プレイレポート
最新の技術で蘇る。リマスター版「ボーダーランズ ゲーム・オブ・ザ・イヤー エディション」は,シリーズ未経験者でも存分に楽しめるハクスラRPGだ
その1作めが2009年に発売されてから約10年,続編「ボーダーランズ2」,スピンオフ「ボーダーランズ プリ シークエル」「Tales from the Borderlands」といったタイトルがリリースされており,2019年9月13日には最新作「ボーダーランズ3」が発売予定となっている。
2K GamesとGearbox Softwareは2019年を「ボーダーランズイヤー」と銘打ち,さまざまなイベントを行っている。また,「ボーダーランズ3」の発売に先立ち,4月4日,1作め「ボーダーランズ」のリマスター版『「ボーダーランズ」ゲーム・オブ・ザ・イヤー エディション』(PC / PS4 / Xbox One,以下「ボダランGOTY」)を発売した。
オリジナル版からのグラフィックスの強化に加え,PS4 ProやXbox One Xのプレイ時には4K解像度とHDRに対応するほか,ミニマップの追加やアイテム管理機能の強化といったUIの刷新など,時代に合わせた最適化がおこなわれている。
さらにはオリジナル版にはなかった「日本語吹き替え音声」が新規に収録された完全日本語化が行われ,国内向けに未配信だったDLCも収録。まさに“初代ボーダーランズの完全版”と呼べる作品となっている。
今年(2019年)はシリーズ最新作の「ボーダーランズ3」の発売が予定されていることもあり,シリーズファンはもちろん「今までボダランシリーズに触れてこなかった」という新規プレイヤーが始めるのにもぴったりのタイミングと言える。今回はPlayStation 4版の「ボダランGOTY」をプレイしたので,そのレポートをお届けしたい。
なお,プレイ使用したのはPS4 Proで画面写真も本体機能で撮影しているが,ディスプレイ設定は4KではなくフルHDとなっている点はご了承願いたい。
「ボーダーランズ」公式サイト
凶悪な野生動物とクレイジーな連中がはびこる不毛の惑星「パンドラ」
本作の舞台はどこまでも不毛な荒野が続く,人々に見捨てられた惑星「パンドラ」だ。凶暴で人を襲う野生動物が至る所に生息し,また殺人や略奪を繰り返すバンディットが平然と暴れ回るこの地では,数少ない“ワケあり”な人々が細々と暮らしているだけと思われていた。
だがパンドラには,発見した者はあらゆる富や名声,そして未知のテクノロジーが得られる「ヴォルト」と呼ばれる宝の隠し場所があるという伝説があった。プレイヤーは,この単なる噂に過ぎないとも言われるヴォルトを探す「ヴォルト・ハンター」としてこの地に降り立ち,謎の女性「ガーディアンエンジェル」に導かれながら,数多くのミッションをクリアしながらヴォルトの謎に迫っていくことになる。
ゲームを開始するとプレイヤーは,まずバスに同乗するキャラクターの中から好きなタイプを選んでストーリーを進めていく。選択可能なのはソルジャーの“Roland”,バーサーカーの“Brick”,ハンターの“Mordecai”,セイレーンの“Lilith”の4人で,それぞれ得意とする武器と固有の「アクションスキル」があり,特にスキルによってプレイ中の立ち回りはかなり変わってくる。
なお,名前とキャラクターの顔,そして服装の色とスキルポイントの振り分けは,死んだときの復帰場所にもなる「NEW U-STATION」でいつでも変更可能だ。
例えばソルジャーのアクションスキルである「スコーピオ タレット」は,設置すると自動で敵を射撃すると同時に敵の攻撃を防ぐカバーとなり,スキルポイントで強化していくと近くにいるだけでゆっくりとライフや弾丸を回復できる。戦況を瞬時に大きく変えるのは難しいが,とにかくどのシチュエーションでも安定して頼りになる能力で,使う場所を選ばない。
逆にバーサーカーの「バーサーク」は攻撃方法がパンチのみになってしまうが,その攻撃力は高く,防御面では強力なダメージ耐性を得て,さらにライフまで自動で回復していく。発動時間内は大暴れできるため,場合によってはボスクラスの敵すらあっという間に素手で殴り殺せることもあり,爽快感も抜群だ。ただ,敵陣のど真ん中でスキル時間が切れると,ピンチになる可能性もある。
武器は入手さえできれば誰でも使用できるが,これらのアクションスキルはまさにキャラ固有のもの。一通りキャラのスキルを試してみて,見た目を含めてお気に入りを見つけてから,本格的にプレイを進めてみるのも悪くないだろう。
前述のとおりパンドラは,一部の集落などを除き大概はこちらを見たら襲いかかってくる野生動物か,これまたこちらを見たら襲いかかってくるイカれたバンディットばかりがのさばっていて,心が安らぐ美しい大自然の風景などもない。つまり戦って,戦って,戦い抜くことがゲームのキモであり,操作していて「楽しい」とか「気持ちいい」と感じるキャラを選ぶのがおすすめだ。
「レベル」「スキル」「強力な武器」あらゆる要素を強化して敵に挑め!
