プレイレポート
【山本一郎】「三國志13」プレイレポート――三国志時代の健康優良児「廖化」は凡将で終わるのか? 社会の荒波に揉まれて目指せ立身出世!
山本一郎 / アルファブロガーにしてゲーマー。その正体は,コンテンツ業界で今日も暗躍(?)する投資家
山本一郎:茹で蛙たちの最後の晩餐 |
最新作では,全武将プレイが中心になっていることもあって,中国全土を統一するロマンだけでなく,どこぞの君主傘下に入って忠勤に励むプレイもできます。頼まれ仕事をわっせわっせとこなしながら,実在武将達と親交を深め,ダチとなって戦場を駆け巡るという素敵仕様が多数詰まった本作品ですが,プレイレポート一発めですし,レビューするならこの人の人生が一番いいんじゃないか? と思って廖化(りょうか)をチョイスしてみました。というわけで,はじまりはじまり。
廖化,大地に立つ
オッス,オラ廖化! 字は元倹。史実はどうか知らないけど,演義では黄巾の乱から蜀の滅亡まで生き抜いた人間国宝級のお達者野郎の健康優良児だ! よろしくな。
とあるセガの「三国志大戦」では武将紹介のフレーバーに「凡将」と書かれ,不当に無能感溢れる台詞をしゃべらされて風評被害も拡大中。この雪辱を晴らすのは今しかない! 1800年の時を越えて熱い誹謗中傷に晒されている俺様廖化だけど,その生き様を見ながらこの広大な三國志13の世界を余すところなくお伝えしたい。頑張って天一を目指していくんや!
廖化かわいいよ廖化。
なお,俺様廖化の能力は本作でもやっぱり凡将です。何でこんなに低評価なの。誰ともとくに親しくなく,訓練や巡察が少し得意だけどほんのり効果があるだけだし,得意なはずの武力系能力も平凡そのもの。おかしい。何かがおかしい。激動の三国志の時代を最後まで生き抜いたスーパーサバイバーだというのに。国は滅亡したけど。
ええい,史実はいい,とにかく一番最初のシナリオ持ってこい! 立身出世の想いを胸に抱き,漢時代末期に立ち上がったベンチャー企業,黄巾軍団の駄目地域,小沛に就職だ! ときに俺様15歳。ここから黄巾株式会社に入社して目指すは経営幹部,やがては社長だ。たぎる野心を胸に抱き,まさに中卒社会人として腕に自信あり(勝てるとはいってない)状態からゲームスタート!
と意気込んだものの,ぶっちゃけ下っ端生活は辛いです。安月給だし,方針で決まった仕事しかやらせてもらえない。月のお給料100円(※編注:分かりやすいように通貨単位を変えています)で,店に売ってる酒が1000円とか,非常にデリケートな経済状態。でも年俸の数倍の予算をかけてやる文化事業とか,夢が溢れているじゃないですか,リアルで考えると。町の方針が決まれば,その方針にさえ沿っていれば予算使い放題という,社畜にとっては夢のようなシステム。しかも,期日すぎて目標達成できなくても,激詰めされたり,上司に半殺しにされたり,追放されたりすることはない。年収は200万のワープアだけど,会社から任されている仕事は億単位みたいな。夢がある。夢があるよ,三國志13。
ゲーム内では俺様のような入社したての若者の給料は100円ですが,町の開発方針が「内政」であれば「俺,文化事業したいっすよ」と言うと上司の管亥さんが「おう,やってみろ」と1000円ぐらい予算をくれるんです。いい。すごくいい。働きやすいね,これは。こんな太っ腹な上司にめぐり合いたい。そして,偉そうなこと言っておいて,達成できない。面目ねぇ。でも怒られない。すごい。すごいよ三國志13。迂闊な現代よりよっぽど人に仕事を任せる気風が見える。そして,横領なんてものもない。みな清廉潔白だ。
