インタビュー
「PROJECT SKY BLUE」の中心となる新作オンラインアクションRPG「BLUE PROTOCOL」。そのキーマンの3人にインタビュー
「『操作できる』劇場アニメのグラフィックス」と公式サイトで謳うように,美しいアニメ調のグラフィックスに,高いアクション性を備えた本作のCαTは好評のうちに幕を閉じ,その後の展開を心待ちにしている読者も多いことだろう。
「BLUE PROTOCOL」公式サイト
ところで,本作は両社の共同プロジェクト「PROJECT SKY BLUE」の中核を成すコンテンツと発表されているが,そもそもこのプロジェクトはどういったものなのか。そして「BLUE PROTOCOL」は,どのような立ち位置にあるのか。その詳細について,プロジェクトの中心人物でもある下岡聡吉氏と,開発を担当する福崎惠介氏,運営スタッフの鈴木貴宏氏という「BLUE PROTOCOL」に関わる3人のキーマンに話を聞いた。
「PROJECT SKY BLUE」の内容をはじめ,CαTで得た手応えや,今後の展開などについて話してもらったので,その内容をお届けしよう。
「BLUE PROTOCOL」を中心に展開する一大プロジェクト「PROJECT SKY BLUE」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは皆さんの「BLUE PROTOCOL」での役割りを教えてください。
プロジェクトを始めるキッカケになった人間で,エグゼクティブプロデューサーとなります。現場というよりは「PROJECT SKY BLUE」全体のプロデューサーになります。
4Gamer:
プロジェクトはいつごろスタートしたんですか。
下岡氏:
僕が入社したのが(バンダイナムコオンラインの)5周年ごろで,入社してすぐに始めたので5年前ですね(※同社は2019年で10周年)。
鈴木貴宏氏(以下,鈴木氏):
「BLUE PROTOCOL」の運営統括ディレクター兼プロデューサーの鈴木です。公式サイトや皆様にお知らせするテキスト,マネタイズやイベントなど広く運営に必要な部分の企画を担当しています。プロデューサーも兼務しておりますので,プロジェクト全体の収支なども含まれます。
福崎惠介氏(以下,福崎氏):
「BLUE PROTOCOL」開発の統括ディレクターを務めています。今回は規模の大きいプロジェクトなので複数ディレクター制なのですが,それを統括して最終的にゲームがどうなっているのか,どうあるべきか,どちらがいいかといったジャッジをするのがメインです。
4Gamer:
鈴木さんのディレクションとはどういった違いがあるのでしょう。
鈴木氏:
私が担当しているのは主に運営業務全般ですので,例えば正式サービス前にどんなイベントやキャンペーンを仕込んでおこうとか,長期運営の為にはゲーム内やバックエンドにこういう仕様が必要だよね,という企画,各種データやお客様から寄せられたご意見などをまとめて改善提案をする仕事ですね。
4Gamer:
「BLUE PROTOCOL」についてお聞きする前に「PROJECT SKY BLUE」とはいったい何なのかを教えてください。
下岡氏:
当時,開発コードネームを色で付けるのが流行ってたんです(笑)。僕がプロジェクトを受け持つ際に「好きな名前を付けて良いよ」と言われて,RPGを制作するにあたっての設定を考えていたときに,闇を晴らして青空になるというようなイメージをしていたんです。それで「SKY BLUE」にしました。
そして,バンダイナムコとしてIP創出を軸に考えると「SKY BLUE(BLUE PROTOCOL)」の主人公は,キャラクターを立てたほうが良いんじゃないかと当初僕は考えていて,一方で開発側からはアバターがいいという話も出て,意見が混在していました。
4Gamer:
キャラクターを立てるというのは,コンシューマゲームにおけるRPGのように名前のある主人公キャラということですよね。
下岡氏:
そうです。そのオンライン版みたいなものを考えていたんです。でも,オンラインゲームなら自分が主人公であるべきで,キャラメイクもしたいし,自分の名前というか,オンラインゲームのときに使うと決めている名前で遊びたいだろう,と。だから,プレイヤーが作ったキャラクターが「主人公」として活躍する物語を作ろうと考えたんです。
もちろん,魅力的なNPCのキャラクターや仲間がいます。だけどオンラインゲームですから,NPCよりもほかのプレイヤーと遊ぶことが多いゲーム性です。そうすると,物語の軸になるキャラクターが薄まっていく懸念があります。そこで,アニメ,コミック,小説,もしくは外伝的なソフトウェア……どの形になるかは分かりませんが,世界観を広げ,彼ら自身の物語を補完したいと考えています。
