日本初公開となったPhantom Gamingブランドのグラフィックスカード
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2018年3月31日,ASRockは,東京・秋葉原の秋葉原UDXで,ゲーマー向け新製品発表イベントを開催し,同社初のグラフィックスカードブランドとなる「
Phantom Gaming」(ファントムゲーミング)の製品を披露した。
Phantom Gamingブランドは,3月28日に
世界市場へ向けて発表したばかりのもので,いずれもAMDの
Radeon RX 500シリーズを採用するのがポイントだ。
今回披露された製品は以下の4製品で,会場には,いずれも実機が展示されていた。スペックの詳細は,
発表時の記事を参照してもらいたい。なお,各製品の国内向け価格は未発表であるが,2018年4月中旬には発売する予定であるという。
本稿では,イベントの模様と新製品の特徴を簡単に紹介しよう。
- Phantom Gaming X Radeon RX580 8G OC
- Phantom Gaming X Radeon RX570 8G OC
- Phantom Gaming Radeon RX560 2G
- Phantom Gaming Radeon RX550 2G
Phantom Gaming X Radeon RX580 8G OC。「Radeon RX 580」搭載の最上位モデルで,2基の空冷ファンが付いた大型のクーラーを備える
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Phantom Gaming X Radeon RX570 8G OC。Radeon RX 570搭載モデルで,2連ファン付きクーラーは上位モデルと同じ構造のようだった
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Phantom Gaming X Radeon RX580 8G OCを搭載したデモPCでは,「Forza Horizon 3」のプレイを楽しめるようになっていた
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好天に恵まれた土曜日ということもあってか,イベント会場は多くの来場者が詰めかけた(左)。開会直前には座席を急遽追加するほどで,ASRockスタッフが「もっと大きな部屋を借りるべきだったかな」と漏らすほど。会場にはグラフィックスカードだけでなく,ASRock製の現行マザーボード製品も並べられていたが(右),今回はグラフィックスカードが主役ということで,イベントでの言及はなかった
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Phantom GamingはOC耐性の高さがポイント
デフォルト設定でも競合他社のOC設定並み
新製品を披露するLL Shiu氏(左,President,ASRock)とChris Lee氏(右,Senior Marketing Director,ASRock)
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イベントには,台湾から訪日したASRockの最高執行責任者を務める
LL Shiu氏と,マーケティングディレクターの
Chris Lee氏が登壇し,Phantom Gamingのコンセプトと特徴について説明した。
両氏が強調していたのは,Phantom Gamingは3つの要素に重点を置いていることだ。1つは「オーバークロック耐性の高さ」で,2つめはそれを支える「放熱機構」,そして3つめは使いやすい「ソフトウェア」であるという。
とくにLee氏は,具体的な数値を挙げて,Phantom
Gaming
X
Radeon
RX580
8G
OCがどれだけ高性能であるかをアピールしていた。氏によると,競合他社――名前をぼやかしていたが,ASUSTeK Computer,GIGA-BYTE
TE
CH
NO
LO
GY,
MSI――のRadeon RX 580搭載モデルと比較したとき,競合の製品は,メーカーが設定したオーバークロック動作モードのコアクロックが1380MHzであるのに対して,ASRockの製品は「Default」(標準)モードでさえ,同じ1380Hzであり,「OC」モードでは,さらに高い1435MHzで動作するとのこと。これにより,Phantom Gamingは「市場で一番速い(Radeon RX 580搭載)グラフィックスカード」であると,Lee氏は自信満々に述べていた。
ユーザーが試行錯誤してオーバークロックを試みなくても,他社製品より高いコアクロックで動作できるというのは,確かに魅力と言えるかもしれない。
製品名の末尾に「OC」と付いた製品は,オーバークロック時に高いコアクロックで動作する「OC Certified Edition」であるという
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Lee氏が披露した,Phantom Gamingと競合製品の動作クロックを示したグラフ。Phantom Gaming X Radeon RX580 8Gは,標準状態で他社のオーバークロック動作並み,OCモードではさらに55Hz高いクロックで動作する
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またLee氏は,Phantom Gamingの高いオーバークロック性能を支える放熱機構の特徴についても,簡単に紹介した。
氏曰く,Radeon RX 580とRX 570を搭載する2製品は,2基の大型ファンをクーラー上に搭載し,ファンの軸受けには,オイル漏れの心配がない長寿命のボールベアリングを2個使用することで,一般的なベアリングを使うファンよりも,
30
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40%の長寿命を実現しているという。
2基の大型ファン(左)は,長寿命のボールベアリングを2個使った軸受けを採用している(右)
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大型のヒートシンクと組み合わせたヒートパイプは,アルミニウム合金製パイプの内側に溝を掘ることで表面積を増やしたうえ,さらにその内側に銅の素材を使用するという複雑な構造をしており,これによって熱輸送効率を30%向上させているそうだ。
大型のヒートシンクには,アルミと銅の2層構造を持つ「コンポジット・ヒートパイプ」を組み合わせて,放熱能力を高めている
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なお,ASRock独自の設定ソフトである「Phantom Gaming Tweak Utility」は,
GPUやグラフィックスメモリの動作状況を分かりやすく示すのに加えて,ボタン1つで設定を切り替えられ,ユーザーによるカスタマイズも可能であると,Lee氏は説明していた。
使いやすさが特徴というPhantom Gaming Tweak Utility
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ところで,Lee氏は最後に,各製品の仕様を示したスライドを披露したのだが,そこには,世界市場での発表時におけるラインナップにはなかった「Phantom
Gaming
Radeon
RX560
4G」と「Phantom
Gaming
Radeon
RX550
4G」という製品も記載されていた。
これらの製品は,グラフィックスメモリ容量が4GBで,メモリインタフェースは256bit,メモリクロックも8000MHzと,発表済みのグラフィックスメモリ容量2GBモデルよりも,メモリ周りの仕様が強化されたものになっているようだ。
Phantom Gamingのラインナップを示したスライド。発表時になかった2製品を加えた6製品が書かれている
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さて,イベントの最後に行われた質疑応答で,「Radeon RX Vega搭載製品の予定は?」と問われたShiu氏は,具体的に答えることはできないと断ったうえで,「近い将来,欲しいものが手に入るのではないかな」と述べて,製品化が進行中であることをうかがわせていた。
また,筆者が,Phantom
Gamingブランドを,マザーボード製品に展開することもあり得るのかと質問したところ,Shiu氏は,現状ではグラフィックスカードのみであるとしたうえで,マザーボードにもPhantom
Gamingブランドを展開する可能性はあると答えた。将来には,Phantom
Gamingブランドのマザーボードというものが,出てくることがあるかもしれない。