インタビュー
「アフター・ジ・エンド」キーマンインタビュー。シングルプレイ中心の“買い切りアプリ”を投入した裏には,どんな開発経緯があったのか
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ネクソンといえばオンラインゲームのパブリッシング会社というイメージだが,珍しくも本作は買い切り型のアプリとしてリリースされている。それに見た目からは想像しづらいが,開発元はあの「アラド戦記」や「攻殻機動隊 S.A.C. オンライン」といったPC向けオンラインアクションをバリバリ制作しているNeopleだ。
基本プレイ無料(アプリ内課金制)のビジネスモデルが大流行しているスマホゲーム市場に,シングルプレイ中心の“買い切りアプリ”の投入を決めた裏には,どんな狙いがあったのだろうか。
今回4Gamerは,ゲームの開発担当者であるパク・ジェウン氏に,その開発経緯などを聞いてきたのでお伝えしよう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。基本プレイ無料(アプリ内課金制)のビジネスモデルが大半を占めるこのご時世に,コアなオンラインゲームを開発されているNeopleさんから買い切りタイプの作品が出るとは正直考えていませんでした。ぜひ開発経緯をお聞かせください。
「ゲーム本来の面白さを追求する」をモットーとし,「エビルファクトリー」(iOS / Android,関連記事)と「アフター・ジ・エンド」の開発が2年ほど前にスタートしました。当初は買い切りタイプの作品として制作していませんでしたが,開発途中に経営陣を交えた会議を行い,そこで今回のビジネスモデルに変更したという経緯があります。
4Gamer:
買い切りタイプから基本プレイ無料のビジネスモデルに変更するならまだしも,その逆のことが起こるケースは珍しくないでしょうか。
パク氏:
買い切りで成功するかどうかについては,疑問視する声も当然少なくありませんでした。しかし,これはネクソンがパブリッシャだからこそ決定できたことで,結果的に深みのあるゲームに仕上がりました。
4Gamer:
ビジネスモデル以外にも,開発途中で大幅に変わったところはありますか?
パク氏:
もともとは縦持ちのゲームだったんですよ。しかし実際に遊んでみると,片手では操作がなかなか大変でした。それに3Dのグラフィックスを採用しているので,縦画面だとプレイヤーにとって空間を認識しづらいという問題も出てきたんです。そこで横持ちに変更し,ストーリーを盛り込むことも決めて,結果的には買い切りタイプのゲームらしくなり,没入度も高くなったと思います。
4Gamer:
遊ばせていただいた感想としては,非常に手触りが良くて,絵的にも柔らかい印象を受けました。その一方で,少しでも敵に当たっただけで死んでしまうというシビアなゲームバランスを採用されており,レトロゲームを彷彿とさせる懐かしさも感じられました。
パク氏:
死にやすいバランスには,学習のためにリトライさせることをプレイヤーに促すという狙いがあるんですが,あまりストレスを与えすぎないという点にも気をつけています。たとえば残機を使い切ってしまっても,シンプルなミニゲームをクリアすれば復帰できるので,とくにペナルティはありません。
とはいえ,1つのステージにかかるプレイ時間が長いので,そこは今後のアップデートなどを通じてもう少し改善したいと考えています。
4Gamer:
ちなみに,パクさんは本作を開発するうえで,どういったタイトルからインスピレーションを受けたんでしょうか。
パク氏:
「ICO」や「INSIDE」「JOURNEY(邦題:風ノ旅ビト)」「LIMBO」といったタイトルですね。とくに「LIMBO」は,本作で表現したかったスタイルとすごく合致していると感じています。
4Gamer:
勉強不足で恐縮ですが,韓国では日本より先に配信されているんでしょうか。
パク氏:
今回は全世界で同時配信としています。
4Gamer:
なるほど。では今のところ,まだプレイヤーからのフィードバックを得られていない状況ですね。
パク氏:
はい。内部からのフィードバックを把握している程度ですね。
4Gamer:
そのフィードバックは社内テストなどを実施して得たと思うんですけど,そのときはどういった意見が挙がりましたか。
パク氏:
操作に関する意見がもっとも多かったです。カメラを動かし,キャラクターも動かし,そしてオブジェクトまで動かして……と。そういった「操作が大変」というフィードバックがほとんでした。しかし「慣れてくるとプレイしやすい」という意見に変わっていったので,それから操作に関しては手を加えてません。
4Gamer:
分かりました。日本でNeopleさんといえば「アラド戦記」の印象が非常に根強くて,アクションゲームに特化した会社というイメージがあります。今回のようなカジュアルライクな作品を開発するうえで,Neopleさん的に苦労した点などもお聞かせください。
パク氏:
初の試みでもあったので,「エビルファクトリー」と並んでいろいろ苦労しました。作りはしましたが,採用できなかったコンテンツも多くあります。たとえばカメラを手でふさぐと画面が暗くなるというアイデアがその1つなんですが,実装は見送っています。プレイヤーとキャラをもっとインタラクティブな関係に落とし込みたかったんですが……。
ほかにも,端末を揺らすとゲーム内で地震が起こる的なアイデアもありましたが,こちらも見送りました。惜しいところはたくさん出てきますが,メンバーも満足のいく仕上がりには近づけたと思っています。
4Gamer:
アクションゲームとは異なり,歯応えのあるボスが登場するというゲームでもないので,演出面もかなり工夫されたのではないでしょうか。
ええ,演出面にも多くの試行錯誤がありました。映画や3Dアニメーションのような印象をプレイヤーに抱いてもらえるように目指してきたつもりです。内部ではゲーム性をもっと高めようという声も挙がっていたんですが,“感情を揺さぶるストーリー”をどうしても諦めたくなくて,切り落とせませんでした。それを開発プロセスの中でどうやったら生かせるのかは,今後さらに工夫しなければと考えています。
ストーリーにも注力した買い切りタイプのアプリは,韓国市場でも非常に少ないですし,開発者として作る機会もなかなかありません。今回の経験を生かして,より良いゲームを開発できる環境が整えられたらと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。最後に,今後のアップデート情報などを教えてください。
パク氏:
現在のエンディングとは別にもう1つのエンディングの追加を予定しており,Steam(PC)などのプラットフォームへの移植や,モバイルコントローラへの対応も検討中です。
4Gamer:
追加のエンディングはハッピーエンドですか?
パク氏:
それは見てからのお楽しみです(笑)。企画初期に3つ以上のエンディングを考えていて,現状のはそのうちの1つで,追加するエンディングもこの中から選ぶ予定です。
4Gamer:
キャラやモンスターの詳細なデータ&モデルが見られる図鑑を埋めていくような機能もほしいです。
パク氏:
いいアイデアですね! ありがとうございます。
──2017年3月8日収録
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