「そうだ アニメ，見よう」第102回は格闘アニメ「ケンガンアシュラ」。企業同士の代理戦争「拳願絶命トーナメント」の栄冠は誰の手に

　企業同士の代理戦争「拳願仕合」を舞台に，最強の座を目指す男達の姿を描いた格闘漫画「ケンガンアシュラ」（小学館刊/全27巻）。サンドロビッチ・ヤバ子氏原作，だろめおん氏作画の本作は，圧倒的な画力と熱いストーリー展開が話題を呼び，連載されていたWeb漫画サイト「裏サンデー」と漫画アプリ「マンガワン」で，読者人気No.1を誇っていた作品だ。
　その人気を受けて，スマホゲーム「ケンガン ULTIMATE BATTLE」（iOS / Android）も制作され，現在続編となる「ケンガンオメガ」が同サイトで連載中となっている。
　というわけで「そうだ アニメ，見よう」第102回のタイトルは，同作をアニメ化した「ケンガンアシュラ」。アニメ制作はLARX ENTERTAINMENT，シリーズ構成は上江洲 誠氏，監督は「暗殺教室」や「月がきれい」（関連記事）の岸 誠二氏が務めている。

「ケンガンアシュラ」

　うだつのあがらないサラリーマンの山下一夫（CV：チョー）は，ある日自身の何倍もの大きさのある巨漢をいとも簡単に倒す男，十鬼蛇王馬（CV：鈴木達央）と出会う。その後，山下は自身の務める乃木グループの会長である乃木英樹（CV：中田譲治）に呼び出され，日本経済界の裏ルール「拳願仕合」の存在を知らされる。
　拳願仕合とは，企業，商人達が巨額の利益を賭け，雇った闘技者同士が素手による格闘仕合を行い，勝った方がすべてを得るというもの。
　乃木グループの闘技者となった王馬と再会した山下は，彼の世話役に任命される。2人は，驚異の握力（ピンチ力）を持つ理人（CV：金子隼人）や，プロレスラーの関林ジュン（CV：稲田 徹）といった他社の闘技者達との戦いを戦ち抜いていく。


　そんな中，拳願会会長の片原滅堂（CV：柴田秀勝）より，会長指名権をかけた「拳願絶命トーナメント」の開催が宣言された。闘志を燃やす王馬だったが，乃木グループの代表闘技者の座を，初見 泉（CV：蓮池龍三）に奪われてしまい苦境に立たされる。山下は，王馬を絶命トーナメントに参加させるため，1億円の借金を背負い「山下商事」の社長に就任するのだった。

なぜか王馬の世話役に選ばれた山下。彼にも秘密がありそうだ

　オトコというものは，いつの時代も“最強”という言葉に憧れるものだ。本作の主人公・十鬼蛇王馬もそのクチで「おれより強い奴がいるのが我慢できねえ」という，聞きようによってはただのワガママともいえる理由で「拳願仕合」に挑む。ただ，このワガママは，命をかけたワガママだ。
　本作は，そんなシンプルなオトコ達が，空手，ムエタイ，古武術，プロレスといったさまざまな格闘技で，それこそ命をかけてぶつかり合う，異種格闘バトルが描かれている。

汗の臭いが伝わってきそうな，迫力満点の対戦シーン

　とここまでは，よくある格闘ものにありがちな設定だが，「拳願仕合」には企業間の思惑が絡む。一回の試合で数百，数千億の金が動くとなれば，ただ“勝った，負けた”ではすまされない。リング外でも企業同士の駆け引きが行われるのだ。
　そして、その企業間の争いは“拳願会会長”の座を巡る「拳願絶命トーナメント」に集約されていく。本作のストーリーはこのトーナメントを軸に，さまざまな人間模様が見どころとなるわけだ。

「拳願絶命トーナメント」の開催を宣言する片原滅堂。乃木はコレを待っていたようだ

実際に技を出し合うモーションキャプチャ

　ケンガンアシュラの最大の魅力と言えば，スピード感あふれる対戦シーンに尽きる。原作のサンドロビッチ・ヤバ子氏は，フルコンタクト空手の経験者で，格闘通として知られる人物。原作のシナリオは，これまた空手や軍用格闘術経験者である担当編集者と共に作り上げたという。そんなリアリティあふれる格闘シーンを，岸監督は自社にマットを敷いて，ドロップキックや回し蹴りなど，実際にアクションをしながらモーションキャプチャしているのだ。


　なぜ，そこまで？という気もするが，美少女やロボットものなど多彩なジャンルの作品を手がける岸監督と上江洲氏にとっても，格闘ものは“夢”なのだとか。
　トーナメント第1試合のアダム・ダッドリー（CV：堀井茶渡）VS今井コスモ（CV：榎木淳弥）の手に汗握る関節技の攻防など，本作のバトルシーンには，そんな2人の夢が詰まっているというわけだ。

