インタビュー
「ワンダと巨像」リメイクを担当したBluepoint Gamesに,作品が持つ魅力や気を配った点について聞いてみた
今回,4Gamerでは,リメイクを担当したBluepoint Gamesのプレジデント,Marco Thrush氏にメールインタビューを行い,「ワンダと巨像」という作品の魅力はどこにあるのか,そしてそれらをPlayStation 4で再現するにあたって重視したポイントはどこなのかなどを聞いた。上田文人氏へのインタビュー同様,全文は会場で販売するパンフレットに掲載予定だが,ここではその一部をお届けする。
「ワンダと巨像」公式サイト
「ワンダと巨像」ピアノ&オーケストラコンサート特設ページ
時代を超越した「ワンダと巨像」という物語
オリジナル版の持つ雰囲気の維持が最重要課題だった
4Gamer:
「ワンダと巨像」という作品には,どのような魅力があると考えていますか?
「ワンダと巨像」は真に時代を超越した物語です。プレイヤーとキャラクターとの心をつなげ,エンディングを力強く迎えるために,ストーリーが素晴らしい役目を果たしています。
また,2005年当時にほかのクリエイターがしていたことと,まったく異なることをしようとした,最初のゲームの一つでもあります。ボスとの対峙だけでオープンワールドのゲームを作るというのは,かなりの勇気が必要だったと思いますが,このプロジェクトに参加した全員の奮闘によって,見事に作品として成立させました。
ファンがこの作品に対して抱いている熱量も,この作品が特別なものである証だと思います。私自身もPlayStation 2版は発売された当時にプレイしましたし,PlayStation 3でのリマスターと,今回のリメイク版に携わったことで,この作品にはとても特別な思い入れがあります。
4Gamer:
今回のPlayStation 4でのリメイクについて聞かせてください。10年以上も前に発売された「ワンダと巨像」という作品を,現行のプラットフォーム向けにリメイクするにあたって難しかったのは,どういったところでしたか?
Marco Thrush氏:
一般的に,人の記憶は美化される……という問題への対処は重視していました。さらに,2005年と2018年という歳月の間にあるギャップは,“単純な”リマスター版にとっては大きすぎます。1作目が発売された当時にこのゲームに触れなかった人達の大半にとっては,“時代遅れのゲーム”として目に留めてすらもらえない可能性もあります。
そんな中,私達はソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)のサポートのおかげで,多くの人々がPlayStation 4向けのゲームに期待しているレベルまでビジュアルを向上させ,さらに「ワンダと巨像」という作品を,新規ファンに紹介するという貴重な機会に挑むことができ,たいへん光栄でした。
4Gamer:
「ワンダと巨像」のリメイク版で工夫したポイントを教えてください。
Marco Thrush氏:
プレイヤーが抱く郷愁の念や好みは,プレイヤーの数だけ存在するものです。この問題に取り組み,より多くの人が幸せになれるように……と考え,私達は非常に多くの選択肢を提供することにしました。
まず操作方法として,昔からのものと近代的なものの二つを用意しています。また通常のPlayStation 4では30fpsモードでのみプレイ可能ですが,PlayStation 4 Proを使えば60fpsモードでもプレイできます。モーションブラーの量も調整できますし,ゲームの見た目や色温度を調整可能なゲーム内フィルターもあります。もし,ゲームの画面を色あせたような見た目にしたいなら,それも可能です。カメラの挙動も,オリジナル版のようにしたり,新しいものにしたりできます。
全員を幸せにするのは不可能だと私達も分かっていますが,それでも私達がゲームのオリジナル版から離れないように,オリジナル版「ワンダと巨像」のチームメンバーの何人かも含めて,SIE ワールドワイド・スタジオ JAPAN Studioの素晴らしいメンバーと密に協力してきました。
4Gamer:
リメイクにあたり,重視していたポイントを教えてください。
Marco Thrush氏:
オリジナル版の持つ雰囲気を維持することは最重要で,ゲームのプレイ方法を変えたり,このゲームで意図していないことをことをするべきではないと考えていました。
例えば,グリップメーターを備えるというのは,このゲームに必須の部分です。荒廃した世界は古えの地の発想を強調し,生命の存在する場所に特別な意味をもたらします。このレベルの重要なものを変えたりすれば,たとえ新規プレイヤーに気に入ってもらおうという目的があったとしても,ゲームの心も魂も台無しにしてしまうでしょう。
一方で,PlayStation 4のタイトルらしく見えることも,新規層に紹介し,願わくば新世代のファンを生み出すために必要なことです。そのため,多くの場面でオリジナル作のビジュアルデザインをあらためて解釈しつつ,グラフィックスをアップグレードする必要が生じました。多くのものは,より現実的な環境で見ると違和感を覚えます。妥協をしなければならない場面もありましたが,どうかこれらの妥協が多くの人の不興を買わないことを願っています。
4Gamer:
プレイヤーには,リメイク版のどこを注目してほしいですか?
