南條愛乃さん「（ホイッスル!の）風祭もがんばってるし」――ジャンプチ 5周年CMの収録現場に行ってきて

　南條さん「好きな曲は『おはよう。』です」

　その暗号が通じると，仲間は増える。

とあるミュージックスタジオでの声優・南條愛乃さん

　2018年配信のLINEのスマホゲーム「ジャンプチ ヒーローズ」（iOS / Android）が，本日2023年3月28日にサービス5周年を迎えた。

　これを記念し，本作では“5周年WebCM”が制作され，CMのナレーターを声優・南條愛乃さんが務めた。その映像がコチラだ。




　今回4Gamerでは南條さんの収録現場に同行し，ナレーションの様子を見学させてもらいつつ，収録後にインタビューも行ってきた。
　以降は，これらの模様をお伝えしていく。

　なお，インタビュー本文のあとには“ジャンプチの5周年企画＆新機能アップデート情報”も紹介している。
　ガチャやイベント冒険では，「週刊少年ジャンプ」連載作品のなかでも一時代を築いた名作のキャラクターたちが勢ぞろい。変身能力「オーバードライブ」に対応した尾獣モードのナルトなども登場する。
　このほか，ガチャ500連＆5億ルビーの山分けなど目白押しだ。

（C）J50 /（C）LINE /（C）WP

「ジャンプチ ヒーローズ」公式サイト

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制限時間内に，いかに要求に応えるか

　この日，南條さんは都内のスタジオで，長尺・短尺の2パターンのジャンプチCMを含む，計3本のナレーション収録を行った。

　収録音源の尺は，すべて合わせて1分ほどである。


　30秒尺の映像にナレーションを当てる。そう聞かされるとなんともスマートなお仕事に聞こえるが，いやはや実情はとんでもない。

　30秒間，広告商品として，制作陣や目に見えぬユーザーにとって限りなく正解だと思われる声を当てる。それも他者を納得させられるくらいに。その難しさは，ひとり湯船に浸かってゴキゲンなときに試せばすぐに理解できるだろう。きっと，自分ひとりですら納得させるのは難しい。

　現場の空気も，観客がいないだけの演劇やコンテストのそれだ。
　録られる側には短いようで長い30秒間のプレッシャーがかかり，録る側にもプロフェッショナルとして制作物を納品する重圧がかかる。


「うーん，キャラ感が出てるほうと，どっちがいいかなあ」
「“生粋の”のとこ，すこし甘噛みに聞こえますかね」
「でも，それがかわいらしい感じ出してるし……」
「ですよねえ……」
「うーん……」

　収録したばかりの音源をチェックして，制作側も悩む。
　最初の数回でみんなのイメージに限りなく寄せてきた南條さんにより，「もしかしたら“もっと”があるんじゃないか？」という欲望が突きつけられる。どの部分のどの発声が何パートめのほうがよかった（気がする）かで，演者の意見も交えつつ最終形に近づけていく。

　現場を眺めていて思うのは，収録時間が永遠にあれば，何者にも否定されない完璧なクリエイティブが生まれるかもしれないし，錯誤して錯綜して当初の答えから遠ざかるかもしれないということ。
　出しきる側も，受け止める側も，第一線のプロなだけに追求すればキリがない。でも，キリよりもないのが制限時間というもので。

　この日の収録では，その日の南條さんや制作陣の全力に達したであろうカットが採用され，今日のために出荷されていった。


　客が見ていないのなら何カットも何テイクもすればいいじゃないかと，アニメ業界外の人や，締め切りなる冷えた門の存在を知らない人は思うのかもしれない。だが，そんなのはテスト勉強とて同じこと。

　なにをせずとも忙しい気がする毎日の生活と同様，そんなぜいたくな時間の使い方が許される現場なんてのは，富んでいるか，逆に追い詰められているかといった極少数なのだろう。あらゆる物事に多人数の飯の種がかかっている以上，拘束時間というルールは冷酷だが平等だ。

　だから今どきの，あるいは古くから声優という職業に求められるのは，クライアントや制作に要求された表現を的確にキャッチし，すばやく最高の返球をするための瞬発力なのだと思った。そこに球速はあって当然。プロなのだから。さらに役者として幅を広げるには，気持ちのいいコントロールが必要になる。声優と制作のバッテリーはすごい芸なんだ。

