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印刷2018/11/17 12:00

インタビュー

「ティンクルスタースプライツ」と「ライバル・メガガン」。2つの対戦型シューティングゲームのクリエイターに開発秘話やシューティング愛を語り合ってもらった

 カナダのSpacewave Softwareが開発し,デジカから2018年11月29日にリリース予定の「ライバル・メガガン」PC / PS4 / Xbox One / Nintendo Switch)。本作は,2人のプレイヤーがそれぞれのフィールドで縦スクロールシューティングをプレイし,敵を連続で倒すことで相手のフィールドへ攻撃を送り込むという対戦型シューティングだ。特殊な条件を満たすと,自機が巨大ボス「メガガン」に変形し,相手のフィールドに乗り込んで直接対決することもできる。

ライバル・メガガン
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 ここまで読んで,ピンと来たシューティングゲームファンもいるかもしれないが,「ライバル・メガガン」は1996年に発売されたネオジオ用ソフト「ティンクルスタースプライツ」に似たゲームシステムを持ったタイトルだ。それもそのはず,制作者であるJustin Rempel氏は「ティンクルスタースプライツ」に深いリスペクトを抱き,その影響を受けて本作を開発したのだという。

 そこで今回,同ジャンルの先駆者とも言える「ティンクルスタースプライツ」の生みの親である松下佳靖氏とRempel氏の対談を実施し,両作品の開発秘話やシューティングゲームへの思いを語り合ってもらった。

「ティンクルスタースプライツ」の開発者である,エムツーの松下佳靖氏(左)と,「ライバル・メガガン」を手がけたSpacewave SoftwareのJustin Rempel氏(右)
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「ライバル・メガガン」公式サイト



1人で遊ぶシューティングを対戦型に

「ティンクルスタースプライツ」開発秘話


4Gamer:
 よろしくお願いします。今日は対戦型シューティング対談ということで,「ティンクルスタースプライツ」の松下さんと,「ライバル・メガガン」のRempelさんにお話をうかがっていきます。

松下佳靖氏(以下,松下氏):
 よろしくお願いします。「ティンクルスタースプライツ」の企画をやりました,松下です。

Justin Rempel氏(以下,Rempel氏):
 「ライバル・メガガン」を作っているRempelです。

4Gamer:
 まずは松下さんにうかがいます。「ティンクルスタースプライツ」において,「対戦型シューティング」という珍しいシステムを発想したきっかけを教えてください。

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松下氏:
 ADKに入った当時,社内の企画コンペに応募しようと考えたことがきっかけです。その頃のADKは「ワールドヒーローズ」など格闘ゲームを作っていましたが,このジャンルは制作にコストも時間もかかるため,「すぐに作れる小さな企画を立ち上げよう」ということで企画コンペが行われました。そこで,企画者になりたかった私は「ティンクルスタースプライツ」の原型になる案を出したんです。

4Gamer:
 格闘ゲームブームの中で小回りの利く企画が求められ,そこに対戦型シューティングというジャンルを考案されたわけですね。

松下氏:
 「対戦モノにしてほしい」という会社からのオファーに,私がシューティング好きだったことを組み合わせて考え出しました。

4Gamer:
 シューティングで対戦というと「カメレオンアーミー(スペースウォー)」のようにプレイヤー同士が直接撃ち合うようなものを想像します。しかし,「ティンクルスタースプライツ」は1P側と2P側のプレイヤーそれぞれに専用フィールドが用意されていて,編隊で飛来する雑魚を連続で倒す「連爆」を決めると,相手側フィールドへ雑魚を送って攻撃できるという,かなりユニークなシステムになっています。これは,どういったところから考案されたのでしょうか。

松下氏:
 公募の締め切りギリギリで,上司から「お互いに撃ち合うようなものはダメだからな」と釘を刺されてしまったんです。そこでとっさに出たのが「画面を縦に分割して対戦するようなものを考えています!」というものでした。これが上司の興味を惹いたようで,企画書を書くことになって。ただ,その時点では縦画面で対戦するやり方については何も考えてはいなかったんです(笑)。

4Gamer:
 撃ち合い型を否定され,選択肢を狭められたことが結果的に効を奏したと。

松下氏:
 自分と相手が1つのフィールドで撃ち合うというやり方だとゲームは作りやすいですが,面白いものになりづらいですからね。

4Gamer:
 当時は対戦格闘ブームの真っ最中で,1つのフィールドで戦うゲームが多かったですが,シューティングだと事情が異なると。

松下氏:
 その理由は,自分が操るキャラクターの性質が,対戦格闘とシューティングでは違うことによるものだと考えています。対戦格闘なら,キャラクターは人間ですし,攻撃アクションとなるパンチやキックはどこに隙が生まれるかも分かりやすく,プレイヤーも感情移入できます。しかし,シューティングの自機が弾を撃ってもそうはならないんです。だからこそ,何か違ったことを考えなさいというのが上司の真意だったんでしょうね。