とかなんとか言ってると,シャチョーの張角さんが「戦闘だ! お前も来い」とか言い出す。えー。まだ手がけている文化開発事業が途中っスよ……でもワイは能力的に戦闘のほうが向いているから,引き立ててもらえるなら,戦功でもおっ立てて偉い人になるんだ! そう割り切ることにします。ということで勝手に編成された軽槍兵3000人ほどを率いて戦地に向かったら,なんか曹操さんとかいう凄そうな人が1万5000人とか,皇甫嵩(こうほすう)さんっていう将軍の人が2万人を率いて待ち構えているんです。
仕事の途中なのに突然出陣を求められて急ぎ出立するワイ。こうやってみると我ら黄巾軍は主要都市を多数抑え,圧倒的じゃないですか。これは霞ヶ関のような体制派・何進さんなど一押しで倒せるんじゃないかと,そんな風に考えていた時期が俺にもありました |
地味に強い何進軍。部隊数こそ多いものの,兵隊がスカスカで烏合の衆な感じのする黄巾軍がノリで攻め込んでるけど大丈夫か,これ |
ちょっとちょっとちょっと。話が違わなくないですか社長,いやシャチョー。ワイに勝てるわけないっすよ。しかし戦闘は容赦なく進む。戦闘開始。ええー。待って待って。なし崩しに大乱戦。しかもワイが率いてる兵隊は安い安い軽槍兵の皆さんで,もろ最前線。なす術なし。あっという間に溶けるように戦場に屍を晒していきます。敗北。それも,完全敗北。
命からがら小沛に撤退。命があっただけでもありがたいレベル。その後もベンチャー精神だけは溢れる黄巾の皆さんが,次々と何進(かしん)さんの都市に攻め込んでは撃退されて,を繰り返しているじゃないですか。繰り返される無謀な戦闘,そしてはじき返されて全滅,敗北し,逃げ散るか捕らえられて斬られる我ら黄巾の武将たち。何なの,この無能集団。経営が駄目だと部下が苦労するんだよ! 現場を支えるワイらにしわ寄せばかりが来てて大変です。もうね,どこぞもびっくりのブラック企業であります。黒巾にしたほうがよっぽど分かるわ。
さらに曹操さんのところへ無謀にも押し寄せる我々。もちろん勝てる可能性はゼロ。しかし気持ちが大事だ! 黄巾の意地を見せてくれようぞー |
もうね,ぜんぜん勝てる気しないわけですよ。4倍の敵,敵将は張郃さんとか無理ゲーもいいとこ |
そしたら,張角シャチョーが「勢力全体の方針を決めるぞー」とか言ってるんです。おお,少しは現実的な策でも出てくるのか? 内政したり,訓練して失地挽回の足がかりを……と期待をしつつ評定の結果を見たら「我が軍の目標は,何進軍を殲滅させることである!」とか言ってる……それも一年以内に。無理っしょ。さっき惨敗したばっかっすよ。なに,この絶対こなせないノルマを課せられた営業社員みたいな悲しい状況は。想像以上だ。まさか期待の三國志13でブラック体験できるとは思わなかった。廖化悲しい。
さらに6倍以上の張郃軍に攻め込むワイ。黄巾ブラックすぎィ! マジで勝てるわけないでござる |
そして無事壊滅。ですよねー。いや,思うんですけど,良くワイは死なないっすね |
そんな愚痴を垂れていると,上司だった管亥さんと仲良くなり,友好度が上がっていきます。天井の80にまで到達してイベントを起こすと,特技がもらえたりする「絆」がレベル1になるわけなんですが,ついにイベント発生!
