの谷中政基氏に,運営面のポリシーや有料で提供される「オプションサービス」の意図などを聞いてみた。実際,快適にゲームをプレイするためには課金が必要なのか,どこまで無料でも楽しめるのかと,気になっている人は多いはず。ぜひサービスインを迎える前に,そのあたりについての理解を深めてほしい。
「Dragon's Dogma Online」公式プロモーションサイト
オプションサービスを提供するにあたり,カプコンが定めた3つのポリシー
あらためて「Dragon's Dogma Online」のサービスインまでのスケジュールを紹介しておくと,現在は「クローズドベータテスト1」(CBT1)が終了した段階で,次回の「クローズドベータテスト2」(CBT2)は8月7日12:00から8月10日10:00までが予定されている。ちなみに,CBT2は「クローズド」と称されているものの,事前登録は不要で誰でも参加可能なテストだ。
「まずはCBT1にご参加いただいた皆様,ありがとうございました。ログイン障害や不具合などでご迷惑をおかけしましたこと,あらためてお詫び申し上げます。皆様からいただいたご意見につきましては,近日中にフィードバックレポートという形で改善内容や対応時期を回答させていただきます。
CBT2は,誰でも参加可能ということで,実質オープンβテストになります。このテストは,サーバーがどの程度の規模のアクセスまで耐えられるかという負荷テストがメインですので,再びサーバーダウンなどで皆様にご迷惑をかけるかもしれません。そのような事態に陥らないよう,私達も万全の準備を進めてまいります」(谷中氏)
8月27日にはパッケージ「ドラゴンズドグマ オンライン リミテッドエディション」が発売されると同時に,その購入者を対象にしたアーリーアクセスが12:00からスタート(関連記事)。そして,8月31日12:00にはアーリーアクセスからメンテナンスを挟まずに正式サービスに移行する流れとなっている。
「アーリーアクセスへの参加には,パッケージに同梱されているクーポンのコードを入力していただく必要がありますが,正式サービス移行後は無料のクライアントをインストールすれば,誰でもすぐに『Dragon's Dogma Online』をプレイできるようになります」(谷中氏)
正式サービス開始後,有料のオプションサービス提供が始まるわけだが,谷中氏によると「無料の範囲であっても十分遊べるゲームにする」という理念に基づき,「広い世界を仲間やポーンと一緒に巡り」「さまざまなモンスターと戦いを繰り広げ」「武器や防具を獲得・生産して集める」といった“楽しさの主軸”となる部分は無料で提供するということだった。
このポリシーは,ゲーム自体の開発方針にも大きく関係があり,開発チームでは何よりもまず「Dragon's Dogma」をオンラインゲームとして面白くすることを優先したという。そのために,通信機能やサーバーシステムを新たに構築しただけでなく,キャラクターモデルやモーションをすべて作り直したそうだ。
「その結果,4月に実施した『アルファテスト』では,さまざまな障害や緊急メンテナンスがありながらも,皆様にプレイしていただき,『面白かった!』『もっとこうすると面白くなる』といった感想やご意見をいただきました。当然,正式サービスに向けてクリアしていくべき課題は山ほどありますが,オンラインゲームとしてきちんと稼働させるという目的は,ひとまず達成できたと考えております」(谷中氏)
オンラインゲームとしてのベースを確立したところで,開発チームは有料サービスの検討に入り,まずはそのポリシーを固めていったという。そもそも「Dragon's Dogma Online」のビジネスモデルを基本プレイ無料にした理由には,「ひとりでも多くの人に,この世界を見てほしい」という前提があったとのこと。それが「無料の範囲であっても十分遊べるゲームにする」という前述の理念につながるのだろう。
「お金を払わないと“楽しさの主軸”の部分が遊べないようなゲームになったら,こんな『Dragon's Dogma』は見たくないと皆さんにソッポを向かれてしまうでしょう。私自身,『Dragon's Dogma』のファンの一人として,そう思います。
だからこそ,自分がプレイヤーだったら「この部分にお金がかかるのは嫌だな」と思う部分,たとえば無料だと『特定のレベルまでしか遊べない』『特定のコンテンツに参加できない』『高性能な装備を入手できない』といったことを,サービスに持ち込まないようにポリシーとして掲げたんです」(谷中氏)