　なんて感想に続き，本題のインタビューに入っていこう。

「風祭もがんばってるし」

4Gamer：
　収録終わりのところ恐縮です。まずはじめに「ジャンプチ」5周年CMのナレーションを担当することになった心境はいかがでしょう。

南條愛乃さん（以下，南條さん）：
　ジャンプチは，少年ジャンプのキャラクターたちが集結するゲームということで，すごく豪華だなと思いましたし，その5周年CMのナレーションを担当させていただけることになって，とてもうれしいです。

4Gamer：
　CMでは「生粋のジャンプファンの私をうならせられる〜？」と意気のある台詞もありましたが，そこのところはどうでしょう。

南條さん：
　あれはあくまで台本の台詞なので，恐れ多いです……（笑）。
　でも，私は中高生のころからジャンプ作品が大好きで，テスト期間中に勉強しなければいけないのに，気付くとジャンプマンガを読んでしまっているような子でした。そんな思い出を振り返らせてもらったように，ジャンプ作品は今でもすごく身近に感じますね。
　それに近年は「鬼滅の刃」などがすごい勢いでしたし，普通に生活しているだけでもジャンプ作品を目にする機会ってたくさんあります。

4Gamer：
　あえて好きな作品を挙げるなら？

南條さん：
　学生時代の思い出が強いので，「封神演義」や「ホイッスル!」あたりはとくに好きです。もちろん，今でも続いている「ONE PIECE」「HUNTER×HUNTER」「テニスの王子様」といった作品も大好きです。あのころはジャンプ本誌を買いつつ，コミックスも買いつつで，おこづかいをやりくりしていましたね。
　あっ，それと私には弟がいるのですが，当時「ヒカルの碁」の最新刊が発売された日に，姉弟で同じ単行本を買って帰ってきてしまい，家に同じ巻を並べるはめになりました。
　実家に帰ると，今でもそれが残ってます（笑）。

4Gamer：
　人それぞれ，年代ごとに好きだった作品はぞろぞろありますよね。
　そのころ，友人と一緒になって読んだりはしましたか。

南條さん：
　しました。「ONE PIECE」の連載が開始されたころ，友だちが読み出したのに影響されて私もハマりました。リアルの友人以外にも，インターネットで知らない人たちと感想を言い合ったりしていましたね。
　当時は光回線もWi-Fiもない，ネットにつないだらつないだだけ料金が加算される時代でしたが，そのころ「テニプリファン集まれー★★！」みたいな部屋名のチャットルームに入り浸って，顔も知らないお姉さんたちとテニプリについて語り合っていたんです。懐かしー。

4Gamer：
　あのころのチャットルームは，独特な空気感がありましたねえ。

南條さん：
　同じものを好きな人とSNSでつながる，なんてこともできませんでしたしね。ただリアルでもがんばりまして，例えば学校で新学年になったときの自己紹介で，作品名のことは告げずに「好きな曲は『おはよう。』です」（※）って言うんですよ。
　それから休み時間になったときに「もしかして……あなたも知ってる……？」とクラスの子たちに話しかけられるのをジッと待つんです。
　そうやって，友だちを少しずつ増やしました（笑）。

※1999年放送開始のTVアニメ「HUNTER×HUNTER」（日本アニメーション制作版）のオープニング主題歌


4Gamer：
　同好の士をあぶり出すための暗号みたいな。
　ちなみに，南條さんが好きになりがちなキャラ傾向はありますか。主人公やヒロイン，ライバルや眼鏡系だったりの嗜好のお話で。

南條さん：
　それで言うと私は「つり目キャラ」かもしれません。「ホイッスル!」だと椎名 翼，「HUNTER×HUNTER」だとキルアが好きでした。
　主人公だと，んー，（テニプリの越前）リョーマくんのキャラソンを聴たりしていましたが，傾向としてはやはりつり目にいきがちです。

4Gamer：
　端的に，オタク深度はどんなもんでしたか。まあ一口で計れるものではありませんし，今もゲーム好きとして知られる南條さんではありますが，「コイツやってたな」と思われるような小話的には。

南條さん：
　学生のマラソン大会のときって，体育の時間に毎回毎回，何キロも走らされたりするじゃないですか？　私，長距離走が苦手だったので体育が苦しくて仕方なかったのですが，そのたびに青空を見上げて，「（ホイッスル!の主人公）風祭もがんばってるしな……！」と脳内でジャンプキャラたちを思い浮かべて，自分の背中を押していました。

4Gamer：
　それはまたエリートな。
　そういったジャンプキャラが大量に出てくるジャンプチは，LINEが出しているわけですが，アプリの「LINE」は普段使いしていますか。