「おう,俺とお前は仲いいよな。だったら一騎討ちしようぜ」
……なんなのこの展開。拳と拳で友情を感じあうとか,昭和の暴走族みたいなんですけど。いやだ。こんな友達いやだ。上司としてもいやだ。しかし能力は欲しい。勝てばいいんでしょ,勝てば。管亥さんに勝利すると,まず絆レベル1として「一騎(討ち)」の能力が得られます。でも,逆に言うと廖化よりも武力の高い管亥さんで,しかも一騎討ちスキル持ってるわけで,勝てる可能性もミニマムなんじゃないでしょうか。
それでも頑張って一騎討ち……そして,勝利! 危なかった。よく分からないけど管亥さんと友情が! ということで見事,上司管亥さんと朋友になれたのでありました。「一騎」もレベル1ついて,ちょっぴり勝ちやすくなりました。ありがとう,管亥さん。
うまいこといって勝利! 大して強くもない廖化に「敵などない」とか罵られる管亥さん。本当に俺たち大丈夫か |
無事,管亥さんと絆が成立して「朋友」に。一騎討ちスキルをもらって少し嬉しい。武人として無いよりあったほうが絶対に良いっすよね |
調子に乗って同僚の周倉さんとも仲良しに。友好度80になって,何を頼まれるのかと思ったら。
「俺さあ,武器収集してるんだよね。何とかっていうすごい武器あるから,お前買ってこいよ」
「……」
えっ。パシリっすか……あの,その武器,超高価だったりすんじゃないの。買ってくるの? ワイが? どういうことなの……。
仕方なく馬を飛ばして陳留に,寿春に。周倉さんと朋友になりたくて,仕方なくワイ将走り回ります。そしたらありましたありました,お目当ての品がお店に。さっそく買おうとすると,そのお値段,4800円。
あの……ワイ給料安くて足掛け2年働いても1700円しか持ってないんですよね。切ない。三國志13の下っ端の生活,とても切ない。もうね,はっきり分かりました,この瞬間から「あっ,この世界は偉くならないと気持ち良くないんだ」って。「上を目指して努力しないと駄目なんだ」って。「生き残るには,力すなわちパワーが必要なんだ」って。
そうこうしているうちにも,順調に我ら黄巾軍は敗退を続けていきます。いつの間にか,都市が首都・済北と小沛だけになってしまいました。ヤバイ,会社潰れる! しかも,シャチョーが敵に捕まって斬られるという事件が発生し,あとを継いだ弟の張宝さんも,動揺する間もなく無事戦死。ええー。どうなっちゃうの。
せめて勝てそうなところへ攻め込んで挽回を,と機会をうかがい槍兵訓練してたら……。
「張梁軍小沛にいた周倉が何進に寝返りました」
ええええええええ! ひとこと言えよ! 友達だろ! 絆ないけど。仲良くしてたじゃん! お前の仕事手伝ったじゃん! 一緒に戦闘に行って負けて泣きながら一緒に逃げ帰ったじゃん! 仲間じゃなかったのかよ!
その間も,黄巾勢はボロボロの状態のまま無謀な都市奪回作戦を試みては踏み潰され,壊滅を繰り返します。圧倒的な敵の前に部下は逃げ,あるいは戦死していく。これはもう駄目かも分からんね。その敵軍にはさっきまでの同僚だった,周倉さんの笑顔が……そうか,これが戦乱の世というものなのか。そしたら……。
社長張梁「廖化,貴殿をわしの軍師に任命する!」
……軍師?? ないわー。能力的に自信ないし,状況的にもないわー。何でしょう,この倒産しかかったベンチャーから人が逃げた後に営業部長を入社3年目の奴に任せるような末期症状は。黄巾だめだ。もう終わりだ。
汚い字で書き上げた退職願に「探さないでください」と書き置きして,そっと小沛の城門をクリック。そして,下野を選択。ごめんなさい,黄巾。さようならワイの夢。せめて,朋友となってくれた管亥さんには一言挨拶していきたかった。ごめん。これからは,もっとしっかりした会社に転職して,立派な社会人となって立身出世を目指していきます。力不足ですいませんでした。さよなら戦友たち。死んでいった兵士たち。黄巾という夢から覚めたワイは,頬を涙で濡らしながら出奔したのであります。17歳の廖化には,甘酸っぱすぎる社会人生活です。
最後の都市小沛が陥落し,黄巾の乱が鎮圧されたのは,その2か月後のことでした。
陥落の際に,長く世話になった元上司の管亥さんが捕らえられて処刑されたという報を受け,管亥さんと飲み交わした酒の量,語った夢の大きさを思い返して,心に重いものを感じながら,当てもなく駒を進めていくのでありました。
