プレイレポート
PS4向け日本語版「CONTROL」をプレイ。SFやオカルト好きにはたまらないものがある,奇妙な世界観や超能力と銃を用いたアクションが魅力
本作は,超能力と銃で戦いながら異世界となったビルを探索するアクションアドベンチャーだ。505 Gamesから8月27日に世界リリースされてから,イギリスのGOLDEN JOYSTICK AWARDS 2019でCritics' Choice Awardを受賞(関連記事)し,世界的なゲーム賞であるThe Game Awards 2019で大賞にあたるGame of The Yearを含む7部門にノミネートされるなど(関連記事),高い評価を得ている。
光と闇の描写が美しいサイコスリラーアクション「Alan Wake」 |
時間を操る力がテーマとなった「Quantum Break」 |
そんなRemedyが手掛けた「CONTROL」は,「Alan Wake」「Quantum Break」の“超常現象モノ”と「Max Payne」シリーズで培われた“ガンアクション”という,同社の得意な方向性を突き詰めたといえる作品だ。発売を明日に控えたPS4向け日本語字幕版を先行してプレイできたので,ゲームの特徴や魅力をプレイレポートで紹介しよう。
「CONTROL」公式サイト
不気味な存在や奇妙な事象だらけの異界を舞台に
超能力者・ジェシーの奇妙な物語が始まる
本作の物語は,異世界となったビルを舞台に展開する。行方不明の弟を探し続ける主人公のジェシー・フェイデンは,超常現象を扱う政府機関「連邦操作局」が弟の失踪に関わっていることを突き止め,連邦操作局の本部ビルである通称「オールデスト・ハウス」にたどり着く。
オールデスト・ハウスに足を踏み入れると,そこには異常な風景が広がっていた。「ヒス」と呼ばれる異次元からの侵略者や凶悪なクリーチャーたちによる脅威にさらされ,また建物自体も,空間がねじ曲がったかのような世界へと変貌していたのだ。
いわば敵地に乗り込むような形でオールデスト・ハウスにたどり着いたジェシーは,危機的な状況に陥っていた連邦操作局の局長をなぜか任される。弟の情報を手に入れるため局長となってこの異変に向かい合うことを決意したジェシーは,自身が持つ超能力と局長の証として与えられた謎の銃「サービスウェポン」を駆使し,建物内部で起きている超常現象を調査することになるのだ。
異界からの侵食を受けているオールデスト・ハウスの内部は,お役所のような無機質なオフィスの中空に,怪異の犠牲になった職員が首をつられたかのような姿勢でフワフワ浮いている……なんていうおぞましい風景は当たり前。実験装置や巨大な動力システム,ごうごうと火が燃えさかる焼却炉,岩肌むき出しの採掘現場といった,おおよそビルの内部とは思えないフロアも点在し,どこの会社にもありそうなドアを開けると石造りの玄室を思わせるような部屋に出たり,海中のような光景が広がったりする。
このように,ビルの内部は現実世界と幻想風景が入り混じり,そして奇妙につながった構造となっており,光と影のコントラストが印象的な,美しくも不気味な世界が広がっているのだ。
物語を進めていると,「アストラル・プレーン」と呼ばれる場所に飛ばされることがある。宙に浮かぶ逆さまのピラミッドが印象的な,オールデスト・ハウスの中でもとりわけ奇妙で神秘的なこの空間は,不思議な声に課されるチャレンジをクリアすることで脱出が可能だ。ジェシーの新たな能力が開放されることもあり,物語としてはもちろんゲームプレイにおいても重要な場所となるだろう。
SF好きにとってとくに興味深いものとなるのが,「パワーオブジェクト」と呼ばれるアイテムだろう。どこにでもある日用品や街で見掛けるような器具などに謎のパワーが宿ったアイテムで,「3度引っ張るとどこかのモーテルへと転移される電灯のヒモ」「異次元の存在と通話できるダイヤルのない電話機」「周囲のものをミサイルのように飛ばしてくるフロッピーディスク」「近づくと逃げるメリーゴーラウンドの馬」などどれもおかしなものばかり。多くは害意を持っているわけではないが,それぞれ不思議な事象を引き起こす。これらがオールデスト・ハウスのあちこちに点在しているのだ。
このパワーオブジェクトには,受け手があれこれ考える余地のある“投げっぱなしの意味不明さ”があり,都市伝説や怪談,マイナーな妖怪譚などに似た面白さを持っている。連邦操作局がこれらの品々を収集・研究する機関というのも,ここ近年で日本でも大きな広がりを見せているシェアード・ワールド「SCP Foundation」(SCP財団)を思わせるものがあり,見た目でも分かりやすい奇妙さがありながらもSFやオカルト好きに響くものがあるという,絶妙なテイストを生み出しているのだ。
