イベント
「プロセカ」オーケストラ&スペシャルバンドが見せてくれた新たなセカイに感動の連続。「セカイシンフォニー2023」レポート
今年で3年連続,3回目の開催となる「セカイシンフォニー2023」は,前2回と同じくオーケストラ演奏を東京フィルハーモニー交響楽団,指揮を栗田博文氏が務めている。
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」公式サイト
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」ダウンロードページ
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」ダウンロードページ
Leo/needからスペシャルゲストが登場
5ユニットが歩んできた道を辿るシンフォニー
今回のセカイシンフォニーは,1周年アニバーサリーソングの「群青讃歌」で幕を開けた。曲の前半はしっとりと穏やかで,それでいて青空の広がりが感じられる透明感あふれるアレンジだった。開始早々,オーケストラの生音の凄みを味わえる。
ところが,その空気は後半に一変する。力強いドラムソロから,一気に原曲のテンポ感へと切り替わった。ここからはスペシャルバンドとオーケストラが融合し,原曲が持つ疾走感を独特のサウンドで表現。その魅力が存分に伝わってきた。メロディを複数の楽器に振り分けており,それぞれの特徴や音の違いなども楽しめる。
演奏後,初音ミクがスクリーンに登場し,この会場を“想い出が響き合う特別な場所”と表現。ここではみんな(プロセカに登場する5ユニットはもちろん,観客も含むのだろう)が歩いてきた道を辿りながら,思いに触れられると語った。
最初に登場したユニットは「MORE MORE JUMP!」(モモジャン)だ。イベントストーリーのセリフがダイジェストでスクリーンに映し出される中,「DREAM PLACE」の演奏が始まる。モモジャンの可愛らしさが存分に感じられるダンスミュージックだが,アレンジも豪華になっており,歌声と共にオーケストラ,スペシャルバンドのサウンドを一度に体感できる。とくに大サビからラストの心地よさが格別だった。
そして,モモジャンからもう1曲「ももいろの鍵」が披露された。こちらは雰囲気が変わり,不思議な柔らかさとキュートさを持つ原曲の雰囲気が生かされていた。歌詞に少し重さを感じる部分も,カラフルな音色で包み込むようだ。中でも,聞きどころは大サビ前のサックスのソロパート。力強さが感じられた。
続いて,「Vivid BAD SQUAD」(ビビバス)の登場。モモジャン同様,各自の歩みが感じられるセリフがスクリーンに映し出されるなか,「仮死化」のイントロが流れた。ロックでクール,そしてクラシカルな要素も含まれるこの曲は,切なさを感じる歌詞と歌声も魅力だ。そうした要素がオーケストラアレンジによってよりドラマチックに響き,原曲とは違った形で“刺さる”曲になっていた。
2曲目はゴリゴリのダンスナンバー「Awake Now」。その再現性の高さに驚かされる。原曲のさまざまな音を生演奏で再現し,雰囲気はもちろん違うのだが,原曲のように聞こえる部分もあり,つい体を動かしたくなってしまう。
「ワンダーランズ×ショウタイム」(ワンダショ)の楽曲からは,「88☆彡」と「potatoになっていく」が披露された。「88☆彡」は曲の世界を再現したうえで,さらに広がりを感じるアレンジが施され,サビには原曲のキラキラ感が詰め込まれていた。原曲ではピアノはもちろん,トランペット,トロンボーン,アルトサックスなどが使われていることもあり,こうして生演奏で聞けることに感動した。
「potatoになっていく」は原曲と同様,リズミカルなシャッフルの心地良さを十二分に味わえるアレンジだ。気分の上がり具合も生演奏ならでは。ワンダショの2曲はオーケストラにピッタリで,強い親和性を感じた。
4番目のユニットは「25時、ナイトコードで。」(ニーゴ)だ。「再生」では静かな前奏から歌声を紡ぎ,サビには壮大で迫力を感じる演奏を聞かせてくれた。とはいえ,原曲の音数が少ないこともあり,曲の特徴や世界を壊さないアレンジになっていたため,どっぷりと曲の世界に浸れた。
神秘的な「再生」の後は,「Iなんです」。スローテンポからアップテンポへと急激に雰囲気が変化していく。中でもサビは原曲に近く,弦楽器でこのような音色が出せるのかと驚いてしまう。サックスのソロパートはカッコよさが際立っている。
振り返ると,ニーゴの2曲はテンションも感情も他のユニットとは大きく異なるジェットコースターのような感覚で,あっという間だった。
後半は「Leo/need」(レオニ)がカバーする楽曲「ロキ」で幕を開けた。ゴリゴリのロックナンバーだが,バンドサウンドとは一味違うオーケストラサウンドにアレンジされていて,しっかり縦ノリもできるカッコよさも兼ね備えた曲に仕上がっている。
演奏後,今回のスペシャルゲストとして星乃一歌役の野口瑠璃子さん,天馬咲希役の礒部花凜さんが登場。メンバーカラーを取り入れた衣装やアクセサリーを身に着けて,志歩と穂波の想いも背負い,気持ちは4人で届けていくと挨拶した。
野口さんと礒部さんは,「Voices」「Flyway」「オーダーメイド」「相生」をメドレーで歌唱していく。
「Voices」は志歩がメインと言っていい曲だが,彼女のパートは礒部さんが咲希らしく歌い上げる。疾走感あふれるロックサウンドとオーケストラサウンドが重なると,独特の壮大さも感じられる新しい「Voices」となっていた。
