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  • 発売日:2018/01/18
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リズムゲームで話題のRayarkとはいったいどんな会社なのか? 台湾本社の開発現場をレポート&インタビュー
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印刷2018/04/03 12:00

インタビュー

リズムゲームで話題のRayarkとはいったいどんな会社なのか? 台湾本社の開発現場をレポート&インタビュー

「Cytus II」に何故ストーリーが実装されたのか?開発チームへインタビュー


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはお二人の自己紹介をお願いします。

GULUJAM-CHANG氏(以下,グル氏):
 「Cytus II」のプロデューサーのグルです。主に「Cytus II」のコアとなるプレイ方法などを決定しています。

KIVA-WU氏(以下,KIVA氏):
 KIVAです。サウンドディレクターと,サウンドプロデューサー,あと脚本ディレクターを務めています。

4Gamer:
 「Cytus II」は,前作のリリースから約6年経っての続編ですね。まず続編を作るに至った経緯を教えていただけないでしょうか。

プロデューサーGULUJAM-CHANG氏
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グル氏:
 「Cytus」はこれまでのリズムゲームになかった,新しいプレイ方法を作り出せたと思う作品でした。それが色んな人に面白いと認めていただいて,続編を望む声も多くいただけました。なので,プレイヤーの声にお応えして,というのと,我々も2を出す価値があるなと思ったからです。

4Gamer:
 プレイ方法は前作を踏襲されていますが,ビジュアルなどが大きく変わりました。その中でも,なぜリズムゲームにストーリー要素を追加したのかが気になります。

グル氏:
 「Cytus」をリリースした後に,「DEEMO」や「VOEZ」といった色々なリズムゲームを出しているのですが,その過程で“プレイヤーがストーリー部分を大切にしている”というのを感じました。心に残るゲームはやはり,ストーリーの部分にも重点を置いた物が多いなと。なので,「Cytus II」でもストーリー性を大きくしました。

サウンドディレクター,サウンドプロデューサー,脚本ディレクターKIVA-WU氏
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KIVA氏:
 実は「Cytus」にもストーリーは一応存在していたんですよね。ですが,チャプターに入る時のちょっとした情報でしかストーリーを憶測することができなくて,どちらかと言えば世界観に入りにくいなという印象がありました。なので,「Cytus II」ではもう少し世界観に入り込みやすくしました。

4Gamer:
 本作に登場するキャラクターは,すごい個性的というか,それぞれが尖っていますよね。

グル氏:
 物語を作るにあたって,キャラクターというのはかなり大切で,まず続編を作る一番最初にキャラクターの設定を考えました。そして,そのキャラクターが好みそうな音楽という風に,キャラクターごとに楽曲をジャンル分けしました。これも「Cytus II」の世界観を作る重要な部分だなと思っています。

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4Gamer:
 なるほど。しかし,音楽のジャンルはけっこう限られていると思うので,今後追加するキャラクターの数に響くことはありませんか。

KIVA氏:
 「ジャンルで分ける」とは言っていますが,そこまで厳格に分けるわけでもないですよ。ストーリーを進めていくうえで,そのキャラクターが好きな曲だったり,ストーリーと絡んだ曲だったり。絶対にこのキャラクターはこのジャンルの楽曲というわけではありません。

グル氏:
 ジャンル分けというより,そのキャラクターの個性に合った楽曲という感じですね。

4Gamer:
 分かりました。では次に,ストーリーの肝となる「Cytus」の世界観について教えてください。そもそも「Cytus」とは何なんでしょうか。

グル氏:
 1作目の「Cytus」は抽象的と言うか,ハッキリしたストーリーがあるわけではないのですが。遠い未来の世界で,人類が滅亡してしまうという危機に陥った時,自分たちの記憶をロボットの中に移すことになります。でもやっぱりロボットなので,記憶はあるけど,感情という物は存在しない。その記憶に感情を持たせるためには“Cytus”というメインサーバーに接続しなくてはいけないんです。そのメインサーバーに接続すると,記憶に感情が乗るのですが,その感情が“音楽”という風な設定になっています。