話は少し前後してしまうが,本作の基本的なシステムを説明しておきたい。
ジャンルはFPSタイプのRPGとなっており,ゲーム中の登場人物や掲示板から様々なミッションを受けて,それをプレイヤーの好きな順番でクリアしながら,ゲームを進めていく形だ。
物語を進めるだけならストーリーミッションだけクリアしていけばいいが,自分はもちろん敵にもレベルが設定されていて,いくら射撃の腕に自信があっても,体力や攻撃力に差がありすぎる格上の敵を倒すのは事実上不可能に近い。基本的には引き受けたミッションを順次こなしつつ,レベルを上げてそれに合った地域や次のミッションに挑んでいく,といった感じになるだろう。
本作ではレベルアップにより攻撃力や体力などの基礎ステータスが上昇するため,自分より高レベルの敵には相当苦労する反面,下位レベルの敵はまったく苦労せずに倒せるようになる。またスキルポイントも入手できて,前述のアクションスキルや武器の能力なども向上できるため,レベルがかなり重要な要素なのは間違いない。
スキル強化は一種のツリー状となっていて,3種類に分かれたツリーから好きなスキルを選んでいき,より強力なスキルをアンロックしていくという形だ。例えばソルジャーなら前述のタレットを強化し,攻守共に頼れる存在にしていくことが可能だが,長めのクールダウンタイムがあるため,それ1本で戦い抜くのは厳しい。
またパッシブスキルを習得することでキャラクターの基礎能力を底上げできる。スキルで基礎能力を高めるのは常に効果が発生するので安定感はあるが,目に見えた派手な効果はなく,限りあるスキルポイントをそちらに振ると,タレットを強化できずに力不足に感じてしまう。どのスキルを選ぶべきなのかなかなか悩ましい。
とはいえスキルの振り直しはお金を払えば簡単にできるので,ああでもないこうでもないとキャラビルドを調節していくのも,本作の楽しみ方の一つだろう。
ボダランシリーズのキモである,ハクスラ(ハック&スラッシュ)要素にも触れないわけにはいかない。本作の武器はショットガンやサブマシンガンといった種類ごとに分かれているが,攻撃力や発射速度といった数値はランダムで決まり,基本はレア度が高いほど高性能となっている。入手経路は敵からのドロップのほか,武器チェストからのゲットや自動販売機での購入といった選択肢があるが,いずれしても強力な装備を手に入れたときの嬉しさはひとしおだ。
また一部の武器には「属性」がついており,攻撃時に一定の確率で発動して,敵を炎上させたり感電させたりできる。これがかなり強力で,例えレアリティが低くても弱点を突けば,秘蔵のレア武器よりも大活躍したりしてしまうのだ。
こういった「一つの武器を拾った(買った)だけで,あれだけ苦労した敵に楽勝で勝てる」といった体験をしてしまうと,トレハンにやみつきになってしまうし,逆にそうやって大活躍してくれた武器も,新たなエリアで敵の種類が変わると途端に役に立たなくなったりする。まさに諸行無常といった感じだが,これがまた新しい武器を探すモチベーションになるわけだ。
レア度が高い装備は序盤でもなかなかの頻度でドロップするし,慣れれば製造するメーカーによる特徴の違いも徐々に分かってくる。さらにグレネードを強化するMODや敵の攻撃を防ぐシールドなども,武器と同じようにランダムで性能が決まったものを入手する形になるので,まさに“トレハンに終わりはない”感じだ。強敵を倒した後にレア度が高い装備が落ちているのは,いつ見ても嬉しい。
またソロで道中の戦闘がつらいと感じたら,Co-opプレイを試してみるのもおすすめだ。本作はオンラインおよび画面分割で最大4人の協力プレイが可能で,フレンドとじっくりとクエストを楽しんだり,オンラインで一期一会の共闘を楽しむことができる。
