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「Radeon RX 470」レビュー。Polaris 10コアの第2弾は,ミドルクラス市場の新たな本命か
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印刷2016/08/05 22:00

レビュー

200ドル以下の市場に登場したPolaris 10コアの第2弾は,ミドルクラス市場の新たな本命か

Radeon RX 470
(PowerColor Red Devil Radeon RX 470 4GB GDDR5(型番:AXRX 470 4GBD5-3DH/OC))

Text by 宮崎真一


PowerColor Red Devil Radeon RX 470 4GB GDDR5(型番:AXRX 470 4GBD5-3DH/OC)
メーカー:Tul
問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9590(平日13:00〜17:00)
価格:未定(※2016年8月5日現在)
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 2016年8月4日22:00,Polarisマクロアーキテクチャ採用GPUの第2弾となる「Radeon RX 470」(以下,RX 470)を搭載するグラフィックスカードの販売が始まった。
 RX 470は,型番が示すとおり,「Radeon RX 480」(以下,RX 480」の下位モデルにあたる製品で,ミドルクラス市場向けとなる。AMDはこのRX 470を「フルHD解像度環境において,最高のグラフィックス設定でゲームを楽しめる」製品と位置づけ,1920×1080ドット解像度では,高いアンチエイリアシング設定を行っても,平均60fpsを確保できるだけの性能があるとしている。

 今回4Gamerでは,そんなRX 470を搭載するTul製のオリジナルカード「PowerColor Red Devil Radeon RX 470 4GB GDDR5」(型番:AXRX 470 4GBD5-3DH/OC),以下,Red Devil RX 470)を,同社より入手することができたので,果たしてフルHD解像度向けGPUのベストチョイスとなるのかどうか,その点を明らかにしてみたい。


RX 480と同じPolaris 10コアを採用しつつ,演算ユニット数は4基削減


「Ellesmere PRO」とも呼ばれるRX 470 GPU。パッケージ上のパートナンバー刻印は「215-0876204」だった
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 冒頭でも述べたとおり,RX 470はPolaris世代の第2弾となるGPUだ。採用するアーキテクチャは第4世代「Graphics Core Next」(以下,GCN)となる「GCN 1.3」。GPUコア自体はRX 480と同じ「Polaris 10」を採用している。GLOBALFOUNDRIESもしくはSamsung Electronicsの14nm FinFETプロセス技術を用いて製造されるGPUである点は,RX 480から変わりない。

 では,何が違うかというと,演算ユニット「Compute Unit」の数である。
 GCNアーキテクチャでは,64基のシェーダプロセッサ「Stream Processor」がひとかたまりとなって,キャッシュやレジスタファイル,スケジューラ,テクスチャユニットなどと一緒に,演算ユニットたるCompute Unitを構成する。

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 そして,Polaris 10の場合,このCompute Unitが9基集まって,ジオメトリプロセッサやラスタライザ,それに4基のレンダーバックエンドとともに“ミニGPU”的な「Shader Engine」となり,それを4基搭載することで 64(Stream Processor)×9(Compute Unit)×4(Shader Engine)2304基というプロセッサ規模となるが,RX 470の場合は,ここからCompute Unit数にして4基少ない仕様となっているのだ。

 RX 470でどのように4基のCompute Unit無効化形態を許容しているのかAMDは明らかにしていないが,これまでと同じであるなら,特定のShader Engineで4基のCompute Unitが無効化されるケースから,各Shader Engineで1基ずつ無効になるケースまで,さまざまな可能性が考えられよう。いずれにせよ,「Compute Unitの無効化によって性能がバラつく」ようなことはないはずなので,ここを細かく突き詰めて考える必要はない(というか,考えても結論は出ない)だろう。

RX 470であり得る「Compute Unitの無効化パターン」代表例。半透明の黒が無効化パターンだ。もちろんこのほかにも,「あるShader Engineでは2基,残る3つのShader Engine中2つで1基ずつ」とか,さまざまな可能性が考えられる
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 GPUコアがRX 480と同じゆえに,L2キャッシュ容量が2MBあるというのも,RX 470における大きな特徴だ。従来のミドルクラス市場向けGPUだと,「Radeon R9 380X」が512KB,「GeForce GTX 960」が1MBといった具合だったので,メモリアクセス性能はそれだけRX 470のほうが有利ということになる。

