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ガストブランドの長野開発室に眠る,「アトリエ」シリーズ初期の開発資料をフォトレポート
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印刷2018/11/24 00:00

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ガストブランドの長野開発室に眠る,「アトリエ」シリーズ初期の開発資料をフォトレポート

 「アトリエ」シリーズで知られるガストブランドは,2018年で創立25周年を迎えた。「アトリエ」シリーズ自体も20周年を経て,節目の年のチャレンジとして,歴代シリーズのキャラクターが集う「ネルケと伝説の錬金術士たち 〜新たな大地のアトリエ〜」PS4/Switch/PS Vita),そして初の“3部作の先”を描く「ルルアのアトリエ 〜アーランドの錬金術士4〜」PS4/Switch)の発売も予定されている。それぞれのタイトルがどのようなものになるのか,その一端は長野にあるガストブランドの開発室でのインタビューでお伝えしたとおりだ。


 このとき,長野の開発室に足を運ぶ機会もなかなかないということで,「アトリエ」シリーズ最初期からの貴重な資料を見せてもらう機会を得た。美麗なイラスト,チビキャラ製作時のラフスケッチ,ドラマCDの台本など,なかなか表に出てこない宝の山の数々を,フォトレポートで紹介していこう。

ガストブランド長野開発室に眠る,「アトリエ」シリーズの資料。掲載しているのはごく一部だ
画像集 No.001のサムネイル画像 / ガストブランドの長野開発室に眠る,「アトリエ」シリーズ初期の開発資料をフォトレポート

 ガストブランドについて紹介しておくと,現在はコーエーテクモゲームスが擁するブランドの1つである。前身となるガストは1993年にPCゲームを作るソフトハウスとして生まれた。初の作品はシミュレーションRPG「アレス王の物語」だ。アニメ的な絵柄のゲームが多い中,「魔物語 愛しのベティ」「実験人形ダミー・オスカー」といった作品で知られる,劇画家の叶 精作氏を起用し,彫りの深い顔をした主人公・アレスが,上半身裸で剣を構えるというパッケージがプレイヤーに強い印象を残した。

 そんなガストの転機となったのが,PlayStationへの参入である。1994年に「ファルカタ 〜アストラン・パードマの紋章〜」(以下,ファルカタ)を,1997年には「アトリエ」シリーズの第一作「マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜」(以下,マリーのアトリエ)をリリースしている。
 「ファルカタ」はペルシャ的な雰囲気を持つシミュレーションゲームだ。プレイヤーはパーティを率い,探索や戦いをこなしつつ旅をしていく。本作の特徴は,パーティの仲間が人間らしい振る舞いをすること,そしてプレイヤー以外のパーティが同時に冒険していることにある。仲間は単なる駒ではなく,彼らが出してくる提案を受け入れたり,宴会を開くなどで忠誠心を上げたりするとプレイヤーに尽くしてくれるが,そうでないと裏切ることもある。また,ほかのパーティに計略を仕掛けて,メンバーを引き抜いたり,忠誠心を下げたり,金を盗んだりといった妨害工作も可能だ。絵柄こそ初期ガスト的な劇画テイストであるものの,自由度の高いシミュレーションという方向性は「アトリエ」シリーズにも受け継がれているのではないだろうか。

2018年2月に「マリーのアトリエ Plus」のスマートフォン版が配信されている
画像集 No.002のサムネイル画像 / ガストブランドの長野開発室に眠る,「アトリエ」シリーズ初期の開発資料をフォトレポート
 ガストの名を一躍知らしめることとなったのが,「調合」により自分でアイテムを生み出すという新基軸を打ち出したRPG「マリーのアトリエ」だ。イラストレーターの桜瀬琥姫氏による親しみやすいビジュアル。“落ちこぼれの錬金術士を鍛えてアカデミーを卒業する”という感情移入できる物語。親友にして病弱なお嬢様のシア,気のいいハレッシュ,イヤミだがたまに親切なクライスといった個性的なキャラクター達。こうした要素が好評を博し,ゲームはもちろん,コミックやCDドラマ,ラジオなどさまざまなメディアで,ファンを楽しませていくことになる。「アトリエ」シリーズの生みの親である吉池真一氏によると,1997年当時のガストが一番に推していたのは,「マリーのアトリエ」ではなく,カートゥーン的なアドベンチャー「ウエルカムハウス」であったという(関連記事)。いわば“二番手”であった「アトリエ」シリーズが現在まで続く人気作品となったのだから,何が起こるか分からないものだ。