オールデスト・ハウスに残された文書からは,パワーオブジェクトを調査しようとした研究者たちが発狂したり,死亡したり,この世から消えてしまったりするなど,彼らがとんでもない目に遭わされていたことがうかがえる。このあたりの文書を探し回って読みふけり,あれやこれやと考察や妄想を楽しめるところも,SFやオカルト好きにとって嬉しいポイントだろう。
このようにテキスト量が多いゲームであるため,日本語でプレイできるメリットはかなり大きい。日本語字幕のフォントは基本的にシンプルで,テキストはほどよい大きさでときに大胆に表示される。ミッションを知らせるテキストや看板に近づくと表示されるテキストも,背景に同化しないよう考えられているため遊びにくさを感じることはないだろう。
ジェシーの行く手を阻む異能の存在たち
超能力と不思議な銃を巧みに操り立ち向かえ
ここからはアクションについて紹介しよう。オールデスト・ハウスには生存者はほとんどおらず,異界の存在「ヒス」に乗っ取られたエージェントたちが徘徊している。彼らと意思疎通を図ることはできないため,ジェシーの持つ超能力とサービスウェポンで撃退しなければならない。
不思議な力を持つジェシーは,オールデスト・ハウスでさまざまな事象に触れることでさらにその力を強めていく。
建物内にあるさまざまなオブジェクトを念動力で投げつけられる「投擲」や,足元の床や瓦礫を剥がして盾にする「シールド」。敵を操り一定の時間味方にする「洗脳」。無敵時間を伴うダッシュができる「緊急回避」。空中に浮いて移動できる「空中浮遊」など,「超能力モノといえばこれだ」というものとなっているので,操作方法や使い方は覚えやすいはずだ。
フォトリアルなグラフィックスによる超能力の描写はかなりの没入感がある。巨大なコンテナを叩きつけた際は「これは痛そう……」と敵に同情したくなるほどに質感と重量が感じられ,ガスボンベなどの危険物を投擲して爆発させたときの迫力は別格だ。
また,敵も超能力を使ってくるので,敵が飛ばしてきた瓦礫をとっさにシールドで防いだり,互いに空中を飛び回りながら念動力で攻撃しあったりという,映画や漫画,アニメで見て憧れた“超能力合戦”が繰り広げられるところはかなり熱い。
戦闘だけではなく探索でもその力は重要となっており,投擲を使って機械の部品をはめ込んだり,大きな裂け目を緊急回避や空中浮遊などで飛び越したりといった場面もある。こういったシチュエーションとそれを表現するリアルな描写によって,プレイヤー自身が超能力を使えるようになったかのような感覚が味わえるだろう。
サービスウェポンは,操作局の局長に受け継がれているという謎の武器だ。一見普通の銃だが,ハンドガンのように扱いやすい初期形態「通常モード」をはじめ,射程は短いが威力が高いショットガンタイプの「粉砕モード」,チャージ時間が生まれるが長射程かつ高精度のレーザーを放つ「貫通モード」,弾数が多く高速連射が可能なマシンガンタイプの「連射モード」,爆発する弾で広範囲の敵を攻撃できる「爆破モード」といったさまざまなモードがある。敵や状況に合わせて武器を持ち替えるのではなく,“サービスウェポン自体を切り替える”のが本作の特徴だ。
モードを切り替えると,サービスウェポン自体の形状も変わるのだが,このときの演出が一度パーツがフワっと浮き,それがまた本体に集まって違う形に組み合わされるという,いい意味で現実離れしたものとなっている。筆者はこの“正体不明なカッコ良さ”にハマり,つい意味もなくガチャガチャと変形させていた。
弾倉の弾丸を撃ち尽くしても,しばらく経つと自動で補充されるという辺りも,未知なる力といった感じで実に怪しくていい。最初は通常モードしか使えず,敵を倒して素材を入手してモードを増やしていくのだが,その素材が「根源」「儀式衝動」「ハウスメモリ」「スレッショルドの残部」など,怪しいうえに形状が想像できないものばかりだ。
そもそもサービスウェポン自体にも「新たな持ち主が局長としてふさわしくない者なら殺してしまう」という特性があり,武器を強化するというよりは何かの化け物を育てているような,不思議な感覚が味わえるだろう。
超能力とサービスウェポンを駆使して敵を退きつつ謎多き異世界を探索するのだが,ジェシーの行く手を阻む敵たちがなかなか手強い。ヒスの力に操られた者たちは,武器だけではなく強力な超能力を操って襲い掛かってくるのだ。