RX 470の主なスペック。理論演算性能値となる単精度浮動小数点演算性能は最大4.9 TFLOPSとされる
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 RX 470の動作クロックは,ベース926MHz,ブースト最大1206MHz。RX 480だと順に1120MHzと1266MHzだったので,ベースクロックはかなり,ブースト最大クロックは若干控えめだ。ただ,前世代のR9 380Xだとブースト最大クロックは970MHzに留まっていたので,ブースト最大クロックは,Polaris世代らしく,かなり高くなっているとも言える。
 なお,メモリクロックは6600MHz相当(実クロック1650MHz)で,これは同8000MHz相当のRX 480と比べると8割強の設定になっている。メモリインタフェースは256bitで変わらないものの,メモリクロックの違いによって,メモリバス帯域幅は211GB/sと,RX 480の256GB/sとは若干開いた。

 そんなRX 470の主なスペックを,RX 480とR9 380X,GTX 960のほか,「Radeon R9 390」(以下,R9 390),「GeForce GTX 970」(以下,GTX 970)のそれとともにまとめたものが表1となる。

※Radeon RX 400が対応するDirectX 12(Direct3D 12)Feature Levelは,AMDに問い合わせ中だが,2016年8月5日現在,依然として回答が得られていない。回答が来るまでは「?」付きで掲載するのでご注意を
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Red Devil RX 470はカード長約240mmのクロックアップモデル


 ここからは,入手したRed Devil RX 470を概観していこう。

 PowerColorのミドルクラス〜ハイクラスグラフィックスカード製品シリーズとして立ち上がったRed Devilの名を冠する本製品は,ブースト最大クロックが1270MHz,メモリクロックが7000MHzへとそれぞれ引き上げられた,いわゆるメーカーレベルのクロックアップモデルだ。リファレンスクロックと比べて,5〜6%程度高い設定ということになる。

Red Devil RX 470のカード長は,RX 480リファレンスカードの実測約244mm(※突起部除く)より若干短いレベル
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 カード長は実測約240mm(※突起部除く)で,そこに2連ファン&2スロット仕様のGPUクーラーを搭載する仕様だ。マザーボードに差したときの垂直方向に,クーラーはブラケットから約13mmはみ出ているが,補助電源コネクタの実装方向が同じなので,PCケースへ組み込むときに問題となることはほぼないだろう。
 その補助電源コネクタは8ピン×1。リファレンスの6ピン×1より強化が入っている。

カード背面に補強用のバックプレートを採用するという,最近のグラフィックスカードではよくあるデザインである
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補助電源コネクタは8ピン×1。外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1となる
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 さて,GPUクーラーだが,搭載する2基のファンは90mm角相当のものだ。「Double Blade III」――Webサイト上の表記だと「Double Blades Fan」だが――と呼ばれる2枚の羽を先端部で結合したような,独特の構造をした羽を採用しており,Tulによると,これにより,一般的なファンと比べてエアフローが20%向上するとのことだ。
 ちなみにファンは「Mute Fan Technology」を採用しており,GPU温度が60℃を下回る条件ではファン回転が自動的に止まるようになっている。

GPUクーラーを取り外したところ
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 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,外した時点でメーカー保証は失効する。その点をお断りしつつ,今回は特別に取り外して,GPUクーラーと基板を細かくチェックしていきたい。
 というわけでGPUクーラーからだが,GPUと触れる枕の部分から,8mm径が2本,6mm径が2本と,合計4本のヒートパイプが,放熱フィンに向かって伸びる設計となっていた。電源部の冷却には,放熱フィンと一体化したヒートシンクを用意する一方で,メモリチップの冷却はファンのエアフローに頼る構造だ。

搭載する統合型(≒デジタルPWM)コントローラはInternational Rectifierの「IR3557」だった
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 基板上の電源部は見る限り6+1フェーズ構成で,それほど大規模という印象は受けない。
 ただ,On Semiconductor製MOSFET「NVMFS4C03N」「NTMFS4C10N」を中心とする電源部はなかなかにリッチであり,コストはかかっている印象だ。Tulによると,この電源部は「Gold Power Kit」と呼ぶそうで,高品位な部品の採用により,高クロック動作時の安定性向上を図っているという。

Red Devil RX 470の電源部。6+1フェーズ構成という理解でまず間違いないと思われる
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 メモリチップはSK HynixのGDDR5「H5GC4H24AJR-R0C」(6.0Gbps品)なので,メモリクロックは,工場出荷時点で,メモリチップの仕様を超えた設定になっていることとなる。

 ところで,外部出力インタフェースのすぐ近くにトグルスイッチがあるのだが,これは確認した限り,2つのVBIOSを切り替えるためのものだった。「Radeon HD 7970」以降のRadeon搭載グラフィックスカードでしばしば見られる「Dual BIOS Toggle Switch」と同じようなものという理解でいいだろう。ちなみに,標準ではないほうのスイッチに入れると,GPUのブースト最大クロックは50MHz低い1220MHzとなる(※メモリクロックは7000MHz相当のまま)。別に,リファレンスクロックへ落とすスイッチというわけではない。