4Gamer:
 なるほど。そこで別の方法論が必要になったわけですね。

松下氏:
 ええ。「1つのフィールドで撃ち合いをしない」という条件下で対戦型シューティングを成立させるには,「画面は2つに分かれていながら直接的に戦える」という,矛盾した2つの要件を満たす必要がありました。

4Gamer:
 1Pと2Pがそれぞれ専用フィールドにいるのに,直接的に戦える……なかなかの難題だと思います。

松下氏:
 間接的に攻撃し合うのではパズルゲーム的な要素が強くなってしまいますし,シューティングゲームがうまい人が強いというゲームにしたかったんです。そうした理由から,連爆で相手フィールドに雑魚を送り込んだり,雑魚を切り返したりするという,互いに撃ち合うわけではないけれどシューティングの技能が求められ,熱い戦いが展開するシステムが生まれました。

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4Gamer:
 連爆を決めたり,雑魚を迎撃したりするにはシューティングがうまくないといけないですし,狙いどおりのものに仕上がっていると思います。システムを構築するうえで,どんな点に苦労されましたか?

松下氏:
 前代未聞のゲーム性だったので,何をするにしても,苦労しないところはなかったですね。開発を進めていくと,あちらを立てればこちらが立たず……と矛盾点が続出してくるような状態でした。

4Gamer:
 新基軸であるがゆえに,システムからプレイフィールまで,いろいろな物事をゼロから考える必要があったと。

松下氏:
 手こずっているときに,周囲からいろいろなアイデアや要望が出たりもしました。例えば,「キャラクターは横方向にしか動かせないようにしてほしい」とか,「時間が経過するとフィールドがどんどん狭くなっていき,最終的に死んでしまうようにすればいいんじゃないか」といった具合で,もう本当にいろいろでしたね。
 とは言え,横にしか動けないシューティングなんて1970年代のゲーム性ですし,動きの自由度を奪われたうえで死ぬなんてのはすごくイヤでした。自由自在に動きつつ,攻撃と対戦ができないなら,プロジェクト自体をやめてしまおう……と思っていたくらいです。実際にこうしたアイデアを取り入れてはみたものの,対戦型シューティングとしてはまったく機能しませんでしたし。

4Gamer:
 あくまで1990年代のシューティングゲームとしての自由度と操作性を保ちつつ,対戦要素を成立させたかったということですね。

松下氏:
 そこで,爆風に巻き込んで敵を倒すと,相手フィールドへ雑魚を送り込める連爆や,特殊な条件を満たすとボスキャラが出現する「ボスアタック」といった,相手フィールドへ干渉するオリジナルのシステムを考案し,縦スクロールシューティングでありつつ対戦できるようにしたわけです。

4Gamer:
 限られた時間の中で,オリジナルのシステムを考えるのは大変だったのでは?

松下氏:
 問題を解決するのは大変でしたが,処理していくこと自体は楽しかったですね。プログラマーの方がとても優秀で,僕のアイデアを非常に高いレベルで実装してくれましたし。

4Gamer:
 着想だけでなく,人にも恵まれて開発を進められたと。

松下氏:
 一番のネックになったのが“避けるCPU”でした。こちらの攻撃を単純かつ機械的に回避するのではなく,まるで人間がプレイしているかのように動かなければいけなかったんです。

4Gamer:
 確かに対戦モノにおいて,いかにも機械的な超反応で避けられてしまっては興ざめですね。

松下氏:
 これはかなり難しいところだったんですが,プログラマーの方がやり遂げてくれました。出来上がったものを見たときは感動しましたし,「これでこのゲームは行けるな」という確信も生まれたんです。
 そうした経緯もあり,プログラマーの方はスタッフロールでは僕と連名でディレクターのところに入れさせていただきました。ただ,市場に出したあと“避けるCPU”が注目されることはあまりなかったのですが(笑)。

4Gamer:
 それでも,CPUが自然に振る舞うことはプレイのモチベーションに良い影響を与えていたと思います。「ティンクルスタースプライツ」は小規模プロジェクトだったそうですが,開発にはどれくらいの人数が携わったのでしょう。

