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  • 発売日:2016/04/28
  • 価格:パッケージ通常版:7800円(税抜)
    ダウンロード通常版:7000円(税抜)
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「パンチライン」が目指す“最高にハッピーでピースフルな未来”とは。“ループもの”の名手・打越鋼太郎氏と開発陣に聞く,アニメとゲームの幸せな関係
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印刷2016/04/28 21:26

インタビュー

「パンチライン」が目指す“最高にハッピーでピースフルな未来”とは。“ループもの”の名手・打越鋼太郎氏と開発陣に聞く,アニメとゲームの幸せな関係

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 PlayStation 4PlayStation Vita用ソフトとして2016年4月28日に発売された「パンチライン」。2015年1月からフジテレビのノイタミナ枠にてアニメ版が放映されていたので,そちらで名前を知ったという人も多いのではないだろうか。
 「パンツを見たら,人類滅亡!」というキャッチフレーズとスタイリッシュなビジュアルが印象的な同作だが,実はハードな世界観を備えた“ループもの”であることは,アニメを最終話まで観た人を除いては,意外に知られていないかもしれない。物語の中盤で明らかになるこの展開は,当時アニメの視聴者の間でも話題を呼んだ。

 そこで4Gamerでは,本作の企画立ち上げから深い関わりを持つ3名――スパイク・チュンソフトの打越鋼太郎氏,MAGES.(5pb.)のプロデューサー市川和弘氏,そしてディレクターであるレジスタの中澤 工氏に話を聞いてみることにした。
 この3名は,かつて「Ever17」などの「infinity」シリーズや,「Memories Off 2nd」といったタイトルにおける中枢スタッフでもあり,またアニメでも脚本を担当した打越氏は,「極限脱出」シリーズといったタイトルでも知られる。
 また「アニメ作品のゲーム化」というと,後日譚を描いたスピンオフ作品であったり,いわゆるアニメファン向けのグッズと考える人も少なくないが,本作の場合はまずゲームありきで企画された作品なのだとか。アニメの放送から1年を経て,満を持しての登場となったゲーム版は,いったいどんなゲームになったのだろうか。

※本インタビューには,作中のネタバレが含まれます。ご注意ください。


「パンチライン」公式サイト

テレビアニメ「パンチライン」公式サイト



“最高にハッピーでピースフルな未来”を目指す「パンチライン」


4Gamer:
 2015年にテレビアニメが放映された「パンチライン」ですが,いよいよゲーム版が発売されるとのこと。企画としては,ゲーム先行でスタートしたタイトルとはお聞きしていますが,まずは本作が生まれた経緯からお聞かせいただけますか。

スパイク・チュンソフト 打越鋼太郎氏。「パンチライン」では企画原案,ゲーム版脚本,アニメ版脚本を担当する。代表作に「メモリーズオフ」シリーズ(シナリオ),「極限脱出」シリーズ(ディレクター/シナリオ)など
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打越鋼太郎氏(以下,打越氏):
 前のプロジェクトが一段落したときに,新しい企画を立ち上げようと思って,企画書を書いたんです。アパートの住人達が織りなすドラマを描いた,いわば三谷幸喜作品のような雰囲気のつもりでしたが……いろいろな人に見せたら「おもしろくない」って言われてしまいまして(笑)。

4Gamer:
 あれ? そうなんですか?

打越氏:
 もともとのアパートの設定では,女の子だけじゃなく,男性キャラも少なからず住んでいることになっていたんです。だけど,企画を見せた人から,「主人公がパンツを見たら人類滅亡ぐらいのインパクトが欲しい」と言われ……それをいただいてしまおうと。結果として,住人は女の子ばかりになったという。

4Gamer:
 ああ,なるほど(笑)。打越さんの企画書を見たとき,市川さんと中澤さんはどう思われました?