4Gamer:
なるほど。それらを統括したものを「PROJECT SKY BLUE」と呼んでいるんですね。
下岡氏:
そうなります。そして,その中心になるのが「BLUE PROTOCOL」です。作品の世界観やNPCキャラクターの未来や過去などは,あらゆるメディアを使って提示していきます。
4Gamer:
その世界観ですが,まだ全容が分からないですよね。CαTをプレイした感じでは,ファンタジーと機械文明が混ざっているという印象でした。
下岡氏:
いいところを突いていただき,ありがとうございます(笑)。だいたいそんな感じではありますね。世界観の情報については,クローズドβテスト(以下,CβT)をお待ちください。
4Gamer:
分かりました。とすると,メディアミックスは頻繁に行う予定なのでしょうか。
下岡氏:
頻繁かどうかは分かりませんが,お客さんが望むものをしっかりとしたクオリティで提供したいと思っています。とりあえずアニメをどこかと組んでパッと作るみたいなことはしません。自分たちで考えて,アニメが適しているならばそこに,漫画ならそれに注力しようといった感じですね。
「アニメの世界で遊んでいる」と感じられるグラフィックス
4Gamer:
では,「BLUE PROTOCOL」について教えてほしいのですが,そもそもなぜ“PC”をプラットフォームに選んだのでしょうか。
下岡氏:
バンダイナムコオンライン(以下,BNO)は10年ほどの若い会社ですが,「ガンダムオンライン」などの運営を続けていくなかで,RPGの企画にもチャレンジしようとしていました。ですが,それはなかなか成立しませんでした。
そんな事情のなかで5年前に僕が入社したとき,PCのオンラインRPGはブルーオーシャンではないかというプレゼンをしたんです。そもそも,クライアントサーバー型のPCオンラインゲームは制作できるメーカーが少なく,参入障壁がメチャクチャ高いじゃないですか。
4Gamer:
確かに制作もそうですが,継続的な運営サービスもありますし。
下岡氏:
さらに,当時からオンラインRPGは韓国や中国の企業が作ったタイトルを日本に輸出していて,国産のものが少ない状況でした。
ですから年数が経てば,国産の新しいタイトルが求められる時期が来るはずだと思っていたんです。そして,オンラインRPGを制作するとなると数年が必要です。だから参入障壁は高いけれど「そんな時期が来るなら,今から作り始めればちょうど良い」とプレゼンして,それならやろうと。
4Gamer:
企画のスタートが5年前となると「スマホじゃないの?」という反応があったと思うのですが。
下岡氏:
僕はレッドオーシャンのマーケットで頑張っても疲弊するだけだと思っているんです。もしやるんだったらしっかりとブルーオーシャンに新規のコンテンツを持ち込んだほうがいい。スマホでもジャンルとしてブルーオーシャンがあれば狙うべきですし,PCにブルーオーシャンの大きいマーケットがあるのであればそこを狙いましょうと。
それに,しっかりと運営サービスを続けている他社さんも,すぐに新しいタイトルを作りましょうというわけにはいきません。かつ,PCのスペックはどんどん新しいのが出てくるわけで,当時ハイスペックだったものが,僕らがリリースするころには浸透している時代になっているだろうという読みもありました。
4Gamer:
5年前のハイスペックPCが,2019年時点でのミドルレンジぐらいになっているという感じですね。そのスペックがフル活用されるのがグラフィックスの部分ですよね。でも,なぜアニメ調なのでしょう。
下岡氏:
グローバルを意識したということでしょうか。
4Gamer:
グローバルだと,どちらかと言えばリアル寄りが好まれると思ったので意外です。
ちょうどE3 2014の会場で「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の初報が公開されて,馬で逃げていたリンクが弓を撃つシーンで会場が沸くのを目の当たりにしたんです。その時に,パッと見で日本産と分かるゲームが多くの人を熱狂させる。もちろんゼルダシリーズの最新作だからというのもありますが,こういった特徴をしっかり出している日本らしいゲームを楽しみにしている人が,こんなに多くいるんだとも実感できたんです。
それで日本に帰って,当時からバンダイナムコスタジオと制作することは決まっていたんですが,ビジュアル周りを奥村にお願いしようと決めました。
4Gamer:
奥村さんというと「テイルズ オブ」シリーズの?