南條さん：
　普段の連絡ツールとしては一番使っていますね。ただ，LINEが当たり前になりすぎたせいで，携帯電話のキャリアメールで通じ合っていた子たちや，当時ジャンプを通じて仲良くなった仲間たちは，今ではアドレスが分からなくなってしまった人もかなり多くて……。

4Gamer：
　携帯キャリアのメールアドレスを覚えてない，忘れてた，言われてもその存在すら知らないという人は今どき多そうですしね。
　現代ではメッセージ着信がスムーズにポンッと届きますが，昔は「新着メール受信」でイチイチ問い合わせたりしてましたし。

南條さん：
　メールこない……まだこない……なんてやっていましたね（笑）。

4Gamer：
　そんなLINEを含むテキストコミュニケーションの話として，南條さんは文字チャットだと，口頭での交流とは違う一面が出てきたりはしますか？　例えばお好きなMMORPGでの活動も含めて，キーボード越しだとなぜかいきなり性格が変わるとかの話で。

南條さん：
　LINEなどの「相手が私のことを南條愛乃だと分かっている」コミュニケーションでは，文字でも性格が変わったりはしませんが，そうではない，匿名性がある場合だと，普段よりも明るめな，ひょうきんな雰囲気の自分になっているかもしれません。
　キャラクター的にと言いますか，ロールプレイ的なのも含めて。

4Gamer：
　それは自然とそうなる，あるいは意図的な願望で？

南條さん：
　元々の性格で，自然とそうなってしまうんだと思っています。
　けれど，そこに「南條愛乃」というフィルターを通すと，声優としてそれらが1割〜2割の成分に抑えられる……気がしています（笑）。

4Gamer：
　南條愛乃であるかどうか，それが境目だと。

南條さん：
　そうですね。例えば，数はとても少ないのですが，相手に南條愛乃だと知られていないまま，オンライン上のつながりだけでLINEで交流する人とは，ひょうきんな私のままでコミュニケーションしていますので。


4Gamer：
　では，話をジャンプに戻しつつの最後の質問です。
　南條さんは「連載派」ですか？　「完結派」ですか？

※雑誌でリアルタイム連載（もしくは単行本発売）で追う「連載派」と，作品が完結してから全巻一気読みする「完結派」の意

南條さん：
　は〜（笑）。それはもう，できれば完結してから読みたいんですけど，完結するのを待っていたら，いつ読めるか分からないので，ちょうど中間の「読めるときに読む派」かもしれないです。

4Gamer：
　でも，絶対にイイところで途切れますよね？

南條さん：
　そうっ！　けどそこは本誌でもコミックスでも一緒なのでっ！
　ただ「ONE PIECE」などは連載し立てのころ，おこづかいで買ったコミックスの少ない巻数を何回も何回も読み直して，台詞を覚えてしまうくらい読み込んで，この本棚のココはONE PIECEの場所！　ってしていたら，気付いたら棚に入りきらないほどの巻数になっていて（笑）。

4Gamer：
　身に覚えのある人も多そうな（笑）。

南條さん：
　「ジャンプ作家の方々の忙しさは群を抜いてる」「あの方たちは常に忙しい」とよく聞くので，あの面白さを，その忙しさで書き続けている作家の方々の精神力。それってもう，ジャンプ作品の主人公たちと負けず劣らずの熱量だなって思っています。

4Gamer：
　そんな作家たちの魂のこもった作品のキャラたちが大量に出てくるジャンプチの5周年CMのナレーションを担当，というスタートラインに戻り，最後に南條さんから読者へ一言いただけますか。

南條さん：
　ジャンプチは，ジャンプキャラクターたちと一緒に戦えるゲームということで，私も彼らに力をもらって日常生活をがんばっていたことがあるくらいなので，縁のあるこの機会にぜひ触ってみようと思います。
　皆さんもぜひ，一緒にジャンプチを楽しみましょう！

ジャンプチ5周年情報

　ジャンプチでは5周年記念として，「感謝メガ盛り!! ジャンプチ ヒーローズ5周年 デラックス感謝祭!!」が4月17日まで開催される。

　期間中は，少年ジャンプの名作群から人気キャラクターたちが新たに実装されるほか，期間限定の「イベント冒険」の実施をはじめ，新規システム「オーバードライブ」「強化パネル」の実装，ガチャ最大500連や5億ルビーの山分け企画，さらに抽選会なども行われる。

　お目当てのイベントをぜひ，下記で確認してほしい。

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