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  • アリカ
  • 発売日:2018/06/28
  • 価格:通常版:6800円(+税)
    ライト版:4800円(+税)
    パッケージ版:7600円(+税)
    ※パッケージ版は2018年12月6日発売
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[EVO2017]PS4での開発が決定した,アリカの「謎の格闘ゲーム」インタビュー。新要素「強氣システム」の謎を開発・西谷 亮氏に聞いてみた
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印刷2017/07/21 00:00

インタビュー

[EVO2017]PS4での開発が決定した,アリカの「謎の格闘ゲーム」インタビュー。新要素「強氣システム」の謎を開発・西谷 亮氏に聞いてみた

「ファイナルファイト」や「ストリートファイターII」の生みの親の一人として知られ,アリカの代表取締役社長を務める西谷 亮氏
画像集 No.001のサムネイル画像 / [EVO2017]PS4での開発が決定した,アリカの「謎の格闘ゲーム」インタビュー。新要素「強氣システム」の謎を開発・西谷 亮氏に聞いてみた
 2017年4月1日に,アリカのエイプリールフール企画として1日だけお披露目された「謎の格闘ゲーム」。ジョークとは思えないクオリティの高さで話題となった同作だが,EVO2017の最終日――北米時間の7月16日のステージ上にて新たなトレイラーを公開,新情報が明らかとなった。PlayStation 4プラットフォームでの開発が決定したのみならず,往年の人気キャラクター,スカロマニアとダランも登場したこのトレイラーについては,速報として掲載した記事でもお伝えしているが,現状開発はどこまで進んでいるのだろうか。EVO2017にプレイアブル出展されたいたバージョンを元に,開発元アリカの西谷 亮氏に話を聞いてみた。

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新要素「強氣システム」によって,さらなる進化を遂げたEXシリーズ


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。早速ですが,このタイトルって,作品名はまだ決まっていないのですか?

西谷氏:
 そうですね,タイトル名はまだ決まっていません。「謎の格闘ゲーム」ということで,ひとつよろしくお願いします。

4Gamer:
 分かりました(笑)。前回取材させていただいたときは,あくまで「エイプリルフール企画」とおっしゃっていましたが,今回の出展バージョンとはかなり違いがあるようです。

西谷氏:
 ええ。以前のものと比べると,開発はかなり進行しています。いろいろな問題があってバタバタしていましたが,EVO2017に出展できることが決まって,「じゃあ,やるだけやってみるしかないでしょう」となりました。

4Gamer:
 登場キャラクターから,本作は「EX」シリーズの系譜であることが分かりますが,十数年経ってEXシリーズを世に出そうとしているのは,どういった経緯からなのでしょうか。

西谷氏:
 実は,原型はずっと前から作っていたんですよ。あれはニンテンドー3DSが出た当時で,「こんなのどうよ」ってなんとなく形を作ったんです。いろいろな事情があってお蔵入りになりましたが,その後もWiiで動かしてみたりとか,ずっとくすぶり続けていた作品なんですね。それをエイプリルフール企画として表に出すことになり……どうせならってことでしっかり作ってみたら,僕のやる気スイッチが入っちゃったという(笑)

4Gamer:
 今回触ってみたところ,「強氣システム」というのが目玉になっていると感じました。エイプリルフールのバージョンにはなかった要素ですが,インストカードの説明を見るかぎり,かなり重要なシステムのように思えます。

EVO2017出展バージョンの本作に搭載された新要素「強氣システム」。キャラクター選択時にセットする「強氣」を選択し,かつバトル中に一定の条件を満たすことで,キャラクターが強化される。セットした強氣は画面下部に丸いアイコンで表示され,最大5つまで選択可能だ
画像集 No.003のサムネイル画像 / [EVO2017]PS4での開発が決定した,アリカの「謎の格闘ゲーム」インタビュー。新要素「強氣システム」の謎を開発・西谷 亮氏に聞いてみた

西谷氏:
 そうですね。効果的にもかなりはっちゃけたものになっています。例えば「Rage」なら,条件こそ「スーパーコンボゲージを7本消費」とハードルが高いですが,一度発動してしまえばスーパーコンボゲージが使い放題です。相手にしてみれば,発動された時点で負けたようなものなので,そうなる前に相手を倒さなければなりません。

4Gamer:
 それはすごい。「Speed Up」には「Increase Movement Speed By 10%」とありますが,これはキャラクターが前後に移動するスピードについてですか?

西谷氏:
 ええ,ダッシュやジャンプは変わりません。ただし,これは複数個セットすることも可能なので……。

4Gamer:
 何個もセットして発動すると,ものすごい移動速度になる?

西谷氏:
 ええ,とんでもない速さになります(笑)。ただ,現在ものはあくまで試作段階なので,今後どういう形になるかはまだ決まっていません。

出展バージョンに搭載された強氣のリスト。スーパーアーマーがつく「Hades」など,かなり夢のある効果が揃っている
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4Gamer:
 キャラクターの性能を,自由に変更できるというのは面白いですね。自分のプレイスタイルに合わせて,スピード重視にも防御重視にもできるとなれば,同じキャラクターでもかなり戦略に幅が出そうです。ちなみにセットする強氣は,プレイヤーが自由に選べるのですか?

