プレイレポート
「牧場物語 再会のミネラルタウン」プレイレポート。いい意味で変わらない“らしさ”溢れる,Switch向け「牧場物語」シリーズ第1弾
「Nintendo Switchではじまる「牧場物語」シリーズ第1弾」を謳う本作を発売前にプレイする機会を得たので,“もうひとつの人生を満喫できる”ゲームの魅力をプレイレポートでお伝えしていこう。
「牧場物語 再会のミネラルタウン」公式サイト
ゆったりと時間が流れる牧場生活――
いい意味で変わらない「牧場物語」らしさ
ある日,主人公の元に届いた一通の手紙。それは大好きだった祖父の死を知らせるものだった。祖父が暮らしていたミネラルタウンは自然豊かな町で,主人公が幼いころ,ひと夏を過ごした思い出の場所でもある。
主人公の名前や性別,誕生日などを設定する際に,通常難度となる「ノーマルモード」か,シリーズ初心者向けの「かんたんモード」という2つのモードのどちらかを選択することになる。かんたんモードは,ゲームスタート時の所持金が多いほか,アイテムを出荷したときの価格もアップし,さらに住人の好感度も上がりやすくなるので,「牧場物語」が初めての人や時間に余裕がない人などはこちらを選ぶといいだろう。
これで牧場生活スタート! ……といっても,主人公は最初から牛やニワトリなどを飼えるわけではない。まずは土地を開墾し,「かぶ」や「じゃがいも」といった作物を育てて出荷し,動物を迎えるための資金を貯めていこう。
主人公は何か作業をするたびに体力を消費する。体力を回復する主な手段は“夜はしっかり家で睡眠をとること”で,睡眠時間が短いと体力を最大まで回復できない。忙しい日は夜中まで仕事を続けるのもやむをえないが,そんな日が続けば体調を崩して働けなくなってしまう。
また,時間を惜しんで雑な操作をしていると,すでに耕した土地を再度耕してしまうなど,余計な体力を使ってしまいがちにもなるので,仕事(操作)は丁寧に,日が暮れたら早めに家に帰って身体を休めよう。
畑を作るには,雑草をむしり,石を「ハンマー」で割り,木や切り株を「オノ」で取り除き,整地した地面を「クワ」で耕す必要がある。時間はリアルタイムで流れていき,作業をしているうちに日が暮れていく | |
作物の種は「ザっか屋」で購入。街にはさまざまな店があり,営業している時間帯や曜日が異なる | |
作物の種は1つにつき,3×3マスにまくことができる。4つ買ってまくなら,3×12マスの畑を作ると効率がよい |
どんどん農地を広げて利益を増やしたくなるかもしれないが,道具の性能が低いうちは体力と作業時間との兼ね合いでそれは難しい。序盤はじっくり,のんびりと取り組んでいこう。
畑に作物を植えるまでは大仕事だが,翌日以降は基本的に水やりだけで済むので,体力と時間に余裕が生まれる。そこからは,鉱石場(鉱山)でよりよい道具を得るため必要な素材となる鉱石の採掘,家や牧場施設の改築に必要となる木材や石材の収集,町の住民と親交を深めるといった,牧場での作業以外の行動も可能となるだろう。
鉱山での採掘は,「体力が尽きる前に深い階層までたどり着き,採掘する」という風にミニゲーム感覚で楽しめる。
深層では貴重な鉱石などが手に入るため,深く潜る恩恵は大きい。「体力回復用のアイテムを大量に準備する」という正攻法だけでなく,「次の階層に進むハシゴの出現パターンを分析して進む」「とにかく回数を重ねて,運で深層にたどり着く」など,さまざまなやり方で攻略できるので,自分に合ったスタイルで挑戦してみよう。
ここまでは主に農業を基盤にする進め方をお伝えしてきたが,じつは農作業だけではなく,野山で採集したものを売ったり,お祭りの草競馬で大穴を的中させて手に入れた景品を販売したりといった形でも資金を貯められる。幅広い遊び方ができる作品なので,自分なりの方法を自由に探ってみてほしい。
このゲームでは,何をしてもいいし,何をしても無駄になることはない。ただし,何をするにしても“気長にとりくむ”という考え方が大事なのは覚えておこう。
また,どんな遊び方をするにしても,道具の改造だけは積極的に行うことをオススメしておきたい。