Marco Thrush氏:
物語,音楽,アート,そしてゲームプレイもすべて,全体の一部です。一つの要素だけを切り離して焦点を合わせることはできないので,注目すべき一つの特定のことを挙げるのは難しいです。
目新しいアートなど,ぱっと見で気付きやすい要素に加えて,目に見えないかなりの量の作業がありました。ワンダが剣をしまうと,ちゃんと鞘に収まることはその一つですが,細かすぎてあまり気付かれないかもしれません。また,プレイヤー体験がより洗練されたものになるよう,アニメーションを滑らかにするなど,私達の工夫の多くは気付きにくいものかもしれません。
私達が施したマイナーな変更のほとんどは,PlayStation 2版やPlayStation 3版を横に並べて見比べるなどしなければ,誰にも気付かれないことかもしれませんが,私達はそれで良いと考えています。
一方,走っている最中に呼び出しボタンを長押しするとアグロが走ってきて,ワンダとの距離がぴったりになると走りながらアグロに乗れるなど,遊びやすさに直結する改善も行っています。
4Gamer:
「ワンダと巨像」の音楽についての印象を教えてください。
Marco Thrush氏:
戦闘テーマのヒロイズム(英雄観)と非戦闘テーマによってもたらされる憂うつの対比が素晴らしいです。ゲームの進行に合わせて,音楽がプレイヤーの抱える感情を映し出すのが大好きです。
不思議な出来事,救い手であり英雄であるという感情,そして物語が展開して最後にこの上ない悲しみを知ること。このゲームは作曲家・大谷 幸さんの素晴らしい仕事なしでは,断じて同じものにならなかったでしょう。
4Gamer:
とくに好きな曲があれば教えてください。
Marco Thrush氏:
「最果ての地」は聴き手を古えの地に連れて行くことでしょう。「ワンダと巨像」の世界を完璧に表現していると思います。
また,「開かれる道」の壮大なメロディが呼び起こす感情は,まるで巨像を倒す英雄になったかのような気持ちにさせてくれます。
4Gamer:
3月9日には,日本で「ワンダと巨像」の音楽のみを特集したコンサートを開催します。この会場に行こうと考えているファンに,一言メッセージをお願いします。
Marco Thrush氏:
人生最高の特別な楽しみが待っていますよ。
Music 4Gamer #2
「ワンダと巨像」
ピアノ&オーケストラコンサート
【日時】
2018年3月9日(金)18:00開場/19:00開演
※18:30頃より開演前トークコーナーを予定(出演:野島健児氏,大谷 幸氏)
※未就学児童入場不可
【会場】
Bunkamura オーチャードホール
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
【指揮】
柴田真郁
【演奏】
東京交響楽団(オーケストラ),東響コーラス(コーラス),末永 匡(ピアノ)
【チケット料金】
SS席(1階席前方ブロック):9000円(税込)
S席(1階席後方ブロック):8000円(税込)
A席(2階席):7000円(税込)
B席(3階席):6000円(税込)
【一般発売】
2017年12月9日(土)10:00〜
東京音協オンライン http://t-onkyo.co.jp/
チケットぴあ http://w.pia.jp/t/wander/
0570-02-9999
Pコード:100-793
※セブンイレブン,ファミリーマート,チケットぴあ店舗
ローソンチケット http://l-tike.com/wander/
0570-084-407(10:00〜20:00)
0570-084-003
Lコード:35075
※ローソン,ミニストップ店内端末「Loppi」
イープラス http://eplus.jp/wander/
※ファミリーマート店内端末「Famiポート」
楽天チケット http://r-t.jp/wander/
Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999(10:00〜17:30)
オンラインチケットMY Bunkamura http://my.bunkamura.co.jp/
※座席選択可能
Bunkamuraチケットカウンター
※Bunkamura 1F(10:00〜19:00) ※12月10日以降
東急シアターオーブチケットカウンター
※渋谷ヒカリエ2F(11:00〜19:00) ※12月10日以降
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