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【PR】オーディオテクニカの配信者向けヘッドセット「ATH-M50xSTS」は,配信の音声に本物のプロオーディオ品質をもたらす逸品だ
今回は,オーディオテクニカのアナログ接続式ストリーミングヘッドセット「ATH-M50xSTS」(以下ATH-M50xSTS)を取り上げよう。2023年1月に行われた大規模展示会「CES 2023」で発表となり,2月17日に国内発売となった製品だ。
4Gamer定番のヘッドセットテストで,その実力を見ていこう。なお,ATH-M50xSTSシリーズには,ほかにUSB接続型の「ATH-M50xSTS-USB」という製品もあるが,本稿で扱うのはアナログ接続モデルだけであることをお断りしておく。
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オーディオテクニカのATH-M50xSTS製品情報ページ
高品質なマイク集音のためファンタム電源必須なXLR接続端子とプログレードの仕様
ATH-M50xSTSのコンセプトは,プロ用オーディオ機器を数多く手がけているオーディオテクニカのド定番プロ用モニターヘッドフォンである「ATH-M50x」に,ホームレコーディングを想定したコンデンサマイク「AT20」シリーズをベースにしたマイクを取り付けてヘッドセットにしたもの,である。
通常のゲーマー向けヘッドセットと大きく異なる点は,オリジナルのAT20シリーズ本来の動作条件である「ファンタム電源」を供給できる環境でないと動作しないという点だ。実際,ヘッドフォン側の端子は,通常の3極3.5mmミニプラグで,付属の変換プラグアダプタを取り付けて,6.3mm標準端子向けの機器に接続することもできる。一方でマイク出力は,なんとプロオーディオやDTM製品でお馴染みの3ピンXLR-M(オス)端子になっているのだ。
ちなみに,姉妹機であるATH-M50xSTS-USBは,コンセプトこそ同じだが,インタフェースは一般的なUSB Type-A端子にまとめられている。
一方で,より高品位な配信を行いたいとか,すでにやっているユーザーにとっては,それほど問題ではないと思われる。ゲーマー向けサウンドデバイスで,XLR入力対応の製品はほとんどないが,今どきのDTM用サウンドデバイスや実況配信向けミキサーは,大体XLR入力対応だからだ。ATH-M50xSTSと合わせて,3万円台の配信用オーディオミキサーを導入してしまうのも手だろう。
ちなみに,ヘッドフォン側の端子が付属アダプタで6.3mm標準端子にも対応しているのは,DTM用サウンドデバイスのヘッドフォン出力端子が,大体は6.3mm標準端子だからだ。
なぜATH-M50xSTSは,ゲーマー向け製品では馴染みのない仕様を採用したのか。それは,もうひとえに「プロオーディオの世界でスタンダードになっている十分な電圧(大抵48V)を使用して,プロオーディオの録音で使われるコンデンサマイクと同等の音質をヘッドセットで実現する」ためである。ATH-M50xSTSは,そのために作られたと言っても言い過ぎではないだろう。
実際,通常のUSB接続で供給できる電圧は,5Vとかなり低い。電圧が低いと集音する音のダイナミックレンジが狭くなるので,オーディオテクニカが目指す「AT20シリーズのマイク品質をヘッドセットで実現する」という目的が達成できない。そのため,接続機器の制約こそ大きいものの,プロ用機器として文句なしのスタンダードであり,ダイナミックレンジに余裕があるファンタム電源供給のXLR端子接続を採用しているのだ。
ATH-M50xは,録音時にミュージシャンやボーカリストが装着して音を確認するための機材なので,極力音漏れしないように密閉型のエンクロージャが使われているのだ。配信用の高品位なオーディオを,音漏れを防ぎながらモニターできるという意味では,配信用途にも向いていよう。というか,プロオーディオやDTM用の録音・再生機材は,そもそも配信と相性がいいのである。
