プレイレポート
モーションセンサー操作の対戦アクション「マジシャンズデッド」はどんなゲームなのか。“魔法使い”になりきってお届けする,ロケテ直前プレイレポート
“非接触型モーションセンサー”による画期的な操作方法が注目される本作だが,いったいどんなプレイフィールのゲームなのだろうか。今回4Gamerでは,開発元であるバイキングにて,いち早くプレイする機会を得たので,ロケテストに先駆けたプレイレポートをお届けしよう。
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操作のコツは,異能力者になりきること?
ではさっそく,プレイしてみようと思ったのだが……まず驚かされたのは本作の筐体だ。バイキングの開発室に置かれていたのは,ゲームセンターでよく見るレバーと6ボタンがついた普通のVEWLIX筐体で,一見するとそれほど特殊な操作が求められるようには思えない。「ガンスリンガー ストラトス」のように,大型の専用筐体だろうと先入観を持っていたので,正直意外だったのだ。
ただ,よく見るとコンパネ上部になにやらセンサーらしきものが付いていて,どうやらこれで手の動きを感知するらしい。また筐体内部から延びたコードの先にはグリップコントローラ――いわゆるヌンチャクが付いていて,これを左手で握って操作するとのこと。あれ,それじゃあこのボタンとレバーは何に使うんだ?
順に説明していこう。
まず左手のグリップコントローラは,キャラクターの移動とカメラ操作を司るデバイスだ。グリップコントローラには,親指で操作するアナログスティックと,人差し指および中指で操作する2つボタンが付いていて,
- アナログスティックで移動
- 下ボタンでジャンプ
- 上ボタンでターゲット切りかえ
- アナログスティック+上ボタン同時押し込みでフリーカメラモード(上ボタンで元に戻る)
といった操作が行える。
また,壁に向かってアナログスティックを倒しつつ下ボタンを押すと「壁走り」で壁を駆け登ることができる。こうした動きを組み合わせることで,自在にフィールド内を動き回るわけだ。
続いて右手は何をすればいいかというと,これはモーションセンサーによる操作となる。センサーの上に腕をかざすと,カメラの視点がキャラクターの背後に移り,いわゆるTPS視点で敵を攻撃できる(ただし視界が狭まり,素早い移動ができない)。攻撃動作はキャラクターによってさまざまだが,例えば基本のショットは,右手をかざす方向で狙いをつけ,親指を曲げることで発動させられる。
また画面内のオブジェクト(車や樹木,木箱など)をターゲットし,拳を握ることで(念動力で)持ち上げることが可能だ。持ち上げたオブジェクトは,拳を握っている間は自由に動かすことができ,拳を開くことで撃ち出せる。
こうしたモーションセンサーによる操作は,キャラクターの特殊能力ごとにさまざまなバリエーションがあり,“人差し指と親指だけ立てる”とか“人差し指で円を描いて,効果範囲を決める”といったものもある。
また,こうした能力を用いた攻撃を行うにはエネルギーが必要で,対応するエネルギーゲージが枯渇していると使用不可となる。エネルギーゲージは,該当する能力を使わないでいれば自然に回復していくので,各種攻撃をバランスよく使っていくのが重要になりそうだ。
なお,筐体のボタンは近接攻撃ボタンで,これを押すとキャラクターがパンチやキックなどの攻撃を繰り出せる。連打すると連続攻撃も可能で,近いところにいる相手には有効な攻撃手段となる。なお,魔法や超能力で攻撃するために手をかざしていると近接攻撃は出せない。このため,ボタンの操作は右手で行うのが基本になるだろう。あと,筐体のレバーは使用しない,とのことだ(今回の筐体は仮のモノで,ロケテ時にレバーは用意されない)。
いずれにせよ,こうしたモーションセンサーによる操作は,平面のみならず前後の奥行きも感知されるようで,実際にプレイしてみるとかなり斬新に感じられた。言葉で説明すると混乱しそうだが,「移動系は左手,攻撃は右手」覚えておくと,慣れるのも早いだろう。
勝つためのコツ その1「ジャンプを活用する」
