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ライアットゲームズが贈る新作FPS「VALORANT」のインプレッション。「CS:GO」を意識しながらも独自要素で新鮮さがある王道FPS
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印刷2020/05/07 17:32

プレイレポート

ライアットゲームズが贈る新作FPS「VALORANT」のインプレッション。「CS:GO」を意識しながらも独自要素で新鮮さがある王道FPS

 ライアットゲームズが2020年3月2日に新作FPS「VALORANT(ヴァロラント)」を発表したのは記憶に新しいだろう(関連記事)。以前は「ProjectA」というコードネームで呼ばれていた本作だが,現在は北米および韓国などでCBTが実施されている。
 今回,幸運にも本作をプレイする機会を得られたので,そのインプレッションをお届けしたいと思う。「リーグ・オブ・レジェンド」を世に送り出したライアットが新たに作り上げるFPSはいかなるものだろうか。


基本的なルールは爆弾設置型
あのタイトルを強く意識している


 VALORANTは5対5の攻撃側と防衛側に分かれて戦うタクティカルシューターだ。攻撃側は防衛側陣地にある拠点にスパイク(いわゆるボム,爆弾)を仕掛けて爆破するか,防衛側の殲滅でラウンド勝利。防衛側は攻撃側の爆弾設置を阻止または設置された爆弾を解除するか,相手側の殲滅でラウンド勝利となる。

死亡すると次のラウンドまで復活することができないので味方との連携が重要になる
画像集#001のサムネイル/ライアットゲームズが贈る新作FPS「VALORANT」のインプレッション。「CS:GO」を意識しながらも独自要素で新鮮さがある王道FPS

 ゲームは12ラウンドが経過すると攻守交代となり,最大で25ラウンド。先に13ラウンド先取したチームが勝利するという,FPSタイトルのオーソドックスな爆弾設置ルールを踏襲した形だ。

 1ラウンドの試合時間は装備の買い物をする準備が30秒と(1R目と13R目のみ45秒),攻防が発生するアクションフェイズが1分40秒の2分10秒となっている。

 ラウンドごとに訪れる買い物時間は,前ラウンドでの行動の結果として得たお金をもとに武器や防具,アビリティの補充を行える。ただ,好き勝手にお金を使うと勝負の分け目のようなラウンドでお金が足りず火力で負けてしまうということもあるので,味方と歩調を合わせることが大事だ。

味方の装備や資金の具合なども買い物画面で確認できる。また,ボイスチャットを使わずとも「買い物しよう」「金が余ってる」「貯金しよう」といった呼びかけも可能だ
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 さて,これが基本的なVAROLANTのルールなのだが強く「Counter-Strike: Global Offensive」を強く意識した仕様であることは言うまでもない。

 では,そこにVALORANTならではの要素はあるのかというと,プレイヤーが使用するキャラクターの通称“エージェント”たちが重要な要素のひとつとなる。

 本作で使用できるキャラクターにはそれぞれ異なるアビリティウルト(強力なアビリティ)が用意されており,マップの任意の場所にテレポートできるエージェントがいれば,通常のジャンプより数倍の高さまで飛び上がれる能力を持つエージェントもいるなど個性豊かだ。そしてこのエージェントたちには4つのロール(役割)がある。

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炎の壁で見通しが悪いが,右前にある箱にアビリティで飛び乗り敵を撃破……なんてことも可能
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・CONTROLLER
煙幕を張ったりしながら戦況を掌握する司令塔のようなロール

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BRIMSTONE
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OMEN
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VIPER

・SENTINEL
敵の行動を阻害したりして相手の攻撃を遅らせ,掌握しているエリアを守る防衛型ロール

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SAGE
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CYPHER

・INITIATOR
敵が有利な状況でも索敵能力を活かして突破口を見出したり,敵の行動の意図を探るロール

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SOVA
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BREACH

・DUELIST
銃撃戦のスペシャリストで,アビリティを併用しながら敵にガチンコ勝負を仕掛ける

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JETT
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PHOENIX
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RAZE

 といった感じでエージェントは4つのロールに分けられており,そこからさらにエージェントごとに異なるアビリティを活用しながら戦いを進めていくことになる。
 本作がローンチした暁にはマップによってどういうエージェントで構成するのがいいのかといったメタや,そのメタに対抗するための布陣などが研究されるのではないかと筆者は考えている。開発者側も,想定していないような驚きの構成や戦術が生まれるのを楽しみにしているのではないだろうか。