ワイ将,成長中の董卓商事に入社の巻
飛び出したはいいものの,ワイ将廖化に友人はおろか知り合いと言えるまともな人はいません。誰にも頼れない,本物の放浪武将となったワイは,それでも次なる主君を探すため,広大な中国を彷徨います。ぶっちゃけ,本作品には在野武将であるメリットはありません。都市を調査して,たまに小銭が見つかるぐらいでしょうか。早いところ,どっか仕官しなくては。
しかし,唯一仲が良かった面識ある人物といえば周倉さんですが,いまは何進軍で働いています。さすがに朋友だった上司管亥さんを斬った何進建設株式会社で飯を食うのはちょっと……というか,あそこの会社,曹操さんとか徐晃さんとかキラキラした幹部社員いっぱいいて,ワイが参加したところで「おい凡将」とか言われて辛い目に合いそうな気がするんですよね。
ほかにどっか成長している会社はないのか。……と,長安の向こうのほうで,急成長している勢力があるじゃないですか。その名も董卓軍。営業役員に呂布さん,華雄さん,除栄さんといった有能な人物を揃え,経営企画には李儒さん,賈詡(かく)さんという逸材を抱えて天にも昇る勢いです。
何といっても,三国一の武人,呂布さんとかマジかっこいいじゃないですか。こんな人の下で働きたいと思っちゃいますよね。「董卓討つべし」のサウンドが耳に響きますが,しかし,自分のような将来の中国を担う武人は,自分磨きに向いた友人がたくさんできるのではないか。私のソウルが董卓に強い魅力に引き寄せられます。よっしゃ,董卓軍の門を叩くぞ。
思い切って,広い大陸を横断するように,除州から長安へ,そして董卓さんのいる天水へ。庁舎へ赴き,仕官の申し込みをすると思わぬ歓迎が!!
董卓「お前のような奴を探しておったんだ。一緒に天下を目指そう!」
と,董卓さまあっ! なんと,なんとお心の広い……廖化,うれしい。面識さえないこの俺を,それも元黄巾という経歴も気にすることなく,トップ面接一丁で一発採用してくれるなんて。ありがとうございます,ありがとうございます。董卓さんの顔は怖いけど,きっといい人に違いない。ベンチャー企業での仕事に失敗し,失意の中で履歴書を送りまくってたら株式上場を目指すちゃんとした会社に転職できましたというノリとなって,マジ小躍りであります。
そして,荷物をお家で広げる間もなく,董卓シャチョーから呼び出しが。
董卓「お前,馬騰とこの前線都市・金城攻めてこいや。総大将は呂布な」
ええー!! ワイのボスはあの呂布さん!!?? あの世界的にクッソ高名な超絶武人の呂奉先さんですか!!???? 行くっすよ手伝うっすよ全力でお役に立てるよう尽くしますよ!!!
訓練に,巡察にと励んでいたら,馬騰さんとこの金城攻めろというお達しが。もちろん,頑張りますとも! |
そしたら,なんと世界的にも超絶誉れなナイス武将呂布さんの幕下武将に!! うおおおおおおお!! |
その呂布さん,とくに何も言わずに,少しでも接触した馬騰軍の兵隊を一瞬のうちに蒸発させながら次々と陣を落としていきます。い,意外と呂布さん寡黙なんすね……しかも,あの,ワイ将って要らないんじゃないでしょうか……。戦場で騎馬隊率いる呂布さんが速過ぎて,槍持って走ってる廖化勢は敵が打ち倒される前に接触できるかできないかってレベル。ヤバイ,強すぎる。それでも部隊を包囲されると士気が落ちて呂布さんでさえ苦戦するので,そうならないような後詰の動きに徹します。
たまに敵の計略に簡単に引っかかって軽く足止めされる呂布さんですが,まるでボウリング玉のようにピンに見立てた敵将を次々と撃破,あっという間に馬騰軍を壊滅させていきます。それなりに強いはずなんですけどねえ,馬騰さん達。
すごい……すごすぎる。これが,あの天下無双の呂布さんか。呆然としているうちに,呂布勢が都市を落として馬騰物産を倒産に追い込みます。速い強いすごい。食糧尽きてるのを気にせず進撃する呂布さんは凄すぎます。
しかも現地解散。あらーー。これはすごいところに入社(はい)ってしまったぞ。返す刀で,隣にあった宗教法人張魯も呂布さんに攻め込まれて声を上げる間もなく壊滅。もう一瞬。さらには蜀方面に国替えした劉焉さんに迫ります。
すげーつえー。ワイ将にできることは,呂布さんが気持ちよく戦えるように騎馬兵を訓練したり,巡察して民心という名の民忠上げることだと割り切ります。今作品は民忠が増えると人口が増える,人口が増えると兵隊が増えるというシステムなんすよね。ああ,成長中の会社ってミッションがはっきりしていて,事業のキーマンのリーダーシップが強いことが大事なんだなあ。