ドライバには未公開のCrimson 16.8.1を使用。DX12やVR関連のテストも実施


 テストのセットアップに入りたい。
 今回,RX 470のテスト対象としては,先に表1でその名を挙げたGPUを用意した。つまり,現行,そして従来のミドル〜ミドルハイクラス製品と比較することで,ミドルクラス市場におけるRX 470の立ち位置をはっきりさせようというわけである。

 ただ,今回入手した比較対象のうち,R9 390とR9 380X,GTX 960は,いずれもメーカーレベルのクロックアップモデルである。MSI製のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.3.0 Beta)を用いて,リファレンスレベルにまでクロックを下げることとした。
 クーラーの性能が異なるため,リファレンスカード相当の性能が完全に得られるわけではないというか,多少なりとも高いスコアが出るはずだが,少なくとも筆者が記憶する限り,今その名を挙げたGPU 3製品のリファレンスカードは国内で流通していないため,ここはやむを得ないものとして話を進める。

 なおRX 480では,最高性能を得るべく,「Compatibility Mode」は無効化した(関連記事)。

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 また,クロックといえば,Red Devil RX 470もクロックアップモデルだが,こちらはAfterburnerからオーバークロックこそできる一方,下げることはできなかったので,今回はカードの定格クロックのままテストを行うことになる。そのため以下,グラフ中に限り「RX 470 OC」と書くことになるので,この点もあらかじめお断りしておきたい。

Radeon Settingsからソフトウェアおよびハードウェア情報タブを開いたところ
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 そのほかテスト環境は表2のとおり。Radeon勢のテストに用いたグラフィックスドライバ「Radeon Software Crimson Editon 16.8.1」は,日本時間8月3日付けでAMDから全世界のテスターに対して配布されたバージョンとなる。
 その「Display Driver」バージョンは「16.30-16728a-305291E」なので,公式最新版グラフィックスドライバである「Radeon Software Crimson Edition 16.7.3」の同「16.30.2311-160718a-305077C」と同じ系統の,若干新しいものという理解でいいだろう。

 なお,GTX 970とGTX 960のテストに用いた「GeForce 368.81 Driver」は,テスト開始時点の公式最新版である。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0準拠。ただし,DirectX 12世代のアプリケーションやVR(Virtual Reality,仮想現実)環境への対応状況も確認する必要があることから,追加で,以下のテストも実施している。

  • 「3DMark」の「Time Spy」:
    テストを2回行い,総合スコアが高いほうをスコアとして採用
  • 「Ashes of the Singularity」(以下,AotS):
    ゲーム側に用意されたベンチマークモードで,「Standard」「Extreme」の2プリセットを実行。詳細はAotSテストレポートを参考ににしてほしい
  • 「Total War: WARHAMMER」:
    AMDから全世界のレビュワーに配布されたベンチマークツールを用いて,「Medium」と「Ultra」の2つのプリセットを実行。解像度ごとにテストを2回行い,その平均値をスコアとして採用した
  • SteamVR Performance Test」:
    Valveの「Apertureロボット修理 VRデモ」を利用して,視覚忠実度を見るためのもの。利用しているシステムがVRアプリケーションの実行にどこまで適しているかを判断するためのツールだが,これを実行して,視覚忠実度を検証することとなる。なお,テスト結果はグラフではなく,スクリーンショットで比較する

RX 470のタグライン(=キャッチコピー)は「Brilliant HD Gaming」(素晴らしいHDゲーム体験)だ
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 冒頭で紹介したとおり,AMDはRX 470をフルHD環境向けのGPUと位置づけていることから,今回,テスト解像度は1920×1080ドットと,アスペクト比16:9でその1つ上となる2560×1440ドットを選択した。

 なお,テストにあたって,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。これは,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除するためだ。