ライアットゲームズのタイトルということで「リーグ・オブ・レジェンド」同様にエージェントが少しずつ追加されていくのだろうか?
画像集#006のサムネイル/ライアットゲームズが贈る新作FPS「VALORANT」のインプレッション。「CS:GO」を意識しながらも独自要素で新鮮さがある王道FPS

 筆者はCONTROLLERのBRIMSTONEがお気に入りだ。このエージェントはラウンド中に腕に取り付けた端末から表示されるミニマップの範囲内で最大3か所に煙幕を張ることができる。このアビリティはスナイパーが狙っていそうな通路を比較的安全に通過したり,欺瞞作戦をしかけるのに使える。
 ウルトもなかなか強力で,指定した場所に上空から即死クラスのダメージを生じさせるサテライト攻撃のようなことが可能だ。敵の居場所を一点読みするのもアリだし,爆弾設置前後の攻防で活躍するだろう。

BRIMSTONEの煙幕を効果的に使えれば敵の狙撃を邪魔したり,こちらの移動を悟られにくくしたりすることが可能だ
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同じくBRIMSTONEのウルト。画面では写っていないが敵が潜んでいそうな場所に対して使用したところ,巨大な光の柱に飲み込まれて敵を1人倒した
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マップも随所に工夫が見られる


 実際に本作を遊んでいると面白いのがマップの構造だ。競合タイトルとの差別化を図るための要素が取り入れられていることに気付く。

 この手のゲームのレベルデザインでは攻撃側エリア,防衛側エリアの2つに加え,中央付近をミドルエリア,両陣営からど真ん中かつ掌握できれば有利に戦局を進めやすいニュートラルエリアと大雑把に分けられる。この防衛側のエリアに攻撃側の目標となる爆弾設置ポイントがあり,この場所を巡って両チームが衝突するのだ。

少々見づらくて申し訳ないが,スタンダードな形状のマップ。エリア間をつなぐ通路が多数ある
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 このミドルエリアと両陣営側エリアの境目に買い物時間が終わるまでバリアが展開されプレイヤーは通過できない。また,敵側と味方側で展開されているバリアは距離があまり離れていない場所が多い。そのため,買い物時間中に敵陣側から足音が聞こえてくることも少なくない。バリア消滅後はものの数秒で銃撃戦が展開されることも多い。接敵するまでの時間を短く感じられるため,テンポよくゲームが進んでいるように感じられた。
 このバリアは今回実際に触ることができた3つのマップすべてで見られたので,恐らくスタンダードな仕様ということなのだろう。

 続いてはBINDというマップで見られる一方通行のテレポーターだ。BINDにはテレポーターの入口となるゲートが2つ設置されており,ここへ入ると対応した出口へと瞬間移動できる。このうち1つのテレポーターはマップの端から端まで移動でき,うまく運用すれば攻撃時だろうと防衛時だろうと敵の意表を突くことが可能だ。
 また,この2つのテレポーターには投擲系アビリティや索敵ドローンを飛ばすことができるので使い方次第で戦局を左右することもあるだろう。ただし,このテレポーターを利用すると出口側で大きなサウンドエフェクトが流れるため的に察知されやすい点は注意が必要だ。

マップ上にある緑色の矢印がテレポーターの入口と出口を示している。B側からA側まで瞬時に移動できるので使い方次第で……
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 また,HAVENというマップはこれまでのセオリーをぶっ壊す構造だと言える。というのも,この手の爆弾設置系ゲームは基本的にターゲットとなる爆弾設置ポイントが2つであり,タクティカルシューター系のタイトルではごく当たり前のレベルデザインだ。
 しかし,このHAVENはそのセオリーに反し,3つ目の設置ポイントが存在する。これはミドル及びニュートラルエリアが重要になるならば,そこに新たな設置場所を配置したらどうなるか? というコンセプトから生まれたマップとのこと。
 実際に遊んでみると攻守ともに目標が3か所あるという点に戸惑ってしまう。本作は5人チームのゲームであるため,防衛側は3か所すべてに人員を配置する場合1人で守る場所ができてしまう。人数的にディスアドバンテージとなっている場所が敵に知られると当然狙われてしまうわけで,状況によってはそこをカバーするために配置をシフトしようとすると,実は揺さぶりで別の場所に……なんてことも。
 こちらもマップの研究が進めば良いポジショニングや配置すべきエージェントなどが分かってくるとは思うが,慣れるまでが大変かもしれない。