しかし,三国志の時代は無情にも進んでいきます。強くて強くてしょうがない董卓商事に対して,にわかに反董卓連合軍ができてしまうのです。経営企画本部にいた曹操さんが取締役会で董卓シャチョーの追放に失敗,脱サラして新会社を立ち上げます。程なくして,反董卓連合の圧力があったのか,せっかく確保した洛陽を焼いて事業撤退してしまいます。急成長董卓商事の歪みが,徐々に出てきた感じでありましょうか。
ワイ将も呂布さんに忠誠を尽くすんですがね。呂布さん,仕事しないんすよ。このゲームでは,相手の仕事を手伝って,感謝してもらって友好度を上げられるんだけど,仕事をしないから何もできん。
仕方がないから,1000円の酒を持って呂布さん家に行って,「大将,一杯やりましょうよ」と友好度引き上げるも,80までは遠い道のり,ロングウェイであります。目の前に,尊敬すべき超人がいて少しでもその技を自らのものにしたいのに,振り向いてもらえないこの悲しさ。切なさ。何この三國志13。現実なの。これが現実なの。リアル過ぎるだろ。
それでもせっせと下働きを続けてきたワイ将廖化に,董卓シャチョーが目をつけます。
董卓「おうお前。めっちゃ忠勤しとるやんけ!」
廖化「ワイにできることはこれだけですんで,可能な限りやらせていただいとります」
董卓「せやな。お前明日から弘農太守な」
廖化「ファッ!?」
うおおおおお! 董卓シャチョーありがとう! ありがとう! ありがとう! 頑張って毎日毎朝通勤電車に乗って残業徹夜をものともせず,働き続けたワイを,董卓シャチョーは見ていてくれたんや! ひょっとしたら呂布さんの推薦でもあったのかも知れん。呂布さん何も言わないけど。やったぜやればできるじゃーん。
さらには,役職として前将軍を拝命。これは,率いられる兵隊の数が増え,戦闘に大事な能力である統率・武力がほんのり上がるという優れもの。まさかの厚遇に,廖化は感動に打ち震えます。
もう凡将とは呼ばせない! ワイが太守や! 董卓軍の弘農太守,廖元倹や!!
廖化の人生を通じて,もっとも素晴らしい友となった張衛さん,楊任さん。なんだろう,人はだいたい自分と似たようなレベルと仲良くなるというリアル法則のような | |
張衛さん,顔とポーズはこうですが,人柄的にはとてもいい奴だと思います。なんてったって,大親友ですんで | |
弘農が最前線すぎて董卓シャチョー自らが乗り出してきてとてもやりづらい廖化。あの,一応太守ワイなんですけど… |
愛と根性の立身出世,そして世界は
太守になると人事の自由も少し利くようになり,部下に仕事を手伝わせ放題,董卓商事の社内でも人脈が増えて顔が広くなっていきます。これはますます面白くなってきた。太守を任された弘農には,楊任さん,張衛さんといったワイよりも能力的に微妙な武人が配属されてきました。ここにチーム廖化,完成です。
……なんかあなたがた以前,某宗教団体で働いてませんでしたっけ?
まあいい。経歴を問い始めたら俺なんて反乱軍だからね。かかる懸念を真っ二つに割り切って,しこしこと領地経営に勤しみます。途中,新しく占領した上庸や安定など,微妙地域の太守にされては弘農に戻されるという董卓商事の謎人事に翻弄されながらも,部下達と酒を飲み交わし,共に仕事で汗を流しながら友情を育んでいきます。
その間,董卓シャチョーの愛人問題や洛陽略奪といった事件もありつつも,そのようなことに心を囚われることなく粛々と訓練し,田んぼを耕して,弘農をより良い都市にしていこうとします。
しかし,そんなある日のこと…。
董卓「勢力目標は都市拡大や! 南のほう,がら空きやから全力で領地にするやでー」
一同「おーす」
すごいスピードで拡大していく董卓軍団。超急成長だけど大丈夫か。長沙攻めろ,江陵取ってこいと次々やってくる指令を無難にこなしながら,気がついてみると中国の左下はだいたい董卓領に。すごい,やったぞ董卓軍! 俺様も年を追うごとにどんどん昇進,ハナタレのヤンキーにすぎなかった15歳時点の廖化とはもうおさらば。いまや統率90,武力87といういっぱしの武将として中国全土に名を轟かせるぐらいの勢いになってきます。
これで少しは尊敬する呂布さんに近づけたかな……あれ?