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4Gamer:
 かなり深い設定があったのですね。ちなみに,その“Cytus”というサーバーは「Cytus II」にも出てきますか。

グル氏:
 痛い質問ですね……(笑)。秘密としか言えないです。

4Gamer:
 では,軸となるストーリーが関連しているわけではないのでしょうか。

グル氏:
 現在「Cytus II」で出ているストーリーって,本当に膨大なストーリーの内の一部だけなんですよ。なので,今後もプレイを続けていただいて,プレイヤー自身が「Cytus」と「Cytus II」につながりがあるかどうかを判断してもらえればと思います。

4Gamer:
 個人的に一番気になっていることなんですが,ゲームの中に出てくるSNS風な「iM」システムがすごいリアルですよね。書き込みの数々がすごく身近で見る内容だなと思ったのですが,どなたが考えているんですか。

KIVA氏:
 iMというシステム自体はグルが考えたのですが,その中の会話は私とTonyが描きました。

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グル氏:
 iMというシステムを作り出した裏話としては,「Cytus II」の世界はもしかしたら今の世界とは全く違う時空の話かもしれないですが,今の私たちの世界でもネット上の会話って色んな人が色んなことを言っていて,嘘かもしれないし,本当かもしれないし,何を信じたらいいか分からないじゃないですか。自分の主観でこの人が言っていることが正しくて,この人が言っていることは間違っているっていう風に,結構ごちゃごちゃですよね。その世界を,ゲームの中に持ってくることで,「この事件は本当にあったことなのか」「この人が言っていることは本当なのか」っていうリアリティが出せるかなと思ったんです。

KIVA氏:
 あと,やっぱり「Cytus II」は基本はリズムゲームなので,ストーリーがあまりにも膨大過ぎるとリズムゲームっていう本質がなくなってしまうので,現実世界のSNSと同じようにすることで,自分で見るか見ないかを決められるようにしました。プレイヤーにはその情報の中から真実を見つけ出してもらえればなと。

4Gamer:
 なるほど。ストーリーを事細かに説明するのではなく,プレイヤー自身がiMシステムを見て,その中から一連の出来事を考察するという感じなんですね。

KIVA氏:
 そうですね。

4Gamer:
 本作では新ノーツと,スキャンラインのスピードアップ・ダウンが追加されましたよね。やはり続編とあって,ゲームに変化を持たせなくてはいけなかったと思いますが,この追加は悩みましたか。

グル氏:
 そうですね。まず前提として,前作までのプレイ方法は変えることはできなかったので,その中でどう進化させようかと悩みました。結果として,今回は曲に合わせてラインのスピードを変えてみたり,チャレンジ性を高めるためにノーツを増やして,これまでと違ったプレイ方法になるようにしました。

4Gamer:
 今回もまた難しかったです。特にスキャンラインのスピードが変化するのが私はとても苦手でした。

KIVA氏:
 スピード変化に関しては意見が二極化していますよね。好きな人はまず初めてやってみて,そこから譜面を覚えてもう1回やってみてという,一連の流れからの達成感が味わえるのが良いようなのですが,嫌いな人は本当に……(苦笑)

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4Gamer:
 私は後者でしたね(笑)。ちなみに,UIはほぼ同じに収まったわけですが,譜面に変化を持たせるような機能を追加する可能性はありますか。例えば,譜面を鏡写しのように逆さまにするミラーモードとか。

グル氏:
 ああ,面白いですね。実は開発中にも色々考えていたんですよ。例えば,途中でスキャンラインが消えたりとか。

4Gamer:
 すごい難しそうですねそれ。

グル氏:
 ノーツの配置の仕方を変えてみたりとか,結構考えましたね。そういった新しい変化はこれからも色々と考えていくので,今後はいろんな可能性がありますよ。

4Gamer:
 もしかしたら,今後のアップデートで突然新機能が登場する……なんて可能性も?

