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大人になったエリーには,激しく,厳しく,そして怒濤のような展開の冒険が待っていた。「The Last of Us Part II」先行インプレッション
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印刷2020/06/01 22:01

プレイレポート

大人になったエリーには,激しく,厳しく,そして怒濤のような展開の冒険が待っていた。「The Last of Us Part II」先行インプレッション

画像集#008のサムネイル/大人になったエリーには,激しく,厳しく,そして怒濤のような展開の冒険が待っていた。「The Last of Us Part II」先行インプレッション
 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2020年6月19日,PlayStation 4向けソフト「The Last of Us Part II」(以下,TLoU2)の発売を予定している。本作は「アンチャーテッド」シリーズでも有名なNaughty Dogが手がけるサバイバルアクションで,2013年にPlayStation 3でオリジナル版,そして2014年にはPS4でHDリマスター版が発売された「The Last of Us」の続編となる作品だ。

 「感染すると理性を失ったミュータントに変化する寄生菌が蔓延し,文明が崩壊した近未来」という,ポストアポカリプスでは定番とも言える世界観をベースにしながら,重厚なストーリーや骨太のステルスアクションなどが国内外でゲーマーの高い評価を得て,初代The Last of Usは新規IPながら,いくつもの賞を獲得する人気作となった。
 その続編であるTLoU2では事前情報として,前作で主人公だったジョエルとエリーが引き続き登場し,前作の5年後が描かれる……という部分までが明かされており,発売を待ちきれないファンも数多くいることだろう。

 今回筆者はレビュワーとしてSIEから本作のコードを受け取り,先行して製品版とほぼ同じバージョンの本編をプレイする機会を得たので,そのインプレッションをお届けしたい。紹介するのは,「シアトルにある病院にエリー1人で向かい,“ノラ”という女性を探す」という,ある程度ストーリーが進んだところのパートだ。攻略スタイルにもよるが,このパートだけでもプレイ時間としては1〜2時間程度のボリュームがある。
 なおストーリー自体のネタバレは極力避けるように気をつけているが,インプレッションの対象となる部分の展開に関しては触れている部分があること。また文中のスクリーンショットは,SIE提供の公式のものとなっている点はご了承願いたい。


ゲームの基本は「探索」「クラフト」「ステルス&戦闘」


 今回インプレッションの対象となったのは,シアトルの隔離地域内でも都市中央部に近いと思われるエリアだ。通りには商店が建ち並び,かつての活気を想像させるが,現在は完全な廃墟になっていて“普通の人間”の人影はまったくない。植物が生い茂り道路も各所で寸断されていたりと,インフラと秩序が完全に崩壊した様子がPS4の性能を駆使して美しく描かれている。

 とはいえ単に周囲を眺めているだけでは,この世界では生き残れない。これらの廃墟にはアルコールや粘着テープ,金属製の刃物といった資源が所々に残されており,これらは重要なクラフトの材料になる。とくにアルコールと布は体力を回復する治療キットと,広範囲のエリアを燃やせる火炎瓶の両方の材料になるので,いくらあっても困らない。また入手量は少ないが銃の弾丸が手に入ることもあるので,とにかく探索がサバイバルの基本となる。

エリーがこのシーンで目指す病院。大きなマークがあるため遠くからでも目視できるが,インフラが破壊された今では近づくのも困難となっている
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 無人の廃墟を探りつつ先に進むと,今度は明らかに不穏な空気が漂う食堂のような場所にたどり着いた。窓越しに覗き込むと,店内に不気味な“お客さん”の姿……要するに「感染者」がうろついている様子が見える。文明崩壊の原因となった寄生菌に感染した人々は「インフェクテッド」や「キノコ頭」とも呼ばれ,こちらを発見次第,奇声をあげて飛びかかってくる。

 彼らは距離を取っている限りは比較的安全だが,とくに音に過敏で,一度ドンパチを始めれば周囲の感染者が一気に戦闘に加わってくるので,非常に厄介だ。行動としては暗所に潜むことが多いようだが,一部のゾンビ作品のように日光に弱いということもないので,外に出ようが平気で追いかけてくる。そのため,基本的にはステルス行動で一体ずつ倒すのが重要となる。通常タイプの感染者なら,後ろから近づき手持ちのナイフで一撃だ。

