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そうだ アニメ,見よう:第199回は「佐々木とピーちゃん」。冴えないサラリーマンとペットの文鳥が挑む“異世界ライフ×異能バトル”
冴えないサラリーマンの波乱の日々を描いた,ぶんころり氏の小説「佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 〜魔法少女がアップを始めたようです〜」(MF文庫J/既刊7巻)。2018年に小説投稿サイト「カクヨム」と「小説家になろう」で発表された本作は,MF文庫Jで書籍化され,2022年の「このライトノベルがすごい!」単行本・ノベルズ部門で1位を獲得した注目作だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第199回のタイトルは,同作をアニメ化した「佐々木とピーちゃん」(毎週金曜22:30〜TOKYO MXほか)。制作はSILVER LINK.,シリーズ構成・脚本は「ポケットモンスター」シリーズや「古見さんは、コミュ症です。」の赤尾でこ氏が担当。監督は「政宗くんのリベンジ」や「迷宮ブラックカンパニー」の湊 未來氏が務めている。
「佐々木とピーちゃん」
ブラック企業に勤務する会社員の佐々木(CV:杉田智和)は,癒しを求めてペットショップで文鳥のピーちゃん(CV:悠木 碧)を購入した。実はピーちゃんは,もともと異世界の高名な賢者であり,なぜか現代日本の文鳥に転生したのだという。
「我が名はピエルカルロ,異界の徒にして星の賢者」。
ピーちゃんと一緒に暮らすことになった佐々木は,彼と契約したことで魔法を使えるようになる。「和牛のシャトーブリアンが食べたい」とリクエストしてくるピーちゃんに,お金がないと打ち明ける佐々木。それならば,「日本と異世界を行き来して,お金儲けすればいい」と,日本で商材を買い込んで異世界で売る商売を持ち掛けられる。
佐々木は,早速ピーちゃんの魔法で異世界「エイトリアム」へと転移することに。日本で仕入れた品物を異世界に持ち込み,商人として活動しながらレストランを経営し,異世界で夢のスローライフの足固めを始めた。
やがて領主のミュラー(CV:安元洋貴)とも懇意となり,順風満帆かに見えた佐々木だったが,ある日会社の帰り道で女性を襲う「異能力者」と出会う。ピーちゃんから教わった魔法でその場を切り抜けるも,助けた女性・星崎さん(CV:高橋李依)から異能力者と間違われて,国の秘密機関「内閣府超常現象対策局」にスカウトされてしまう。強制的に転職させられた佐々木は,星崎さんとバディを組み,いきなり荒事に駆り出されるが……。
スローライフを夢見るサラリーマンの悲喜劇
自分の飼っている文鳥がある日,「われは賢者である」と語りだしたら,どんな対応すれば正解なのだろうか。筆者はとりあえず,ドッキリであることを疑い,次に心療内科の連絡先をググり始めると思う。本作は,そんな状況に直面した39歳のサラーリマン・佐々木が主人公の物語だ。
転生した賢者に魔法の力を与えられ,異世界と現代社会を行き来し,異世界でのスローライフを楽しもうとするが,異能バトルに巻き込まれてしまう。さらに,ホームレス魔法少女までも登場するというごちゃ混ぜの状況も,佐々木は持ち前の“大人の対応力”で切り抜けていく。
要するに,面倒ごとは避けるという基本方針なのだが,現代はもちろん,異世界でも大変なことに巻き込まれてしまい,まったく思い通りにはいかない。スローライフを夢見る佐々木の悲喜劇を描いているのが,本作「佐々木とピーちゃん」なのだ。
相棒の文鳥は「星の賢者」
そんなカオスな状況の発端となっているのは,星の賢者ことピーちゃんとの出会いだ。後世に語り継がれるほどの大賢者であったピーちゃんだが,もはや「好きに生きたい」と悟りを開き,元の世界に帰りたいとか,人間に戻りたいとは思わない様子。その膨大な知識を佐々木のために役立ててくれるという。
異能者に出会ったり,魔法少女に出会ったりしても佐々木が落ち着きを失わないのは,ピーちゃんの存在が大きいと言わざるを得ない。インターネットによる現代文化への学習も進み(検索にはゴーレムを使用),佐々木の良き相談相手となっている。
今後も内閣府超常現象対策局や異世界の住人など,さまざまな人物が佐々木の前に現れるが,最後に頼りになるのは相棒のピーちゃんだろう。あの愛らしい姿も相まって,今期注目のキャラクターとなりそうだ。
お隣の中学生は何者?
初回は1時間スペシャルとして放送された。異世界ファンタジーにSF,マジカルものと,いろんな要素がてんこ盛りの本作のつかみとしては十分の回だったのではないだろうか。
なお,第1話では役名のないキャラクターを10人の佐々木姓の声優が演じている。さらにゲストキャストとして元プロレスラーの佐々木健介さんと佐々木久子(北斗 晶)さんが出演し,「佐々木」縛りのこだわりが話題となった。気になる人は,公式サイト(リンク)に出演者のコメントが掲載されているので確認してみよう。
今後も異世界と現代,2つの世界で佐々木の活躍が見られそうだが,佐々木のアパートのお隣さん(CV:鬼頭明里)も気になるところ。中学生らしいので,佐々木とは年齢差もあり,ラブコメ展開にはなりにくそうだが,なにやらヤバそうな雰囲気の女の子だ。
そんなわけで,スローライフを夢見る佐々木の思惑とは裏腹に,周囲は騒がしくなる一方。果たして,佐々木に平穏な日々が訪れるのか,ピーちゃんを愛でつつ彼の活躍に期待したい。
ちなみに,CTWから本作のゲーム化作品「佐々木とピーちゃん ミッドライフレボリューション」が発表されている。リリース時期は未定だが,現在事前登録の受付が実施されているので,小説やアニメだけでは物足りないという人は,こちらもチェックしてみてはいかがだろう。
TVアニメ「佐々木とピーちゃん」公式サイト
TVアニメ「佐々木とピーちゃん」公式X
放映データ |
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2024年1月〜 |
毎週金曜22:30〜TOKYO MXほか |
キャスト | |
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佐々木:杉田智和 | |
ピーちゃん:悠木 碧 | |
お隣さん:鬼頭明里 | |
星崎さん:高橋李依 | |
二人静:大空直美 | |
エルザ:富田美憂 | |
マジカルピンク:水瀬いのり | |
阿久津:置鮎龍太郎 | |
ミュラー:安元洋貴 | |
アドニス子爵:福山 潤 | |
フレンチ:浪川大輔 | |
マルク:岩田光央 | |
セバスチャン:玄田哲章 |
スタッフ | |
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原作:ぶんころり『佐々木とピーちゃん』(KADOKAWA刊) | |
キャラクター原案:カントク | |
監督:湊 未來 | |
シリーズ構成・脚本:赤尾でこ | |
キャラクターデザイン:仲敷沙織 | |
総作画監督:仲敷沙織 | |
美術監督:新城湧基 | |
美術設定:前田実 | |
色彩設計:水本志保 | |
撮影監督:菊池優太郎 | |
音響監督:阿部信行 | |
音響制作:ビットグルーヴプロモーション | |
音楽:日本コロムビア | |
アニメーション制作:SILVER LINK. | |
製作:佐々木とピーちゃん製作委員会 | |
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- 関連タイトル:
佐々木とピーちゃん ミッドライフレボリューション
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