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  • 発売日:2019/10/31
  • 価格:パッケージ版:6200円(税別)
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君はコンテナを外したトラックでレースをしたことがあるか? 「FIA ヨーロピアン・トラックレーシング・チャンピオンシップ」プレイレポート
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印刷2019/10/30 12:00

プレイレポート

君はコンテナを外したトラックでレースをしたことがあるか? 「FIA ヨーロピアン・トラックレーシング・チャンピオンシップ」プレイレポート

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 2019年10月31日,3gooは「FIA ヨーロピアン・トラックレーシング・チャンピオンシップ」PS4 / Switch向けに発売する。
「トラックレーシング」とは,その名の通り,コンテナを取り外したトラックの前部車体によるレースで,欧州で実際に行われている競技だ。5トンという重量,2メートルという車高を誇るトラックは,どう見てもレース向きの車ではない。ゆえに,それを題材にした本作には独特な面白さがある……のだが,同時に難しくもある。そんな本作のプレイレポートをお送りしたい。

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ここがムズいよ! トラックレーシング


 ゲームを開始すると,まずは「ライセンスの取得」から取り掛かることになる。これは,1人用モードの中では代表的かつ中心となるであろう“キャリアモード”を開始するためには避けて通れない関門でもあり,本作のチュートリアルでもある。

手っ取り早くレースができる「クイックマッチ」など,オンラインによるマルチプレイもあるが,まずはライセンス取得だ
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 しかし,チュートリアルとあなどることなかれ。このライセンス取得は,トラックでレースをすることの難しさが骨身にしみる,最初の洗礼となっている。
 筆者はレースゲームを結構遊ぶほうで,それなりに自信もあったのだが,このライセンス取得には3時間以上もかかってしまった。15個あるお題をそれぞれ規定タイム内にクリアしていく必要があるのだが,このタイム設定がシビアというか絶妙というか,「あと1秒」に苦戦し続けるお題があったのだ。
 本当に何度も何度も「あと1秒遅い!」を味わい続けたため,しまいには唇を噛み締めて「なんで,トラックでレースなんかするんだよっ……!」とミもフタもないことを口走ってしまったほどだ。

取得……ライセンス……!
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 それでは,何が難しいのか。その理由は,大きく分けて3つある。
 1つめは,トラックの旋回性能の低さだ。普通のレースゲームなら,90度のカーブは大した脅威ではない。マシン次第では,ほとんどブレーキを踏まずに曲がれることだってあるだろう。

 しかし,トラックの場合はそうもいかない。事前にアウトからインコーナーに進入し,適切な減速を行いつつ,アウトへ抜ける必要性がある。これはF1などでもおなじみの「アウト・イン・アウト」走法で,カーブを曲がるときの曲線をできるだけ直線に近付ける,というスピードを殺さずに曲がるテクニックだ。つまり,「カーブで限りなく減速をしないため」の走法とも言える。

地面に描かれた緑色の矢印がライン取りの目安。これが典型的なアウト・イン・アウトだ
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 だが,トラックの場合は「無事に曲がり切るための走法」と言ってもいい。そもそも,トラックは充分な減速をしないと普通に曲がることすらできない。カーブで「スピードを殺さずに」などと言っている場合ではないのである。

 90度カーブでも要注意なのに,これが180度,いわゆるヘアピンカーブとなると,すさまじく減速させる必要がある。レースでは10台ほどのトラックたちが競い合うわけだが,コース幅は特別広いというわけでもない。なのでコーナーでは「信号が赤なのかな?」というくらいの勢いで全車が減速して,とてもレースゲームの1シーンとは思えないほどのプチ渋滞が起こる。しかも,競争相手の車と接触するとタイムにペナルティをくらってしまうこともあり,積極的に体当たりするわけにもいかない。

レースゲームではありがちなインコースの取り合いも,本作ではペナルティの危険性と隣り合わせ
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 2つめは,ブレーキの利きにくさだ。普通のレースゲームなら,カーブの直前で一瞬ブレーキボタンを押すだけでも充分な減速になることが多いが,本作では,「カーブが見えてきたな」というあたりからブレーキを押しっぱなしにして減速に入らないとマズい。