ドライバの課題は相変わらずながら,RX 480比でざっくり9割の性能を示すRed Devil RX 470


 以下,いずれのグラフも,基本的にはRX 470を一番上に置き,その下には比較対象のRadeon,GeForceをいずれもモデルナンバー順に並べている。ただし,グラフ画像をクリックすると,より負荷の高いテストにおけるスコア順に並び替えたもう1つのグラフを表示するようにしてあるので,見やすいほうでスコアはチェックしてほしいと提案しつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 3DMark(Version 2.1.2852)のDirectX 11版テストである「Fire Strike」のスコアをまとめたものがグラフ1だが,ここでRed Devil RX 470はRX 480比で90〜92%程度のスコア差を示した。仮にRX 470のリファレンスカードがあるとすればもう少しスコア差は開くと思われるものの,リファレンス設定と比べてブースト最大クロックとメモリクロックの両方が約5%引き上げられたRX 470カードであれば,RX 480比でおおむね9割のベンチマークスコアは得られるわけだ。
 従来製品との比較では,R9 380XやGTX 960といった前世代のミドルクラスは完全に子供扱いしており,GTX 970にもあと一歩のところまで迫っているのは興味深い。

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 続いてグラフ2はDirectX 12版テストとなるTime Spyの結果だ。
 ここで注目したいのは,Red Devil RX 470がGTX 970に対して約5%高いスコアを示している点だろう。第2世代Maxwellは相対的にDirectX 12世代のタイトルを不得手としているので,ある意味当然といえばそれまでだが,ミドルクラス市場向けのGPUが,前世代のハイクラスGPUに対して優勢というのは,やはり景気がいい。
 また,細かい点だが,Fire StrikeではR9 390比で88〜89%程度だったスコアがTime Spyだと約94%に詰めてきているところからは,GPUアーキテクチャ世代(と,それに関連した動作クロックの高さ)が“効いて”いる気配も窺える。

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 グラフ3,4は「Far Cry Primal」の結果となる。
 ここでRed Devil RX 470のスコアはRX 480に対して91〜93%程度で,3DMarkのスコアを踏襲する結果となった。ただ,従来世代のGPUとの比較では,対GTX 970で4〜8%程度高いスコアを示すという,立派な結果も出ている。

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 一方,Radeon Softwareの最適化が進んでいない「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)では,GTX 970のスコアが突出する結果となった(グラフ5,6)。GTX 970はメモリ負荷が高い局面でスコアを落とし,結果,Red Devil RX 470は相対的にスコアを詰めているが,たとえば「High」プリセットの2560×1440ドットだと,どちらも30fps前後の平均フレームレートであり,快適なプレイは望み薄だ。
 ただ,Radeon同士の比較だと,Red Devil RX 470はRX 480に2560×1440ドット条件において大きく離されるものの,主戦場となる1920×1440ドット条件だと95〜97%程度のスコアを確保できているとも言える。

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 次にグラフ7,8は「Fallout 4」の結果だが,ここでもGTX 970が強い。とはいえ,Red Devil RX 470はそんなGTX 970に対して88〜93%程度というスコアを示し,RX 480に対しても92〜99%程度と,かなり迫るスコアを示している。

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 「Tom Clancy’s The Division」(以下,The Division)の結果がグラフ9,10だ。
 The DivisionではRadeon RX 400シリーズが良好なスコアを示しており,Red Devil RX 470も対GTX 970で103〜98%程度と,かなりいい勝負を演じている。対R9 390ですら,1920×1080ドットでは103〜104%程度と,上回る数字を示した。

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 Radeonにとっては毎回つらい結果が待ち受けている「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)のスコアをまとめたものがグラフ11,12で,Red Devil RX 470はGTX 970に対してまったく歯が立たない。

 もっとも,従来世代のミドルクラスGPUであるR9 380XやGTX 960に対しては安定的に高いスコアなのも確かで,また,「最高品質」の1920×1080ドット条件において,スクウェア・エニックスの示す「ベンチマーク結果の見方」における最高指標「非常に快適」のラインである7000を大きく超えている点は頼もしい。「フルHD解像度&高いグラフィックス設定で快適」という,AMDの謳い文句どおりの結果は出ているわけだ。

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 なおグラフ11’,12’は,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチにおいて,平均フレームレートをスコアとして採用したときのグラフとなる。興味のある人は合わせて参考にしてほしい。

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 ARKと同様,Radeon Software側の最適化が進んでいない「Project CARS」だと,Red Devil RX 470はGTX 970と勝負にならない(グラフ13,14)。
 RX 480に対しては94〜95%程度と,順当なスコアを示しているので,あとはドライバの最適化待ちということになるだろうか。

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 DirectX 12のテストとなるAotSのスコアはグラフ15,16にまとめたが,DirectX 12アプリケーションを前にすると,第2世代Maxwellに対するGCNアーキテクチャの強さがはっきりする。Red Devil RX 470はGTX 970に対して8〜9%高いスコアを示し,対GTX 960だと最大では約86%というギャップを生んだ。

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 そしてそれはグラフ17,18に結果をまとめたTotal War: WARHAMMERでも変わらない。すべてのテスト条件でRed Devil RX 470はGTX 970を上回り,とくに「Ultra」プリセットでは最大で約18%ものスコア差が付いている。