市川和弘氏(以下,市川氏):
 すごく面白いと思ったので,制作自体はすぐにGOを出しました。ただ,そのままではもったいないと思ったので,同時にアニメ化も狙ったら,それがトントン拍子で決まってしまって。「なら,アニメを先に作り,その設定をゲームに反映させよう!」ということになったんです。

4Gamer:
 制作自体はアニメが先行だったんですね。

市川氏:
 ゲームの脚本は先に完成していました。ですが,開発に取りかかったのはアニメの後でしたね。本当はもっと早くお届けしたかったのですが,アニメの進行が予想以上にギリギリになったことなどもあり,ここまでズレることになってしまいました。

中澤 工氏(以下,中澤氏):
 僕の場合は,打越さんと会ったときに,「久しぶりに一緒にやりたいね」なんて話をしていたら,「実はいま企画があるけど,どうかな」って言われたのが最初でしたね。その時は,ちょうどミステリーやサスペンス的な作品をずっと作っていたので,そろそろ毛色が違うものを作りたいと思っていて。そんな矢先に毛色の違いすぎるものを見せられたので,「これはぜひやろう!」って話になったんです。

市川氏:
 元々この3人は,KIDという同じ会社で仕事をしていた仲でもあるんです。打越くんから企画を見せてもらったときに,ここで再結集させるのもいいかと思って,ディレクターを中澤くんにお願いしたんですよ。

個性豊かな本作の登場人物達。名前は基本的に“名は体を表す”モジりで付けられているのが特徴だ。打越氏のネーミングだそうだが,中澤氏によれば「ハイスクール奇面組」みたいで面白いということで,とくに異論なく決まったという。ただ,秩父ラブラだけは「露骨すぎ?」というツッコミもあったとか
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キャラクターデザインは,アニメーターの岩崎将大氏が担当。ここは完全にアニメのスタッフ側でデザイン作業が行われたそうで,ここで生まれた設定がゲームにも逆輸入されていった。なお,アニメ版ではキャラクターの服装も毎日変わるが,一からモデルを作らなくてはならないゲーム版では再現できないために,ゲーム用に収録したアニメムービーでは服装が統一されているといった違いもある
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4Gamer:
 「パンチライン」と,タイトルからしてインパクトが大きい本作ですが,これはやはり,先のお話にもあった「パンツを見たら人類滅亡」というアイデアから来ているわけですよね?

打越氏:
 そうですね。最初は「パンチライン ディスカネーション」というタイトルだったんですけど。「ディスカネーション」には「幽体離脱」という意味があり,「パンチラで,いいんですかねー?」というモジりのダブルミーニングでもあったんですが,長すぎるということで却下になってしまいました。

市川氏:
 (ディスカネーションが)あんまり一般的な言葉じゃなかったんで,覚えてもらえないだろうなって(笑)。

4Gamer:
 ゲームのシナリオが先に完成していたとのことですが,アニメの脚本も打越さんがすべて手がけられているんですよね?

打越氏:
 ええ。ゲームの脚本は2013年の11月頃にはすべて上がっていました。それをアニメ版の監督(上村 泰氏)やプロデューサーに見ていただいたところ,「完成度が高い」と評価してもらえて,それでアニメ版の脚本も担当することになったんです。2014年の4月頃からアニメの脚本執筆作業に入って,そこから丸1年くらいかけて書き上げました。

MAGES. 市川和弘氏。「パンチライン」ではゲーム版のプロデューサーを始め,ゲーム版とアニメ版における作業の管理・統括を担当。代表作に「Memories Off」シリーズ(プロデューサー),「STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」「ROBOTICS;NOTES」(ともにゼネラルプロデューサー)など
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市川氏:
 打越くんに「アニメの脚本やりたい?」って聞いたんだよね。そしたら「ぜひ!」って言ったので,企画を持ち込むときに僕が推薦したんですよ。