呂布さん,なんで濮陽にいるの??? 君主になっとる!! いつの間に脱サラを????
マジっすかーっ!!! ワイは呂布さんを尊敬して,憧れて董卓商事入社したのにーっ! それほど親しくはなれなかったけど,独立するなら声のひとつもかけて欲しかった……揺れに揺れるワイの心。その心を見透かしたように,新たなる董卓シャチョーからの呼び出しがあります。
董卓「お前,今日から大都督な」
廖化「マジすかっ!」
董卓「18個ある都市の16個はお前が全部仕切るんやで」
廖化「ははーーっ!!」
都督とは,複数の都市を任され好き放題やっていいという役職です。それも,なぜか董卓シャチョーは今回の人事で,長安から蜀(四川)全領土,南海に至る広大な土地を,すべてこの廖化を都督として託すという悶絶ものの抜擢人事を敢行したわけであります。
やったぞ母ちゃん! ワイは,ワイは本当にマジもんの立身出世を実現したぞおーっ!!
急成長して領土は広いけど,武将数が少なすぎてスカスカである点を除けば,大変に強烈な状況にあるわけですが,廖化32歳,いまや董卓商事の未来を一身に担うステキ役員として世界に君臨したのでありました。
ここから先はもう簡単。敵の数倍の兵隊で囲んで壊滅させて都市を落とし,捕虜にしたメンバーは全員雇用して,を繰り返しますと,あの尊敬した呂布さんさえも「戦いは数だよ兄貴」とばかりの波状攻撃で滅亡させることさえできます。
その間,董卓シャチョーは長安を本拠にじっと動かず,懸念された暴虐もこれといってないまま,董卓軍大都督就任からわずか12年で,中国は董卓のものとなるのです。
後半になると,任命した重臣がいろんな仕事案を持ってきて,ポチポチと承認するだけで統治が進むため,自分自身が畑耕したり市内見回ったりという必要がなくなります。その分,友人にしたい人と親交を深めたり,広大な中国大陸を旅したりと自由度は広がる一方,もはや自分の能力値は関係なくなり,戦闘も,より大きな物量と部隊数で敵を囲んで士気を下げて殲滅する作戦を取っていけば,負けはほとんどなくなります。
そうなりますと,何というか,ワイ将としては偉くなるとちまちま武将の皆さんとの交流を深めるよりも,いまある戦力でどう効率的に都市を落としていくかに神経がいくことになって,偉くなるほどに「ふっ,世の中は空しい。人間など,世界の長き時間の中ではほんの一瞬の存在にすぎないのだ」とか悟りを開いてしまう状態になります。
一応,やろうと思えば親交を深めたい武将を人事異動で部下にして,仕事振って,手伝って,友好度上げてって感じなんですけどね。そういう手間をかけているぐらいなら攻め込んで潰してした方が早いよって感じでしょうか。
長大な三国志の歴史を長生きした廖化。100歳まで生きるプレイでまったり紹介しようと考えていたら,思わず真面目にプレイしてしまって,わずか30年ほどで董卓さんが漢王朝を再興してしまうという結果になったわけです。次回があれば,もっと酷いプレイをやってみたいと思います! 思います!
「三國志13」公式サイト
■■山本一郎■■ 言わずと知れたアルファブロガーで,その鋭い観察眼と論理的な文章力には定評がある。が,身も蓋もない業界話にはもっと定評がある。ゲーマーとしても知られており,時間が無いと言いつつも,膨大に時間を浪費するシミュレーションゲームを愛して止まない。現実でもゲームでも酷いプレイを楽しまれているようですが,原稿は載せられるようなものでお願いします。 |
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