さらに谷中氏は,オプションサービスの内容を決めていくにあたり,その有無によってコミュニティが分断しないように配慮したと語る。たとえば,特定のコースを利用しているプレイヤーだけがコンテンツに参加できたり,最強の武器を入手できたりすると,そうではないプレイヤーとの間に格差が生じ,ひいてはコミュニティが分断されてしまうだろう。
そこで,開発チームは検討の結果,「プレイ時間を短縮する要素」「利便性をアップさせる要素」「容姿変更(アバター)要素」の3つを,オプションサービスとして提供すると決めた。
「その3つをさらに具体的に落とし込み,たとえばプレイ時間を短縮する要素であれば『獲得経験値アップ』,利便性をアップさせる要素であれば『保管ボックス枠の拡張』といったように,どのタイミングで何が必要になるのか,ロールモデルを考えつつ,それぞれのオプションサービスの内容を詰めていきました」(谷中氏)
正式サービス時点で提供されるオプションサービス
「Dragon's Dogma Online」の正式サービス時点では,8種類のオプションサービスが用意される。プレイヤーがオプションサービスの提供を受けるには,基本的には「黄金石」を消費することになる。黄金石はスマートフォン向けゲームによく見られる「○○石」のような存在で,カプコンオンラインゲームズ(COG)独自の仮想通貨「CAP」(1CAP=1円)で購入できるほか,ゲーム内のキャンペーンで配布されるとのこと。
なお,黄金石は基本的に1つにつき100CAPとなるが,まとめ買いによって割引が適用されるようだ。
■オプションサービス一覧
- 冒険パスポート(30日間/15黄金石)
- 成長サポートコース(3時間/4黄金石)
- 報酬サポートコース(3時間/4黄金石)
- グランドミッションコース(6時間/6黄金石)
- トレジャーズロット(3黄金石 または シルバーチケット30枚)
- クラフトマスターポーン(5黄金石 または リム)
- 美容院(5黄金石)
- ポーンボイス(9黄金石)
また,黄金石はキャラクターが力尽きた場合のリトライにも利用できるが,ここは誤解を招きやすい部分ということで,谷中氏から詳細を説明してもらった。
まず,「Dragon's Dogma Online」では,キャラクターの体力がゼロ(行動不能)になった場合,一定時間内にパーティメンバーから「助け起こし」をしてもらえば,その場で復活できる。
助け起こしが間に合わなかった,または1人でプレイしているときに行動不能となった場合には,「復活力を使う」「黄金石を使う」「拠点に戻る」という3つの選択肢が与えられる。
復活力は,白竜神殿のNPC「オフィリア」から1日1回,最大3つ受け取れるもので,所持数の上限は3つ。これを消費すると,体力が全快し,その場で復活できる。行動不能になったときには,復活力を使うことが基本になるだろう。
黄金石を1個消費する場合は,体力全快に加え,一定時間キャラクターが強化された状態での復活となる。
そして復活力も黄金石もない,もしくは消費したくない場合には,拠点に戻ることになる。その際,キャラクターには弱化の状態異常効果が付与され,一定時間だが基本能力が低くなってしまう。
「黄金石を使って復活するのは,あくまでアーケードゲームのコンティニューのような要素で,たとえばソロプレイで『あと1回,復活すれば勝てそう』といった状況で,拠点に戻る時間を短縮する目的で使っていただくイメージです」(谷中氏)
それでは,オプションコースを紹介していこう。
「冒険パスポート」は,「1日に何回でも復活力の回復が可能」という点が最大の特徴といえるだろう。一見すると,復活力で無制限に復帰できると解釈できるため,冒険パスポートの有無によってコミュニティの分断が起きそうに思える。だが,それを谷中氏に伝えると「その点には誤解があります」。
「冒険パスポートの効果は,復活力がどこでも使い放題になるのではなく,白竜神殿のオフィリアから受けられる『復活力の回復』の回数が無制限になるというものです。したがって,冒険パスポートの有無に関わらず,クエストで行動不能になった際に,その場で使える復活力が最大3つであるという点は変わりません。ワールドマップで復活力を使い切ったときは,どのプレイヤーも白竜神殿に戻って復活力を回復する必要があります。
