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フラッシュバック
  • 3goo
  • 発売日:2018/08/09
  • 価格:2052円(税込)
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25年を経てNintendo Switchで蘇る「フラッシュバック」を紹介。これがロトスコープ&2Dポリゴンで欧州を激震させたギネス級タイトルだ
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印刷2018/08/01 18:14

プレイレポート

25年を経てNintendo Switchで蘇る「フラッシュバック」を紹介。これがロトスコープ&2Dポリゴンで欧州を激震させたギネス級タイトルだ

 現在ニンテンドーeショップでは,3gooが2018年8月9日に発売するNintendo Switch用ダウンロードソフト「フラッシュバック」の,あらかじめダウンロードでの予約販売が行われている。通常価格は2052円(税込)だが,予約の場合は10%オフの1846円(税込)で購入可能だ。本稿では,そんな「フラッシュバック」がどのようなゲームなのかを紹介しよう。


 オリジナルの「フラッシュバック(Flashback: The Quest for Identity)」は,1992年にイギリスのU.S. Goldから発売された,フランスのDelphine Software Internationalの開発によるAMIGA用のタイトルだった。その後,1993年にイギリスのTiertex Design StudiosによってGenesis(欧米版メガドライブ)やSuper NES(欧米版スーパーファミコン)に移植され,それらがサン電子によってローカライズされて日本でも発売されている。その後,アタリジャガーやMS-DOS,FM-TOWNSなどに移植されて世界的な大ヒットとなり,Internet Movie Databaseなどによるとギネス・ワールド・レコーズに「世界で最も売れたフランスのゲーム」として記録されているという。

ロトスコープを用いた独特なアニメーションの一例
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 本作で特徴的なのが,ロトスコープ(実写映像をもとにしたアニメーション制作技法)を用いた滑らかな動きのキャラクターアニメーションと,SF大作映画のようなシナリオ,そしてやりごたえのある高い難度だ。TV番組「ゲームセンターCX」の第56回で有野課長(有野晋哉さん)が挑戦したり,有名実況者のドグマ風見氏が取り上げたりもしたので,若年層でも高難度ぶりを目にしたことがある人はけっこういるのではないだろうか。

 Nintendo Switch版は,Super NES版をベースとして制作されている。日本のスーパーファミコン版では表現規制のためミュータント(敵キャラクターの一種)の肌が緑色にされていたが,今回はオリジナルそのままのカラーリングだ。翻訳は一新されているので,当時プレイした人でも洋書の新訳版を読む気分でプレイできるかもしれない。

ヨーロッパでは「Flashback 25th Anniversary Collector's Edition」という特典入りのパッケージ版も販売中だ。なお送料だけで日本語版の価格を上回るうえ,選択可能な言語に日本語が含まれていないので,マニアやコレクターでなければ普通に日本語版を購入した方がいい
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でもマニアやコレクター的には,このSuper NESカセット風の缶カートリッジケースなんて超最高。ちなみに当記事の写真に写っているのは,すべて筆者の私物だ
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こちらは,2017年にフランスのJoshProdから発売されたドリームキャスト向け「フラッシュバック」の日本版で,中身はメガドライブ版がベース。日本語版やCD-ROM版のムービーまで収録するなど,かなり力の入ったものだった。なお,ソフト自体は正規ライセンスに基づき開発されているが,セガゲームスのライセンス品ではないため,厳密な定義としては「ドリームキャスト用ソフト」でなく「ドリームキャストに入れるとゲームをプレイできるCD-ROM」にあたる
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先述のCD-ROM版とは,1994年以降にリリースされたCDドライブ搭載機向けバージョンのことで,幕間のムービーがリファインされている。写真はエレクトロニック・アーツ・ビクターから発売された国内3DO版。そのほかメガCDなどでリリースされた
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 沿革に続いて,「フラッシュバック」のストーリーを紹介しよう。本作の舞台となるのは,太陽系内の惑星や衛星に植民が進んだ時代。主人公であるコンラッド・B・ハートは,銀河連邦調査局の諜報員(3gooの紹介文では「科学者」とも)だ。彼は人類を脅かすエイリアンの存在に気付いたため襲撃を受け,記憶喪失となって土星の衛星・タイタンで目を覚ます。プレイヤーに与えられた使命は,彼の記憶を取り戻してエイリアンを撃退させることだ。

最初のステージはタイタンに築かれた人工ジャングル。コンラッドの冒険はここから始まり,いろいろあって職安で斡旋された仕事をこなしたり,命がけのTVショーに出演したりする
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 先述の通り,キャラクターの動きはロトスコープ技術による独特なもの。そのため,最初のうちは操作に戸惑うこともあるだろう。そして難度は高い。なので……

うっかり高所から落ちて死ぬ!

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うっかりロボットにどつかれて死ぬ!

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うっかりミュータントに撃たれて死ぬ!

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うっかり漏電している地面を踏んで死ぬ!

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しょっちゅう死ぬ!