本作で相手の攻撃をかわすには,ちょっとしたコツがある。シールドのような防御用の能力があれば使ってもいいし,掴めるオブジェクトを盾にしてもいいのだが,それらが使えないときはどうしたらいいのだろう。一つはなんらかの遮蔽物に隠れることだが,それにも限界はある。このとき有効なのがジャンプだ。ジャンプした瞬間は相手のロックオンが途切れるので,攻撃が追尾しなくなる。ぜひ試してみよう。
フィールドのすべてを駆使し,能力のシナジー効果で戦う
“多人数対戦アクション”を謳う本作は,3人のプレイヤーでチームを組んで対戦を行う,3on3形式の対戦ゲームだ。今回のロケテストで使えるキャラクターは8人――うち2人は取材時は使用できなかったが――で,プレイヤーはこの中から1人を選択するようになっている。また1人のキャラクターは,3種類のフォースセット(超能力の組み合わせ。1つのセットで3〜4種)を持っていて,同じキャラクターでも異なる戦い方ができるのだ。
なお,本作のストーリーは,敵対し合う超能力者と魔法使いの戦いを描いたものとなっているが,キャラクターの所属陣営はチーム編成に影響しないとのこと。なので,キャラクターの見た目や性能などで,自由に選んでしまって問題ない。ただし,後に説明するキャラクター同士の“シナジー”があるので,チーム内での自分の役割は,しっかりと把握したほうが良さそうだ。
ゲームシステムは,同社が手がけた「ガンスリンガー ストラトス」シリーズと同じく,コスト制がとられている。チームごとに勢力ゲージがあり,相手のそれを0にすることで勝利となる。
勢力ゲージは敵チームのキャラクターを撃破するたびに,そのキャラクターのコスト分が減少する仕組み。勢力ゲージが残っているうちは,倒されてしまっても再出撃が可能だが,その分敗北に近づくというわけだ。
なお,キャラクターのコストは,フォースセットごとに異なるので,キャラクターを選ぶときにはそのあたりも考慮に入れる必要がある。強力な攻撃が揃っているフォースセットほど高コストになっているので,強さを取るか,コストを取るかも戦略の一つとなっている。
戦いの舞台となるフィールドには,動かせるさまざまなオブジェクトが用意されていて,操作方法の項目で紹介した念動力で持ち上げることができる。動かせるオブジェクトは,照準が合うと点滅するので,あとは右手を握ればいい。
こうしたオブジェクトは,相手にぶつけてダメージを与えるほかにも,敵の攻撃を防ぐ盾として使ったり,自分が乗っているオブジェクトを持ち上げて移動手段にしたりと,さまざまな活用法があるようだ。
またフィールドには,それ以外にもさまざまなギミックがあり,例えば噴水のような水場の近くであれば,雷系統の攻撃を行うと,感電効果が濡れている範囲全体に広がるなどの付加効果が発生する。
こうした状況は,キャラクターが能力を使って意図的に作り出すことも可能だ。フィールドに水場が無くても,水を操るキャラクターがいれば,任意の場所に濡れた場所を作り出せることになる。また炎属性のキャラクターがいれば,濡れた地面を即座に乾かすことができ,さらに風属性の竜巻に炎を合わせれば,より強力な火炎竜巻を生み出せる。
こうした能力同士の相乗効果――“シナジー”は,どうやら本作の戦術において非常に重要な位置を占めているようで,チーム編成の大きなカギを握る要素と感じられた。もちろん実際に発動させるには,チーム内での意思疎通やコミュニケーションが欠かせないので,稼働後はそのあたりの研究が必要になりそうだ。
勝つためのコツ その2「回復能力を甘く見ない」
一部キャラクターのフォースセットにある回復能力は,頻繁に使えるわけではないが,その効果は絶大だ。勢力ゲージが勝敗に直結する本作では,体力が少ない状態になると逃げ回ることになりがちだが,回復があれば再び前線に復帰できる。とくにアクシリアの「ヒーリング」は強力なので,チームに彼女がいるなら,回復を軸にしたゲームメイクを心がけてみよう。
超能力や魔法の操作感をぜひ味わってほしい――プロデューサー尾畑氏 ミニインタビュー
テストプレイ終了後,本作のディレクターでもある尾畑氏に,ロケテストの狙いと意気込みを聞いてみた。
4Gamer:
プレイさせていただきましたが,かなり新鮮なゲームですね。操作感が新しいのはもちろんのこと,能力のシナジーによって広がる戦術に可能性を感じます。