味方が多くなるほど攻撃力が上がるし,ダウンしたときなども助けてくれるうえ,うまく連携できればアクションスキルを重ねて利用したり,敵を四方から蜂の巣にできたりと,プレイの幅が広がるのが楽しい。プレイヤーの数が増えるほど敵は強くなるが,同時に強力な武器もドロップしやすくなるようなので,純粋にメリットは大きいのだ。
その反面,本作はミッションやマップの移動がすべてシームレスにつながっているため,「1プレイ」といった区切りがほとんどなく,ゲームを抜けるタイミングにちょっと悩んでしまう。また持ち運べるアイテム数もそんなに多くなく,アイテム自体も早い者勝ちで取得する形なので,思ったほど実入りがないことも。さらにレベル差の補正もないので,強さが違いすぎるプレイヤーのルームに入る(放り込まれる)とほぼ何もできないなど,あまり今風でない印象のところも多い。このあたりには,ちょっと懐かしい感じだろうか。
個人的には野良プレイより,プレイ時間(レベル)が同じぐらいの気心が知れたフレンドとわいわいプレイする方が,より楽しめるのではないかと思う。
リマスター版だが“古くささ”はほとんどなし
最新ハードでシリーズの新しい原点を体験してみよう
実は筆者はボーダーランズを「2」から始めたクチで,初代をプレイするのは実はこれが初めてだ。本作のオリジナル版は約10年前の作品ということもあり,プレイする前は「古くさく感じたらどうしよう」などと思っていたのだが,その心配はいい意味で外れることになった。シリーズの基本的な面白さの部分はこの時点でほとんど完成している。例えば瀕死の状態で敵を倒すと復活できる「セカンドウィンド」といったボダランらしい特徴的なシステムは,この初代からすでに採用されている。
レベルを上げて強力な武器をゲットしていくと,かつて苦労した敵もいつの間にか簡単に蹴散らせるようになり,成長を実感できる。特徴的な世界観で描かれる,広大なパンドラの荒野には,敵も味方も一癖も二癖もある連中ばかりだ。とはいえ見た目に反して意外と得意武器の脳筋射撃だけで勝てるわけでもなく,場合によっては遠距離から敵をスナイパーライフルで減らしていったり,敵の苦手属性を見極めて装備を切り替えたりと,しっかりとプレイヤーが攻略していかなくてはいけないシチュエーションは,決して少なくない。
また冒頭で述べたように,グラフィックスはしっかりと強化され,UIの仕様も時代に合わせたものになり,キャラクターのボイスも2以降と同じように声優陣が個性たっぷりに吹き替えているなど,新たな見所は多い。さらに本作には,新たなマップJakobs Coveでゾンビが大発生した謎を解きその事態収拾を図る「Dr. Nedのゾンビアイランド」,Craptrapが反旗を翻し敵として登場する「Claptrapのロボット新革命」のほか,「Mad MoxxiのUnderdomeで大暴れ」「Knoxx将軍と秘密の武器庫」といった計4つのDLCが最初から適用されているため,本編をクリアした後も(あるいはその途中でも)ボーダーランズの世界を楽しめるはずだ。
数々の強化がおこなわれ,2019年に蘇った「ボダランGOTY」。筆者のように初代の未経験者はもちろん,かつてプレイした名うてのヴォルト・ハンターも,新鮮な気持ちでプレイできるのではないかと思う。興味を持った人はぜひ手にとってみてほしい。
「ボーダーランズ」公式サイト
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