 ステルスの基本は屈んで知覚されないように動くことだが,ここで役に立つのが[R1]ボタンの長押しで発動する「聞き耳」だ。これは相手の音を探知して視覚に反映させる能力で,壁越しの敵も白い影として表示されるようになる。これで敵の数が大まかに分かるほか,行動パターンもある程度把握できるので,倒すにしても避けるにしてもとにかく役に立つ。
 発動中は移動速度が低下するうえ,静かに行動している敵は発見しにくかったりするが,それ以外のデメリットはとくにないので,聞き耳を活用することが生存への第一歩となる。

病院の中庭でステルス状態を保ちつつ,高所を確保している状態。ここからなら狙撃は楽だが,一発でも発砲すれば即座に居場所がバレてしまうので,数的不利の戦闘は免れない。ちなみに重要な隠れ場所になる,高低の差がある雑草の様子も確認できる
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 さて,食堂内の感染者を掃討した後に気づいたのだが,この店舗は先へ進むために必須の通り道ではなかったようだ。こういったサブロケーションは各所にあり,目的地を目指すだけなら立ち寄る必要はないのだが,苦労して探索しただけのメリットはちゃんと存在する。前述のクラフト資源や弾丸もそうだが,見つけるととくに嬉しいのは「サプリメント」「部品」だ。前者はエリー自身のスキル強化に,後者は武器のアップグレードに使用でき,ゲーム中で恒久的なパワーアップが可能となる。
 物資が乏しい中では,ベースの能力自体が上がるのは非常に大きい。ただ,サプリメントも部品も一か所にある数は決して多くないので,どれだけロケーションを制覇してたくさん集めたかが,後々のエリーのステータスに影響しそうだ。

 食堂のほど近くにはもう一つ目立つ建物,外から見るとホテルかアパートのようなビルが建っており,明らかに“何か”がありそうな雰囲気だ。入り口のドアは施錠されており,すんなりと入ることはできそうにない。だがこういったときは大概,別の入り口が用意されている。
 具体的には大きめの窓,換気ダクト,壁のひび割れ,地面の穴などの迂回路が定番だ。これらを探索すること自体が本作のパズル要素になっていて,先に進むのに必要だったり,レアな報酬の隠し場所だったりする。とはいえ,飛び込んだ先が感染者の巣窟だった……などということもあり得るので,油断はできない。ただありがたいことに,今回はそういった“理性を失った先客”はいないようだった。

換気ダクトの中を通る機会は意外と多い。動作としてはほふく前進と同じなので,移動速度は屈んだ状態よりさらに落ちる
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 ビルの中は入ってみると意外と小ぎれいで物資なども多く転がっていたのだが,それ以上に嬉しい発見がいくつもあった。具体的にはサバイバルガイド,革製のホルスター,そして武器作業台だ。それぞれエリーの強化につながるものなので,簡単に整理しておこう。

 サバイバルガイドは,エリーのスキルツリーをアンロックするためのアイテムだ。前述のようにスキルはサプリメントを集めて取得していくのだが,「サバイバル」や「工作」など種類ごとに分かれたツリー自体は,サバイバルガイドを取得して初めて利用できるようになる。強化の幅が広がるので,それだけゲームを有利に進められる可能性が高まるわけだ。

 残りのホルスターと作業台は,どちらも武器の使い勝手を向上させるもの。前者は武器の切り替えをスムーズにし,後者は前述の部品を使って武器の攻撃力や精度を向上させられる。ホルスターのような強化アイテムは,入手すれば自動で装備に追加され,永続的に効果を発揮するレアなもの。そもそも作業台は設置場所が限られているので,これから先に向けて武器のカスタマイズができるようになったのも嬉しいところだ。

ほふく状態でも武器の使用は可能なので,例えば「低い雑草に隠れつつ,無音の武器で攻撃する」といった戦法も可能だ。また,低い物陰や狭い隙間に入れるというメリットも見逃せない
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 さっそく作業台を使って武器をいじるか……と考えていると,突然奇声をあげた兵士の集団が襲いかかってきた。慌ててQTEで敵の攻撃を何とかかわすと,そのまま戦闘になだれ込んでしまった。当然,武器を強化している余裕などないし,すでに見つかっているからステルスもへったくれもない状態だ。家具や壁でカバーしつつ銃撃戦で相手を制圧すると,やっと静かな環境が戻ってきた。

 こういった作業台での強化に限らず,本作は[OPTIONS]ボタンでポーズをかけない限り,時間はリアルタイムで進んでいく。前述のクラフトやインベントリの操作などはすべてシームレスにつながっているため,こういった“隙を突かれる”という可能性は常にあるわけだ。
 また後で気づいたのだが,前述のように侵入した部屋は小ぎれいで物資も多く,良く観察すると「人が生活している可能性が十分にある部屋」だった。例え感染者が住み着いていなくても,敵がいないとは限らない……と再度認識しつつ,さらに病院を目指し先に進むことにした。


