連載
マフィア梶田の二次元が来い!:第405回「オーバードーズな役者の穴に潜るドールズオーダー」
なのでPS4版の発表はこれ幸いという感じでして,待ちに待っておりました。ダウンロード版を予約済みなので,発売されたら即プレイする気満々です。コミカライズを担当しているぶくちゃん(大川ぶくぶ氏)もオススメの本作,皆さんもぜひチェックしてみてくださいね。
「RADIO 4Gamer Tap(仮)」の第89回では,gumiより配信中の「ドールズオーダー」(iOS / Android)を特集。ゲストとして,プロデューサーの牧江 翔氏と,広報のいしだ氏をお招きし,ゲームの魅力をご紹介いただきつつ,実際に遊んできました。
本作,かなり本格的なハイスピードバトルができるゲームとなっておりまして。読み合いや駆け引きの要素が強く,対人戦がアツいです。プレイヤーが操作する「ドール」のキャラクターも魅力的で,いわゆる“持ちキャラ”を誰にするか悩んでしまいそうですね。
分かりやすい例では,某ロボゲーをゲームセンターでガチャガチャやっていた人ならば間違いなくハマる作品となっております!
「ドールズオーダー」公式サイト
「ドールズオーダー」ダウンロードページ
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映画監督の三池崇史氏が主催する俳優ワークショップ「三池崇史の役者の穴!」。全国の受講希望者から送られてきた40秒間の自己PR動画を三池監督自身がチェックし,その中から選ばれし者だけが参加できるという非常に倍率の高いイベントです。
実は,この連載でも度々話題になっている友人のショーン村松が,三池監督作品にダイアログコーチとして数多く携わっておりまして,その御縁から,イベントを見学させてもらえることになったんですよ。マフィア梶田,役者の穴に潜ってきました。
このワークショップでは役者の“穴”という名称に倣って三池監督が「穴長」,受講者が「穴子」と呼ばれており,マフィア梶田の立場は関係者を表す「穴員」でした。
映画業界の第一線で活躍されている三池監督から直々に演技指導を受けられる機会など滅多にないので,できれば穴子の一員として参加したかったところですが,それは厳しい選考を勝ち抜いた皆様だけが得られる特権……。自分はおとなしく見学しているつもりだったのですが,なんと,ありがたいことに一部の講習だけ参加させてもらえることになったんですよ。
ちなみに三池穴長の最新作である「ラプラスの魔女」は,公開初週のランキングで超大作の「レディ・プレイヤー1」を抑えて3位に位置しており,滑り出し好調とのこと。当人からは「このあと落ちていきます」という,ギャグとして受け取っていいのか判断に困る一言がありましたが,穴子たちにはドッとウケていました。なお,翌週ランキングでも4位に位置しており,確かに落ちはしましたが引き続き好調です。みんな,どんどん観に行こうな(ダイレクトマーケティング)。
それから休憩や昼食を挟みつつ,ボイストレーニング(講師:岡田実音氏),ダイアログレッスン(講師:村松ショーン氏),ダンスレッスン(講師:近藤良平氏),アクション序説(講師:辻井啓伺氏)と続いていくのですが,このあたりから本格的な実技に入っていきまして。マフィア梶田も,そのすべてに参加させていただきました。
第一線で活躍している方々からの直接指導ということでカッチコチに緊張していましたが,さすがというかなんというか……内容が濃すぎて,たった1日なのにとても多くの“気付き”が得られました。
三池穴長も最初の挨拶で「演技の巧拙が見たいのではなく,参加することで“何か”を得てほしい。自身が持つ独自の輝きを出してほしい」という趣旨の話をされていたのですが,「役者の穴!」ってプロ・アマ問わずに応募を受け付けているワークショップなんですよね。なので現役俳優から,演技経験がほぼない人まで,幅広い受講者が参加しているんですよ。そういった人々全員が受講できる内容となれば,あまり上級者向けのことはできないはず。だったら,とりあえず基礎を教えてくれるのか……なんて,自分は浅はかな想像をしていたんですけれども,実際にはすべての講義が,短い時間の中に演じるということの“本質”を上手く濃縮した内容になっており,この1日で目からウロコが何度落ちたことか……。
例えば,ボイストレーニングではもちろん発声に関するテクニックを教わったのですが,印象的だったのが「発声によるラリー」です。卓球のラケットとピンポン玉でラリーをしながら発声を繰り返すという練習で,見た目はかなりシュールなんですけれども,よくよく観察していると,打ち返すことだけに集中すれば発声がブレるし,発声に力を入れすぎるとラリーのリズムが狂って明後日の方向に飛んでしまうんですよ。つまり自然体で,しかも自分本位ではない演技に必要とされる要素が凝縮されているんです。
またダンスレッスンも,実際に踊るというよりパートナーと呼吸を合わせる訓練というか,“空気感”を感じ取ることに重きを置いており,お互いに握った腕を引っ張り合ってバランスを取ったり,すれ違いざまにお互いが衝突すると見せかけて別方向に避けたり,普段の生活における無意識で“空気を読む”スキルを,あえて意識的に鍛えることで“相手ありき”の演技というところに回路を繋げてくれたような印象でした。
ショーンのダイアログレッスンでは,「舞台となる場所の風土や時代背景に合った英語の使い方」などを講義してくれまして,独自のメソッドによる「演技に使える発音」を習得するための練習法も教えてくれました。当たり前ですが,英語ができれば洋画に出られるかといえばそんなわけがなく,ひとくちに英語と言っても,「その作品に必要とされる英語」ってものがあるんですよね。
