インタビュー
[E3 2017]モンタナ州が舞台に選ばれたのは“フロンティア”だから。「ファークライ5」のプロデューサーに話を聞いた
今でこそ人気シリーズとなったファークライだが,その道のりは平坦ではなかった。
2004年にリリースされた初代「Far Cry」は,ドイツのCrytekが開発し,Ubisoftがパブリッシングを担当したFPSだったが,そのリリース後にCrytekとUbisoft間のパブリッシング契約が終了。IPを持っていたUbisoftが自社で開発し,2008年にリリースした「Far Cry 2」は,個人的には好きな作品だが,あまり高い評価を得ることができなかった。
4年後の2012年,さまざまな面が見直された「ファークライ3」がヒットしたことで,2014年の「ファークライ4」,そして今回の「ファークライ5」へと続いてきたことになる。そのため,「ファークライ3」以降の作品は,いろいろと共通点が多いのだ。
そんなシリーズの最新作となる「ファークライ5」はどのような作品になるのか,Ubisoftのモントリオールスタジオでプロデューサーを務めるDarryl Long氏に聞いた。
その中の1つがモンタナで,州の別名は「Big Sky Country」。広い平野が広がり,山には木々が生い茂り,きれいな川が流れる土地だが,Long氏はなにより,そこに住む素朴な人々にインスパイアされたという。
「ファークライ3」では,文明から遠く離れた孤島,そして「ファークライ4」では,ヒマラヤの山岳地帯が舞台になった。モンタナ州は,それらと比べればはるかに文明化されているが,そこに住む人々が依然として持ち続けている「政府に頼らず,自分の問題は自分で解決する」というフロンティア精神において,これまでのロケーションと共通するとLong氏は述べた。
なるほど,モンタナ州になった理由は分かったが,アメリカなんだから,悪役であるザ・ファーザーことJoseph Seedのカルト教団から逃げようと思えば,いくらでも逃げられるのでは? という疑問は残る。
これについては,まずホープ・カウンティの人々が,伝統を重んじ,故郷を離れたがらない,ということが理由として挙げられた。先祖や子供達,そして家や財産などは彼らにとってとても重要であり,簡単に土地を捨てることはないというわけだ。
それになにより,ザ・ファーザーの教団は人々の意識にのぼることなく静かに広がって準備を整え,教団が行動を開始してすぐに地域社会が崩壊してしまったという設定もある。事件はいきなり起き,人々が逃げる暇はなかったのだ。
さて,魅力的で危険な悪役もまた,「ファークライ3」以降の作品の特徴だが,今回のザ・ファーザーもなかなか複雑な人物であるらしい。3人兄弟の長男として生まれた彼は,家庭が崩壊したため,養父母に引き取られ,兄弟と引き離されて子供時代を過ごした。
トラブルが多い子供として成長した彼はやがて“声”を聞くようになる。養父母の家にまったくなじめなかった彼に,声は「世の中に出て,コミュニティを築け。そして良いことをしろ」と告げ,彼はそれに従ったという。
彼は信者を集めて教団を作ったが,やがて声は,「終末のときは迫っている。おまえはそのための準備をしなければならい」と告げた。
彼は声の指示するままに軍隊を組織し,食料品や武器を集め始めた。そしてある日,彼が救わなければならないと考える人々をさらい,バンカー(地下壕)に集めたのだとLong氏は説明してくれた。
「ファークライ3」のバースはサイコパス,「ファークライ4」のパガンは残酷な独裁者だったが,今回のザ・ファーザーはその2人とまた違った人物造形になっている。これは,ファーザーと激しく戦うプレイヤーが,ちょっとした疑心暗鬼に陥ることを狙っているとのことだ。
具体的にどうなるのかはさすがに明かしてくれなかったが,ファーザーもプレイヤーも,お互い自分が正しいと思うことをやっているわけで,本当はどちらが正しいのか,次第に分からなくなってくるという流れのようだ。
既存のシリーズ作品にも,「悪を倒すためには,こちらが最悪にならなくてはならない」といった心理描写があったような気がするが,いずれにせよ今回も,なかなか一筋縄でいかない,大人の物語が楽しめるだろう。
基本的なゲームシステムは,これまでと同じく「オープンワールドを舞台に,自由な攻略が楽しめる」ものになるという。
マップのあちこちにある敵の拠点を制圧して自分の地域を広げ,ファーザーを追い詰めていく中でリニアなストーリーが展開するが,どの拠点を攻めるか,いつやるか,どうやってやるかは完全にプレイヤーの自由。ときには,移動中に野生動物に襲われるかもしれない。なにしろAIに任せている部分もあるので,開発者にも何が起きるか分からないそうだ。
新たな要素としては,「Guns for Hire」システムが採用されている。こちらは,E3 2017の試遊レポートにもあるように,ほかのキャラクターと一緒にミッションを行うというもので,傭兵システムの進化形という感じだ。
「NICK RYE」「GRACE ARMSTRONG」,そして犬の「BOOMER」と一緒に戦え,例えば「BOOMER」は敵に飛びかかって銃を奪ってくることができるので,弾丸が少なくなったときに重宝する。
NICK RYE(発音は,ほぼ「ニコライ」)は,小型機で上空から支援をしてくれる。今回の試遊では,プレイヤーを一定の方向に誘導していたが,本当はもっと自由であり,例えばNICK RYEの飛行機に一緒に乗るといったことも可能だという。
「BOOMER」は,ナデナデできたり,逆に顔をなめられたりすることがあるが,これは,「ファークライ プライマル」の経験から導入したフィーチャーとのこと。
そしてLong氏はは,ゲームのすべてのキャンペーンをCo-opで行えると話した。詳細は分からないものの,「Guns for Hire」システムとのつながりが気になるところだ。
発売はしばらく先だが,現段階の情報だけでも,「ファークライ5」は,かなり魅力的な作品になりそうな雰囲気が漂ってきた。続報を楽しみにしたい。
「ファークライ5」公式サイト
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(C)2017 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Uplay, the Uplay logo, Ubi.com, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
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