そのため,パーティプレイでは仲間の助け起こしを優先的に行っていただき,ソロプレイではなるべく行動不能にならないように立ち回っていただく。そうして復活力を大事に使っていただくことになります。このゲームは,モンスターから逃げようと思えばいつでも逃げられますので,危なくなったときは撤退するのも重要な戦略です」(谷中氏)
ちなみに,ゲームのバランスとして,ジョブレベルとクエストの難度が適正であるなら,まずは倒れた味方を優先的に助け起こしたほうが,結果として効率的にクリアできるように設定されているそうだ。仮に,味方を助けているにも関わらず,復活力を使い果たし,それでも倒せないような敵であれば,適性なレベルでクエストに挑んでいるとは言えないと谷中氏は語る。
「パーティ全員で黄金石による復帰を繰り返して,高難度クエストをゴリ押しのようにクリアできてしまうようなバランスにはなっていません。適性なレベルと装備品を揃え,パーティメンバーを助けることを優先していただき,あとは万が一の場合に復活力を使うことで,クリア可能なバランスに調整しています。
クエストに挑んだ結果,復活力を使い果たし,さすがに『これは無理だ』と感じたら,レベルを上げたり装備を揃えたりしてから,再チャレンジする形で楽しんでいただきたいです」(谷中氏)
また,冒険パスポートを利用していれば,各拠点に設置されている「拠点用保管ボックス」を利用でき,保管ボックス自体もより多くのアイテムを収納できるようになる。さらに,クエスト受注数の上限やバザー出品数が増えるなど,冒険をより快適に楽しめる要素が含まれる。
「冒険パスポートは,基本的な利便性アップの要素の詰め合わせになっています。まずは無料で『Dragon's Dogma Online』を遊んで,じっくり時間をかけてプレイしようと思ったら,冒険パスポートを利用していただくイメージです。これを利用しないと,最初から満足にプレイできないという想定ではないですね」(谷中氏)
「成長サポートコース」は,キャラクターおよびポーンの獲得経験値などがアップするというもので,「報酬サポートコース」は敵のアイテムドロップ数などがアップする。そして「グランドミッションコース」は最大8人で参加可能なコンテンツ「グランドミッション」において,戦果ポイントおよびジョブポイントがアップするという効果が得られる。いずれもプレイ時間の短縮を図れるコースで,主に多くのプレイ時間を確保することが難しい社会人の利用を想定しているという。
「成長サポートコースにしても,報酬サポートコースにしても,これを利用しないと入手できない装備品やアイテムは存在しません。そのため,時間短縮以外の目的でこのコースをご利用いただくメリットはありません。『1日2〜3時間しかプレイできない』『週末しかプレイできない』といった方に利用していただくイメージで,効果時間は短く設定させていただきました。
また,グランドミッションコースはやや長め(6時間)の効果時間を設定していますが,これもプレイ時間が2〜3時間しかとれない方がご利用されるイメージです。でも,効果時間をギリギリにしてしまうと『もうすぐ効果時間が終わるから,早くして!』と焦ってしまいますよね。そのため,ほかのコースよりも少し長めの設定となっています。また,グランドミッションは週末に時間限定などでの実施となるため,これ以上長くすると時間が余ってしまうことも想定されます。調整には非常に悩んだ部分です」(谷中氏)
パスポート,コース以外のオプションサービスとしては,いわゆるガチャにあたる「トレジャーズロット」,クラフトに特化したポーンをリムを消費せずにレンタルできる「クラフトマスターポーン」,そしてプレイヤーキャラクターやポーンの外見を変更する「美容院」,同じくボイスの選択肢の幅が増える「ポーンボイス」が用意される。
トレジャーズロットで入手できる装備品やアイテムには,ここでしか手に入らないものを含んでいるが,ゲームバランスの設計上,最も高性能なものは排出されない。あくまでもオプションサービスのポリシーに基づいて設定されているという。
また,トレジャーズロット独自のデザインのものもあれば,普段入手できるものと類似しながら性能面での差別化が図られているものもあるとのことだ。
「トレジャーズロットで入手できる装備品には,外見が独特であることに加え,普段入手できる装備品と比べて,強化しなくてもある程度強かったり,強化が比較的容易だったりといった特徴を持たせています。これには冒険やアクションを優先して楽しみたいという方に,クラフトによる強化の手間や時間短縮を選択できるという意図があります。