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 うっかりで死にまくる。
 敵の攻撃はシールドのエネルギー残量があれば耐えられるが,地形ギミックは一撃死だ。1990年代としては「カラテカやプリンス・オブ・ペルシャなどロトスコープ系高難度アクションゲームの系譜を継ぐアクションアドベンチャー」といったデザインで,今風に考えると「ダークソウルみたいな死にゲー系の,サイドビュー型な脱出ゲーム」くらいの感覚だろうか。

 ただ1990年代のゲームデザインなので,忙しい現代人に向いたデス&リスタート形式ではない。時間に追われる人が本作をプレイしたら,深夜に心がポッキリ折れて,明朝には登校したり出社したりできなくなってしまうかもしれない。

 恐らくそんな人達のために,Nintendo Switch版には現代人に優しい「アレンジ版」が搭載されている。こちらには操作を説明してくれるチュートリアルや巻き戻しモードが備わっているほか,BGMやSEが現代風にリファインされている。巻き戻しモードは死亡時に発動するもので,一定時間だけ(ハードでは5分,ノーマルでは3分,イージーでは無制限)状況を逆再生することが可能だ。

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スタート前にゲームモードを選択
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難度設定によって敵配置などが変化する
独特な操作を解説してくれるチュートリアル
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ダッシュしていたら,マップ移動直後の地形トラップに引っかかって,うっかり死……なんてのは本作ではよくあること
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そんなときには巻き戻しモードでタイムリバース。余談だが,カセットテープもVHSも廃れた現在,家電業界では「早戻し」と表記するのがデファクトスタンダードとか

 ちなみにデモムービーは,2Dポリゴンという技術が用いられている。これは画面上の座標を線で結んで多角形を作ったり,その多角形を塗りつぶしたりしてオブジェクトの描画を行い,アニメーションさせるというものだ。

2Dポリゴンで描かれたグラフィックス。多角形を器用に組み合わせることで,独特なビジュアルが作られている
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 ロトスコープや2Dポリゴンは今現在のプレイヤーにとって,ドット絵やローポリのような「レトロで新鮮」なものとして,魅力を感じられるグラフィックスではないだろうか。そして,有野課長の苦しんだ高難度ぶりも,「いかにも1990年代の洋ゲー!」といった「レトロで新鮮」なポイントだ。そういった部分に心惹かれる人は,本作をプレイしてみてほしい。
 そして,もし実況動画を作るなら1993モードをハード設定でプレイして,視聴者に絶叫や嗚咽を聞かせてあげよう!

画面エフェクトや音量バランスは細かく設定できる。ピクセルがパリッとしたビジュアルで遊びたい人も,CRT的な柔らかいビジュアルで遊びたい人も安心だ
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「フラッシュバック」のストーリーは,MS-DOSやPlayStationなどでリリースされた続編の「フェイド・トゥ・ブラック」へと続く。エンディングを見て続きが気になった人は,こちらのタイトルについて調べてみるといいだろう。これまた非常に高難度で,PlayStationの日本語版には全編の攻略マニュアル(写真左下)が同梱されていた
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歴史の波間に沈み……そして今,再浮上するDelphine Software Internationalタイトル


 オリジナル版の「フラッシュバック」を開発したDelphine Software International。その歴史を辿ってみると,不動産会社であるDelphine Groupの子会社として創設され,「アウターワールド」や「フラッシュバック」などによる大成功の後,Infogrames(Atariフランス法人の前身)から離反したスタッフを引き込み,自身の子会社・Adeline Software Internationalを結成してゲーム開発体制を強化するも,その後のヒット作を生み出すことができずに衰退し,ゲームボーイアドバンス向けに開発されていた「Flashback Legend」もキャンセルとなり,会社はDoki Denki Studioへと売却され,その後Doki Denki Studioも破産……と,なんだか栄枯盛衰といった感じでドラマチックだ。

 そして2013年,“「フラッシュバック」の生みの親”といえるゲームデザイナー/プログラマーのPaul Cuisset氏は,LexisNumeriqueと共同で設立したVectorCellで3Dリメイク版「フラッシュバック」PC / PS3 / Xbox 360)を制作し,UbiSoftから販売する。しかしその売上も振るわず,VectorCellは「フラッシュバック」のほか「Amy」だけを残して倒産してしまう。


 「フラッシュバック」というIPは,そんな紆余曲折を経ているわけだが,冒頭で紹介したドリームキャスト版は正規ライセンスでリリースされ,今回はNintendo Switch版も出るのだ。本作がファンにどれだけ愛され,求められているかが感じられる。

 ちなみにDelphine Software International製のタイトルは,今回「フラッシュバック」が25年を経てリバイバルされたほか,精神的な前作にあたる「アウターワールド(Another World)」も27年を経てDotEmuからNintendo Switch用ソフトとしてリバイバルされたり(関連記事),格闘ゲーム「Shaq Fu」の24年ぶりとなる続編「Shaq Fu: A Legend Reborn」Steamでリリースされたり,バイクレースゲーム「Moto Racer」の15年ぶりとなる新作「Moto Racer 4」が2016年にリリースされたり(関連記事,日本ではH2 InteractiveがPS4版を2017年に発売)している。世は正にDelphine大復活時代。「フラッシュバック」を楽しむのに,これ以上のタイミングもなかなかないだろう。

乗るしかない。このビッグウェーブに!
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「フラッシュバック」公式サイト

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