 今回ガストブランドの長野開発室で発掘できたのは,「アトリエ」シリーズ初期作のさまざまな資料となる。桜瀬氏をはじめとする歴代イラストレーターによるイラストから,ソースコードやアイテム表といった開発資料まで,多岐かつ大量であるため,残念ながらすべてを紹介することはできない。「攻略本の執筆班が,世界観について問い合わせを行ったファックス」「ドラマCDの脚本」「ゲーム情報TV番組で,シリーズを紹介できないかという打診」といった資料も残されており,非常に興味深いものがある。さまざまな新規IPが生まれ,人気シリーズとして成長していった,1990年中盤の雰囲気が伝われば幸いだ。なお,原画はビニールのファイルに保存されており,表面に修正を指示するためのパラフィン紙が掛けられている場合がある。資料を守るという観点から,こうした保護は取り除かずに写真を撮影しているので予めご了承いただきたい。

桜瀬氏による「マリーのアトリエ」のイラスト。バイタリティ溢れるマリーは女性プレイヤーからも共感を呼んだ
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桜瀬氏からの問い合わせに答えたと思しきファックス。ゲームの舞台となっている「ザールブルグ」のスペルについて公式の見解が記されている
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「マリーのアトリエ」でミューが「ホッフェンの花」の思い出を語るシーンの原画。PS1の画面で見るのとは違った印象がある
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「マリーのアトリエ」のエンディング「伝説の二人」。マリーとシアのレベルを上げると,武闘大会で勝利する姿が見られる
「マリーのアトリエ」のキャラクターグッズ。バンプレストによるUFOキャッチャーのぬいぐるみと,海洋堂のデフォルメフィギュア「まめマリー」
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「マリーのアトリエ」,声優用の台本原稿。実際に収録現場で使われたのと同じものであるかどうかは不明
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イラストの中には,パラフィン紙が掛けられたものも
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「マリーのアトリエ」の「うわさ話」についての仕様がまとめられているファイル
左はガストに届いたファンレターを紹介する「アトリエFAN CLUB」の校正ファックス。右はマリーの顔が入ったメダルに関するファックスだ。テレホンカードとセットで販売された品のものか?
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「マリーのアトリエ」サイドストーリーの第一稿。背景の色合いについて,外注先から意見が上がってきている
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「マリーのアトリエ」ラジオドラマの台本
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「エリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士2〜」では,イラストレーターの山形伊佐衛門氏がキャラクターデザインを務めた
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「マリーのアトリエ」と「エリーのアトリエ」を収録したドリームキャスト用ソフト「マリーとエリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士1・2〜」のパッケージアートと思しきイラスト。パッケージではマリーとエリー,妖精さんが一堂に会しているが,当時のテレカなどでは妖精さんを抜いたバージョンが使われたようだ
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「エリーのアトリエ」のマップの設定画。港町カスターニェの酒場と武器屋
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「エリーのアトリエ」イベントCGの背景画。アニメ制作会社のStudio D-VOLTに外注が行われたようだ
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「リリーのアトリエ」のサントラジャケットに使われた,山形伊佐衛門氏のイラスト。本作のコスチュームデザインには,ヨーロッパの民族衣装のテイストが取り入れられているという
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イングリドとヘルミーナの横顔。イングリドは「マリーのアトリエ」で教師として登場した女性で,「リリーのアトリエ」では過去の姿が描かれた
「リリーのアトリエ」のイベントCGと思しき原画類
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「リリーのアトリエ」のゲーム内ムービー「冒険者納め」の絵コンテ
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「ユーディーのアトリエ〜グラムナートの錬金術士〜」のグッズセット
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「ユーディーのアトリエ」のメッセージ原稿
「ユーディーのアトリエ」のキャラコンテ。ラフなスケッチだが,活き活きとした動きが伝わってくる
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「金ぷに」をあしらったユニークなお椀
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ガストブランド公式サイト

  • 関連タイトル:

    マリーのアトリエ Plus 〜ザールブルグの錬金術士〜

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    マリーのアトリエ Plus 〜ザールブルグの錬金術士〜

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