トレジャーズロットでは,武器や防具に装着して攻撃力や耐性などを引き上げるアイテム『クレスト』や消費アイテムなども排出されますが,いずれも普段入手できるものより多少効果が高くなっています。
ただ,トレジャーズロットで入手できるアイテムがないと,ゲームが進行できないようなバランスにはしていません。『トレジャーズロットだけ回していればいい』『トレジャーズロットが必須』とはならないように,強すぎるメリットはあえて持たせないように配慮します」(谷中氏)
トレジャーズロットの利用には,黄金石3個を消費,またはアイテム「シルバーチケット」を30枚消費することになる。シルバーチケットは,ログインボーナスなどで1日あたり数枚入手できるようになるという。
一方,クラフトマスターポーンは,クラフト要素の時間短縮を目的としたものだ。リムを消費する,または黄金石5個を消費することで,クラフトのサポート面に特化したポーンを借りられる。これにより,クラフトが早く完成したり,作成したアイテムの性能が向上したりするなどの効果が得られるようだ。
正式サービス開始に向けて,障害が起きたときの補償システムも準備中
そのほかの気になる点も,谷中氏に質問をぶつけてみた。
たとえば,オプションサービスを利用中,緊急メンテナンスや不具合,サーバー障害など,ゲームがプレイできないような事態が発生した場合には,その間に利用していたコースに関して補償対応を行うという。具体的には,プレイできなかった時間に応じて,適切な補償を早急に実施できるシステムの構築を進めているそうだ。
「もちろん,そうしたシステムを用意したからといって,不具合や障害が頻発しても安心してください……などと言うつもりはありません。アルファテストやCBT1の反省を生かして,皆様にご迷惑をおかけしないようにサーバーの強化,安定や不具合を出さない体制づくりに努めさせていただきます」(谷中氏)
また,プレイヤーキャラクターの見た目については,正式サービス後のアップデートで,装備品を変更してもその見た目を引き継げる機能を追加する予定があるという。オンラインゲームでは,ほかのプレイヤーと同じ見た目にならないように,いかに個性を出すかというところにモチベーションを見出すプレイヤーも少なくないので,そうした人には嬉しい機能だろう。
ちなみに,アルファテスト時に公式サイトのオンラインマニュアルには,4つのテストコースが掲載されていた。そのうち,キャラクターの能力をアップする「テストコースD」に相当するものが,正式サービス時点のオプションサービスに含まれていない点について尋ねると,「そもそも,テストコースをそのまま実装する予定はなかった」とのこと。
「アルファテストはシステムがきちんと機能するかを確認することが目的でしたので,必ずしもオプションサービスとして正式実装を前提としたものばかりではなかったんです。
ただ,テストコースで試した機能は,オプションサービスに限らず,ゲーム内のさまざまな形で提供できるように設計しています。たとえば,初心者の救済施策として,低レベル時のみ体力アップが発動したり,武器や防具の特殊効果が発動したりといったことが可能です。具体的には未定ですが,特定の条件下におけるステータス強化は,オプションサービスではない部分でのご提供を検討しています」(谷中氏)
PC用ベンチマークソフトの配信が開始されている(関連記事) |
最後に,谷中氏から「Dragon's Dogma Online」に興味を持っている人に向けたメッセージを掲載して,本稿の締めとしよう。
「『Dragon's Dogma Online』では1人でも多くの皆様に楽しんでいただけるよう,無料でも“楽しさの主軸”の部分が変わらないゲームを目指しています。まだプレイされていない皆様は,ぜひCBT2に参加して,その内容を確認していただきたいです。
すでにアルファテストやCBT1でプレイされている皆様からいただいたご意見に関しては,開発・運営チームともにすべて目を通しております。フィードバックレポートや公式Twitterなどで回答させていただきますので,今後ともよろしくお願いいたします」(谷中氏)
「Dragon's Dogma Online」公式プロモーションサイト
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