打越氏:
 そのときは「1話ぐらいやらせてもらえれば」というつもりだったんですけどね。ありがたいことに,アニメ版のプロデューサーから「ぜひ打越さんに」と言っていただけたので。

市川氏:
 僕もまさか全部とは思っていなかったので,打越くんのスケジュールを調整するのが大変でした。彼はスパイク・チュンソフトの人間ですからね。

打越氏:
 原作者がアニメの脚本も担当する場合,変更しなければならない部分が出てきたとき,すぐに対応できるのが強みです。そうでない場合,逐一確認や許可を取ることになりますからね。

4Gamer:
 打越さんご自身は,アニメの脚本は初だったのですよね? ゲームとの違いで苦労された部分はあったでしょうか。

打越氏:
 一番難しかったのは尺の問題ですね。ゲーム版が22話なのに対し,アニメは12話ですから,ざっくり半分にしなきゃいけない。ものすごくシェイプアップする必要があって,いい勉強になりました。

市川氏:
 アニメの脚本は,ゲームのシナリオから重要な部分をピックアップする形で構成されているのですが,その過程でどうしても矛盾が出てくるんです。そうしたものは,ゲームにフィードバックする形で,後からゲーム版のシナリオの方を修正したりということもありました。

打越氏:
 ゲームなら許されるようなギャグでも,アニメだとちょっとノリが合わなかったりとかね。

4Gamer:
 というと,具体的には?

打越氏:
 アニメに登場する幸励術のダンスって,実はゲーム版のシナリオではなかった要素なんです。元はネットミームの「びっくりするほどユートピア!」がそのまま入ってたんですが,ゲームではそれで良くても,アニメだと……ねえ?

4Gamer:
 ああ,あのダンス! あれ,すごく耳に残るんですよね。アニメで観たときは,あのフレーズが頭から離れませんでした(笑)。

一度目にしたら脳裏に焼き付く,とにかくインパクト大の幸励術ダンス。アニメでも話題を呼んだあの歌と踊りが,ゲーム版でも完全再現されている
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市川氏:
 結果的には,いいものになったと思います。アニメとゲームでは,話のテンポがまったく違うので,そこは打越さんも苦労していたようでした。1話ごとに盛り上がるポイントを作る必要もありますし。

打越氏:
 アドベンチャーゲームの場合,キャラクターが派手に動くことって実はあまりないんですよ。例えば「彼女が髪をかき上げた」くらいなら,地の文で書いてしまえばなんとかなりますが,「窓ガラスを突き破った」までいってしまったら,いくらお約束とはいえ,立ち絵はそのままってわけにもいかないですよね?

4Gamer:
 確かに(笑)。

打越氏:
 もちろん物語上の重要なシーンなら差分やイベントCGで対応しますが,そうでない限りはなるべく動かさないようにする……というか,そういうクセが染みついてしまっていて。途中でそれに気付いてからは,意識的にキャラクターを動かすよう心がけました。

4Gamer:
 会話劇だけで進んでいくような場面だと,アニメにするのはかなり大変そうですね。

市川氏:
 でも冒頭のバスジャックのシーンなんか,最初からアクションてんこ盛りだったよね? 脚本に「ここはアニメで」ってメモ書きがついてて,どうするんだこれって頭を抱えたもの(笑)。

アニメの第1話で登場するバスジャックシーン。主人公・遊太が乗るバスがバスジャック犯に乗っ取られ,ストレンジジュースが救出しにくる。バスのフロントガラスを突き破っての突入や,犯人との派手な格闘戦など,アニメならではのアクションが続く場面だ
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4Gamer:
 あそこはゲーム版の時点でも,アニメが挿入されるシーンだったわけですか。

市川氏:
 アニメが挿入されるシーンがあることは,最初から想定はしていたんです。でも,ここまで多くなるのは想定外でしたね。これでも中澤くんに選んでもらって,けっこう絞ったんですけど。