松下氏:
 メインスタッフは4人くらい,お手伝いしてくださった方は2週間ほどのスポット参戦でしたが,人の縁に恵まれたところも大きいです。グラフィックス関連は「ニンジャマスターズ」や「ワールドヒーローズ」のスタッフにも手伝っていただいたんですが,この方々は本当に腕がいいんです。また,大島高雄さん瀬川圭一郎さんといったサウンドスタッフも素晴らしい音楽を作ってくれました。こんな小さなプロジェクトに快く協力してくれた,ADKの皆さんには感謝しかないですね。

4Gamer:
 現場の熱量が高かったおかげで,前代未聞のシステムがきちんと形を成し,プレイヤーから評価される作品になったわけですね。


「ティンクルスタースプライツ」へのリスペクトから生まれた「ライバル・メガガン」


4Gamer:
 では,Rempelさんが「ティンクルスタースプライツ」を遊んだときの思い出を教えてください。

Rempel氏:
 ドリームキャスト版を輸入し,週末になるといつも友達と対戦していました。ただでさえ面白いのに,「フィーバー」が発生すると連爆で出る雑魚が増えて,100倍もエキサイティングになるのがいいですよね。ある種の中毒性があります。

4Gamer:
 試合が進むにつれてお互いの攻撃力が上がり,画面が混乱して避けるのも難しいという感覚ですね。

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Rempel氏:
 そのうち,こうした要素を含むゲームを「フィーバーゲーム」と呼ぶようになり,同じようなゲームを探すようになりました。「フィーバーゲームがもっとやりたい! ほかにはないのか!?」って感じで(笑)。

4Gamer:
 ほかにフィーバーゲームは見つかったんですか?

Rempel氏:
 あんまりなかったですね(笑)。強いて挙げるなら「ボンバーマン」かな。互いの火力がマックスになり,時間切れギリギリでフィールドがどんどん狭まるときの感覚が「ティンクルスタースプライツ」とよく似ていました。

4Gamer:
 なるほど。そうしたフィーバーゲームへの飢えも,「ライバル・メガガン」を開発する原動力になったのかもしれませんね。では,「ライバル・メガガン」を開発することになったきっかけと,対戦型シューティングというジャンルを選んだ理由はなんでしょう。

Rempel氏:
 子供の頃から対戦ゲームとシューティングゲームが好きだったからです。だから,ゲームを作るなら対戦型シューティング一択でした。

松下氏:
 ああ,対戦とシューティングが好きというのは私と同じですね(笑)。

Rempel氏:
 実は,ほかにもいくつかゲームを作ったことがあるんですが,途中で自分の情熱が途切れて開発が止まってしまうんです。でも対戦型シューティングなら,何よりも作っている自分が楽しいので。

4Gamer:
 では,松下さんが「ライバル・メガガン」をプレイされた感想は?

松下氏:
 よく出来ていて素晴らしいと思いましたね。「ティンクルスタースプライツ」が発表されて以降,対戦パズルと似ているということで,こうしたエッセンスを取り入れた二次創作的ゲームがいくつか作られました。
 ただ対戦パズルは,ゲームがずっと能動的に動いているわけではありません。具体的にいうと,連鎖を組んで敵に攻撃しているときはゲームが止まってしまっているんです。

4Gamer:
 確かに。

松下氏:
 一方「ティンクルスタースプライツ」は,こうした停止がありません。互いに攻撃し合っているときもゲームは能動的に動き続けています。そのため,対戦パズルのシステムをそのまま対戦型シューティングへ入れ込んでも,うまく機能しないんです。
 「ライバル・メガガン」はゲームがずっと能動的に動いていて,こうした側面を理解したうえで開発されているという印象です。自分がボスキャラになって相手のフィールドへ乗り込んだりと,アクションが派手になっています。本当に素晴らしいですね。

Rempel氏:
 サンキューベリーマッチ! アリガトウゴザイマス!

松下氏:
 自分がボスキャラになれる対戦型シューティングも存在していましたが,「ライバル・メガガン」はすぐボスに変身できるからテンポがいいですね。発想のベースとして「ティンクルスタースプライツ」がありつつも,仕上がりはまったく別のゲームになっています。こういう対戦型シューティングを遊んだのは,私としてもほぼ初めての経験です。

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Rempel氏:
 「ティンクルスタースプライツ」の開発において,対戦ゲーム的な側面を強めるというお話をされていましたが,僕の発想は逆でした。「ライバル・メガガン」をシューティングゲームへ寄せていきたかったんです。そのうえで,コピーすることなく,フィーバーになったときの感覚を再現しようとしました。

