インタビュー
「ヒプマイ」2nd D.R.B Final Battle CD発売を記念して速水 奨さんにインタビュー。実はシブヤ推し!? 速水さんが語る楽曲の魅力は?
本CDは,2回目のバトルシーズンである<<2nd Division Rap Battle>>で決勝に進出した,Buster Bros!!!,麻天狼,Fling Posseの3ディビジョンによる“三つ巴バトル曲”を収録している。
ここでは,麻天狼のリーダー・神宮寺寂雷を演じる速水 奨さんの独占インタビューをお届け。今回のCDに収録されている曲の魅力はもちろん,8月7,8日に行われたライブの感想やほかのディビジョンの印象などについてたっぷりと伺った。
4Gamer:
まずは8月7,8日にライブ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 7th LIVE ≪SUMMIT OF DIVISIONS≫」が行われましたが,出演されての感想をお願いします。
当初予定していた収容人数の半分とはいえ,お客さまがたくさん入られて。会場の一体感が半端ではなくて,僕たちもお客さまもみんな,「これを待ってたんだ!」という気持ちで瞬時に繋がりあえたと思って感動しましたね。
4Gamer:
有観客でのライブは,かなり久しぶりですよね。
速水さん:
2019年の大阪以来ですね。「ヒプマイ」のライブのときは毎回何かが起こるんですが,大阪のときは台風が来て,みんな帰れなくて大変な思いをしたのを覚えています(笑)。
今回は,開催できるかどうかが不透明な中で,毎回僕らも気を揉みながらリハーサルを重ねて。みんなで一緒のステージに立って,ひとつの目的に向かって最後まで出し切れた達成感がすごかったです。
4Gamer:
客席の応援グッズによるライトの光がすごかったですね。
速水さん:
そうなんですよ,綺麗でしたね! 以前のライブでは,「麻天狼はどれだけの人間が応援してくれてるんだろう?」とか,そういう目で見ていたんですけれども(笑)。今回は何色だとか関係なく,光輝いているだけですごく尊くて,美しかったなって。多分一緒に出演したみんなもそうなんじゃないかな。バトルをしてるという感覚よりも一緒にステージに立てた,この場にいられたっていうのが一番の共通の気持ちかな。
4Gamer:
ライブでは,バトル曲「SHOWDOWN」も,楽曲プロデュースされたDragon Ashさんによる生演奏でお披露目となりましたね。
速水さん:
すごく大人な曲ですよね。曲を頂いたときに「あぁ,こういう楽曲で『ヒプマイ』の決勝をやれるようになったんだ」という考えが強くて。Dragon Ashさんのファンの方は「どういうこっちゃ!」ってなっていたと思うんですけれども,その気持ちに恥じないように頑張ろうと思いました。
4Gamer:
三つ巴というところは新しい部分ですよね。
そうですね,今回の三つ巴って初めてなんですよ。ですから,シブヤとイケブクロがバトルをしているのを,僕らはちょっと怖そうな顔をしながら見つつも「あっ,こうやってバトルをするんだ!」とか思ったりね。なんだかちょっと面白かったです。
4Gamer:
三つ巴ということで,今までの楽曲と比べて難しく思ったりしましたか?
速水さん:
僕的には,常に乱数を意識していましたので,前に歌ったバトル曲の『BATTLE BATTLE BATTLE』と同じ感覚ではいました。
4Gamer:
続いて,「SHOWDOWN」で好きな歌詞をお聞かせください。
速水さん:
「シンジュク・ネオンの航空灯火 この灯 決して消しちゃいけないんだ」っていう一二三のバースが好きです。今回はみんな,それぞれのワードが強く粒立っている印象があります。
4Gamer:
ご自身が演じる寂雷のパートでお気に入りはありますか?
