インタビュー
[インタビュー]「ディアブロ IV」では,豊富なエンドコンテンツと多彩なカスタマイズが楽しめる
豊富なエンドコンテンツとカスタマイズで最高の「ディアブロ」を提供
――オープンβテストを控えての心境を教えてください。
ジョー・シェリー氏(Joe Shely氏,以下シェリー氏):
とても興奮しています。サーバーの安定性や,ゲームの初期段階におけるレベリング速度などのデータもとりたいので,多くの方にプレイしてもらいたいですね。
ロッド・ファーガソン氏(Rod Fergusson氏,以下ファーガソン氏):
「ディアブロ IV」に開発チームがつぎ込んだ愛や情熱を感じられるクオリティに仕上げてあります。コアなファンのプレイヤーには「これが最高のディアブロだ!」と思ってもらいたいですし,新しくシリーズに触れる方にも楽しんでもらえればうれしいです。
――「ディアブロ IV」の仕上がりについて,それぞれの手応えを聞かせてください。
シェリー氏:
かなり自信があります。今回のオープンβテストは1つの大きなマイルストーンでした。ここからプレイヤーのリアクションや意見を受けて,ゲームを磨き上げて行ければと思っています。
ファーガソン氏:
「ディアブロ IV」は,ほかのスタジオではあまり見ない開発環境でした。というのも,初期段階から最初から最後まで通しでゲームをプレイできるようなっていたんです。もちろん,テクスチャが貼られていなかったり,キャラクターが棒人間だったりもしたんですが,これによって「スープテスト」が可能になりました。スープを少し飲んで味を調整するように,実際にプレイして足りないものを足していったんです。
また,新型コロナウイルスの影響で,チームのみんながビルドを自宅に持ち帰ってプレイしていたのも,スープテストが進みゲームが磨かれていった要因だと考えています。
――「ディアブロ IV」では,プレイヤーが自由にポイントを振り分けられるスキルツリーが用意されていますが,初めてプレイする人に向けてどのスキルやビルドが強いのかをゲーム内で教えるシステムは存在しますか。
シェリー氏:
スキルは段階を踏んで開放されていくため,初めてプレイする方でも混乱することはないと思います。加えて,序盤のスキル帯であればポイントの振り直しに要するコストも非常に安いので,いろいろなスキルを気軽に試せます。また各スキルは「ダメージ」「殴打」「詠唱系」といった感じでタグ付けされているので,こうした機能も活用すればおかしなビルドにはならないと思います。
ファーガソン氏:
スキルツリーは開発初期から何度も作り直しています。スキルツリーには深みが必要ですが,複雑にしすぎるのも良くありません。今実装されているスキルツリーは直感的な作りになっているので,初めてディアブロに触れる人でもすぐに理解できると思います。
――コアなシリーズファンを満足させるために心がけたことはありますか。
シェリー氏:
キャラクターの成長やゲームの進行は「ディアブロII」に近づけました。キャラクターのレベルキャップは100ですが,レベル40ほどで1週目はクリアできますし,そのままエンドコンテンツにも突入できます。つまり,ゲームを1回クリアしてからが本番というわけですね。
レベル100に到達したあとも,パラゴンボードを介してキャラクターをさらに強化したり,「ワールド・ティア」を上げて手ごわい敵に挑戦したりなど,やることはいろいろとあります。ワールド・ティアを上げるのにも「ワールド・ボス」を倒す必要がありますし,ボスの中にはレベル100のものもいるので,シリーズのコアプレイヤーも楽しめるようになっていると思います。
ファーガソン氏:
「ディアブロ IV」はパラゴンボードやワールド・ティア以外にも,エンドゲームのコンテンツがふんだんに入った状態で発売されますので,楽しみにしていてください。
――エンドゲームにはどういったコンテンツが用意されますか。
ファーガソン氏:
エンドゲームでは「ツリー・オブ・ウィスパー」からクエストを請け,世界各地を冒険します。また,「ヘルタイド」というシステムも用意しております。これはエリア自体が変化してモンスターが強化され,それを倒すとレアなアイテムが出現しやすくなるというものです。ヘルタイドを始める前にアイテムの部位を指定できるので,ここでアイテムを集めるのもエンドゲームのコンテンツの一つとなります。
そしてゲーム内には150のダンジョンがあり,これに「ナイトメア・シジル」を用いることで「ナイトメア・ダンジョン」に変化させることもできます。ナイトメア・ダンジョンは難しいですが,得られる報酬のグレードも上がります。
――「ディアブロ IV」ではPvPも復活しますが,どのような味付けになっているのでしょうか。
ファーガソン氏:
本作には「フィールド・オブ・ヘイトレッド」と呼ばれるPvPエリアがあります。ここでほかのプレイヤーを倒すと名声が上がっていき,自分を倒したプレイヤーが得る報酬も大きなものになっていくんです。
報酬の中には「シャード・オブ・ヘイトレッド」というものもあり,これを集めることでアイテムと交換できます。また,倒したプレイヤーの耳を集めるというディアブロII的な要素もありますよ。
――ビルドやプレイスタイルの数は何種類くらい用意されていますか。
シェリー氏:
我々が想定する大まかなビルド構成という意味では,現状1クラスに5種類ほどのアーキタイプがあると考えています。たとえば「バーバリアン」を作って「Whirlwind」のスキルを主軸としたビルドがその1つですが,ノードやアイテムによるカスタマイズがあるので,人によって違ったビルドに仕上がります。現時点でゲーム内には100種類以上のレジェンダリーアイテムがありますので,プレイヤーが生み出す新しいビルドも絶対に出てくるはずです。