再び見づらくて申し訳ない。目標エリアが3つあるため,いかにして敵に揺さぶりをかけ,陣形に穴を作るかがキモになりそうなマップだ
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 レベルデザインでプレイヤーが気になるのは交戦状態に入りやすい場所だろう。VALORANTでは敵と交戦状態に入りやすい場所にオーブと呼ばれるオブジェクトが配置された場所がある。
 このオーブを取得するとウルト発動までの時間を1段階短縮することができるため,相手よりも先に取得しておけば戦いを有利に進められるチャンスを得ることに。しかし,見通しの良い通路の先や,待ち伏せをしやすそうな場所に配置されているので安々と取ることはできない。結果としてエージェント同士のアビリティを駆使した激しい戦いが起きやすい。

オーブのある場所はあからさまに交戦状態に入りやすい場所だ
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 もちろん,先に述べたように爆弾設置箇所が2か所でテレポーターなどのギミックがないベーシックなマップも搭載されている。ただ,これら3つのマップはすべてエージェントがアビリティを駆使して戦うことが前提に作られているため,競合タイトルとの差別化できているのではないだろうか。


本作はまだまだ未知数だが
今後の発展に期待できそう


 長々とゲームの特徴などを紹介してきたが,今回全マップを通して実際にプレイしてみた感想を正直に述べると「地味に面白い」といったところだろうか。

 昨今の見た目が派手だったり,やたら多人数が参加できるようなゲームと比べてVALORANTは物凄く地味に見えてしまうだろう。実際に筆者もプレイしながら「ちょっと見た目が地味だなぁ」と思ったのが正直なところだ。
 ただ,開発側いわく敵の視認性向上などが目的でこういう設計思想がレベルデザインの根底にあるのが理由とのこと。実際に背景と敵を誤認するようなこともなかったので,その目論見は成功していると言えるが,少々地味な感じがどうにも拭うことはできなかった。トレードオフの関係というところだろうか。

通路の奥でわずかに身をさらけ出した敵の姿もハッキリと見える
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 戦闘時の感触はどうかというと,感覚的には「Counter-Strike: Global Offensive」に近いといえる。しかし,ゲームが違えばリコイルのメカニズムも大きく変わるので非なるものだ。
 いくつかの銃を試してみたのだが,フルオート射撃時に1〜4発目くらいまではわりと照準に近い位置に着弾する。しかし,以降は着弾点が大きくズレてしまうので悪戦苦闘。しかし,上手く制御したときはかなり気持ちが良かった。

 アビリティを駆使した立ち回りは意外性が強く,想定していなかった場所に敵が潜んでいたり,突如として現れるなんてことが多い。それに,エリア間を移動するルートが多めにあるため,敵を背後から襲うことも容易だ。
 爆弾設置や妨害のプロセスも他のゲームとは少々異なっている。これは一重にエージェントのアビリティの存在が大きく影響をしているだろう。爆弾を解除しようと寄ってくる敵に遮蔽物を設置して接近を遅らせたり,解除中の敵をウルトで無力化したりできる。なので,ゲーム中は相手の残存エージェントの特徴を理解したうえで立ち回り,常に適切かつ理論的な対応をしなければならないゲームだなと感じた。

味方のアビリティで敵が赤いシルエットで表示され,追い詰めるように進軍する味方。まさにチーム戦といった感じだ
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 昔ながらの王道を往く対戦ルールにロールやエージェントといった要素を組み合わせ,新たな流れを作り出そうとしているVALORANT。ライアットゲームズのこれまでの取り組みを考えると,本作がサービスインした後に規模の大きな大会が行われ,競技シーンで名前を聞くようになるのではないかと思っている。
 すでに日本で活動しているプロチームも部門設立などを検討しているとの話を聞くので,今後は競技シーンも含めて注目していきたいタイトルだ。

ライアットゲームズが今後どのようにブランドを成長させていくのか注目していきたい
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 凄くぶっちゃけた話をしてしまうと,筆者は長年いろいろな爆弾設置型ルールのタイトルをプレイしてきて食傷気味だった。そのため,本作を触る前はまたコレ系か……なんて若干ネガティブになっていたのだが,実際遊んでみるとアビリティの独特さもあり新鮮な気持ちでプレイできたのはかなり嬉しかった。
 現段階では日本でのサービスについて未定となっているのだが,そう遠くないうちに国内でプレイできると良いなと思う次第である。

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