レジスタ 中澤 工氏。「パンチライン」ではゲーム版のディレクターを担当。代表作に「infinity」シリーズ (ディレクター/シナリオ),「ルートダブル -Before Crime * After Days-」(ディレクター)などがある
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中澤氏:
 反対に,ゲームではいいシーンなんだけど,アニメ版では泣く泣く削ったところも多々あるんです。ラブラとグリーゼのデートシーンとか,重要な場面ではあるのですが,やはり会話だけで話が進んでいくのでアニメには不向きなんでね。結果,セリフを削って短くまとめたのですが,本来くだらないギャグもいっぱい出て可笑しいシーンだったので断腸の思いでした。

4Gamer:
 これはアニメを見た人が一番気になっている点だと思うのですが……ゲーム版の結末はアニメと同じなのでしょうか。アニメ版のエンディングは,いわゆるグッドエンド的な印象で,この先にあるトゥルーエンドを予感させるものでした。

市川氏:
 そこなんですが,じつはゲーム版ってアニメ版と同じ“周回”じゃないんです。

打越氏:
 チラ之助がアニメの中で遊太が失敗した回数を言うシーンがあったと思うのですが,ゲーム版では,その回数が2回分増えてます。

4Gamer:
 え,2回増えてる……ということは,アニメのラストで過去に戻った遊太は,また失敗してしまったということですか。それはつまり……。

中澤氏:
 アニメで過去に戻った遊太が,このゲームに出てくる宮沢賢治ではないってことですね。だから,(アニメとゲームは)直接はつながっていないことになります。そして,ゲーム版の結末は,アニメと同じにはなりません。

市川氏:
 まあ,今の時点で言えるのは,ゲームのほうがより“ハッピーでピースフルな”エンディングであるということです。ぜひご自身の手で確かめていただければと。

4Gamer:
 うむむ,それは楽しみです。しかし,ということは,アニメ版はゲームのプレエピソードにあたるわけですよね。なぜこういう形になったのでしょうか。

打越氏:
 アニメの監督の意向ですね。ゲームのシナリオからピックアップする形でアニメの脚本を作ったという話をしましたが,エンディングだけは変えたいと。それで,アニメ版ではああいう結末になったんです。

中澤氏:
 あれはあれで一つの結末なので,ゲーム版の結末がトゥルーだとか,そういうことではありません。しかし,アニメでは尺の問題で描けなかった部分が,ゲームではより丁寧に説明されている,とは言えるかもしれない。

4Gamer:
 例えば,チラ之助ってアニメを観ただけだと,謎が多いじゃないですか。最終回にも生きてる猫として登場しますが「どういうこと?」って思っちゃいました。

打越氏:
 アニメでは重要なセリフをかなり削ってしまったので,分かりにくいかもしれませんね。ゲーム版では,「じつはオイラ未来からやってきたのら」って言うシーンがあるんですけど。

幽体離脱した遊太が,最初に出会うのがこの猫の幽霊,チラ之助。遊太に体を取り戻す方法をアドバイスしてくれるのだが,肝心なことは教えず,遊太からの質問も都合が悪いことには答えない
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中澤氏:
 あっ! どうりで伝わらないと思ったら,そのセリフがなかったんだ。チラ之助の正体は,ゲームを遊んでもらえれば理解してもらえると思いますよ。

4Gamer:
 ほかにも,宮澤賢治のスーツを送ってきた遊太のお姉さんは何者なのかとか,気になるところがたくさんあります。

中澤氏:
 ゲームでは,なぜスーツを送ってきたのかも含め,詳しく描かれます。ほかにもユーバ化やW化といった設定面も補足されているので,アニメ版を見た人にも,より深く楽しんでいただけると思います。

