イベント
「バトルフィールド1」の詳細をチェック。戦車と馬が駆け合い,兵士達がスコップで殴り合う。この混沌こそがバトルフィールドの原点回帰だ
カリフォルニアのレッドウッドシティにあるElectronic Arts本社では,一部のメディアやブロガーを集めての説明会が行われていたので,そこで公表された情報を中心に,現状で分かっていることをまとめてみたい。
「バトルフィールド1」公式サイト
本作の舞台設定になっている第一次世界大戦は,連鎖的に大戦争へと発展していったことで,明確な悪役が作りづらいという,ある意味“地味”な背景からか,中々ゲームのテーマとして扱われることが少ない。
だが,軍事史的な視点で見ると,銃器から兵士を守るために「塹壕」が開発される一方で,戦車や飛行機,自動小銃にスナイパー銃,そして戦艦や飛行船,毒ガスといった兵器が次々に投入された,人類の歴史を大きく塗り替えた出来事の一つだ。
ちなみに,筆者が担当している連載記事では,第一次世界大戦を扱ったタイトルを紹介しているので,こちらも参考にしてほしい。
つまり,第一次世界大戦という時代は,バトルフィールドが描く総力戦の始まりであるというわけだ。
イベントではベルリン氏に加えて,マルチプレイデザイナーのアンドレアス・モレル(Andreas Morrel)氏が登壇し,本作の概要を説明した。その内容をお伝えしよう。
シングル&マルチ
シングルプレイキャンペーンについては深く言及されなかったものの,立場の異なる複数のキャラクターの視点で,第一次世界大戦が描かれていくという。突拍子もないストーリーの飛躍は避けるとのこと。舞台となるのは,フランスの都市部,アルプス山脈(イタリア側),そしてアラビア砂漠など。かなり多くの地域にわたると思われる。
最大64人のプレイヤーが参加できるマルチプレイモードについては,「複数のモードがある」としかアナウンスされていない。映像からは,ドイツ,イタリア,フランス,そしてオスマントルコの国旗が描かれた兵器があり,それぞれのゲームマップにより,異なる勢力が戦うスタイルになることがうかがえる。
「バトルフィールド1」では今まで以上にチームプレイが重視されるようで,「パーシスタント・スクワッドシステム」というものが考案されている。
このシステムの詳細は不明だが,クランのようなものが登録されて,ログインするたびに同じ仲間でプレイしていくことが可能になり,その戦友達とともにサーバーを超えて“従軍”を続けていくことになるらしい。キャラクタークラスもあり,アサルト,メディック,スナイパー/スカウト,サポートという名が挙がっていた。
ビークル(搭乗型兵器)
・戦車
1917年にイギリスとドイツが激突した“カンブレーの戦い”で戦場に導入され始めたのが,当時は“ランドシップ”とも呼ばれた戦車だ。本作では砲台のあるヘビータンクと,マシンガンだけを搭載したライトタンクの2タイプが用意されるようだ。
第一次世界大戦時のタンクは,主に鉄刺線を破壊しつつ,自軍の歩兵の進路を作り出すような任務が多く,そもそもエンジン自体にまだ十分な馬力がなかった。そのため,マップを縦横無尽に高速移動することには向いていないと思われる。ベルリン氏も「タンク1台で市街地に突っ込んでいけば,建物の上部から爆弾を投げつけてくる歩兵の餌食になるだけ」と話していた。
・飛行機
今回のイベントで公言されたのは,偵察を行ったり,爆弾を落として拠点や戦車,前線を破壊する複葉機のスカウトと,爆撃機の2種類だ。飛行機といってもジェットエンジンのない時代のものなので,スピードが遅い。だがその分,ドッグファイトを満喫できるだろう。
また,“レッドバロン(赤い男爵)”で有名なマンフレート・フォン・リヒトホーフェンの愛機だった「フォッカー Dr.I」という赤に塗られた三葉機も登場するようだ。
・馬
「バトルフィールド1」における“シリーズ初”は数知れないが,馬もその1つだろう。今回リリースされた映像やアートワークからは,サーベルを手にして戦うオスマントルコの騎兵隊や,スカウト機の銃撃を受けるフランス騎兵隊の様子が紹介されている。ひょっとしたら,陸戦においては最速の移動スピードを誇るかもしれない。モレル氏は,「小回りの利かない戦車に対して,騎兵団が小刻みに攻撃する」というチーム戦略を紹介していた。
もちろんサーベルで戦車をガツンガツンと叩くのではなく,手りゅう弾なりを投げ込むような戦い方になるだろう。1人称視点による騎乗攻撃が楽しみなところだ。
・トラック
おそらく当時のトラックは装甲が優れていないために,銃撃されればひとたまりもないと思われる。だが,大人数の歩兵を一機に拠点に運ぶ輸送力はそれなりに戦場で威力を発揮するはずだ。