コンパクトなエンクロージャと大きなマイク
まずは,本製品を理解するため必要と思われる解説から始めたわけだが,これを踏まえて,ようやくいつものように外観から見ていこう。
艶消し黒色に銀色のパーツがあしらわれた本体は,ATH-M50x本体そのものに大型のマイクを備えたブームマイクを取り付けたようなデザインだ。オリジナルのATH-M50xは,プロの現場で使うことを想定したヘッドフォンなので,無骨とまでは言わないが,飾り気はなくシンプルだ。いかにも業務用機器といった趣きであったが,ATH-M50xSTSもこの路線を受け継いでいる。「仕事で使うかっこいいヘッドセット」といった印象だ。
エンクロージャは小型で,実測(※特記がない場合は以下同)で10×82mmのイヤーパッド部分に,直径約65mm,厚みが約20mmの円形イヤーキャップがついている。小さいエンクロージャなのに,スペック上は15Hz〜28kHzを再生するという。低音の再生能力については後段で確認しよう。
イヤーキャップには銀色の円が埋め込まれ,中央にオーディオテクニカのシンボルマークがエンボス加工されている。それ以外に装飾はない。
なお,重さは直付けのケーブルを持ち上げた状態で計測して約330gで,公称値と同じだ。
裏側のイヤーパッド部分は,厚みが約30mmで,エンクロージャ全体では約50mmの厚みがある。
イヤーパッドは2種類付属していて,取り外して交換できる。最初から本体に取り付けられているのは,肌に当たる部分がメッシュ素材となっており,通気性や快適性を重視したものだ。別途付属するイヤーパッドは,ATH-M50xと同じ合皮素材で,音質や遮音性を重視するタイプである。どちらもストッキング素材……というよりは,スポンジのように若干厚みのあるスピーカーネットが貼られている。
セオリーとしては,ゲームプレイなど長時間の使用時はメッシュ素材を,配信時は遮音性を重視して合皮素材を選ぶのが適切だ。だが,メッシュ素材は外周が合皮素材なので,全面メッシュ素材のイヤーパッドほどは,音漏れはしないと思われる。それでも,音漏れが気になるなら,配信時は合皮素材を使うといい。
なおイヤーパッドは,オプションとして別売品を購入することも可能だ。
イヤーパッドを取り外すと,スピーカーグリルが現れる。資料によると,スピーカードライバーは45mm口径。装着した状態で若干前方から聞こえるように傾いて取り付けられていて,プラスチックのグリルに覆われている。
面白いのは,グリルの上下にある紙テープのようなものの下に,7か所ずつ穴が開けられていることだ。おそらくだがこの穴は空気孔で,紙テープで覆うことによって,音が少しだけ漏れる設計なのだろう。俗に言う「音響チューニング」の一種と思われ,オーディオテクニカによる音響調整ノウハウの一端が見て取れる。
根元にATH-M50xの名がエンボス加工されたアームは,オーディオテクニカ製品らしい二点留めだ。
エンクロージャは,前方に目視で約90度,後方にも同じく約90度回転する。上下180度反転させて,イヤーパッドを外側にすることもできるなど,可動域はかなり広い。
さらに,銀色パーツ上に「L/R」と表示されている可動部を曲げて折りたためば,コンパクトに収納できる仕組みだ。
こうした可動域の広い構造は,ベースとなったATH-M50xで採用されたもので,音楽制作のときに片耳だけ聞くように180度上下反転させたり,90度前後させて首にかけて聞くことができるようにするためだそうだ。いかにもスタジオで使用されるモニターヘッドフォンの直系っぽい。
アームの長さを調整するスライダー部分は,内蔵式で,片手でも簡単に長さを調整できる。金属素材の外側部分に目盛が刻んであり,10段階の長さに調節可能だ。金属部分の裏側には,幅約2mmくらいの艶消し黒色のプラスチックが貼られている。理由は不明だが,強度を維持するためかもしれない。