アニメスタッフのコダワリが感じられる設定の一部を紹介。登場時からフードを被った姿で登場する愛だが,途中からはフードを被らなくなる。これは愛の心境の変化が現れたものだとか。ほか,明香のペンダントが祖父の天華博士とお揃いであったり,ヘッドフォンを外すと髪が爆発する設定だったりと,アニメとの連動によって設定が膨らみ,それに応じて物語の奥深さも増していったのだとか
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ゲームならではのギミックが盛り込まれたイタズラ&イタゴラパート


4Gamer:
 ではここからは,そのゲーム本編について詳しくお聞きしたいと思います。アニメ版の「パンチライン」は,当然ながら1本のストーリーを追いかけて進んでいきましたが,ゲーム版はどうなんでしょうか。主人公の行動に応じて,話が分岐するのですか?

中澤氏:
 企画の初期段階ではキャラクターごとに個別ルートがあったんですが,最終的には1本のルートに統合することにしました。分岐構造が複雑すぎたのと,例の“入れ替わり”が後から追加されたので,そのためですね。

打越氏:
 アドベンチャーゲームとしては,個別ルートがある分岐型が面白いのですが,「パンチライン」では“イタズラ/イタゴラパート”がありますから。物語はシンプルな方がいいだろうという判断です。

4Gamer:
 しかし,選択肢はあるわけですよね。

中澤氏:
 そうですね。しかし,選択肢の選び方やプレイの内容で物語が大きく変化するようなことはありません。ちょっとだけ展開が変わったりとか,あるいは即人類滅亡でゲームオーバーになるかのどちらかです。

市川氏:
 後半になると,イタズラ/イタゴラパートも選択肢もなくなるので,あとはお話に集中してください,という作りですね。

打越氏:
 本当は後半にもイタズラ/イタゴラを入れたかったんですが,そうするとボリュームが出過ぎてしまうという問題があって。当初は,後半は透メイカー(着ると透明になれる着ぐるみ)を着てイタズラする展開を考えていたんですけどね。

アニメにも登場した,たまたまラブラに憑依していた遊太が,ラブラの“好きなもの”を答えるシーン。ゲーム版では選択肢が表示されるようになり,本筋こそ大きく変わらないが,回答の仕方でその後の展開が変化する
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4Gamer:
 そのイタズラ/イタゴラパートについてですが,少しだけプレイしてみたら,意外と歯ごたえがあって驚きました。連鎖自体はそれほど難しくはないのですが,トラップがあちこちに仕掛けられていて。画面を切り替えたら全画面パンツで,視線をそらしようがなかったりとか。

中澤氏:
 ええ。あれはプランナーのコダワリの部分です。必ずパンツが見えてしまうカメラがトラップとして一つは用意されていて,カメラを切り替えて周囲をよく確認しようとすると,引っかかってしまいます。パンツがあると視線カーソルが吸い込まれてしまうのも,男心を反映した演出です。

4Gamer:
 見事に引っかかってしまったわけですね(笑)。

幽体である遊太が部屋にあるものを使ってイタズラを仕掛け,それを連鎖させることで,アパートの住人達をプレイヤーの望む行動に導くイタゴラパート。しかしその最中に女の子のパンツを見てしまうと,画面右の勃発ゲージが上昇し,人類が滅亡してしまう。視線を操作して目をそらせばいいのだが,ときには画像のような,どうしようもないパターンも
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中澤氏:
 連鎖の部分は,選択肢を増やして難しくするということも考えましたが,何が正解なのかはやってみないと分からなくなってしまうので,あえてそういう形にはしませんでした。話の先が見たい人にとっては,難し過ぎるとストレスになってしまいますから。なので,ハマるとちょっと苦労する程度の難度に抑えてあるんです。

4Gamer:
 制限時間のあるステージでは,ギリギリ残り1秒でのクリアでしたし,なかなか絶妙なバランスと感じました。

中澤氏:
 あれも最初はもっと緩い制限時間でしたが,最終的にはギリギリのクリアになるように調整しているんです。

画面の右上に表示された時間が制限時間。この数字が0になると,問答無用でゲームオーバーに
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4Gamer:
 3Dグラフィックスで描かれているので,アニメでは分からなかった部屋の構造や,小物なんかの配置が分かるのが面白いですね。