松下氏:
 プレイしていて,そうしたコンセプトを強く感じました。新しいジャンルが生まれたときは,過当競争の中でいろいろな作品が切磋琢磨していくものですから,もう「ライバル・メガガン」の登場が嬉しくてしょうがない。私も,これからのもの作りに良い刺激を受けました。

Rempel氏:
 ぜひとも,僕のゲームをパクってください(笑)。個人的にも,もっともっとたくさんの対戦型シューティングが世に出てほしいですから。

4Gamer:
 では,Rempelさんが「ライバル・メガガン」の開発で苦労された部分はどこでしょう。

Rempel氏:
 1番苦労したのはオンライン回りです。

松下氏:
 あー,確かにそこは苦労しますよね。分かりますよ。

Rempel氏:
 2人のプレイヤーがそれぞれのフィールドでシューティングしているときは,そこまで厳密に同期しなくてもいいんです。でも,片方がボスになって相手の画面に乱入した瞬間から,しっかり同期する必要があるので,もうギリギリですよ。

松下氏:
 ボスが故障している,という設定にしてしまえばいいんじゃないですか(笑)。という冗談はさておき,対戦パズルの場合は厳密に同期していなくても,お互いが攻撃するタイミングで調整できるんです。でも,シューティングで同じフィールドに乱入するとなると,攻撃などを完全に同期させなければならないので,本当に大変だと思います。

Rempel氏:
 おっしゃるとおりです。ボスについては,攻撃パターンを考えるのはもちろん,操作すること自体を面白くするのにも苦労しました。ボスだからといって,動きが遅くて弾をたくさん出すものにすると,戦っている側は楽しいけれどボスを操作している側が面白くない。逆に,ボスの動きが速すぎると,攻撃を避けられなくなってしまう。このバランスを取るのがすごく大変でした。

この日,松下氏とRempel氏は開発中の「ライバル・メガガン」で対決。松下氏は同作を高く評価した
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松下氏:
 そうした大変さは,すごくよく分かります。実際に遊んでみても,バランスがちゃんと取れていると感じられますね。

Rempel氏:
 ありがとうございます。もう1つ苦労したのは,弾の扱いについてです。僕は弾幕が好きなので,とにかくたくさんの弾を出した時期がありました。でも,やり過ぎてしまうと対戦よりも弾避けだけに集中することになるうえ,ここに相手プレイヤーからの攻撃が来ると,もう避けるのが不可能になってしまうんです。最終的には,弾幕になりすぎない現在の状態に落ち着いたので,個人的には満足しています。


名作からインディーズまで。シューティングゲームへの深い愛情とこれからの展望


4Gamer:
 ところで,お2人がリスペクトされているシューティングゲームはありますか?

松下氏:
 厳密なシューティングと言えるかどうか分からないんですが「ゲイングランド」ですね。シューティングと,シミュレーションの戦略的思考が融合しているのが素晴らしい。「ゲイングランド」のおかげで,「ティンクルスタースプライツ」の開発中も勇気づけられました。異なるジャンルの融合で途方に暮れていたとき,「ゲイングランドはシューティングとシミュレーションを融合してるじゃないか! だからきっと,自分にもやれる!」と。

4Gamer:
 一見すると相性が良くなさそうなシステムを組み合わせているという意味では,共通点もありますね。

松下氏:
 個人的には,それまでもシューティングと異ジャンルの融合ではがっかりすることが多かったんです。例えば「ファジカルファイター」は「自機がAIで勝手に動く」という触れ込みでしたが,避けるどころか自分から敵にぶつかっていくという代物で。そんな中で「ゲイングランド」はシミュレーションとしっかり融合させて面白いものに仕上げていましたから。
 もう1つリスペクトしているのは「スターフォース」ですね。この時期のシューティングとしては「ゼビウス」が評価されることが多いんですが,「スターフォース」は「地上の敵と空中の敵を,すべて1つのショットで破壊できる」というルールや,ハイテンポなスピード感など,現在のすべてのシューティングに通底するものを作り出しているところがすごいんです。

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4Gamer:
 「スターフォース」には,個人的にハマりました。当時はみんなが連射に熱中していましたね。

松下氏:
 あとは「コットン」でしょうか。可愛らしいキャラクターを前面に押し出したゲームで,シューティングはオマケ,ステージ間にキャラクターが話す“漫才デモ”のほうが大事というくらいの扱いでした。それまでのシューティングゲームは世界観のほうがオマケでしたが,女の子をフィーチャーしてここまでやっていいんだよという,ガイドライン的なものが刷新されましたね。世界観作りや女の子をフィーチャーしたことなど,すべてを含めて1つの発明品だと思っています。
 ほかにも,「ダライアス外伝」「ファンタジーゾーン」など,リスペクトするシューティングはいろいろあるんですが,細かく話していると長くなってしまうのでこれぐらいにします(笑)。とくに「ダライアス外伝」は天才が作ったゲームなので,「ティンクルスタースプライツ」を作るときも1つの目標にしていましたね。

4Gamer:
 では,Rempelさんがリスペクトされているシューティングは?