続く「Flyway」は穂波がメインのイベントで加わった曲だが,彼女のパートは野口さんが受け持っていた。渡り鳥をコンセプトに描かれる物語性の強い曲も,シンフォニックな楽器でアレンジされたことで重厚さが増しているようだ。生歌唱によるサビの力強さは圧倒的だった。
「オーダーメイド」は全体的に原曲よりも柔らかさと繊細さが際立つアレンジとなり,2人の力強い歌唱とサウンドのバランスがとても心地よく響いた。
そしてメドレーの最後を飾る「相生」は,レオニの楽曲でも可愛らしさを感じられる曲。そんなキュートな雰囲気をオーケストラ,スペシャルバンド,そして2人の歌声が彩り,優しい気持ちになれる温かさを伝えていた。
大きな拍手に包まれる中,野口さんと礒部さんは「いつかは4人で」という言葉を残し,「needLe」の始まりと共にステージを後にした。インストバージョンの「needLe」は,原曲の爽快感を残しつつ,響く音色からは清々しさも感じられるオーケストラアレンジだった。
アンコールは「ニア」から始まり,「フェレス」「踊れオーケストラ」「ボッカデラベリタ」「アトラクトライト」のメドレーが披露された。
「ニア」は優しく柔らかいアレンジが特徴,「フェレス」はスタイリッシュな映画の劇伴になりそうなカッコイイアレンジが素敵な楽曲だ。そして,「踊れオーケストラ」はその名の通り,オーケストラとの相性もバッチリ。カーテンコールでも見ているかのような感覚が味わえた。
「ボッカデラベリタ」はやや鋭さを感じる個性的なサウンドだが,シンフォニックなアレンジによってややまろやかになっていた。しかし,原曲の雰囲気は揺るがず,各楽器の強弱が印象的だった。
ここまではすべて,1コーラスのメドレーでつないできたが,「アトラクトライト」は野口さんと礒部さんが再びステージに登場し,生歌唱を披露してくれた。オーケストラアレンジにより,原曲のドラマ性とメッセージ性をより強く感じられるだけでなく,2人の歌唱が言葉(歌詞)をダイレクトに胸に届ける。月並みな表現になってしまうが,こればかりは「感動した」に尽きる。
気がつけば,「セカイシンフォニー」もいよいよフィナーレを迎える時間だ。最後の1曲,2周年アニバーサリーソング「Journey」は原曲のリズミカルさはそのままに,聞く者に寄り添いながらも背中を押してくれるような歌詞がオーケストラのサウンドに乗り,しっかりと応援してもらえた気がする。最後もアップテンポで気持ちよくラストを飾ってくれた「Journey」は,まさに「プロセカ」らしい締めくくりだろう。
「プロセカ」の収録楽曲をオーケストラアレンジとスペシャルバンドのコラボレーションで楽しめる「セカイシンフォニー」。今回は昨年からセットリストがだいぶ異なり,いい意味で予想を裏切られる展開となった。
クラシックに馴染みのなかった人も,「プロセカ」をきっかけに初めてそのセカイが広がったことだろう。来年はどのような展開が待っているのか,今から楽しみは尽きない。
「セカイシンフォニー2023」セットリスト
M01:「群青讃歌」(Eve)
M02:「DREAM PLACE」(EasyPop)
M03:「ももいろの鍵」(いよわ)
M04:「仮死化」(遼遼)
M05:「Awake Now」(雄之助)
M06:「88☆彡」(まらしぃ×堀江晶太(kemu))
M07:「potatoになっていく」(Neru)
M08:「再生」(ピコン)
M09:「Iなんです」(れるりり)
M10:「ロキ」(みきとP)
M11: スペシャルゲスト歌唱メドレー
「Voices」(ゆよゆっぺ)
「Flyway」(halyosy)
「オーダーメイド」(傘村トータ)
「相生」(やいり)
M12:「needLe」(DECO*27)
EC1:メドレー
「ニア」(夏代孝明)
「フェレス」(栗山夕璃(蜂屋ななし))
「踊れオーケストラ」(YASUHIRO(康寛))
「ボッカデラベリタ」(柊キライ)
「アトラクトライト」(*Luna)
EC2:「Journey」(DECO*27)
(C) SEGA / (C) Colorful Palette Inc. /
(C) Crypton Future Media, INC. www.piapro.net All rights reserved.
オフィシャル写真撮影:国府田利光
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」公式サイト
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」ダウンロードページ
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」ダウンロードページ
- 関連タイトル:
プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク
- 関連タイトル:
プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク
- この記事のURL:
キーワード
(C)SEGA / (C)Colorful Palette Inc. /
(C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net All rights reserved.
(C)SEGA / (C)Colorful Palette Inc. /
(C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net All rights reserved.