レビュー
待望のマルチプレイに対応した「キューブクリエイターDX」インプレッション。お外で気軽に楽しめる3DS用サンドボックス
キューブで構成された世界で,サバイバルや建築を楽しむ――いわゆるサンドボックス系と呼ばれるジャンルの本作は,2015年に発売され,静かな人気を呼んだ前作「キューブクリエイター3D」の続編タイトルだ。今作では「ペット」「栽培」といった新システムが導入され,よりパワーアップしたサバイバルが楽しめる。
用意されたゲームモードは3種類で,大自然で生き抜いていく「サバイバル」と,キューブを自由に配置して建造物を作る「クリエイティブ」に加え,さまざまな仕掛けを配置してステージをエディットする「ステージビルダー」が追加。さらにローカルとオンラインでのマルチプレイにも対応し,クリエイティブやステージビルダーモードで作ったステージは,「みんなの広場」を経由して配信も可能となった。本稿では,そんな本作のプレイフィールをモードごとに紹介していこう。
「キューブクリエイターDX」公式サイト
未開の地を生き抜くサバイバルモード
サバイバルモードは,未開の世界に放り込まれた状態から,その身一つで生き抜いていくという,クラフト&サバイバルの醍醐味が味わえるゲームモードだ。ポイントとなるのは,周囲の自然から素材を入手して道具を作る「クラフト」で,これを使って世界を切り拓いていくことになる。まずは「木」を壊して「木のかたまり」を手に入れ,「木のキューブ」をクラフト。ここから木を切り倒す「木のオノ」,地面を掘る「木のシャベル」,岩を砕く「木のツルハシ」,モンスターとの戦いを有利にする「木の剣」や「木の盾」といった道具類を作成し,素材収集やモンスターとの戦いを効率化。さらなるパワーアップを目指していく,といった具合である。
ただし,時間に応じて満腹度が減少していき,ゼロになると体力が徐々に減少していくので,食料を調達しなくてはならない。木になっている果実を弓矢で撃ち落としたり,動物を倒して入手した肉をかまどで焼いたりして,食べ物を確保しよう。もちろん,弓矢やかまど,動物を倒すための武器も自分で作らなければならない。サバイバルは厳しいのだ。
さらに今作では,作物を育てることでも食料が入手できるようになった。まずは,自生している小麦やトマトから苗を入手。次に地面を耕して苗を植える。その後は水場からバケツを使って水を汲み,苗にかけてやると作物が育って収穫できるという塩梅だ。
水場が近くて地面が土になっているところを探し,シャベルで平らなスペースを作り,苗を植えて水をやる。ちょっとした苦労だが,まるで本当の畑仕事のようで,作物が育ったときの充実感は格別だ。
動物やモンスターと戦っていると,たまに「ペット」にできることがある。ペットは共に戦ってくれるだけでなく,自分を背中に乗せて走ってくれたり,空を飛んでくれたりと色々に活躍してくれる。
最初は肉や素材にするために襲った相手でも,懐いてくれると情が湧いてくるのが不思議なところ。キャラクターデザインは可愛らしいドット絵風なので,愛着もひとしおだろう。牛をペットにすると牛乳を出してくれるなど,食糧の確保にも役立ってくれるようなので,ペット集めに精を出すのも楽しそうだ。
見た目はキュートな本作だが,サバイバルものとしての遊び応えはなかなかのもの。広いワールドを移動しているとテンポよく動物やモンスターが出現するので,バトルに素材集めや探索など,いい意味で忙しい。モンスターは手ごわいが,倒した時の見返りも大きい。自分でクラフトするには何段階かの手間をかけなければならない「石のオノ」などの道具や,「ほうたい」のようなドロップ専用のアイテムが手に入るのだ。装備が揃わないうちは返り討ちにされることもしばしばだが,アイテム狙いで特攻するのもアリだろう。
サバイバルモードでは最大4人でマルチプレイが可能。3DSを持ち寄ってのローカル通信とインターネット経由の両方に対応しており,協力してサバイバルするのも面白そう。自分のキャラクター(アバター)の姿は自由に変えられるし,装備品でも見た目が変化するため,オシャレを追求するのも良いだろう。
クリエイティブモードとステージビルダーモード
世界を自らの手で切り拓いていくサバイバルモードに対し,クリエイティブモードとステージビルダーモードは,ワールドにキューブを自由に配置しながら,オリジナルの世界を作り上げていくモードとなる。
共にキューブを自由に配置できるのは同じだが,クリエイティブモードは建造物を作り上げるのが中心になっていて,想像力次第でさまざまな建物や像などが生み出せる。このモードは前作にも存在したものだが,ワールドを真上から見下ろしたり,指定座標に瞬間移動できたりと,操作性は向上している。
一方,ステージビルダーモードでは,建造物のみならず,行く手を阻むモンスターや,さまざまな仕掛けを組み合わせて“ステージ”を作れる。一見,クリエイティブモードと似ているが,あちらが観賞用の作品を作るのが目的であるのに対し,ステージビルダーモードは,ほかのプレイヤー(もちろん自分でも構わないが)に遊んでもらうことに主眼を置いている点が異なっている。
モンスターを大量に配置したバトル系ステージや,「トランポリン」や「コンベア」などのギミックを重視したアスレチックコースなど,工夫次第で面白いステージが生み出せる。制作したステージは,「みんなの広場」に投稿して共有できるので,ほかのプレイヤーが作ったステージに挑戦してみるのも面白いだろう。
Minecraftと何が違うのか
さて,この手のサンドボックスゲームといえば,このジャンルを代表するタイトルとして「Minecraft」があるわけだが,同作と「キューブクリエイターDX」はどう違うのだろうか。自然から素材を手に入れ,道具を作って生き延びるサバイバルという点では,両作はとてもよく似ているゲームと言って過言ではない。エディット機能はクリエイティブとステージビルダーに分かれていて,目的別に遊びやすくなっているものの,基本的に「Minecraft」でも可能なモードである。
一方で,ゲームに新要素を追加したり,キャラクターの見た目を変えるスキンといったMOD系コンテンツには,「キューブクリエイターDX」は当然ながら対応していない(これは「Minecraft」でもコンシューマ版は同様だ)。ワールドやステージをダウンロードする以上の拡張性を求めるのであれば,PC版の「Minecraft」を選ぶべきだろう。
というわけで,本作ならではの要素を挙げるのならば,それはやはりニンテンドー3DSで遊べる点が大きい。「携帯性に優れた3DSで,気軽にサンドボックスゲームを楽しめる」「オンラインのみならず,ローカル通信で顔を合わせてマルチプレイができる」というのは,やはり魅力的だ。また,オリジナルがPC版であるMinecraftは,コンシューマー版であっても必ずしも親切なゲームとは言い難い部分があり,初心者にとってのハードルという意味では,「キューブクリエイターDX」に一日の長がある。
もしあなたの周囲にニンテンドー3DSユーザーが多くいて,そんな友達と顔を合わせながらサンドボックスゲームのマルチプレイを楽しみたいなら,本作は有力な選択肢になり得る。出先でのちょっとした時間に建物を作ったり,ワイワイとサバイバルを楽しみたいなら,本作を試してみるといいだろう。
「キューブクリエイターDX」公式サイト
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(C)2017 Big John Games.
Developed and Published in Japan by Arc System Works.