Rempel氏:
 まずは「超連射68k」ですね。北米でもファンが多いですよ。音楽がとにかくいいうえ,敵の出現パターンや種類の組み合わせなど,レベルデザインがよく出来ていると思います。

松下氏:
 「超連射68k」! 確かに素晴らしいシューティングですよね!

Rempel氏:
 あとはもちろん「レイフォース」。グラフィックスが綺麗ですし,ロックオンレーザーというゲーム性もユニークじゃないですか。また,「バトライダー」「罪と罰〜地球の継承者〜」もすごく好きです。まだまだリスペクトしてるシューティングは山ほどありますよ(笑)。

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4Gamer:
 お2人がかなりのシューティングファンだということが分かりました(笑)。これからも新しいシューティングを作っていきたいと思いますか?

松下氏:
 もちろんです。詳しいことはまだ言えないんですが,今まさに新作を作っているところですよ(笑)。

4Gamer:
 それは楽しみですし,ファンには朗報だと思います。期待しています。

Rempel氏:
 シューティングももちろんですが,今はほかのジャンルを作りたいという気持ちがありますね。「ライバル・メガガン」を作っている最中も,同じ対戦型だけれど,少しシステムが違うゲームのアイデアもたくさん出てきましたから。

4Gamer:
 そちらも,ぜひ見てみたいですね。

Rempel氏:
 個人的には,良いシューティングの定義とは「音楽のテンポが速くて,レベルデザインが良くて,ステージは30秒ほどの短いもので,ボス戦がとにかくアメイジングで面白くて,物を壊しまくって爽快感を得られるもの」だと思っています。こうした方法論を使って,ほかのジャンルのゲームを作ってみたいです。

松下氏:
 その考え方は,すごくよく分かります。

Rempel氏:
 個人的には,1プレイ30分で終わるくらいのゲームを繰り返し遊ぶのが好きですね。

松下氏:
 繰り返し遊ぶものや,1ステージが非常に短いものがはやっていますからね。Rempelさんには,ぜひアクションゲームを作ってほしいです。個人的には,筋肉ムキムキの男が斧を振り回すようなゲームが好きなので,PCエンジンの「魔境伝説」みたいな感じのものがいいですね。アクションゲームは裸の男が大暴れしないとダメですから。
 最近はプラットフォームアクションやシューティングでも,海外でいい作品が出ています。日本のゲームのレトロ感を分かって作っているというか,こうしたものを見ていると日本人として負けられない,頑張らなくてはという気持ちになります。

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4Gamer:
 Rempelさんから松下さんへ,何か期待はありますか?

Rempel氏:
 やはり対戦型シューティングを作ってほしいですね。僕は「ティンクルスタースプライツ」のように,新しい要素が入っているゲームが好きです。対戦型シューティングを作るとしてもこれまでの焼き直しじゃない,まったく新しい“何か”があるものを作ってほしいです。

松下氏:
 個人的には「ティンクルスタースプライツ」でも,いろいろとやり残しがあるんです。新作の開発を進めることで新しいアイデアが出てくるかもしれないので,頑張りますよ。

4Gamer:
 では,それぞれご自分の新作についてアピールをお願いします。

松下氏:
 これからもゲーム作りを頑張っていきます。いろいろなジャンルのいくつもの新作に関わっていますので,情報が出せるようになったらお知らせします。ぜひよろしくお願いします。

Rempel氏:
 僕は日本のゲームが大好きなんです。僕が日本のゲームを愛するように,皆さんも「ライバル・メガガン」のことを気に入ってもらえれば嬉しいです。今日は松下さんに会えて夢のようでした。

4Gamer:
 お2人とも,本日はありがとうございました。

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 1996年に「ティンクルスタースプライツ」が蒔いた種は遠くカナダに届き,Rempel氏の中で芽を出し,2018年に「ライバル・メガガン」という形で花開くこととなった。優れたゲームデザインは時間と言葉の壁を越え,人々の心を楽しさとリスペクトでつなぐことができるのだ。そんな「ライバル・メガガン」がプレイヤーからどのような評価を受けるのかに注目しつつ,松下氏とRempel氏が作り出す新たなゲームにも期待を寄せたい。

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