幅約35mmのヘッドバンドは,接合部から頂点まで同じ幅をしており,両端はプラスチック素材になっていた。バンドの内部には,薄いクッションが詰められて合皮素材で覆われている。端のプラスチック部分右裏には,ATH-M50xSTSとマークの入ったシールが貼られており,左裏には各種認証のマークがエンボス加工されているといった具合だ。
装着感だが,重量こそ300g超えながら,筐体のコンパクトさが奏功しているのか,バランスよく,“被ってる”感は少ない。重く感じたり,バランス悪く感じたりすることもなく側圧もちょうどいい具合だ。プロの道具として定評のあるAHT-M50xをベースとしているだけに,ATH-M50xSTSが快適なのも当然といったところか。
マイクブームは,柔らかく狙ったところにピタッと設置できる扱いやすいタイプで,接合部から跳ね上げるとマイクミュートになる。ブーム長はマイク込みで約120mmだ。
ATH-M50xSTSで,何と言っても目を引くのは,大型でかなり厚みもあるマイク部分だ。直径は約23mm,厚みも約9mmもある。マイクの心臓部とも言えるダイアフラムは,AT20シリーズのスタンダードモデルである「AT2020」とは,中身が若干異なるものの,同じサイズで同じ特性が出るように工夫しているそうだ。
マイクにポップノイズフィルターは付属せず剥き出しだ。外側,内側ともに金属製と思しきグリルがはめ込まれている。なかなか見栄えのするマイクなので,配信時に顔出ししているストリーマーのビデオ映りにも貢献してくれそうだ。
オリジナルのATH-M50xは,着脱式の3極プラグなのに,なぜ本製品では直付けなのだろうと思っていたら,オーディオテクニカの資料に「4極(※マイク入力もあるので4極になる)プラグを採用しなかったのは,4極プラグで供給できる電圧ではAT2020の音が再現できないため」とあった。48V電圧供給でAT20シリーズと同等のパフォーマンスを出すには4極プラグでは力不足だったので,品質を制約しない直付けの太いケーブルを用意したようだ。
ちなみに,オーディオテクニカ曰く,「電圧の大小は,マイクのダイナミックレンジに直結する」そうだ。それもあって,業務用コンデンサマイクは,高電圧の48Vファンタム電源供給がスタンダードになっている。
外観紹介の最後に,ATH-M50xSTSのスペックもまとめておこう。
●ATH-M50xSTSの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続対応,密閉型エンクロージャ採用
- 公称本体サイズ:未公開
- 公称本体重量:約330g
- 公称ケーブル長:約200cm
- 接続インタフェース:3極3.5mmミニピンヘッドフォン入力(※6.3mm変換プラグアダプタ付属),3ピンXLR-Mマイク出力
- 搭載ボタン/スイッチ:非搭載
- スピーカードライバー:45mm
- 周波数特性:15Hz〜28kHz
- インピーダンス:38Ω
- 出力音圧レベル:99dB/mW
- 方式:バックエレクトレット・コンデンサ型
- 周波数特性:50Hz〜20kHz
- 感度:−44.5dBV/Pa
- インピーダンス:未公開
- S/N比:未公開
- 指向性:単一方向
- ノイズキャンセリング機能:非搭載
モニターヘッドフォン直系の癖のない「モニターしやすい」音質傾向
ここまでの紹介を踏まえて,ATH-M50xSTSをテストしていこう。まずはヘッドフォンの特性からだ。
ATH-M50xSTSは,ピュアなアナログヘッドセットで,計測テストはいつもどおりPCで行っている。サウンド出力は,リファレンス機材となるデスクトップPCに組み込んだ「Sound Blaster ZxR」に,ATH-M50xSTSをアナログ接続して計測をしている。