速水さん:
「荒れ狂う海から掬い上げ救う “シンジュク:痛み打ち克つGroup”」という部分ですね。そこはディレクションで,アニメの11話に出てきたバトル曲の一節「大口真神」という部分と同じように荘厳な感じで歌ってほしいと言われまして。ただただ叫ぶとガミガミおじさんになってしまうので,そうではなくて寂雷の節度を持ちながら正々堂々とバトルをするという感覚を意識しました。
4Gamer:
歌詞だけで荘厳さが滲み出ていますね。
速水さん:
かっこいいですよね。これを9人で歌い上げるっていうところが,自分で歌っていても「気持ちいいな!」という感覚がありました。メロディアスかつドラマティックで,わりと今までの「ヒプマイ」ではなかった感じのラインなんじゃないかなと思います。
4Gamer:
ソロ曲ではしっとりした曲もありますが,まさかのバトル曲でしっとりめに。でも,それが逆にラストにふさわしい感じがしますね。
速水さん:
そうですよね。ただ,このバトル曲でお客さまが「やっぱりイケブクロだ!」「シブヤでしょう!」ってなるのか……どう判断されるのかがちょっと興味あります。バトル性で言うと,最後のイケブクロとシブヤが対峙しているところがとても高まるところなんでしょうけれども。
4Gamer:
たしかに! 投票する側としても悩みますね……。
速水さん:
どうなんですか? シブヤを応援している人はずっとシブヤしか応援しないのか,途中で「イケブクロ,かっこいいわ!」って浮気するのか(笑)。僕がファンだったら,シブヤかなと思っていたんですけれども,今回あらためて目の前でイケブクロを見たら,やっぱりすごい結束だなと。「この3人,兄弟じゃないの!?」と(笑)。
4Gamer:
ライブを見るとたしかに兄弟のように見えてきますね。
思います! 裏でもすごいですよ,天崎くん(山田三郎役・天崎滉平さん)と石谷くん(山田二郎役・石谷春貴さん)が昴(山田一郎役・木村 昴さん)についていこうという気持ちが。これはね,他の追随を許さない,圧倒的にイケブクロ! という感じがしますよ。
4Gamer:
パフォーマンスを見ると圧倒的に力強いなと思いますね。
速水さん:
あとは,わりと間近でオオサカを見る機会があったんですけれども……オオサカもいいんですよね! 独自の世界が出ていて,すごくおもしろい。楽曲もそうですし,3人の凸凹な感じがすごく最高にいいチームだなって。
4Gamer:
実際に見ると心惹かれてしまうと。
速水さん:
本当に間近で見るとファンになっちゃいますね。みんなカラーが違っていて,ヨコハマは自分たちの演出で,すごくストイックにかっこよさを追求しているじゃないですか。ナゴヤは3人本当に仲良しでその結束力と,前回戦ったからこそわかるんですがエネルギッシュさを感じます。それに比べるとシンジュクは静かなんです。いつも,楽屋でニコニコしながら3人で喋ってるんですよね(笑)。
4Gamer:
いいですね,和やかな感じで。
速水さん:
和やかな2人にいつも助けられています。
4Gamer:
他のディビジョンの印象をたっぷりと語っていただきましたが,速水さんが気になっているシブヤの印象はいかがですか?
彼らは最初から見ているので強く思いますが,すごくカラーが統一されてきましたよね。白井くん(飴村乱数役・白井悠介さん)が突出してたのが,最近はそうでもないといいますか,バランスが良くなってきたというか(笑)。
壮馬くん(夢野幻太郎役・斉藤壮馬さん)が以前に比べたら,すごくアグレッシブで力強い壮馬くんになってきて。野津山(有栖川帝統役・野津山幸宏さん)は野津山で,うん,かわいい(笑)。そんな3人のチームワークがすごくパワーアップしている気がします。
4Gamer:
たしかに。ライブを見ていても,楽曲がドラマと連動してシリアスめになって,圧も増しているような。
速水さん:
ドラマと連動して白井くんは,楽曲中ずっと乱数ですからね。お芝居が本当にリアルで入り込んでいますね。とにかくどのディビジョンも唯一無二なんだなって気がします。
4Gamer:
6ディビジョンもいるのに,曲も含めて個性が本当にバラバラで。
速水さん:
そうですよね。あと,一番最初に「このコンテンツ,どうなるんだろう。大丈夫かな」って思ったんですけど……ごめんなさいですよ(笑)。混沌の中で7thライブまで行くとは思わなかったですから。
4Gamer:
女性向けで他に厚くラップを扱ったものはなかったのでなおさらそう思いつつも,本当にかなり大きなコンテンツになりましたね。
みんな,楽しんでるところがいいですよね。バトルなんだけど平和といいますか,今の時代性に合っている。人間の心の中にあるスタンダートなものがここに全部出ているんじゃないかなという気がしますし,共感性もありますよね。
4Gamer:
すごくわかります。先程,他のディビジョンを称賛されておりましたが,そんな中でも麻天狼がどこにも負けていないと思っているところはありますか?