唐突だが,ここでアメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンの残した「もし,木を切り倒すのに6時間与えられたら,私は最初の4時間を斧を研ぐのに費やすだろう」という言葉を紹介したい。もちろんこの言葉は比喩的なものではあるが,本作でも「優れた道具」は作業効率を大幅にアップしてくれるので,道具の経験値が溜まったらすぐに改造を行うことが重要だ。手間暇をかけるだけでなく,機を見て大胆に設備投資する。これが本作における“働き方改革”を進めていくコツだ。
さまざまな動物に囲まれた生活や町の人との交流
遊び続けることで牧場に思い入れが深まっていく
さてここからは,タイトル名にもなっている牧場(動物のお世話)の要素について紹介しよう。
動物も農作物と同様に,毎日手をかけることが大切だ。晴れた日に放牧したり,ブラッシングなどの世話をすることで,ニワトリなら卵,ウシならミルク,ヒツジやアルパカなら毛が手に入る。
農作物で順調に利益を得られるようになったら動物を迎え入れるタイミング |
ウシやヒツジのエサとなる牧草は,周囲の雑草や障害物を取り除くとどんどん増えていく |
動物たちは,晴れの日は放牧時に自分でエサを食べてくれるが,雨の日や冬の間は主人公がエサをやらなくてはいけない。季節が夏や秋のうちに,牧草やトウモロコシをストックして寒い冬を乗り切っていこう。
動物たちの施設の改築(規模の拡大)や設備投資(マヨネーズやヨーグルトなど,加工品の生産施設の導入)によって収益が伸びていく。「可愛い動物たちに囲まれて生活したい!」と最初からあらゆる種類の動物を集めたくなるが,そこは我慢。最初のうちは手を広げ過ぎず,ニワトリならニワトリ,牛なら牛と,種類を絞って収益を安定させたほうが,余裕をもって新しい動物を迎え入れられるようになるはずだ。
とはいえ,本作は投資の費用対効果「だけ」を考えて遊ぶゲームではない。むしろ「うちの牧場では,かわいいニワトリとアルパカを何匹か飼おう!」くらいの気持ちでプレイするほうが,自由で豊かな遊び方かもしれない。
規模や効率を追求しすぎると,どこかビジネス感がつきまとう。そうではなく,自分の目が行き届く規模で,あえて長い時間をかけてゲームを進めていくのも,本作の正当な楽しみ方だろう。
なお本作には,ゆっくり,じっくりゲームを遊び続けるためのイベントがふんだんに用意されている。季節ごとに行われるさまざまなお祭りでは,作物や動物の品評会などが催されるので,これを目標に1年を過ごしてみるのもいいだろう。
まだ牧場経営を初めたばかりの1年目は参加すらできないことも多いが,経営が軌道に乗ってくれば,すべてのコンテストを総ナメにするスーパー牧場主になることも不可能ではない。
秋の収穫祭で行われる闇鍋大会。何事か起きそうな雰囲気だ | |
草競馬や鶏祭り(闘鶏)など,ミニゲーム仕立てになっているイベントも |
忘れてはいけないのが,町に住む人たちとの恋愛と結婚だ。四季を通じたイベントで意中の相手と親交を深め,お互いの愛が深まったらプロポーズしてみよう。充実した牧場生活を送る際,それを誰かと分かち合うのも悪くない。結婚後も結婚記念日や誕生日,そして子育てとイベントは盛りだくさんなので,気になる相手がいたら毎日会話したりプレゼントをあげたりして愛情度を上げよう。
ベースとなった2作品の発売からおよそ16年が経ち,子供のころにプレイしたという人が実際に家庭を持っているということも少なくないだろう。小さな子どもと一緒にプレイするという人は,我が子のおぼつかない操作やゲームの進め方に歯がゆい思いをするかもしれないが,普段の子育てのように温かく,ゲームプレイヤーとしての成長も見守ってあげてほしい。
ハードの性能を活かした親しみやすいグラフィックス,「かんたんモード」の導入など変化した部分はあるものの,全体としてはいい意味で変わらない,「牧場物語」らしい手触りと遊びやすさが保たれたリメイクとなっていた。久しぶりの人も初めての人も楽しんでほしい作品だ。
「牧場物語 再会のミネラルタウン」公式サイト
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