 難しそうに聞こえるかもしれないが,これには補助機能がある。設定で「ドライビングライン」の項目をオンにしていると,コース上で走るべきラインを緑色の矢印で描いてくれるのだ。この矢印はカーブで減速するタイミングも教えてくれるので,矢印が赤色になっているのを確認したら,その位置からブレーキを踏めばOKだ。
初心者には非常に助かるドライビングライン。ちなみに,視点は見下ろし型やドライバーズビューなど,いろいろと変更ができる
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矢印の色はリアルタイムに変化し,曲がれる速度になったら矢印はオールグリーンになる
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 そして3つめは,ブレーキに冷却が必要なこと。ブレーキはしばらく押しっぱなしにしているとオーバーヒートしてしまい,水で冷却する必要がある。この水は1レースで使用できる量が決まっているので,あまりブレーキを多用しすぎるのも禁物だ。

ライセンス取得のお題の中には,ブレーキを冷やしすぎると失敗になるものも。キビシーッ!
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 それに,充分に減速して「曲がれたー!」と安心しているわけにもいかない。無事に曲がり切ったかどうかという時点からアクセルをふかし始めないと,加速が遅いトラックは,コーナーの立ち上がりが死ぬほど遅いのだ。CPUとの差は,ほぼコーナーからの立ち上がりの差と言ってもいい。


コーナーリングとブレーキングが命。
見た目に反した,超繊細なシミュレーション・レース


 極論,コーナーリングをマスターできれば,ほぼ怖いものはないと言える。……いや,それが永遠の課題でもあるのだけども。

 レースゲームの中には,大きくリードしていれば,多少はフェンスに激突しても1位を取れたりするものもある。しかし本作の場合,一度スピンしてフェンスに激突したら,リカバリーにかかる時間がかなり長くなってしまう。
 慣れないうちは,リカバリーしようとしてその場でグルグル回転し続けてしまうことも珍しくない。結果,1回のフェンス激突からのスピンが,1位から最下位への転落を招き,以後,どうあがいても挽回できない……ということも。

たまに,CPU車がフェンスに突っ込んでいることも。明日は我が身……
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 また,ラップ数は設定で変えることができるのだが,デフォルトの「100%」だと,なんと12周もしなければならない。それだけ周回すれば,逆転のチャンスは生まれやすいのかもしれないが,自分が上位にいる場合だと,とてもじゃないが精神力が持たない。
 設定で25%(3周)まで下げられるので,ずっとこれでやっていたのだが,3周ですら,ノーミスは難しかった。車体の見た目のパワフルさに反して,いかにノーミスで周回できるかの精密な操作と,強靭なメンタルが求められる。

 ……と,ここまでに書いた内容は「いかに難しいか」を説いているように見えるかもしれないが,言い換えれば,その難しさがそのまま攻略すべきゲーム性となっている。レースゲームはハイスピードで走ること,それ自体が爽快感に繋がっていることが多い。しかし,本作は「どういうライン取りでコーナーに入るか」「どのタイミングで加減速するか」に重きを置いた,シミュレーションゲームのような一面があると感じた。

車体性能は細かくチューニングができる。試行錯誤と調整を繰り返して自分なりのベストを突き詰めるあたりは,まさにシミュレーションだ
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 また,映像は文句なしに美しい。雨で濡れた路面は,雨上がりの湿気に満ちた,あのアスファルトの匂いが漂ってくるかのようなリアリティがある。

陽の光が逆光になることもあり,思わず「いいねぇ……」と見惚れてしまうこともあったが,ちょうど,逆光と地面のドライビングラインが重なって,「ちょ,ラインが見えない!」となることも
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 トラックレーシングという題材の特殊性,その迫力や重量感は,ほかのレースゲームの追随を許さない。レース中はBGMがなく,ただひたすらにトラックのエンジン音が響き渡る男らしさもいい。
 レースゲームというよりはシミュレーター寄りの作品で,荒唐無稽な要素は一切ない。現実に即した,非常にストイックな作りとなっている。「ニトロでブーストとかないのかよ!」とか,「前のトラックに赤い甲羅ぶつけられないのかよ!」という人には向かないだろう。

 ただ,「レースゲームの醍醐味は,コーナーでの加減速とライン取りにこそある!」という人には,これ以上ない歯ごたえの1本となるはずだ。
 やればやるほど,トラックの運転手さんを尊敬の眼差しで見つめるようになるし,信号待ちをしているトラックから時折発せられる「プシーッ」という音に反応して「あっ,ブレーキを水で冷却しなきゃ」と思ってしまうことだろう……。

1回だけ,3位になれました……
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