――「ディアブロ」は25年も続くシリーズ作品ですが,それゆえ開発者の世代によって原点や理想とする「ディアブロ」像が異なるかと思います。それぞれが持つディアブロ像をどうすり合わせていったのでしょうか。
シェリー氏:
ゲーム開発において,1つの意見にチームの全員が賛同することはまれです。全員が自分の意見を持っているため,衝突することもしばしばあります。「ディアブロ」シリーズは25年の歴史がありますが,世代が異なる人間が集うチームであるということ自体が,「ディアブロ IV」の素晴らしい開発環境につながっていると思いますね。なぜかというと,世代が異なる「ディアブロ」ファンたちの意見をチーム内から吸い上げられるからです。「ディアブロ」シリーズへの熱い情熱を持った人間から生まれる思いが,「ディアブロ IV」をより良くするのだと考えていますから。
ファーガソン氏:
「ディアブロ IV」では,開発初期からビジョンを共有する努力をしてきました。「Return to Darkness(闇への帰還)」というフレーズをベースに,世代が異なる「ディアブロ」ファンの開発者たちの意見をまとめていったわけです。
「ディアブロ」からは暗い闇のトーン。「ディアブロII」からはキャラクター育成のシステム。「ディアブロIII」から戦闘の爽快感を抽出し,そこにオープンワールドのゲーム性を加えたのが「ディアブロ IV」です。日本で「ディアブロ IV」をCERO Z指定で出すのも,Return to Darknessのビジョンに代表されるダークファンタジーの世界観を保持したかったからです。極力,オリジナル版に近い状態のものを日本のプレイヤーさんに届けることが大きなミッションではあったので,今回それが実現したことを嬉しく思っています。
――「ディアブロ IV」ではMMORPGのエッセンスも散りばめられていますが,Blizzard Entertainmentといえば「World of Warcraft」があり,シェリーさんも携わっていましたよね。そこでの開発ノウハウは「ディアブロ IV」に活かされていますか。
シェリー氏:
「World of Warcraft」では問題を解決する力が培われたと思っています。「ディアブロ IV」でも,この力を使って開発を進めて行きました。「ディアブロ IV」ではフィールドでほかのプレイヤーと出会うこともありますが,1人でもじっくりと遊べる「ディアブロ」であることを重視していることに,変わりはありません。
――「ディアブロIII」を骨の髄まで堪能したようなコアなプレイヤーに向けて,新しい遊びの提案やアピールできるポイントはありますか。
シェリー氏:
「ディアブロIII」では,「強力な装備を手に入れても,それを存分に試せる敵がいない」という声をいただいていましたが,「ディアブロ IV」ではワールド・ティアを上げるために戦うワールド・ボスがいます。装備を集めて強くなり,ワールド・ボスに挑戦し,ワールド・ティアを上げる……という繰り返しが,いただいた声に応えたものになっていると思います。
さらに,ナイトメア・ダンジョンではナイトメア・シジルで敵がどんどん強くなっていきますが,最終的にプレイヤーが達成できる上限より,ナイトメア・ダンジョンの方が上回るはずです。可能な限り良い装備を集めるのはもちろん,自分の腕を磨かなければなりませんが,それでもクリアできるかどうかはプレイヤー次第です。
ファーガソン氏:
「ディアブロ IV」はライブサービスのゲームなので,リリース後もエンドコンテンツの追加や変更が行われる可能性があります。ローンチ直後と,いくつかのシーズンを経たあとでは,エンドコンテンツの様相がまったく変わっていることも考えられるので,いつまでも飽きずに楽しめると思います。
――それでは最後に,日本のディアブロファンにメッセージをお願いします。
ファーガソン氏:
日本のみなさんを再び「サンクチュアリ」に招待できることを楽しみにしています。ダークファンタジーとしての「ディアブロ IV」をCERO Zで出せることも嬉しく思っており,できるだけ“生”の「ディアブロ IV」を楽しんでいただきたいです。
シェリー氏:
たくさんの悪魔たちをゲームに詰め込みました。日本のみなさんもぜひ,倒す手伝いをしてください(笑)。みなさんがプレイされるのを楽しみにしています。
ファーガソン氏:
あとぜひ,次のオープンβテストでお気に入りのクラスを見つけてほしいです。ちなみに僕は,クラスアイコンのタトゥー(※)を入れる位にネクロマンサーが好きです。ネクロマンサーが一番強いクラスじゃなかったら,ジョー(シェリー氏)の腕をちぎろうと思ってるくらいにね(笑)。
※海外では,「ディアブロ」関連のタトゥーを入れるとゲーム内アイテムがもらえるとプロモーションが行われていた。これが好評だったようで,2022年の9月に行われたあと,2023年の2月にも開催されている(公式ブログ)。ロサンゼルス会場では、かつて一緒に「ディアブロII」をプレイした友人を偲び、彼がメインで使っていたネクロマンサーのタトゥーを入れたという人も。
「ディアブロ IV」公式サイト
――インタビュー収録日 2023年3月16日
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(C)2022 Blizzard Entertainment, Inc.
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