プレイレポート
「チームソニックレーシング」プレイレポート。レースマシンを駆るソニックたちがチームで勝利を目指す
ソニックたちがマシンに乗りレースを繰り広げる本作は,レースゲームでは珍しい「同じコース上を走っている仲間キャラクターと連携を取りながら,チームで1位を目指す」というルールを導入している。本稿では,従来のレースゲームとはひと味違う“協力して勝つ”レースを楽しめる本作のプレイレポートをお届けしよう。
ソニックたちが参加するレースゲームとしては,過去に「ソニック&セガ オールスターズレーシング」(コンシューマ版は国内未発売)やその続編「ソニック&オールスターレーシング TRANSFORMED」などがある。シリーズ単独のレースゲームは「ソニックR」や「ソニック フリーライダーズ」といったタイトルが出ていたが,“ソニックがレースカーに乗って走るタイトル”になると,なんと25年前にゲームギアで発売された「ソニック ドリフト」とそのシリーズ以来だ。
開発は「ソニック&オールスターレーシング TRANSFORMED」の開発を手がけたSumo Digitalで,レースゲームとしてのプレイフィールはそれに近い。ギミックに富んだコースや,カーブを曲がるときにブレーキ/ドリフトボタンを押すと発生するドリフトからのブーストによる爽快な走行など,レースゲームとしての基本部分も高い完成度を誇っている。ソニック単独のタイトルとなったことで,ファンならワクワクするようなコースの外観や世界観が構築されているのも嬉しいところだ。
本作の最も特徴的なゲームシステムは,冒頭でも述べたチームにおけるレース展開だ。本作はスポーツの団体競技のように,一つのコース上に3人1組のチームが最大4組まで同時に走行し,3人の順位を総合した結果がリザルトとなる。自分がトップを取れなかったとしても,チームメイトの成績がよければ1位になれる可能性があるという,独自のルールが採用されているのだ。
ゲームに登場する5組のチームのメンバーは,それぞれ「スピード」「テクニック」「パワー」というタイプに分かれている。スピードタイプは,最高速はダントツだが縁石などで減速しやすく,テクニックタイプは最高速は伸びないものの,コースアウトしてもほとんど減速せずに走れる。そしてパワータイプは,壊せる壁などの一部の障害物に激突しても減速しないという特徴があり,それぞれ個性に応じた走りができる。
自分の走り方にマッチしたキャラクターを選んでもいいが,対戦時などは自分で任意にチームを組めるので,タイプを考えて組み合わせを楽しんでもいいかもしれない。ちなみにタイプが被っていたり,同じキャラクターだったとしてもチームに複数人組み込める。
ルールのみならず,「チームアクション」と銘打たれたシステムにも注目だ。
中でも「ラインブースト」は,チームで競うレースの醍醐味を味わえるシステムと言えるだろう。これは,チームのうち先頭を走っているプレイヤーが走行した軌道に引かれる黄色いライン(スリップストリームエリア)を,後続の仲間が一定時間走行すると加速できるというシステムだ。仲間の後ろを走っている限り常にブーストするチャンスがあり,連続して行えば一気に順位を上げられる可能性がある。とくにテクニックやパワータイプは,ラインブーストを常に意識することで,前を走るスピードタイプの走りの恩恵を受けられる。
また,「アイテムボックス転送」は,コース上で拾える「ウィスプ」(アイテム)を,仲間に転送するというものだ。ウィスプは種類によって効果が異なり,プレイヤーの現在のポジションなどによって使いどころが大きく変わる。例えばコース上に障害物となる立方体を置く「ブルー・キューブ」なら,後方でラインブーストをしている仲間がいるときに使うとその仲間を巻き込んでしまう可能性がある。かといって使わないでおくのは宝の持ち腐れになってしまうので,仲間に転送して有効活用してもらうのである。転送したウィスプは効果がより強力になり,ときには特別な効果をもったウィスプになることもある。
そして3つ目の「タッチダッシュ」は,敵の攻撃やトラップなどに引っかかって減速したり停止したりしてしまった仲間のマシンに対し,近くをすり抜けることで対象に劇的な加速効果を与えるというものだ。どんなに運転がうまい人でも相手チームからの攻撃によってアクシデントが発生することはある。そういうときにこのタッチダッシュを意識して行えるようになれば,チームの総合力は一気にアップするはずだ。
これらのチームアクションは成功するとゲージが溜まっていき,溜まりきると無敵の状態で一定時間,超高速で走れる「アルティメットブースト」が切り札として使えるようになる。仲間同士の協力を常に促すシステムを組み込んだゲームデザインは個性的で完成度が高く,本作ならではのプレイフィールを実現している。
一方で,仲間のマシンにも当たり判定があるため,ラインブースト時の位置関係の把握やウィスプの使い方などを意識しないと事故につながる場合もある。こういった緊張感を残しているバランスは秀逸と言え,マルチプレイ対戦ならさらに盛り上がれるはずだ。
ゲームはステージごとに設定された異なるルールのもとにレースを進めていく「チームアドベンチャー」モードが用意されている。レースゲームには珍しくストーリーを楽しみながら遊べるので,対戦プレイが苦手な人も楽しめるだろう。
チームアドベンチャーにはチームで走るレースのほかに,リングを集めた数を競う「リングチャレンジ」や,コース上のターゲットに体当たりしてスコアを伸ばしていく「デストラクション」など,独自のルールが設けられたステージも用意され,プレイヤーを飽きさせない。
またゲーム内で手に入る「コイン」を消費して「ガチャ」を引くことで,レース開始時に使用できるアイテムやチューニングパーツを獲得できる。とくに後者は,各キャラクターのマシンの性能を変えるパーツで,チューニングを施したマシンは全モードで使用可能だ。装着するといずれかのパラメータが上がるが,別のパラメータが下がるため,パーツをたくさん集めたプレイヤーが絶対的に強いわけではない。ただ,コースによってチューニングを変えることで,キャラクタータイプだけではカバーできない走りをすることも可能となるはずだ。
マシンのカラーリング変更は,走りには直接影響のない純粋に見た目だけのカスタマイズとなる。マシン全体で4か所を色分けでき,各色は12種の素材や塗装の質感で表現することが可能だ。さらにアンロックしたキャラクター全員のカラーパターンが選べるので,搭乗するキャラクターのイメージカラーとはまったく別の色のマシンにすることもできるだろう。チューニングパーツのカラーなどとともに自分だけのマシンにコーディネートして,オンラインレースを走りたいところだ。
コースの中には,過去のソニックシリーズに登場したステージや世界観をオマージュしているものもあり,新旧ファンなら必ずグッとくるはず。さらにサウンドはメインコンポーザーの瀬上 純氏のバンドCRUSH 40によるメインテーマ「GREEN LIGHT RIDE」を筆頭に,新曲はもちろんファンには馴染み深いサウンドのアレンジバーションなどが収録されている。ギターを主体としたサウンドはゲームのスピード感にもマッチしているので,ぜひ音量を大きめにして楽しんでほしい。
新旧ソニックファン向けのタイトルというだけでなく,デフォルメされたレースゲームとしての完成度もとても高い。とくにチームによる戦術の組立は,これまであまり味わったことのない新鮮なレース体験を提供してくれる。世界中のプレイヤーと対戦できるオンラインプレイもあるので,ソニックファンのみならずレースゲームファンにも,この“チームによる新しいレースアクション”を体験してもらいたい。
「チームソニックレーシング」公式サイト
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