決してネイティブだけが求められるのではなく,リアリティを追求すれば日本人なら「日本人の英語」が求められることもあるわけです。映画というコンテンツに関わるダイアログコーチならではの内容で,こんな面白い英語の授業が学生時代にあれば……俺も居眠りすることはなかったでしょうね。
そして,もっとも警戒していたアクション序説。組み手でもさせられるのかと思っていましたが,これも非常に面白い講義でした。素人考えで,実際にケンカ慣れしていたり格闘技をやっていたりすれば,アクションもそこそこ見られるものになるんじゃないかと思っていたんですが,全然違ったんですよ。
最も大事なのが「カメラを意識する」という点で,カメラ位置によって必要とされる動作が大きく違うんです。たとえば背後からの視点であれば,相手の横っ面を殴り抜けるにしても,何も考えていなければ迫力のないショボい映像になってしまう。そこに迫力を出すために,殴り抜ける際に体を腕と自然によじって,殴られた相手の表情やインパクトで首が曲がる様子をカメラに映すんです。
この時,お互いのタイミングが少しでもズレていれば違和感のある映像になりますし,最悪の場合はケガをしてしまう。なので,アクションは動作がカッコよければいいという話でもなく,殴る側と殴られる側の呼吸を合わせることが重要だと教わりました。
アクションも芝居の一部であり,相手ありきで空気を読み合わなければいけないということ。その点においては,すべての講義で認識が共通しており,突き詰めれば芝居とは“究極のコミュニケーション”なのではないか……というようなことを,素人ながら考えてしまいました。
……さて,いよいよクライマックスです。ラストを飾るのは三池穴長による演技指導。A,B,Cの3チームに分かれ,この日のために用意された脚本を穴子たちが演じます。それぞれのチームに演出家として穴員の横井健司氏,西海謙一郎氏,倉橋龍介氏がつき,稽古をしながら芝居の方向性を決めていました。
こちらの講義は事前に送られてきた脚本を覚えておかなければならないため,そもそも見学者の予定だった自分は残念ながら参加できず……。穴子たちは張り詰めた空気の中,真剣な表情で稽古に打ち込んでおり,個人の用意してきた演技プランに演出家のアドバイスが入り,芝居全体の空気感が出来上がっていく光景はとても興味深かったです。
なお,今回用意された脚本はごく一般的な中流家庭が舞台となっており,婿が家族に秘密で仮想通貨の株取引に手を出したところ大暴落。息子の進学のために用意していた積立金まで溶かしてしまい,家族会議になる……というコメディでした。家族構成は,あの「日本一有名な2世帯家族アニメ」を想像してもらえば分かりやすいかと。
本番ではAチームから順番に三池穴長の目前で芝居を披露したのですが,面白いことに同じ脚本でもチームごとに方向性がだいぶ違うんですよね。お茶の間でちゃぶ台を囲んでいるというシチュエーションは同じでも,細かいアドリブの入れ方や声の抑揚が違えばここまで印象が変わるものなのかとビックリしました。
三池穴長による講評は各チームごとにじっくりと行われ,アドバイスの内容は芝居の知識などない素人が聴いても「なるほど」と頷いてしまうくらい的確。しっかりとプロの目線で,厳しくも真摯に穴子たちの芝居と向かい合っていました。
今回の脚本,俺の場合は婿に対する嫁の対応に一番注目しておりまして,知らないうちに旦那が株取引で大失敗していたらそりゃあ嫁は怒りますよね。嫁の役を担当した穴子たちも,ちょっとヒステリックなくらいに“怒り”の芝居をしていたのですが,脚本で描かれている家族背景を考えると実はシリアスな話ではなく,コメディ寄りの家族愛を描いているんですよ。なので,キレるシーンも“お金を失ったこと”に対して深刻になりすぎると,脚本のテーマからちょっとズレてしまうだけでなく,後に続くキャラクターがコミカルなシーンへと空気感を切り替え辛くなる……これは難しいですよね。
実際,その部分はどのチームに対しても,芝居全体のテンポ感を重要視している三池穴長から一言二言ありまして。“怒る”にしてもそのシーンのみで感情を完結させるのではなく,芝居全体から最適なボルテージを見出さなければいけない役者の大変さを目の当たりにしたような気がしました。
とにかく皆さんとんでもないモチベーションの高さで,それに引っ張られたのかワークショップ自体の終了時間も伸びに伸びて押しまくり。おかげでラストを締めくくる懇親会は急ぎ足になってしまいましたが,信じられないくらい充実した一日でした。一部だけ参加した自分からしてもそうなんですから,最初から最後までやり切った穴子たちからすれば,そりゃもう最高の気分だったと思いますよ。
ちなみに「役者の穴!」は,前述したようにプロ・アマ問わずに応募を受け付けているのですが,なんと完全無料。しかも食事付き。当日一緒になった穴子のひとりと懇親会で話したのですが,プロの役者をやっている彼いわく,通常このようなワークショップは資金集めも兼ねており,高額な参加費が必要なことが多いらしいです。それを,三池穴長クラスの有名監督が完全無料で,しかもこのボリュームで定期的に実施してくれるというのは本当に信じられないことだと驚いていました。
だからこそ動画審査もあり,倍率は高いのですが,芝居や役者に興味があるという人は要チェックです。俺自身も次は見学でなく,ちゃんと応募したうえで穴子のひとりになりたいとウズウズしています。次の開催タイミングがいつになるかは分かりませんが,必ずアナウンスされるので興味のある人はチャンスを逃さないようにしましょうね!
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