かかっている額が半端ないので各選手の登場シーンもド派手

体格で劣りながらも持ち前の技術でカバーする今井コスモ

個性的過ぎるキャラクター達に共感

　トーナメントでは，現役格闘家以外にも暗殺集団「呉一族」の呉 雷庵（CV：松岡禎丞）や警視庁の機動隊隊長・阿古谷清秋（CV：小山力也）など，個性的な闘技者が多数登場するが，対戦前に彼らのバックボーンが語られる。リングに立つまでの闘技者の葛藤や苦悩を見せられると，つい感情移入してしまい，どちらを応援していいのか分からなくなることもしばしば。
　このおかげで，王馬以外のキャラクター同士の対戦であっても，ハラハラしながら見守ることになり，飽きることなく物語に没頭できるというわけだ。なかなかニクイ構成だが，やはりお気に入りの闘技者が敗退するのは寂しい気分にさせられる。敗者復活戦とかないですかね？




　本作は，もともとNetflixで先行公開され，この1月から地上波での放映がスタートしていた。現在ファーストシーズンのクライマックスなので，4月からはセカンドシーズン（第13話以降）が開始されるようだ。セカンドシーズンは，Netflix版とはOP＆EDテーマが変更され，オメでたい頭でなによりの「哀紫電一閃(あいしでんいっせん）」が新OP，TAEYOの「ASHURA」が新EDとして挿入される。
　ともあれ，自身の使う「二虎流」にわだかまりを持ちながら戦いに臨む王馬は，果たしてトーナメントを勝ち抜けるのか？　借金が雪だるま式に増えてしまった山下はどうなるのか？　セカンドシーズンも目の話せない作品となりそうだ。

アニメ「ケンガンアシュラ」公式サイト

アニメ「ケンガンアシュラ」公式Twitter

放映データ
2020年1月〜

キャスト
十鬼蛇王馬：鈴木達央	山下一夫：チョー
乃木英樹：中田譲治	秋山 楓：内山夕実
理人：金子隼人	関林ジュン：稲田 徹
若槻武士：加瀬康之	今井コスモ：榎木淳弥
桐生刹那：浪川大輔	初見 泉：蓮池龍三
因幡 良：緒方恵美	英 はじめ：石田 彰
沢田慶三郎：保志総一朗	ユリウス・ラインホルト：白熊寛嗣
金田末吉：遊佐浩二	大久保直也：小西克幸
鎧塚サーパイン：檜山修之	御雷 零：小野大輔
吉・ロビンソン：村瀬克輝	目黒正樹：川本宗幸
二階堂 蓮：沢城千春	千葉貴之：星野貴紀
呉 雷庵：松岡禎丞	ガオラン・ウォンサワット：津田健次郎
河野春男：水島大宙	阿古谷清秋：小山力也
ムテバ・ギゼンガ：楠 大典	アダム・ダッドリー：堀井茶渡
室淵剛三：一条和矢	加納アギト：大塚明夫
黒木玄斎：玄田哲章	根津マサミ：星野佑典
坂東洋平：楠見尚己	鬼王山尊：三宅健太
賀露吉成役：斧アツシ	十鬼蛇二虎：藤原啓治
ナレーション：立木文彦

スタッフ
原作：サンドロビッチ・ヤバ子 作画：だろめおん（小学館「マンガワン」連載中）
監督：岸 誠二
シリーズ構成：上江洲 誠
キャラクターデザイン：森田和明
音楽：高梨康治(Team-MAX)
アニメーション制作：LARX ENTERTAINMENT
OP：MY FIRST STORY「KING & ASHLEY」
ED：AD HOP「Born This Way」

■Blu-ray＆DVD情報

『ケンガンアシュラ』Blu-ray＆DVDシリーズ（各巻６話収録）

第１巻　
【発売日】5月20日（水）
品番：Blu-ray: PCXG.50731　DVD:PCBG.53381

第２巻
【発売日】7月15日（水）
品番：Blu-ray: PCXG.50732　DVD:PCBG.53382

第３巻
【発売日】9月16日（水）
品番：Blu-ray: PCXG.50733　DVD:PCBG.53383

第４巻
【発売日】11月18日（水）
品番：Blu-ray:PCXG.50734　DVD: PCBG.53384

【法人別オリジナル特典】
（※すべて全巻購入特典になります）

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発売元：ポニーキャニオン
(C)2019 サンドロビッチ・ヤバ子，だろめおん，小学館／拳願会