下岡氏:
ええ,キャラクターデザイナーの奥村大悟です。ビジュアルコンセプトを詰めていくなかで「アニメ調」だとか「アニメっぽい」じゃなくて,スクリーンショットを撮って誰かに見せたときに,「このアニメ,なに?」と聞かれるぐらいのものにしよう。それもただのアニメじゃなくて,劇場版アニメクラスのグラフィックスで,しかもそこに自分以外の仲間がいて,一緒に楽しめるRPGにしたいと思ったんです。
4Gamer:
なるほど。
下岡氏:
それに加えて,ただのRPGじゃなくてアドリブ型であることを大事にしています。
4Gamer:
アドリブ型ですか?
下岡氏:
パッと集まった人たちで楽しく遊ぶというのが,多くなっているという実感があるんです。正式な大会というよりも,今日知り合った人たちでも楽しめるフットサル的な感じですね。最高峰のセルグラフィックスで,アドリブで楽しめるようなゲームを作っていきませんか,という基本コンセプトが決まりました。
4Gamer:
パッと集まれるというのは重要ですね。今やエンターテイメントは時間の奪い合いですから。話を戻しますが,グラフィックスに関しては,割と早い段階からフォトリアル系にするという選択肢はなかったわけですか?
下岡氏:
そうですね。当初からアニメ調にしたいと言っていました。ただ,アニメというのは世界を簡素,あるいは簡略化することで成り立っているんです。しかし,ゲームを簡素にすることは,見た目がダサくなることと表裏一体です。
今回のCαTでは,グラフィックスをお褒めいただけているのですごく嬉しかったのですが,あの絵になるまですごく時間がかかっているんです。3年前のビジュアルを今ふり返ってみると,当時は「スゴイね」と言ってたんですけど,今のものと比べると差が歴然としていて,本当にいいところに着地できたと思います。
4Gamer:
明度の高そうな色合いも,すごく苦労されたのではないかと感じました。
下岡氏:
色合いの設計は,いわゆるゲーム的なやり方とアニメ的な手法を混ぜています。色彩設計をしたうえで,フィニッシュに「撮影処理」みたいなのをかけてあの絵になっているので,ある種,アニメの文法とゲームの文法が混ざってるんです。遊んだあとに,アニメの上で動いてたよね僕たち,という気持ちになってもらえるように作っています。
アニメ表現で苦しんだのは,アニメの文法と,ゲームや映像の文法が全然違うことですね。いままでのゲーム開発経験で作って「それはアニメっぽくないから違う!」とアートディレクター側から差し止めを喰らったこともありました。
CαT版を最終的に固めるにあたって,アートディレクターチェックの段階で「なるほど」と思ったのが,メニューを開いたときにショップのNPCがしている待機モーションについて,「こんなのはアニメでは絶対やらないからおかしい。止めろ」と指摘されたことです。
4Gamer:
確かに,ゲームだと常にNPCが動いてるイメージがありますね。
福崎氏:
アニメの場合は基本的に動かないですよね。もちろん作業の簡略化の面が大きかったからだと思いますが,結果的にそれがアニメらしさを表現している部分でもあって。なんとなく動かしてしまうとアニメじゃなくて3Dの表現になってしまうから,と。3Dの文法で作っているところもありますが「それをアニメっぽく見せられる表現とは」というのを試行錯誤しながら作っているんです。でも,これまでの経験で迂闊に作ると「コレは違う!」と言われてしまって(笑)。
4Gamer:
アートディレクターさん怖いですね(笑)。でも思い返してみると,待機状態で立っている時のプレイヤーキャラクターも,あまり動いていなかった気がします。
福崎氏:
実はほんの少しだけ動いてはいるんです。まったく動かないと,それはそれで気持ち悪いので,肩周りがほんのちょっとだけですが。
下岡氏:
最終的にお客さんが味わったときに「アニメの中にいた」という感触が大事で,“アニメの文法を全部踏襲”すればいいわけではないし,かといって“ゲームの文法通りに作れば正解”にもならないのが難しいところですね。
今回,受付嬢に表情がなくて怖かったという意見も多かったので気にされていた方も多かったと思うのですが,現在はアニメとゲームをしっかりとらえた感じの表情になっています。
4Gamer:
街にはいろいろなNPCが歩き回っていましたし,犬の仕草も可愛いと思っていたので,個人的に受付嬢の表情が動かないことは気にならなかったのですが。
福崎氏:
結局はメリハリだと思います。プロジェクトに入って1年ほど前からディレクターをやっていますが,最初はアニメっぽい表現なのに光や影の表現をゲーム内の時間経過にあわせ,絵として破綻しないようにリアルタイムで変化させていくのを見て,何がどうなってるのか分からないと思ってました(笑)。
4Gamer:
時間の経過による変化は,犬のスクリーンショットを撮影しようと思っている時に,どんどん影が迫ってきて邪魔だなあと思ったのでよく覚えています。ちょっと時間経過のスピードが速かったように感じました。