一方でマイク入力は,同PCにUSB接続した独RME製オーディオインタフェース「Fireface UCX」に接続して計測した。冒頭で述べたとおり,ATH-M50xSTSの入力はXLR端子を備え,ファンタム電源供給できるサウンドデバイスでないと動作しないが,Fireface UCXなら可能だからだ。マイクプリアンプの品質もクリーンで癖がなく申し分ないので,安心してほしい。
テスト自体は,いつもどおり2種類の検証を行う。
- ヘッドフォン出力テスト:ダミーヘッドによるヘッドフォン出力の周波数特性計測と試聴
- マイク入力テスト:マイク入力の周波数特性および位相計測と試聴
ヘッドフォン出力時の測定対象は,アナログヘッドセットで遅延はないので,出力遅延計測は行わず,周波数特性のみ計測する。具体的なテスト方法は「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるヘッドフォン出力テスト方法」で示しているので,そちらを参照してほしい。
また,マイク入力の測定対象は,周波数特性と位相特性で,こちらも具体的なテスト方法は,「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるマイクテスト方法」にまとめたとおりだ。接続先がSound Blaster ZxRからFireface UCXになり,ファンタム電源供給を行っている点がいつもと異なる。
差分画像の最上段にある色分けは,以下のような音域を左から順に示したものだ。
- 重低域:60Hz未満,紺
- 低域:60〜150Hzあたり,青
- 中低域:150〜700Hzあたり,水
- 中域:700Hz〜1.4kHzあたり,緑
- 中高域:1.4〜4kHzあたり,黄
- 高域:4〜8kHzあたり,橙
- 超高域:8kHzより上,赤
まずは,メッシュ素材のイヤーパッドを装着して計測を行った。
差分画像を見るとよく分かるが,低域は80Hzあたりが頂点で,高域は4〜7kHzくらいが強いというドンシャリだが,150Hz〜4kHzくらいの谷は非常に浅い。350Hz付近と2kHz付近が凹んでいる。80Hz以下がゆっくり落ち込んでいくのと,高域の山が強い以外は,ドンシャリというよりも,かなりフラットに近い。人気の定番モニターヘッドフォンがベースになっているのがよく分かる,「モニターヘッドフォンらしい」周波数特性だ。なお,16kHz以上の落ち込みは,いつもどおり計測環境固有の問題なので,気にする必要はない。
次に,付属の合皮素材イヤーパッドを装着して計測してみよう。
合皮製イヤーパッドは,ATH-M50xと同じもののようなので,こちらのほうが本来の音質傾向に近くなると予測される。低域が40Hzくらいまで維持され,そこからゆっくり落ち込んでいくが,メッシュ素材ほどは落ち込まない。
低域の頂点は,メッシュ素材と同様に80Hz付近だが,40〜200Hzくらいもほとんど高さが変わらず低域が維持されている。一方,高域は4〜5kHzが一番強く,5〜10kHzくらいはそれより一段低くなっている。また,350Hz付近が底になる谷の深さは,メッシュ素材よりも深く,350Hzから高域に向けて徐々に強くなっていく。なお,グラフを見る限り,公称周波数特性の15Hzまで再生というのは,ほぼ正しい。
メッシュ素材と合皮素材のイヤーパッドの計測結果で差分を取ってみた。
60Hz以下は合皮素材イヤーパッドの方が強く,2kHz〜4kHz付近もやや強い。一方で200〜1.2kHzあたりは,より谷が深い。7kHzと12kHzも小さく落ち込んでいる。傾向としては,合皮素材イヤーパッドは80Hzのピークがメッシュ素材と同じくらいだが,より低い帯域から高い帯域まで低域のピークに近い強さを保ち,ドンシャリ度も高いと言える。これに比べると,メッシュ素材は低域が抜けている印象だ。
次にステレオの音楽試聴を行った。イヤーパッドの素材の違いによる音質変化を確かめるため,メッシュ素材,合皮素材両方チェックしている。
周波数特性の計測結果で述べたとおりの聞こえ方で,メッシュ素材のほうが,よりフラット,合皮素材のほうが若干ドンシャリで低域も高域も強めに聞こえる。どちらも超重低域は抑えられているので,むやみに低域が強いわけではなく,気持ちよく音を聞ける。