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グル氏:
 まだ時間がかかるかもしれませんが,可能性はありますよ。

4Gamer:
 楽しみに待ってます。アップデートと言えば,先日追加キャラクターCherryが配信されました。新キャラクターの追加がかなり早く感じますが,今後もこのペースで追加していきますか。

グル氏:
 短期間の間に新しいコンテンツを送り出せるようにはしたいのですが,それが新キャラクターかどうかは,楽しみにしていてください。

KIVA氏:
 Cherryについては,実はけっこう早い段階で構想はされていたので,今回はこれだけ早く出せたんです。他にも何人か構想していて,そのキャラクターたちも今後追加されると思うので,もう少しお待ちください。

4Gamer:
 新キャラクターを追加する以外にも,楽曲だけを追加する「楽曲パック」のような形のアップデートは考えていますか。

グル氏:
 それはもちろんあり得ます。新曲を期待してくださっているプレイヤーさんも多いので,例えば無料キャラクターに楽曲を追加したり,すでに購入していただいている有料キャラクターに新しい曲を追加するといったアップデートを行う可能性もあります。

4Gamer:
 今購入している範囲で楽曲が追加されるなら,すごく嬉しいですね。あと,本作は日本人のコンポーザーさんが多いですよね。

KIVA氏:
 そうですね。日本のコンポーザーさんは,すでに日本のリズムゲーム界で活躍されていたり,以前もコラボしたことがある作曲家さんだったりが大勢いるので。でも,日本に限らず,台湾であったり,アメリカであったり,これからも世界中から楽曲を入れられたら良いなと思っています。

4Gamer:
 ちなみに,コンポーザーさんには楽曲を提供してもらうだけで,ゲームの開発自体に関わってもらうことはないのでしょうか。

KIVA氏:
 基本的には楽曲を提供していただいたらそれで終わりですね。

グル氏:
 ただ単に出来ている楽曲を提供していただくだけでなく,こちらから「Cytus II」の世界設定の資料をお渡しして,書き下ろしをお願いしたりすることもありますよ。そういう場合は,ストーリーに関係のあるような楽曲になったりします。

KIVA氏:
 今回のCherryなんかがそうですね。Cherryの楽曲には,ストーリーに関係のある歌詞を含んだ楽曲が多いです。これからもそういう楽曲を増やせていけたら良いなと思っています。

4Gamer:
 Rayarkさんはたしか,以前楽曲の公募をしていましたよね。今後も同じようなことをする予定はありますか。

KIVA氏:
 今のところそういう計画はないですが,今後またやる可能性はあります。ただ,「Cytus II」に関しては,これまでのゲームよりハイクオリティな楽曲を収録する必要があったり,ストーリーがあったりしますので,今はまだ公募でたくさんの楽曲を入れる段階ではないです。

4Gamer:
 分かりました。少し話題が逸れてしまいますが,「Cytus Ω」についても聞かせてください。なにか進展はありますか。

グル氏:
 「Cytus Ω」について,Rayarkはライセンスをカプコンさんに渡して,カプコンさん側で開発,こちらは監修と言う形なのですが……。両社で協議を行った結果,「Cytus Ω」の話は正式になくなりました。

4Gamer:
 え!? そうだったんですか。アーケード版「Cytus」を期待している声はかなりあっただけに残念です。Rayarkさん自身でアーケードゲーム界に参入するということはないでしょうか。

グル氏:
 可能性はあるかもしれないです。しかし,まだ何も企画をしていませんから,色んな可能性がある,とだけ言えます。

4Gamer:
 アーケード版は非常に楽しみにしていたので,今後新しいお話があることを期待しています。
 「Cytus」はタブレットでプレイするタイプのリズムゲームですし,「Nintendo Switch」とも相性が良いと思うのですが,Switch版を出す予定はありますか。

グル氏:
 将来的にはそういうことも出来たら良いなと思っています。ただ,こちらもまだ何も計画されていません。

4Gamer:
 ちょっと変な質問になってしまいますが,Rayarkさんのリズムゲームと言えば「DEEMO」も挙がると思いますが,それぞれが意識しあったりしますか。

KIVA氏:
 基本的にはないですね(笑)。「DEEMO」のプロデューサーが「Cytus II」の脚本を書いていたりしますし,基本的に仲良くやっています。

グル氏:
 リズムゲームを作っているメンバーはほぼ同じなんですよ(笑)。

4Gamer:
 そうだったんですか。では,今後社内のタイトルで楽曲コラボをしたりとかも?