鈴木氏:
昼と夜の時間のバランスは変更する予定です。CαTでは24分サイクルだったのかな。
下岡氏:
そのあたりも適切なところに落としたいとは思っています。昼だけ,夜だけ見られる風景とか,今回も朝焼けと夕焼けの絵が違っていたのですが,そういうこだわりがお客さんに伝わっていて嬉しかったですね。
4Gamer:
街の夜景も美しかったです。
鈴木氏:
ライトが点いていくところは,僕も素晴らしいと思いました。
下岡氏:
あれは褒めてくださっている方が多くいましたね。美は細部に宿るじゃないですが,どうしても時間的な制約がある場所以外は,基本的に手抜かりなくやりたいというのが,グラフィックス的な要望でもあります。光の表現だったりとか,光が落とす影だったりとか,オブジェクトも含めてしっかりと作っています。
4Gamer:
あと空も綺麗でしたよね。抜けるようで,どこまでも広がる青さが。
下岡氏:
僕らの中では絶景造りと呼んでいますが,一般の世の中にある絶景に匹敵するようなクオリティの景色を見るというのは,1つのエンターテイメントだと思っているので,そういう設計にさせてもらっています。
バトルコンセプトは「パーティvsパーティ」
4Gamer:
「BLUE PROTOCOL」は初報も突然でしたが,そこからCαTまでも結構短期間でした。どういうゲームなのかさっぱりでしたから。
下岡氏:
まだ見せたくなかった,というのも少しあります。その割には普通のMMORPG的な味付けのコンテンツが入っていたので「これ,MMORPGを作っているんじゃないか?」みたいな感想もありましたね。
4Gamer:
私もプレイしていてMMOだと思いましたよ。
僕らは公式にMMORPGだとは言っていないんです。あくまでオンラインアクションRPGを作っています,と。やっぱりRPGでできる体験は,自分がロールプレイできる冒険があって,仲間との絆がある。そこにMOだとこう,MMORPGだとこうっていう先入観が入るのはマイナスだと思っているんです。例えば,このタイトルはMMORPGですと言っちゃうと,頭にいくつか有名なゲームが浮かんできませんか?
4Gamer:
浮かびますねぇ……。
下岡氏:
そうなると,「ああいう遊びをベースにして,見た目をアニメにしてるんだろう」とイメージされてしまう。でも,それは狙っていることと違うので,あえて言っていないんです。
僕らがやろうとしていることは,アドリブでゲームを楽しめるだけでなくて,異世界を楽しんでもらうことを第一義として考えていますし,そのためのインスタンスダンジョンも存在しています。そして,フィールドもあるし,街に集まって踊り狂うのも景色を撮影するのも楽しんでもらいたいんです。
どう遊ばれるかは,お客さん次第で,それがこのゲームだということが非常に伝えづらくて。今回のインタビューとか記事の中で,こういうところを狙って作っているというのが伝わるといいなと思っています。
4Gamer:
そのコンセプトというのは,先ほどの劇場アニメ調のグラフィックスや,アドリブ性とは別の要素ということでしょうか。
下岡氏:
CαTには入っていませんでしたが,フィードバックレポートにも記しましたように,バトルのコンセプトは「パーティvsパーティ」です。
※フィードバックレポートは8月29日に公式サイトで公開された。インタビュー時点では事前に掲載予定のものを見せてもらっている。
4Gamer:
なぜCαTでは未実装だったのでしょうか。
下岡氏:
実は,モンスターのAIが賢すぎてプレイヤーが全滅するからです。
4Gamer:
フィールドではゴブリンが2体いるだけでもかなり面倒でしたが,あれでまだ「パーティvsパーティ」ではなかった。
下岡氏:
そうなんですよ。例えば,タンクがヘイトを固定して,ヒーラーが回復,アタッカーが攻撃するという役割分担があるとするじゃないですか。となると,相手に勝つためには,ヒーラーから狙うのが定石です。
「BLUE PROTOCOL」のモンスターのAIは,その定石のように周りの環境を確認してコイツを倒したほうが全滅させやすい,ということを考えながら行動する設計にしています。
4Gamer:
それは,いやらしい動きですね(笑)。
下岡氏:
ですが,そのときの状況に応じて自分の行動やスキルの使用などを考える戦闘になり,よりバトルが楽しめたり,自分が活躍できたと感じられたりするようなタイミングも増える設計なんです。
4Gamer:
AIが実装されたらどんな戦いになるのか,怖くもありますが楽しみですね。ところで,最初に「パーティvsパーティ」というのを見て,PvPがメインに? と勘違いしたんですが,プレイヤー同士のPvPはあるんですか。
鈴木氏:
PvPそのものは,当分予定していません。サービスイン後にはPvP要素を期待されることは分かりますし,いずれは導入したいとは思っていますが,直接的なPvPは今やることではないという判断です。アステルリーズに闘技場があったのを覚えていますか?