中澤氏:
 「このキャラ,こんなものを持ってたんだ」という驚きもありますよね。キャラクターの私生活が見えてくるというか。実はゲームでしか出てこない小物なんかもあるんです。

市川氏:
 アニメの設定の作り込みがすごかったので,ゲームにもそれが反映されているんです。遊太の部屋のジオラマとか,すごく細かくできてますよ。

中澤氏:
 みかたんの部屋はぬいぐるみがとくに多くて,それを全部モデリングしたので,データ量的にもすごいボリュームになりました。

アニメの設定を元に,忠実に再現されたゲームの部屋。イタズラ/イタゴラパートで部屋をくまなく探索すると,さまざまな小物が用意されていることが分かる
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市川氏:
 いやあ,部屋のモデルはアニメで作ってあったので,そのまま転用すれば楽に作れると思ったんだけどなあ。アニメの設定がハイクオリティすぎて,作業的には一から作るのと変わらないくらいの作業量になってしまいました。

中澤氏:
 とくにデザイナーは大変だったみたいです。プログラマもメモリ管理に苦労していて,PS Vitaのメモリ容量ギリギリを追求したと言ってました(笑)。

4Gamer:
 ところで,ゲームではイタズラ/イタゴラによって引き起こされた出来事が,アニメよりも複雑に絡み合っていますよね。アニメの1話でラブラがみかたんに塩を借りに行くシーンがありますが,ゲームをプレイすると,そのそもそもの発端が遊太にあることが分かるという。

中澤氏:
 遊太がイタズラで塩をダメにしたから,ラブラはみかたんに借りに行くハメになった。まったく違う目的でやったことが,ほかの人の運命を大きく変えてしまうって,面白いじゃないですか。そういったイタズラ/イタゴラ周りのネタは細かく仕込んでありますので,ぜひ何回もプレイしてもらえたら,面白いと思います。

4Gamer:
 何度も遊ぶ場合って,何かご褒美があったりするんでしょうか。エンディングは一つだけのようですが。

中澤氏:
 ご褒美というわけではないですが,イタズラ/イタゴラパートで見てしまったパンツが,ギャラリーに登録されていくというやり込み要素があります。実はパンツの柄は日によって違うので,それを集めていくという。

市川氏:
 普通にプレイしていると,まったくパンツを見ずに進めちゃう日もあるんだよね。しかも,登録するためには,そのパンツを見たことで人類が滅亡しなくちゃいけないから,あえてガン見するハメになるという。

4Gamer:
 ああ,いわゆるBADエンド埋めみたいな感じですね。

中澤氏:
 パンツを見てはいけないゲームなのに(笑)。あとは縛りプレイをしなければ取れないようなトロフィーなんかもあるので,やり込み派の人はぜひ挑戦して欲しいです。

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期待される続編の可能性は?


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4Gamer:
 では,そろそろまとめに入らせていただこうかと思います。ゲーム版が発売されたことで一息ついたタイミングかとは思いますが,今後の展開などは何か予定されているでしょうか。

市川氏:
 電撃G'sコミックでは,漫画版の「パンチラインMAX」(作画:銀一)が連載中です。ゲームとは違い,アニメのエンディング後の世界線を描いたスピンオフ作品ですので,ゲームと合わせてお楽しみください。あと,VRを使って古来館の中を探索できる「PUNCHLINE VRミュージアム」(iOS / Android)というアプリも配信中ですので,こちらもぜひ。

4Gamer:
 ちなみに,続編なんかは考えているんでしょうか。

市川氏:
 今のところないですが,ぜひやりたいですね。その前に,まずはゲームをヒットさせなくてはならないんですけど(笑)。

打越氏:
 僕はこのキャラクター達にすごく思い入れがあるので,続編を作るなら同じキャラクターでやりたいですね。もう一人くらい新しいキャラクターがいてもいいですけど。