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 最後はSteamVR Performance Testの結果だが,Red Devil RX 470は「VRレディ」なので,VR対応ヘッドマウントディスプレイと組み合わせて利用できるという理解でいいだろう。
 「平均忠実度」は「7(高い)」であり,これはRX 480より0.5ポイント低い値。ギリギリでVRレディの枠内に留まるR9 380Xと比べると余裕がある。

上段左から順にRed Devil RX 470,RX 480,R9 390。下段左から順にR9 380X,GTX 970,GTX 960。最高指標を獲得したのはGTX 970のみだ。逆にGTX 960はテスト対象で唯一VRレディにならなかった
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クロックアップモデルにもかかわらず消費電力はRX 480比で最大で25W低下


 さて,RX470の公称典型消費電力は120Wと,RX 480の150Wから30W減っている。RX 480の消費電力は,リファレンス仕様で補助電源が6ピン×1だということを考えるとかなり高かった(関連記事1関連記事2)だけに,RX 470の消費電力がどうなっているのかは気になる人も多いだろう。
 残念ながらRX 470のリファレンスカードは入手できていないので,正確なところまでは分からないが,Red Devil RX 470を使って,傾向は掴んでおきたいと思う。

 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ19のとおり。アイドル時は,Red Devil RX 470が63Wと若干高いものの,おおむね横並びである。
 次に各アプリケーション実行時へ目を移すと,Red Devil RX 470はRX 480から15〜25W低く,さらにGTX 970より5〜41W低いスコアを示した。さすがにGTX 960よりは高いものの,十分に省電力と言っていい結果だ。

※そのまま掲載すると縦に長くなりすぎるため,簡略版を掲載しました。グラフ画像をクリックすると完全版を表示します
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 GPUの温度も確認しておこう。ここでは3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともどもAfterburnerからGPU温度を取得したものをグラフ20に示す。
 なお,テスト時の室温は24℃。システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態に置いてある。

 カードごとに温度センサーの位置やファン回転数の制御方法は異なるため,横並びの比較にあまり意味はない。そのため,あくまでもRed Devil RX 470のGPU温度を確認するのみに留めるが,ファン回転が止まるアイドル時こそGPU温度は高くなるものの,高負荷時は70℃なので,ミドルクラスGPUとして文句のない温度制御がなされていると断言してしまってよさそうだ。Red Devil RX 470のGPUクーラーは十分な冷却性能を備えていると言っていい。

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 気になるその動作音は,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,端的に述べて静かだ。少なくともRX 480リファレンスカードより静音性が数段高いのは間違いない。


ミドルクラス市場のゲームチェンジャー。価格対性能比は抜群


Red Devil RX 470の製品ボックス
画像集 No.051のサムネイル画像 / 「Radeon RX 470」レビュー。Polaris 10コアの第2弾は,ミドルクラス市場の新たな本命か
 RX 470のクロックアップモデルとなるRed Devil RX 470の性能は,1920×1080ドットがターゲットということを考えると,相当に優秀だ。競合の「GeForce GTX 1060」が明確にフルHDより高い解像度をターゲットとし,価格設定も上昇しただけに,フルHD解像度を主戦場とする新世代GPUというのはRX 470くらいしかないわけだが,そのテスト結果は(Radeon Softwareの完成度という,ハードウェア以外の問題を除けば)ほぼ,文句の付けようがない。
 「必ずしもすべてのゲームで,『フルHD解像度環境において,最高のグラフィックス設定でゲームを楽しめる』とは限らない」が,さすがにそれは重箱の隅を突きすぎだろう。市場在庫として若干残っているGTX 970はともかく,GTX 960を選択する理由はもはやなくなったと言い切っていいように思う。

 AMDは,リファレンス仕様を採用したRX 470カードについて,北米市場におけるメーカー想定売価を179ドル(税別)としている。そして搭載カードの国内価格は2万円台後半からだ。現在のところ,Red Devil RX 470の価格は明らかになっていないが,税込2万円台での販売開始となるなら,まずまずアリではなかろうか。
 RX 480との性能差は1割程度で,価格差は数千円というのも大きい。RX 470は,GeForce GTX 1060はもちろんのこと,RX 480でも高すぎると思っていた人や,フルHD解像度をターゲットに,価格対性能比の高いGPUを探していた人にとって,待望の新世代ミドルクラスGPUということになるはずだ。

Radeon.comのRX 470製品情報ページ(英語)

PowerColorのRed Devil RX 470製品情報ページ(英語)

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