感染者にWFL,そしてセラファイト……。いくつもの敵がエリーの行く手に立ちふさがる


 目的の病院は,ある程度離れた距離からも確認できる規模の建物なのだが,道路は各所が寸断されていて普通に進めるところはほとんどない。なので道中は“建物の中を突っ切るしかない”といった事態になることが度々あったのだが,そういった場所には総じて感染者が巣喰っている。
 とはいえ,少数の感染者なら大したことはないので,ステルスと聞き耳を駆使して先へ進んでいたのだが,ある扉を越えたところで急に感染者に飛びかかられて,QTEシーンに突入してしまった。必死にボタンを連打するものの,そのまま窓の外へ投げ出され,あっという間に近くの川に飲み込まれてしまう。

 川の中で溺れ死ぬことはなかったものの,流れ着いた先はなんと下水道。「最悪……」とつぶやくエリーに全力で同意しながら地上に出ると,どうやら先ほどとは離れた場所に流されてしまったようだ。地図をチェックすると病院に行くには荒れ果てた公園を突っ切るしかなさそうなので先へ進むと,今度は口笛と共に見えない場所から矢が飛んできて,エリーに突き刺さってしまう。

 ついさっきまで薄暗い建物で感染者と戦っていたと思ったのに,今は公園で刺さった矢を自ら抜くハメになる……と,短時間でいろいろな出来事が発生し,正直目が回ってしまいそうだ。物語の展開が早いことをジェットコースターに例えることがあるが,この時はさすがに“それ以上だな”とプレイしていて思ってしまった。

 ただ攻撃は食らったものの,どうやら致命傷は避けられたので,ピンチを脱するためとにかく逃げることにした。公園には至るところに雑草が生えており,隠れる場所には困らない。今作からは[○]ボタンの長押しでほふく前進も可能になったので,草の丈に合わせた姿勢で移動し,さらに聞き耳を活用しつつ,何とか敵の目をかわすことができた。急に攻撃されて怒りしか沸いてこないが,とにかく体勢を立て直さなくてはいけないし,多勢に無勢で大立ち回りをしても勝機は薄い。

 公園を先に進みつつ敵の会話や挙動を観察すると,どうやら彼らは「セラファイト」と呼ばれる組織の一員のようだ。会話によると「救済」や「愛」がどうのと語っているが,こちらを発見次第攻撃してきたことから分かるように,実態は凶悪なカルト集団といった感じだ。
 敵対する組織や人間は平然と処刑し,見せしめに首つり死体として飾り付けるありさま。後述するWFLという組織とは敵対関係にあるようで,激しい武力闘争を繰り広げている様子もうかがえる。

 エリーが進む先の一帯はセラファイトの縄張りのようで,とにかく武装した多くの民兵がうろついている。特徴的なのは口笛で情報のやり取りをしていることで,仮にステルスキルなどで音を立てずに始末しても,口笛の返事がなくなったことを怪しみ,警戒態勢に入ったりするようだ。
 また武器なども前述の音が出ない弓矢や近接武器などを好むという,ほかのグループとは違った特徴を持っており,戦闘になると発砲音がする銃などと違って,瞬間的に“どこから攻撃されたのか分からない”といった事態に陥ったりもする嫌らしい相手だ。

接近戦では(敵兵士が持っているような)近接武器が非常に有効だが,耐久度があり一定程度使うと壊れてしまう。そういったときは初期装備のナイフを活用するしかないが,ステルス状態で隙を突かない限り,敵を倒すのは苦労するはず
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 逃げたり隠れたり,場合によっては孤立した民兵を排除しながら何とか先に進むと,セラファイトの支配地域を抜けたようで,何とか目的の病院にたどり着くことに成功した。ただこの建物はWFL(ワシントン解放戦線)と呼ばれる高度に組織化された民兵団体の拠点であるようで,潜り込んだ中庭にはその兵士が大量に巡回している。前出の公園のように雑草や物陰は多いが,高台には見張りがいたりと,先に進むのは容易でない感じだ。

 こういった場所では,レンガや空き瓶といった“投げたら音がする”ものを活用して相手の視線をよそに向け,その間に裏を抜ける……といった方法を使うと多少は進みやすくなる。とはいえそういったガラクタを持てる数は1個なので,連発できないのは注意したい。

