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「『聖剣伝説』25th Anniversary Concert」が開催。オーケストラの演奏と作曲者・開発者のトークでシリーズを振り返ったステージをレポート
ステージでは,「聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜」(以下,FF外伝),「聖剣伝説2」,「聖剣伝説 LEGEND OF MANA」(以下,聖剣伝説 LOM),「聖剣伝説3」「聖剣伝説4」という5タイトルからの名曲がオーケストラアレンジで演奏された。選曲および構成は,2016年夏に実施したリクエスト企画の結果を参考にしつつ,「聖剣伝説」シリーズのプロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの小山田 将氏と4Gamer編集部とで行っている。
「Music 4Gamer #1『聖剣伝説』25th Anniversary Concert supported by SQUARE ENIX」オフィシャルパンフレット(Kindle版)
セットリスト
<第一部>
1.「Rising Sun」
2.「果てしなき戦場」〜「少年は荒野をめざす」〜「Swivel」(メドレー)
3.「Legend of Mana 〜Title Theme〜」〜「彩りの大地」(メドレー)
4.「Mana's Tale」〜「危機」(メドレー)
<第二部>
5.「天使の怖れ」〜「Meridian Child」(メドレー)
6.「滅びし煌めきの都市」
7.「哀しみのなかで」〜「想いは調べにのせて」(メドレー)
<第三部>
8.「Pain the Universe」〜「Black Soup」(メドレー)
9.「愚者の舞」〜「最後の決戦」(メドレー)
10.「子午線の祀り」
<アンコール>
11.「ホームタウン ドミナ」〜「心のある場所」〜「ホームタウン ドミナ」(メドレー)
12.「Hightension Wire」
13.「天使の怖れ」(別アレンジ)
14.「Rising Sun」(伊藤賢治氏によるピアノソロ)
開演前に,「聖剣伝説」シリーズの作曲を手がけた伊藤賢治氏と菊田裕樹氏をゲストに招いたトークコーナーが設けられた。
まず作曲に関して,菊田氏は「アイデアなどが降りてくるタイプ」とのことで,周囲から文句を言われることもあるとのこと。一方,伊藤氏は考え抜いて作曲することもあれば,ふとしたことでアイデアが閃くこともあるそうだ。
通常,作曲はディレクターなどから発注を受けて行うのだが,二人が「聖剣伝説」シリーズに関わっていた当時は,たとえばバトル曲であれば「バトル1」「バトル2」「中ボス」「ラスボス」といった感じの,かなりザックリしたオーダーだったという。
また,イメージイラストなどが用意されるケースはまれで,主に箇条書きされた設定から想像を膨らませるしかなかったと話していた。
会場では,今回会場に来られなかった「聖剣伝説 LOM」の作曲者である下村陽子氏からの,伊藤氏と菊田氏に対する質問も披露された。その内容は,「自分で作った曲のデモを開発チームに提出するときの気持ちは?」というものである。
伊藤氏は「自分としては最高のものを提出するが,音楽の感じ方は人それぞれなので,必ずしも受け入れられるわけではないと考えている」と回答し,「リテイクが出た場合には音色やフレーズを少しずつ変えて,相手の考える音楽に近づけていく」と語った。
また菊田氏は「なるべくデモを出さず,完成した曲をいきなり聴かせる」とのこと。それでリテイクが出たときは,「相手が本当に求めているものは何なのか,事前に調べた上で曲を作っているから,ダメだったときは自分が間違っていたと受け入れる」と話していた。
「聖剣伝説」シリーズは音楽の人気が高いことで知られているが,作曲していた当時からそうなる確信があったかという質問には,菊田氏が「ゲームは開発期間が長いので,その間にだんだん良し悪しが分からなくなる」と回答。また伊藤氏は「FF外伝」のオープニング曲として作った「Rising Sun」の仕上がりには自信を持っていたとのことで,ラストシーンにも使おうと自ら提案したエピソードを披露した。
今回のコンサートのセットリストについては,菊田氏が「人間が演奏することを前提にして作曲していないから無茶だ」と思ったことを明かした。また伊藤氏は,「自分の作った曲がアレンジされているの聴くと,アレンジャーさんの思いが伝わってくるようで嬉しい」と語っていた。
コンサート本編は,「FF外伝」のテーマ曲「Rising Sun」でスタート。アレンジは「聖剣伝説4」で使われたバージョンがベースだ。
続いて「FF外伝」「聖剣伝説2」「聖剣伝説3」のフィールド曲メドレー,「聖剣伝説 LOM」のテーマ曲とダンジョン曲のメドレー,「聖剣伝説4」の冒頭で流れる「Mana's Tale」,「聖剣伝説2」の最初のボスバトル曲「危機」と,各タイトルの序盤で耳にする楽曲が演奏されて,第一部が終了。ゲームをプレイし始めたときのように,この先の展開を期待させる構成となっていた。