速水さん:
いやぁ,難しいですね……勝ってるとしたら,平均年齢ぐらいかな(笑)? あとは,キャラクター3人ともちょっと大人じゃないですか。その彼らと僕たちがわりとリンクしてきたのかなというところはありますね。
いつも木島くん(伊弉冉一二三役・木島隆一さん)が「こうしましょうよ!」ってまず提案してくれて。僕と伊東くん(観音坂独歩役・伊東健人さん)が「うん」ってうなずくというパターンにほぼ100%でなる(笑)。で,1日目で失敗したところを翌日,必ず3人で「ちゃんとここはこうしよう」って話し合う。修正はきっちりしていくところが,何というのかな……「今日よりは明日」っていう向上心をみんなすごく持っているかなと思います。
4Gamer:
今回のライブでも木島さんの提案はありましたか?
「この場面で自分はこういう気持ちでいるんですけど,どうでしょう?」というお話や,立ち位置決めもあったかな。大体,「こうしたら楽しいですよね」というような提案をしてくれます。ライブ初日は,「パピヨン」で木島くんが「独歩だけ置いていきましょうよ」って提案をしてくれて,その部分で僕は車を運転をするんだけど「バックしてもいい?」って余計なことを言ってステージの上を惑わせたりしながらやりました(笑)。
4Gamer:
シンジュクもチームワークバッチリな感じですね。また,今回のバトルもファンの皆さんからの投票で勝敗が決まります。麻天狼は一回目で優勝されましたが,ずばり今回も優勝する自信はございますか?
速水さん:
いや,これはね,応援してくださる方が読むものじゃないですか。そんなに後ろ向きな発言はできないですよ(笑)。だけど「勝つ!」と言うのかというと,そこまでの自信はないですよね。先程も言いましたが,今回は判断基準がとても難しいと思うんです。3組のバトルはライブだけでなく,VRやCDでの投票もあって。ひとつのことだけで決められないですから。
どんどん複雑になっていっていきますね(笑)。ナゴヤとのバトルでVRでは勝ちましたけど,CD投票とライブ投票(※の合算)では負けてしまって……。実はそれが一番ショックでした(笑)。それもありますし,2回勝つというのは至難の業だと思うんです。最初のオリジナルの3チームで戦う事になって,やっぱり赤いカラーのイケブクロはヒーローっぽいし,黄色いシブヤはポップでおしゃれで強いし,勝てたらうれしいなぐらいにします!
※9月8日19時24分,一部誤解を招く表現がありましたので追記しました
4Gamer:
では,今回勝敗を争う2ディビジョンにメッセージを送るとしたら?
速水さん:
いやもう,お疲れさまということと,とても強いチームですからそれに敬意を表するだけですね。
4Gamer:
ありがとうございます。では続きまして,2曲目に収録されています「Hoodster+」の印象はいかがですか。
速水さん:
「この街で一番のBad Boys」って歌うところは,僕はバッドボーイじゃないので苦労しましたね(笑)。
4Gamer:
役作りが必要な感じで(笑)。この曲もライブで披露されていましたね。
6ディビジョンで歌うのは今回が初めてでしたね。ナゴヤは先程も言ったようにすごいエネルギッシュですよね。オオサカは,とにかく黒田くん(天谷奴零役・黒田崇矢さん)がラップを始めると面白くて,ずっと見ちゃうんですよね。この曲で言うと「シラフじゃねぇとか支度がいいな…… したくなねえけどまあいっか…」という部分とか,とにかくインチキっぽいことを前面に出してくるこの感じがすごいんです(笑)。物語の中での彼はダークなキーマンで,この歌詞のように陽気な感じはあまり見られないんですけれども。
4Gamer:
ラップになるとお茶目ですよね。では,ライブ中は黒田さんを見ていることが結構多いと。
速水さん:
いつも見てます(笑)。8月のライブの最後に,黒田くんが横にいたのがすごく面白かったです。「SUMMIT OF DIVISIONS」で横に並んだと思うんですけど,並ぶのが「俺ら2人なのか!」と(笑)。
4Gamer:
お2人が並ぶだけでインパクトがすごいですね。では,好きな歌詞はいかがですか?