西谷氏:
 はい。出展バージョンではプリセットされた5つのデッキから選択する方式ですが,正式リリース時には1つずつ選べるようにするつもりです。

4Gamer:
 プレイし続けることで解放されるアンロック要素だったり,合計コストみたいなものもなく?

西谷氏:
 構想の段階では考えていましたが,プレイヤーからすると,そういうのって面倒くさいじゃないですか。なのでなるべく公平に,誰もが最初からすべて選択できるようにしたいと思っています。

対戦の様子
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4Gamer:
 それは確かに。ところで,前回あった「EXARROW」(相手の位置を追尾するジャンプ)やステージごとの地形要素は,今回のバージョンでは削除されているようです。これはなぜなのでしょうか。

西谷氏:
 「EXARROW」は今回は削除しましたが,将来的には強氣として復活さたいと思っています。ぶっちゃけ,何でも強氣に入れてしまえばいいんです(笑)。その代りに,それ以外のゲームシステムはできるだけプレーンにする。

4Gamer:
 「奥移動」の要素も削られているようですが,これも共通システムをプレーンにするというコンセプトからですか?

西谷氏:
 そうですね。本来はこれも強氣として搭載したいところだったんですが……ちょっと色々と問題があって,今回は泣く泣くあきらめました。地形の要素がなくなったのも,同じ理由からです。

4Gamer:
 なるほど……ゲームシステムに合わせてプレイスタイルを変えるのではなく,強氣を使い,プレイスタイルに合わせて自分好みのゲームシステムを選択するという趣向でしょうか。その代りに,共通システムはシンプルにすると。

西谷氏:
 そうですね。ただそれだけでなく,強氣同士の組み合わせや,相手がセットした強氣に合わせて自分のデッキを考えるといった要素も出てきます。例えば,例えばスーパーコンボゲージを吸い取るような強氣があれば,さっきの「Rage」に対する強力な対抗策になりますよね。

4Gamer:
 ああ,相手のデッキを見て自分のデッキを切り替えたり,メタ的なデッキを構築したりといった,カードゲームのような駆け引きもあると。

西谷氏:
 このタイトルは,操作技術や反射神経の劣っている人にも勝つチャンスを与えたいというコンセプトがあります。「Progressive」という操作モード――これは俗にいう「簡易コマンド」ですが――を用意したのも,そうした狙いがあるからなんです。

本作では格闘ゲームでお馴染みのコマンド操作のほかに,「Progressive」という操作方法も用意された。話によれば,初心者のみならず,上級者が活用しても面白いとのことだった。ただ,入力にニュートラルが絡むため,必ずしも出しやすいとは限らない
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4Gamer:
 なるほど。本作の狙いが少し分かってきた気がします。そこであえてお聞きするのですが……キャラクター性能をカスタマイズするアイデアは,これまでの格闘ゲーム歴史の中にも,度々登場してきたフィーチャーだと思うんです。しかしながら,それが成功したという前例は……残念ながらあまり聞きません。

西谷氏:
 そうなんですよね。うちのゲームでいうと,「超ドラゴンボールZ」(PlayStation 2 / AC)が似たようなことをしていましたが,後に続いたゲームはあまりありませんでした。正直,5年前とかだったら,このシステムは無理だったと思います。ただ……今ならいけるかなって。

4Gamer:
 ということは,勝算がおありだと。ちなみに,“今なら”とはどういう意味なのでしょうか。

西谷氏:
 格闘ゲームというジャンル自体が成熟してきていて,新しいものを求めるプレイヤーが増えましたし,プレイヤーの技術レベルも上がっているので,今なら着いてきてもらえるのではないかと。……ぶっちゃけ,ちゃんと調整できるか心配ではあるんですけど。

4Gamer:
 格闘ゲームにおけるキャラクターのカスタマイズがこれまで定着しなかったのって,まさにその“調整の難しさ”なのではないかと思うんです。でも西谷さんとアリカなら,なんとかしてくれるんじゃないかという期待もある。

西谷氏:
 このシステム以外にも,新しい格闘ゲームのアイデアは,ずっと僕の頭の中に浮かんでは消え,浮かんでは消えという状態が続いていました。でもその中でも強氣システムは,想像の中で遊んでみて,すごく面白かった。それで実際に作って遊んでみたら,やっぱり面白かったんですね。もちろん問題は山積みなんですけど,今はそこには目をつぶって,この面白さを追及してみたいと思っています。

取材中には,ブース出展していたアークシステムワークスの面々も視察に現れた。格闘ゲームのライバル(?)として,やはり本作が気になるのかも?
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4Gamer:
 分かりました。しかし,夢が広がるゲームシステムですよね。この「Overload」とか,これさえ発動すれば,条件無視でほかの強氣を発動させてしまえるわけですよね。

西谷氏:
 そうです。条件が厳しい強氣も,これと組み合わせれば強制発動させられるという。強氣はアイデア次第でいくらでも増やせますから。極端な話,技1つを強氣にしてしまうのもありです。例えばスカロマニアだったら,セットすることでスカロドリームが出せるようになる強氣とかね(笑)。

4Gamer:
 ちなみに,このEVO2017でのプレイヤーの反応はいかがですか。

西谷氏:
 思ったよりいい反応で,安心しています。絶対面白い作品になると思うので,ぜひ応援してくだい。まだ開発が始まったばかりではありますが,皆さんの応援次第で,世に出せる確率があがりますので。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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