4Gamer:
 それはちょっと意外です。個人的には,続編があるとしたら枠組だけ残して登場人物を入れ替えるパターンかと思っていました。

中澤氏:
 僕も今のキャラクターにはまだまだポテンシャルが残されていると思うので,あえて変えない方がいろいろできそうです。

打越氏:
 あと,次は1話完結型のストーリーにしたいかな。物語のゴールはあってもいいですが,そこに至るまで1日ごとに事件が起こって,それを皆で解決していくパターンとか。

4Gamer:
 では「パンチライン」以外ではいかがですか。例えば今回はコミカルな作品だったから,次はサスペンスとか。

打越氏:
 6月30日に発売される極限脱出シリーズの第3弾「ZERO ESCAPE 刻のジレンマ」PC / PS Vita / 3DS)がものすごくシリアスなので,そういう欲求は今のところないんですよね。ただ,アイデアレベルではいろいろと考えているので,それが実現できたらいいとは思ってます。

4Gamer:
 そうでした(汗)。打越さんファンは,息をつく間もなさそうですね。

打越氏:
 あと,「アジトオブスクラップ 下北沢ナゾビル」の常設型リアル脱出ゲームとして,「リアルタイムループゲーム アイドルは100万回死ぬ」というのがスタートしています。放っておくと死んでしまうアイドルを,隣の部屋のプレイヤー達がなんとかして助けようとするというお話で,こちらもぜひ足を運んでいただければと思います。

4Gamer:
 おお。リアル脱出ゲームで,かつループものということですか。

中澤氏:
 直接その娘を助けるんじゃなく,遠隔操作でなんとかする感じなんですよね。で,アイドル本人はそれにまったく気付かないという。ちょっと「パンチライン」に似た要素もあるので,オススメですよ。

打越氏:
 バナナの皮を使うアイデアとかね(笑)。

中澤氏:
 イタズラネタで困ったら,バナナの皮で滑らせてましたからね。転ばせたいときは,バナナの皮に限ります。

イタゴラパートによく出てくるバナナの皮。床にセットしておくと,高確率で住人が滑って転んでくれるので,連鎖のきっかけに役立つ
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打越氏:
 もういっそ,「パンチライン」コラボのリアル脱出ゲームとか,どうかな?

中澤氏:
 いいですね。古来館に閉じ込められる的な感じかな?

4Gamer:
 ぜひ実現してほしいです! 話は尽きないところですが,最後に「パンチライン」に期待する読者に向けたメッセージをいただけますでしょうか。

打越氏:
 まずアニメを見ていただいた人には,ゲーム版は「パンチライン」の世界をより濃密に楽しめるものになっていますので,ぜひ遊んで欲しいと思っています。反対にアニメは見ていないという人は,とくに予備知識は必要ありませんので,安心してゲームを手にとっていただければと。その後にアニメも見てもらえたら,より楽しめると思いますよ。

中澤氏:
 「パンツを見たら,人類滅亡!」なんて,これほどバカげた話もないのですが,やってみると意外と設定の奥深さを感じてもらえると思います。何も考えずに遊んでもいいし,逆に深く考察しながら遊ぶこともできるので,少しでも興味を持ったら,ぜひ遊んで欲しいです。

市川氏:
 この3人が集まることはめったにないので,スタッフは最高の布陣だと自負しています。作品を作るときは,いつだって最高を目指すものですが,作り終わった後は必ずやり残したことが見つかるものなんです。次こそは最高をと思うんだけど,それはきっと永遠に無理なんでしょう。だから「パンチライン」もあえて「最高」ではなく「ほぼ最高」と言うようにしています。現時点での「ほぼ最高」を,ぜひ楽しんでもらえたらうれしいですね。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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