第一部終了後には,「聖剣伝説」シリーズの生みの親である石井浩一氏,「聖剣伝説2」「3」を手がけた田中弘道氏,そして小山田氏の3名をゲストに招いたトークコーナーが設けられた。
田中氏は,「FF外伝」のリリース前にも,世に出なかった「聖剣伝説」プロジェクトが二つあったというエピソードを披露。一つはファミコンのディスクシステム用に企画された3部作で,もう一つは「Wizardry」のような3DダンジョンRPGにリアルタイム性を持たせた内容で,「FINAL FANTASY」に先駆けたスクウェア初のRPGになる予定だったという。
そういった経緯もあり,もともと別の名称で考えていた企画が「聖剣伝説」を名乗ることになったのだが,石井氏は「マナの樹を守るようにして,剣が刺さっている」という構図を閃いたことにより,イメージの統一を図ったそうだ。
また「FINAL FANTASY」の外伝という位置付けについては,「聖剣伝説」では現象界である「FINAL FANTASY」よりも前のアストラル界を描いていると話していた。
田中氏は,スーパーファミコン向けに「聖剣伝説2」を開発するにあたり,「FF外伝」からシステムを一新し,世界観も見直したと説明。これは「FINAL FANTASY」シリーズのナンバリングタイトルが,基本要素を共有しつつ,1作ごとに作風やシステムが変わることに倣っているという。
また「聖剣伝説2」では二人プレイを導入しているが,石井氏によると,これは兄弟や家族と一緒に遊ぶことを想定していたとのこと。「家族や子ども同士で一緒に遊べる期間はそう長くない。あとから振り返ったときに思い出になると考えた」と説明していた。
そんな「聖剣伝説」シリーズを継承した小山田氏は,小学校時代,転校するその日に「FF外伝」をクリアしたという思い出を披露。今回,シリーズが25周年を迎えたことは一ファンとしても嬉しいと話していた。
第二部は,「聖剣伝説2」の「天使の怖れ」と「聖剣伝説3」の「Meridian Child」のメドレー,「聖剣伝説 LOM」の「滅びし煌めきの都市」,「哀しみのなかで」と「想いは調べにのせて」のメドレーと,各タイトルの人気曲が演奏された。いずれもゲームの名シーンや特徴的なパートの楽曲であり,各タイトルをプレイした当時を思い起こす観客も多かったのではないだろうか。
また第三部は,各タイトルのボスバトル曲を見事なオーケストラアレンジに落とし込んだ演奏が次々に披露された。とくにコンサート本編の最後を飾った「子午線の祀り」は,演奏前に「あの緊張感溢れる矢継ぎ早の展開をオーケストラでどう再現するのか」と考える人も多かったようだが,これが実にハマっており,客席からはひときわ大きな拍手が上がっていた。
アンコールは,「聖剣伝説 LOM」から「ホームタウン ドミナ」,「聖剣伝説3」から「Hightension Wire」というこれまた人気曲が並び,「なぜセットリストに入ってないんだ」と疑問に思った人も一安心する展開。そしてアレンジ違いの「天使の怖れ」がフルバージョンで演奏され,作曲者と開発者計5名が再び登壇してカーテンコールで締めくくり……かと思いきや,最後に伊藤氏がピアノソロを披露するサプライズが!
「やるぞ!」という掛け声とともにピアノに向かった伊藤氏が演奏したのは,「FF外伝」のオープニングとエンディングで流れた「Rising Sun」。今回は「聖剣伝説」シリーズ初のオーケストラコンサートとなったこともあり,すべての楽曲が聴きどころとなる内容だったのだが,「FF外伝」と同じ演出となったこの最後の演奏によって,会場全体の「聖剣伝説」への思いはまさに一つになったのではないだろうか。
コンサート終了後,ゲストとして登壇したゲストの5名に感想を聞くことができたので,以下に掲載し,本稿の締めとしよう。
石井浩一氏:
感動しました。皆さんには「『聖剣伝説』を好きになってくれてありがとう」という気持ちです。その気持ちを味わえたのが,すごく嬉しかったです。
田中弘道氏:
素晴らしい曲が思い出とともに蘇りました。素晴らしかったです。感動しました。
小山田 将氏:
本当にいいコンサートになりました。感無量です。会場に来てくださった皆さんが同じ気持ちでいてくださると嬉しいです。
伊藤賢治氏:
まず終わってホッとしましたし,いろんなことを思い出しましたね。僕達が作った曲は昇華して,皆のものになったんだなと感じます。またこういう機会を設けて,皆さんと思いを共有できたら嬉しいです。
菊田裕樹氏:
「子午線の祀り」でちょっと泣いちゃいました。演奏者の皆さん,指揮者の柴田真郁先生に頑張っていただいて,本当にありがとうございます。来場してくださった皆さんにも感謝しています。それ以上は言葉にならないですね。
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