 うろついている兵士だけでも厄介なのだが,それに輪をかけて障害になるのがWFLの連中が連れている“犬”の存在だ。人間の場合は視界に入らないようにして,目立つ音を立てない限りはバレる可能性は低いが,犬は臭いを探知してこちらの存在を敵兵士に伝えるだけでなく,隠れていても警察犬よろしく臭いをたどってこちらを追いかけてくる。
 また,いざ戦闘になれば飛びかかってきてこちらをダウンさせるなど,純粋に敵の頭数と攻撃バリエーションが増える,という点でも嫌らしい存在だ。

 ここも何とかステルスできり抜けたかったのだが,途中で何度か失敗し,最終的にはため込んだ銃器と投てき武器,そして治療キットを消費して力尽くで無理矢理進むことに。倒した敵やその近くにある机や収納を探せば材料や弾丸は入手できるが,量は少なく,結果的に“赤字”にしかならない。
 また治療キットは停止して時間をかけないと使えないので,「回復しながらごり押しする」といったことも不可能だ。道中で拾える近接武器は強力だが,近づかないと使えないし,放っておいても寄ってくる感染者と違い,人間相手に正面から突進すればあっという間に蜂の巣になってしまう。

 そういった点では力押しは決して多用できるものではないのだが,いざというときにはそういった手段を取らざるを得ないときもある。そんなときはなるべく遮蔽物を活用するほか,場合によっては一回全速力で遠くに逃げる,火炎瓶などの投てき物でかく乱するなど,工夫が必要になるだろう。

 そんなこんなで何とか病院内に潜り込み,目的のノラという女性に会ったエリーが「ねえ,覚えてるでしょ」と語りかける……というシーンで今回紹介が可能な部分は終了だ。

文字だけはピンとこないかもしれないが,ノラに向けた言葉の「ねえ,覚えてるでしょ」は感動の再会……といった感じではなく,銃を向けた臨戦態勢で放ったもの
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画像集#004のサムネイル/大人になったエリーには,激しく,厳しく,そして怒濤のような展開の冒険が待っていた。「The Last of Us Part II」先行インプレッション

 今回紹介したパートでとくに印象的なのは,中盤以降の怒濤のような展開だ。次々とトラブルが発生し進む場所もめまぐるしく変わるのだが,それはごく短いムービー的なシーンと自然なQTEで通常のプレイシーンとシームレスにつながっており,細かいことを考える暇もなく進んでいく。自分で操作していることもあり,エリーに降りかかった災難がまるで自らが直接受けているようにも感じるのは,ゲームならではの体験といった感じだ。

 またトラブル自体は避けられなくても,その後にどう対処するかはあくまでプレイヤーにゆだねられており,恐らく人によって大きく異なる展開になるはずだ。不意打ちを食らった後に冷静に対処することもできるし,逆に怒りにまかせて全力で逆襲することもできる。
 操作可能なパートでどうするかに正解はないので,感じたとおり,あるいは反射的に行った行為が,個々のプレイヤーなりの正解というわけだ。マップ自体は一本道に近いが面積としては広めで,探索の楽しみも十分にあるし,進むルートもプレイスタイルによって変わってくる。

 アクションとしてはほふくが可能になって障害物の下に隠れられるなど,とくに垂直方向で行動可能範囲が広がっている。だが敵もそれに応じた索敵を行ったり,前述の犬のような動物を使ったりと,難度としては決してヌルくない印象だ。とはいえ難度調整はいつでも可能なので,アクション操作が苦手なプレイヤーが行き詰まってしまうようなこともないだろう。

 さらに今回のシーンで強く感じたのは,たくましく成長したエリーの力強さだ。本作でのエリーは19歳と,大人と呼んでも差支えない年齢で,さらに子供の頃から幾多もの修羅場をくぐり抜けてきただけに,そのタフさにはとにかく驚かされてしまった。
 生命の危機に晒されるシーンがいくつもあるのだが,それでも臆することなく進み続けられる強さは,義父ともいえるジョエルの影響といって間違いないだろう。この「エリーの成長ぐあい」もまた,本作で注目したいポイントだ。

 なお当然ながら一応説明しておくと,ここで紹介したパートはゲーム全体から見ればごく一部。エリーの冒険がどう始まり,またどこへ行き着くのか。それが明らかになる製品版の発売を楽しみに待ちたい。

「The Last of Us Part II」公式サイト

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