4Gamer:
街の北側というかマップの上方にありましたよね。
鈴木氏:
はい。そこでキャラクター同士が殴り合うのではなく,出現するエネミーを倒す速度や数などを,スコアという形で競うPvPコンテンツを実装しようと思っています。
下岡氏:
いわゆるプレイヤー同士が戦うPvPについても,将来的に導入する可能性もあります。自由な楽しみの中にはPvPも含まれると思いますが,積極的に導入することで面白くなるのかというと微妙なところで,検討も検証もしていますが,今すぐ実装するものではないという結論です。
4Gamer:
分かりました。では,先日のCαTの手応えはいかがでしたか。
下岡氏:
CαTは「BLUE PROTOCOL」のお披露目と,サーバーの負荷テストという2つの目的がありました。もちろん,単純なBOTでの負荷テストはやっていますが,これに頼り切って本番でコケるわけにはいきません。そういう事情で最初は5000人,そして追加で5000人を募集してテストすることになりました。
4Gamer:
PCタイトルでまだそれだけの応募があるんだと,ちょっと嬉しくなりますね。
下岡氏:
サーバーの負荷テストについては,おかげさまで貴重なデータが十分に取れました。参加してくださったプレイヤーさんには,とても感謝しています。お披露目という意味では,僕らが今後作っていくゲームのコンセプトやゲーム性についての答え合わせ……じゃないですが,お客さんが求めているものと,僕らがやろうとしていることが,かなり合致していたことが分かったので,自信を持つことができました。
4Gamer:
やはり,どこか不安はあったんですね。
下岡氏:
5年も開発していて,かつ,これまで表に出せなかったので。長く開発に携わっていたメンバーも,ようやくお披露目できて,そして意見をいただけて気持ちがポジティブになりましたね。
CαTというと,ちゃんとログインできるか,ちゃんと動くか,ということがメインであるはずなのに,「もっとこういうゲームのほうが良い」とか,「ここはもっとこうしたほうが良い」という意見をいただけたのは異例だと思うんです。
4Gamer:
それはもう,CαTの時点で“遊べる”ものだったからでしょうね。まだ次がβだと考えると,いろいろ仕様が変わってもおかしくない段階なのに。
福崎氏:
ええ。でも,ある意味このタイミングで問題が出きっているので,それを基にどうするかを決めていけるのは,開発として嬉しいです。
下岡氏:
本来は,次のクローズドβテスト(以下,CβT)こそが,プレイヤーさんに最初に参加してもらうテストだったんです。ですが今後,運営していくにあたって,どうしてもサーバーのデータは取っておきたくて。
例えば非常に快適に遊べたけれど費用が莫大で,人が入るごとに赤字になってしまう……では困ります。
ですが,今回のテストで今後の見積もりなども含めて,僕らが狙っているゲームの運営スタイルで,しっかりサービスを続けていけるという確信が持てましたから,次はCβTに向けて頑張っていきたいと思います。
4Gamer:
確かに大きなトラブル自体はありませんでしたね。初日のマッチングサーバーの問題と,最終日の街に集まったプレイヤーのダンスでフレームレートがガンガン下がったくらいの印象です。
下岡氏:
あの街は生出しというか,まだ最適化を考えていないところなんです。
4Gamer:
あれ,そうなんですか。
鈴木氏:
サーバーに対する最適化はかけたのですが,PCに対する最適化をまだしていません。今後のサービスに向けて,必要スペックを可能な限り下げていけることが望ましいので,そのあたりもやっていきたいと思っています。
下岡氏:
いろんなデータを取ることができたのですが,段階的に遊んでいただける方が多い半面,もう少しスペックを下げたほうが遊べる人が増えることが分かったので,当然最適化は進めていきます。
実際にサービスを開始すれば,たくさんの人が集まってダンスするということも当然起こるので,それに対してもしっかりと対応します。
その一方で,ビーチで遊ぶ人などがあまりいなかったので,人が分散するようにイベントを起こすなどといったことも考えていかなきゃと,チーム内で話を進めています。
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