おそらく設計の良さだと思うが,どちらのイヤーパッドも,シンバルなどの高域成分を多数含む音がスムーズに聞こえて,耳に痛いというようなことはない。さすがは超定番モニターヘッドフォンをベースに開発しただけのことはある,という感じで,周波数バランスを含めて,聞こえ方はとてもいい。
もう少し踏み込んでコメントすると,ゲームだとメッシュ素材,音楽だと合皮素材がいいかもしれない。というのも,メッシュ素材は,よりフラット目の音になっていて特定周波数の強調が少ないので,長時間のゲームプレイでも疲れない。合皮素材は,ドンシャリが強めな分より「色っぽい」音質傾向であるが,素材の傾向により,長時間のプレイ向けではないと思うからだ。
「なぜ出荷時の本体に取り付けてあるのが,定番の合皮素材ではないのか」と不思議だったが,なんとなく合点がいった。一方,肝心の配信用途は,合皮素材のほうがモニターしやすいかもしれない。遮音性は,思ったほど顕著な差がないので,遮音性よりは音質傾向で選択してもいいと思う。
次にサラウンドゲームの試聴だが,ATH-M50xSTSはアナログヘッドセットなので,別途バーチャルサラウンドプロセッサを用意する必要がある。そこで今回のサラウンド試聴は,EPOSのUSBサウンドデバイス「GSX 1000 2nd Edition」(以下,GSX 1000 2nd)の7.1chモードを使用した。
GSX 1000 2nd側の設定は,以下のとおり。
- EQプリセット:ニュートラル
- サウンドの指向性:ニュートラル
- 残響レベル:無効
GSX 1000 2ndを選択した理由は,まず最新世代のバーチャルサラウンドプロセッサを利用できる優秀なサウンドデバイスのひとつであること。それに加えて,プレイ中のゲームから画面を切り替えたり,専用の設定ソフトにアクセスしたりすることなく,機器上で設定変更ができるので,テストに集中できるからという理由もある。
まずは「Fallout 4」だが,メッシュ素材のイヤーパッドで試聴した。GSX 1000 2ndの,キレのあるバーチャルサラウンド定位感は,ATH-M50xSTSで遺憾なく聞き取ることができる。ヘリの前でぐるぐる回って,ローターの音源が動く様子の把握や,前方真正面の定位感も文句なしであることを確認できた。飛行中のローター音もきちんと前方右に定位しつつ,エンジン音は後方から聞こえる。着陸時の金属的な効果音は後ろから聞こえ,低音は強すぎず,弱すぎず,ちょうどいいくらいのバランスで鳴る。
合皮素材イヤーパッドに切り替えても,Fallout 4では劇的な差は感じられない。ただ,合皮素材のほうが若干音抜けがよくなって少し開放感――装着感から来る開放感ではなく,音質的な開放感――が感じられる。おそらく2〜4kHzが若干強いからだろう。着陸時の効果音における低域の出方も,それほど差は感じられなかった。
Project CARS 2ではどうだろう。まずはメッシュ素材のイヤーパッドで試聴開始。サラウンド定位は上々で,前方と後方の聞き分けや,敵車とすれ違うときの音源移動など,どれも良好だ。低域はあまり感じられず,ヘッドセットによってはドッカンドッカンうるさいワイパー音も,気にならない程度の音量で再生される。縁石に乗り上げたときの音は,かすかに聞こえる程度だ。
合皮素材イヤーパッドに交換してみると,Fallout 4のような開放感は感じられないが,敵車の音源移動は,よりピンポイントで把握できると感じた。合皮素材のストレスが気にならないなら,こちらを使用するのもよいかもしれない。ワイパー音や縁石に乗り上げたときの音は,メッシュ素材イヤーパッドより少し大きく聞こえるが,控えめなのは変わらない。
続いて,「MONSTER HUNTER: WORLD」(以下,MHW)でメッシュ素材イヤーパッドを装着して音を聞くと,後ろから聞こえる小さな効果音や,環境音まで詳細に拾える。水車の前で動いて定位感を確認してみても,非常に自然,かつ定位の把握がしやすい。