・戦艦
「バトルフィールド1」に”バトルシップ“が登場することも明らかにされた。海岸沿いの建物を兵士もろとも破壊し尽くす強大なパワーを持っているとのことだが,モレル氏は「ジャンケンのシステム」を強調していたので,駆逐艦や魚雷艇などが登場したり,もしくは爆撃機による攻撃などに弱点があるのかもしれない。
・飛行船
映像には飛行船も登場し,戦艦に並んで「バトルフィールド」シリーズ史上最大規模の搭乗型兵器になるという。公開されたアートワークの中には,空の彼方に5〜6機の飛行船が隊列をなして進んでいるシーンもあった。さらに,別のアートワークには,気球の籠のようなものに乗ってスナイパー銃を抱えている兵士のような姿もあったが,これが気球なのか,当時の飛行船の一部なのかはちょっとよく分からない。
・迫撃砲
映像には,三連式の迫撃砲も登場し,その砲撃の爆音で耳が「キーン」となっている主人公の一人らしき人物が描かれている。マルチプレイモードに登場したら,みんなで耳がキーンとなるのだろうか。
武器
・銃器
「バトルフィールド1」に登場する銃器は,ボルトアクションライフル,セミオートライフル,フルオートライフル,ピストル,ショットガンなど。「Battlefield 4」の仕様を進化させた,武器のカスタマイズシステムも存在する。
・メレーウェポン
「バトルフィールド1」は,メレー攻撃がクローズアップされており,新たに専用アニメーションのセットが作られた。プレイヤーが利用できるメレーウェポンとして,今回はサーベル,ナイフ,メイス,そしてスコップ(シャベル)が公開されている。それぞれに,重量やダメージ率などが設定されているとのこと。
・バヨネット (銃剣)
銃器には剣を装着することも可能だ。隊列を組んで相手に突撃し,相手の胸にグサっつと突き刺すという,かなり残酷な描写もあるらしい。
・火炎放射器
第一次世界大戦では,ドイツ軍が火炎放射器による専用部隊を設立し,1916年のヴェルダンの戦いで,限定的ながらフランス軍に対して利用したのが最初とされる。大量のガソリンを入れた容器を背中に背負っているため,敵兵からは集中的に狙われていたそうだ。
・爆弾/毒ガス
爆弾系の兵器には,手りゅう弾や,プレイヤーが時間を計ってボタンを押す,ワイヤー式の時限爆弾も登場する。また,黄色い煙幕がかかる毒ガスの手りゅう弾も登場するようで,ガスマスクを携帯することにもなるだろう。
すでにお伝えしている通り,「バトルフィールド1」は10月21日に発売されるする予定だ。そして,「Deluxe Edition」を購入すれば,10月18日からプレイすることが可能になる。また,Xbox OneとPC版は,EA Access/Origin Accessのプレミアムメンバーに対してアーリーアクセス権が用意されるとのことだ。
「バトルフィールド」シリーズは,ここしばらくは現代戦をテーマに,迫力のあるダイナミックな戦場を表現してきた。これは,ここ10年ほどのFPSジャンルのトレンドとして,「もう第二次世界大戦は飽きた。もっと恰好の良い武器で戦いたい」というゲーマー達の要望に応えてきたもの。
ライバルといえる「コール・オブ・デューティ」シリーズは,ドローン,サイボーグを登場させ,最新作として予定されている「Call of Duty: Infinite Warfare」ではその舞台が宇宙になるなど,SF化に拍車がかかっている。
「バトルフィールド1」は,「未来派FPSに飽きた」という次のトレンドを先取りした形になるが,DICEはこのタイトルを,第二次世界大戦ではなく第一次世界大戦をベースに,シリーズらしい破壊効果を駆使した演出によって,これまでにないFPSに昇華させようとしている。
プレイアブルデモは,E3 2016に合わせて開催されるElectronic Artsのイベント「EA Play」で初公開される予定で,そのときにキャンペーンの詳しい紹介やマルチプレイのゲームモードなど,細かい情報も開示されるだろう。
バトルフィールド1の発売は5か月ほど先のこと。これまでにない切り口で描かれるバトルフィールドの登場を,指折り数えながら待つことにしたい。
「バトルフィールド1」公式サイト
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(C)2016 Electronic Arts, Inc.
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