グル氏:
 社内でのコラボに限らず,様々なゲームとコラボしていきたいですね。

4Gamer:
 それはファンとしても嬉しいです。「DEEMO」が日本のゲームとコラボしているのは知っていたのですが,「Cytus」は特にそういったことがなかったですよね。

グル氏:
 これからはどんどんコラボしていこうと思っています。

4Gamer:
 では逆に,他のゲームタイトルから「Cytus II」のキャラクターを使わせてほしいと言われたらどうでしょう?

グル氏:
 それはもちろんOKですよ。基本的に色んなコラボに対してウェルカムな状態です。ただ,コラボ内容を1度確認する必要がありますね。

4Gamer:
 やっぱり世界観を大事にしたいということでしょうか。

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KIVA氏:
 そこに関しては,プロデューサーと脚本で違う意見があるかもしれないですね。脚本的には,まったく違う世界観のキャラクターなどが「Cytus II」の中に入ってくる場合は,どうやって入れたらいいか考えなくてはいけませんし,やっぱり世界観に重点を置いているので,そこは大事にしたいなと思いますね。

4Gamer:
 分かりました。では,最後に日本のプレイヤーへメッセージをお願いします。

グル氏:
 いつもRayarkのゲームを応援してくれてありがとうございます。「DEEMO」においても,「Cytus」においても,皆さんのご意見があったから,ここまで大きくなれたのかなと思います。「Cytus II」は皆さんのご意見や,これまでに私たちが学んできた経験を融合して作り出したゲームです。これからリズムゲームの指標となるような作品に出来たら良いなと思っています。日本の皆さんにも気に入っていただけると嬉しいです。

KIVA氏:
 みなさん,こんにちはKIVAです。皆さんはすでに気づいていたかもしれませんが,「Cytus II」から制作に関わるようになりました。「Cytus II」が音楽の価値を越えられるようなゲームになってほしいと思っています。今「Cytus II」でお見せできているストーリーはほんの一部で,プレイヤーの皆さんより,私たちの方が早く皆さんに新しいストーリーをお届けしたいという気持ちが強いです! 楽しみに待っていてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

 インタビューを実施した翌日(2018年3月17日),VOEZカフェで「Cytus II」初のオフライン大会が開催されていた。今回は抽選で選ばれた50名が参加して,複数グループに分かれてスコアを競い,最終的に上位3名を決定するというもの。ユーザーとのふれあいが目的なイベントだろうと筆者は思っていたのだが,イベント開幕前から参加者の空気が全然違う……。

開発スタッフを前にしても,黙々とタブレットで練習しまくる参加者たち
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スタッフから紹介されたこちらの男性は,台湾ソーシャルメディア「PTT」のBBSでRayarkタイトルの管理人をしている林晉廷さん。スマホもバッチリRayark仕様。自信の程を聞いてみると,周りに自分よりうまい人が多いから……ととても謙虚に答えられてしまった。このピリピリした空気では,そう答える気持ちもよく分かる
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 大会内容を聞いてみると,選べるモードは最高難度の「CHAOS」限定となっており,決勝戦にいたっては,「Cytus II」で最も難しいと言われる3曲をプレイするのだそうだ。もうここまで来たら分かるだろうが,このイベントめちゃくちゃガチな大会だった!

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 この大会には賞品も出されており,上位3名にはそれぞれコンセプトショップで販売されている公式グッズがプレゼントされ,見事優勝したプレイヤーは「Cytus II」のiMシステム内に,自分のキャラクターを登場させることが出来るスペシャルサプライズ付き。

 こういったオフラインイベントは今後日本でも開催できたら良いねと,CEOのミンヤン氏は語ってくれたので,日本でのイベント開催も期待したいところだ。

 今回,取材のお土産にコンセプトショップで販売されている台湾限定グッズをもらえたので,4Gamer読者へプレゼント。内容は,「Cytus II」のブランケットとメモパッド,「DEEMO」のパスケース,「Sdorica」のサウンドトラックの計4点。詳しくは,土曜日に掲載する「Weekly 4Gamer」今週のプレゼントをチェックして,応募してほしい。

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