合皮素材だと,Fallout 4同様に音抜けがよくなり,わずかに低音も強くなる。自分の足音や水車の周りで鳴っている重低域たっぷりの効果音でそれを確認できる。ただ,重低域の再生は抑えられているので,やり過ぎない程度。ゲームをプレイする目的でも周波数バランスはかなりいいと思う。
一点,注意点を述べておくと,GSX 1000 2ndはXLRマイク入力端子を備えていないので,ATH-M50xSTSのマイクは接続できない。したがって,もし今回のようにATH-M50xSTSとGSX 1000 2ndを使ってサラウンドサウンドでゲームをプレイしたければ,別途,ファンタム電源を供給できるXLR入力端子装備のサウンドデバイスに本機を接続して,Windows上で動作するソフトウェア処理のバーチャルサラウンドプロセッサを使用するか,面倒でなければ,出力をGSX 1000 2ndのようなサウンドデバイスに,入力をXLR端子対応サウンドデバイスに設定して使用することになろう。どちらを選ぶかは,個人の好みや機材に使えるコストに依るだろう。
オーディオテクニカの業務用コンデンサマイクの音がする高い入力品質
こちらは先述したとおり,Fireface UCXのXLR端子にATH-M50xSTSのマイク出力を接続して,48Vファンタム電源供給した状態で計測を行っている。
なお,ファンタム電源供給がない場合,本機のマイクは反応せず,使えないことを確認した。資料によると電圧は11〜52Vに対応しているとのことだが,ファンタム電源供給なしでは動作しない点には注意してほしい。ちなみに,市場で利用できるほとんどのファンタム電源対応サウンドデバイスの電圧は,48Vである。
低域は130Hzくらい,高域10kHzくらいが頂点で,500〜1.8kHzくらいが谷のドンシャリ型だ。若干,低域のほうが高域より高いが,ほぼイーブンと言ってよいと思う。低域は,130Hzから低くなるにつれて緩やかに落ち込んでいき,50Hzくらいからさらに急峻に落ち込む。非常にきれいなグラフ波形で,一見するとマイク波形とは分からない。
モノラルマイクなので,位相は完璧だ。
筆者は,オーディオテクニカのAT20シリーズは使ったことがないが,同社のマイク「AT4050」は所有していて今でも録音に使用しており,かつては同じく同社製マイク「AT4033a」も使ったことがある。実際に,ATH-M50xSTSで自分の声を録音して聞いてみると,まさに筆者が慣れ親しんだ「48Vファンタム電源供給のコンデンサマイクの音」なのが一聴して分かった。ATH-M50xSTSのマイクの音は,確かに「オーディオテクニカのプロ用コンデンサマイクの音」だと感じる。
一般的なヘッドセットのマイクと異なり,とにかく全周波数帯域にわたって音がスムーズだ。それに加えて,ノイズが非常に少ない。コンデンサマイクであることもあり,結構低い周波数帯域まで拾うので,「ノイズは若干乗るか?」と思ったが,普通の音量で録音,再生している分にはまったく気にならない。ダイナミックレンジの広いコンデンサマイクを,ブームマイクで口元(音源)から極めて近い距離に設置して集音するからであろう。指向性も高いようだ。これならよほどノイジーな環境でもない限り,ノイズリダクション不要だろう。
ファンタム電源供給のXLR接続は確かに普通のゲーマーにはハードルが高いが,配信も行うなら,ATH-M50xSTSにチャレンジする価値はあるだろう。
サウンドデバイスを選ぶがその分品質は高い
唯一,足かせとなるのはファンタム電源供給できるサウンドデバイスが必須という点だが,おそらく,本機を選ぶ配信ユーザーは,そこはクリアできるだろう。一方,一般的なゲーマーにとっては,かなり異色のヘッドセットではある。ともあれ,機会があれば一度試してみてほしい製品だ。
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