そう言っていただけるとありがたいです。シナジーについては,「どういうことができたら面白いか」というところから,アイデアを広げていきました。いろいろな自然現象がシミュレートされているので,そのあたりも注目してほしいですね。
4Gamer:
能力の発動には,右手でさまざまなジェスチャーを行う必要がありますが,これらはどのように決めていったのでしょうか。
尾畑氏:
この部分には紆余曲折ありまして,それだけで1年近く研究しています。まず「プレイヤーが覚えやすい単純な動作」でなければなりませんし,同時に「発動する能力に合った動作」でなくてはならないという。
4Gamer:
物を掴むときに手をグーの形にし,離すときにパーにするといった具合ですね。
尾畑氏:
そうです。そのうえ「センサーが識別しやすい動作」で,かつ「後ろから見たとき,何をしているか伝わりやすい」のがベストです。これらをすべて満たす操作法を模索した結果が,現在の形になっています。
4Gamer:
「後ろから見たとき〜」というのは,どういう意図があるのでしょうか。
尾畑氏:
アーケードゲームですから,やっぱり遊んでいる人を見て,自分でもやってみたくなるというのが重要なんです。とくに「マジシャンズデッド」は汎用筐体で遊ぶゲームなので,プレイヤーが遊んでいる姿が目を引くゲームデザインを心がけました。
4Gamer:
ああ,なるほど。それはアーケードゲームならではの要素ですね。ちなみに,プレイする前は,ずっと手を上げていたら腕が痛くなってしまうんじゃないかと思ってましたが,そんなことはなかったので安心しました(笑)。
尾畑氏:
ええ。そういう心配をされる方は多いと思うんですが,実はずっと手を上げているわけじゃないんですよ。右手をかざすのは狙いを付ける時のみなので,1日プレイしていても疲れたりはしません。この話,実は「ガンスリンガー ストラトス」でも言われたんですけどね(苦笑)。
4Gamer:
ちなみに,今回のロケテストでは,マッチングはどのように行われるのでしょうか。というのも,今回プレイしてみて,先ほども話題に上ったシナジー効果によるチームの編成が重要なメカニクスになっていると感じました。いわゆる野良プレイだと,その醍醐味は味わえないんじゃないかと危惧しているのですが。
尾畑氏:
5月27日からのロケテストではシングルマッチング――つまり,今言われたとおりの野良プレイのみのマッチングになる予定です。おっしゃるとおり,チームの連携が重要なタイトルではありますが,まずはモーションセンサーでの操作感を体験してもらうのが,今回の一番の目的と考えています。チーム戦の醍醐味は,その次の段階なんですよ。
4Gamer:
稼働後は,店舗間のネットワーク対戦が中心になるわけですよね。
尾畑氏:
そうなります。しかし我々としては,1つ1つ段階を踏みながら検証し,それから次のステップに進んでいきたいと考えています。とくに本作は操作感が独特なタイトルですから……。
4Gamer:
まずはそこからだと。ということは,これからも定期的にロケテストが行われると考えていいのでしょうか。
尾畑氏:
まだ具体的なことは決まっていませんが,冬の稼働に向けて,いろいろな仕掛けを考えています。ぜひ,楽しみにしていただければと。
4Gamer:
分かりました。最後に今週末のロケテストを楽しみにしているプレイヤーに向けて,一言いただけますか。
尾畑氏:
超能力や魔法で物を持ち上げるってどんな感じなんだろうか,それを体験できる操作感をぜひ味わっていただきたいですね。フォースセットごとにいろいろな事ができるので,そのための技表も用意しています。どんな動き方でどんな技が出せるのかといったところにも,注目してもらえたらと。
4Gamer:
なるほど。期待しています。本日はありがとうございました。
勝つためのコツ その3「集中攻撃で数的優位を作る」
戦力の「選択と集中」はチーム対戦ものの定石。「あとちょっとで倒せそうな相手」がいるなら集中攻撃して,さっさと倒してしまうことが重要だ。戦線復帰には時間がかかるので,その間は数的優位な状況で戦える。仲間がターゲットしている相手は,頭上のアイコンで分かるので,同じ相手を攻撃するように心がけよう。
「マジシャンズデッド」公式サイト
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