速水さん:
やっぱり「かにもかくにも行くぜBaby Boogie down Walking down シンジュク・レペゼン」というこのフックはいいですよね。「よう学んどけ 俺ら on the set」,ここもすごく乗りがよくて。「扉開ける鍵はライムジャンキーなガキの悪足掻き」とか,ラストの「その目その耳で確かめな」で終わるところもすごく好きです。
4Gamer:
ノリが良くてポジティブな気持ちになれますね。
速水さん:
結構シニカルな名言が多いような気がしますね。「ノイズも飼いならせばいいのさ」という部分は,「どういう意味なんだろう?」と思いながら歌っているんですが……“ノイズ”というのは,例えば自分に対して良く思わない人の言葉とかそういう意味なのかなと思って。「チープなプライドじゃたちまち喰われちまうぜ」という部分も,自分1人だけ高いプライドを持っていても,外からの色んな言葉で折れてしまいそうになるから。その程度のプライドだったら持たないほうがいいみたいなことなんでしょうけれども。
4Gamer:
では続いての質問ですが,改めてご自身が演じる神宮寺寂雷の魅力を教えてください。
速水さん:
すごく大人でキャパシティが広いのに,乱数にだけ異常にあからさまに反応するところはちょっとかわいいなと思います。まぁ過去に色々あるからではありますけど。あとは,キャラクターみんなそうですが,人に言えない過去を抱えていたり,罪を背負っていたりする部分があるからこそ,菩薩のように優しい姿でいられるというのかな。その相反するものを抱えているところに人間的な魅力を感じますよね。
4Gamer:
では,そんな寂雷とご自身が似ているところは?
速水さん:
ほぼないですね(笑)。いつも優しくあろうと心がけてはいますけれども,僕はそこまではできないなぁと。また,彼のようにストイックさはあまり持っていないですから……ないです!
4Gamer:
寂雷は釣りをしますが,速水さんはやりますか?
速水さん:
釣りは,10歳頃にうどんでしたことはあります。ミミズとかって触るのちょっと気持ち悪いじゃないですか。だから,うどんをちぎって餌にして鮒とか釣ってました。平和でしょう(笑)?
4Gamer:
かなり平和ですね。
速水さん:
しかもキャッチアンドリリースですから! 海釣りも友人に誘われて行ったことはあるんですが,欠点的なことがありまして。餌を針に仕掛けるときに下を見るじゃないですか。船がかなり揺れているので酔うんですよね,。マグロ漁船とか乗れないなと思いますし,すごいですよね漁師って。
4Gamer:
寂雷先生といえば,あとはお酒ですよね。速水さんは彼のように愉快になりますか?
速水さん:
自分は愉快だけど,もしかしたら人を不愉快にしていることはあるかもしれません(笑)。愉快になって朝起きると「あれ,こんなところにアザができてるの?」みたいなことはありますね。
4Gamer:
最後に,CDの発売を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
速水さん:
3曲目はライブのオープニングのときに流れていたメガミックスが入っているそうなんですが,すごくかっこいいですよね。本番前に幕が上がるのを待っているときにずっと聞いていて,「これかっこいいなぁ」ってずっと思っていたので,これは本当にいいCDだと思います(笑)!
「SHOWDOWN」もライブで初披露しましたが,CDであらためてリリックとか色んなものをじっくりと聞いてもらって,3ディビジョンのエネルギーを感じ取ってもらえればうれしいです。ぜひ,CDショップ,ネット,色んな方法で入手して,聴き込んでいただきたいなと思っています。もうちょっと楽しみに待っていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」公式サイト
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(C)IDEA FACTORY / ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-製作委員会
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