どこからともなく湧いてくることもあり,前にいる敵と撃ち合っている間に,知らぬうちに後方に敵が湧いていて挟み撃ちにあった……なんてことも起きるので,なかなか気が抜けない。さらに,そのフロアに出現した敵を倒し切らないと体力の自動回復が始まらないうえ,回復量もごくわずか。敵を倒すと回復アイテムが出るが,ほかの敵と戦いながらの回収はリスクを伴う。できるだけダメージを受けないよう,慎重な立ち回り方も重要となるのだ。
そんな強敵たちとの戦いでは,超能力とサービスウェポンそれぞれの特性を掴み,周りや敵の状況を見てうまく使い分けたり切り替えたりできるかが重要となる。
例えば,バリアを張った敵と戦う場合。バリアを張られているとサービスウェポンでの攻撃が効きにくいため,まずは投擲の能力でオブジェクトを敵に投げつけてバリアを破壊する。敵のバリアを破ったらこんどはサービスウェポンの出番だ。敵が近くにいれば至近距離での火力が高い粉砕モード,遠くにいれば狙撃に向いた貫通モードといったように,モードを切り替えながら効率よく敵を攻撃しよう。
要注意なのが,回復役の敵の存在だろう。せっかくバリアを破壊し攻撃を叩き込もうとしたとたんに,回復されてまたバリアを張られるとなると厄介だ。そうこうしているうちにほかの敵も接近してきてピンチになることもあるので,複数の敵を相手にする際はまず回復役がいるかを調べるのも重要となるだろう。
敵が複数で現れた際に有効な,筆者おすすめの超能力が「洗脳」だ。使用するには操りたい敵の体力を削らなければならず,また洗脳が完了するまで無防備状態になるというリスクはあるが,洗脳した者は敵の注意を引いてくれるため安全な位置で戦えるうえ,洗脳が解けた際に体力回復アイテムをまき散らして自壊するので使い勝手がいい。
なお,サービスウェポンは撃ち尽くすと弾丸のリロード時間が発生し,超能力は使用するためのエネルギーが必要となる。戦闘中はサービスウェポンのリロード時間や超能力のエネルギーのペース配分を考えながら,うまく攻撃方法を切り替えていこう。
敵を倒すと,回復アイテムやサービスウェポンの新モード開放に必要な素材,そしてジェシー自身やサービスウェポンを強化する「強化アイテム」が手に入る。
強化アイテムは,ジェシーのライフ増加やヘッドショット時の火力アップといったさまざまな強化方法があり,入手したものによってその効果や能力の伸び率などが微妙に異なることも。このあたりはハック&スラッシュ系の楽しさがあるので,人によっては敵と戦う際のモチベーションにもなるだろう。
また,特定のミッションをクリアすることで手に入るスキルポイントを使えば,洗脳の効果時間やシールドの強度といったジェシーの超能力や体力,エネルギーゲージなどを強化できる。自身の戦い方にあった超能力を優先的に伸ばせば戦いやすくなっていくはずだ。
戦闘関連で少々気になったところが,基本的に複数で敵が登場するため接近戦だと戦いにくく,強化アイテムやスキルはライフ重視,戦い方は貫通による長距離戦になりがちとなる点だ。ランダム要素のある強化アイテムも好みが分かれるだろう。
効率よく戦うとなるとおのずと遠距離からとなってしまうかもしれないが,さまざまな超能力を駆使する戦法で挑み,本作ならではの超能力×銃のバトルを楽しんでほしい。
こうして謎解きや戦いを繰り返しつつ各地に点在する「コントロールポイント」に向かい,これを浄化することでオールデスト・ハウスの制御(CONTROL)を取り戻していく……というのがメインミッションの流れだ。
ほかにも新たな素材や超能力が手に入るサイドミッションやランダムで発生する「緊急任務」なども多数用意されているので,ゲームのやり込み要素が気になっていたという人も満足できるはずだ。
最後にあらためて世界観と物語の魅力について触れたい。ジェシーにとって,連邦操作局は弟の失踪に関わる組織であり,その活動内容自体も怪しいものがあり信用できない。そんな彼らと,異界の侵食から生き残るために協力関係を結び,その謎を解くために活動する。一体どのような結末が待っているのか,そして弟は……と,海外ドラマを思わせるスリリングな展開を見せる物語に引き込まれてしまうだろう。
また,先ほど名前を挙げたSCP財団のほかにも,「黒い異形の銃を手に,奇怪な変貌を遂げた巨大建造物に挑む」という要素は,弐瓶 勉氏の漫画「BLAME!」を思わせる。SFやホラー,オカルトを題材とした作品が好きな人は,あらゆる場面でビビっとくるものを感じるはずだ。
フォトリアルなグラフィックスによって描かれる現実と幻想。現実的な武器である銃と空想的な力である超能力……こういったさまざまな“対比(コントラスト)”も本作の重要なテーマの1つ。本作が気になったという人は,ぜひRemedy独特の世界観とアクションを体験してほしい。
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