インタビュー
[インタビュー]「ディアブロ IV」シーズン2開幕。これからもBlizzardらしく,ユーザーの声を取り入れて長期のサポートを目指していく
10月18日に開幕したシーズン2「渇望の鮮血」は,サンクチュアリの世界を襲うヴァンパイアに対抗すべく,プレイヤーは禁じられた「吸血力」を手に入れ,これを活用した独自のビルドを構築していく必要がある。
新シーズンの開始から間もない10月24日にメディア合同インタビューが行われ,本作のアソシエイトゲームディレクターを務めるジョセフ・ピエピオラ(Joseph Piepiora)氏,リードゲームプロデューサーであるティモシー・イズメイ(Timothy Ismay)氏に話を聞くことができた。
なお,Blizzard Entertainmentと言えば,Microsoftによる買収の完了(関連記事)というホットなニュースもあるが,今回はあくまでもシーズン2の取材機会ということで,買収に関するコメントはもらえなかった。
ジョセフ・ピエピオラ氏:「ディアブロ IV」アソシエイトゲームディレクター |
ティモシー・イズメイ氏:「ディアブロ IV」リードゲームプロデューサー |
「ディアブロ IV」公式サイト
Blizzardらしく――
――シーズン1「厄災のマリグナント」は無事に終了しましたが,ここから得た学びや課題があれば教えてください。
ジョセフ・ピエピオラ氏(以下,ピエピオラ氏):
シーズン1は特殊な能力を与えてくれるアイテム「マリグナントの心臓」を探すという内容でした。ただ,マリグナントの心臓そのものにドロップ運が関係するため,プレイヤーから「ビルドに組み込むのが難しい」という声が届きました。
そのため,シーズン2の吸血力はアンロック式として,プレイヤーが思ったように新ギミックを楽しめるようにしています。また,基本システムである「オーバーパワー」(特定の確率で大ダメージを与える),キャラクターのステータス,属性耐性などもプレイヤーの反応を受けて,分かりやすくしました。
ティモシー・イズメイ氏(以下,イズメイ氏):
ローンチ時にはシーズン1の内容がほぼ確定していて,反映できるプレイヤーの声はかなり限られたものでした。シーズン2ではローンチ後に得られた声をフィードバックできています。
――シーズン2では属性耐性の計算式が変わっていて,その在り方自体が変化しているように見えます。
ピエピオラ氏:
「ディアブロ IV」ではキャラクターがレベルアップすると,それに合わせてモンスターのレベルも上がります。キャラクターが敵の小さなファイヤーボールで死んでしまうようなことを回避するため,設定したのがシーズン1の属性耐性でした。
レベルが上がるたびに,お互いのギャップが開いていくのを最小化したかったわけです。ただ,シーズン1ではプレイヤーが属性耐性をあまり意識していないように見えました。ある程度以上の属性耐性は意識しないと得られないので,ほとんどのプレイヤーが考慮しない要素になっていたんです。
シーズン2では属性耐性を分かりやすくしています。例えば,本来は100ダメージのファイヤーボールも,20%の火属性耐性があれば80ダメージに軽減できるといった具合ですね。70%というキャップに近づけるためにどうすればいいかも計算しやすくなったので,プレイヤーが属性耐性を意識してくれるんじゃないでしょうか。
一時的に属性耐性を上げる「エリクサー」もありますので,属性耐性を生かしやすい環境になっています。
イズメイ氏:
シーズン1では「良いアーマーを着ければ,魔法耐性が増えていくので,属性耐性は意識しなくていいんじゃないか」という声があり,これが開発のヒントになりました。シーズン2ではアーマーと属性耐性を分けた形でシステムを組み上げています。
――「ディアブロ」シリーズではお馴染みのセットアイテムですが,今後実装の予定はありますか。
ピエピオラ氏:
現状では何もお答えできません。ただ,我々は常にプレイヤーの声を取り入れようとしていますので,もし希望する声が大きければ今後に動きがあるかもしれません。
――シーズン間で引き継がれるものと,そうでないものを教えてください。
イズメイ氏:
シーズンの特別なクエストの進行や,吸血力などは引き継がれません。そのぶん,ゲームブレイカー的に強力なものがありますので,シーズン中に楽しんでください。
逆に,レジェンダリーのパワーは引き継がれますし,シーズン中に登場した新ボスもシーズン終了後には通常のゲームに出現するようになります。
――「ディアブロ IV」から一時的に離れている人に向けて,シーズン2の注目ポイントを教えてください。
ピエピオラ氏:
シーズン1をプレイしていた人であれば,シーズン2のいろいろな部分の違いがお分かりいただけるはずです。例えば,ある一定のところからレベルが上がりにくくなり,ゲームの進行速度が下がってしまうことには,多くの声をいただいています。
シーズン2ではバトルやアイテムに調整を入れましたので,サクサクとレベルアップができ,高レベル帯でのアイテム収集を早く楽しめるようになりました。また,モンスターの数を増やすなど,バトルの気持ち良さも向上しています。以前にプレイしていたのと同じクラスのキャラクターでシーズン2を始めると,その違いがより分かるでしょう。
イズメイ氏:
コミュニティから「Blizzardは『ディアブロ IV』をどこまでサポートするのか?」という話題も出ています。Blizzardはリリースしたゲームをずっとサポートしていくやり方をしていて,「ディアブロ IV」でもこれは同じです。シーズンごとの修正や追加要素により,サポートを続けていきます。
これは個人的な意見になるのですが,「ディアブロ II」「ディアブロ III」を長期間プレイしてきた私から見ても,「ディアブロ IV」は一番楽しい作品です。
――追加クラスは来るのでしょうか。
ピエピオラ氏:
こちらに関しても,現状はお答えできることがありません。ただ,クラスを選択するときの焚き火のシーンには,もう何人かのスペースがありますね。
――シーズン2の利便性向上について,詳しく教えてください。
ピエピオラ氏:
インベントリにはアイテムをサーチするフィルタを追加し,増えたアイテムを探す手間を緩和しています。宝石に関しても,シーズン2ではインベントリのスペースを圧迫することなく,素材として扱うようになりました。
また,馬も使い勝手が良くなりました。移動速度のアップ,騎乗時の専用技を頻繁に使える,攻撃を受けて落馬してからの再使用までの時間を短縮するといった変更を加えています。
イズメイ氏:
今後もシーズンごとに利便性の調整を行っていきます。現在はシーズン1に対する声に応えたものを実装した段階です。その後の要望もリストアップしています。こうした変更が各シーズンに加えられるので,「ディアブロ IV」はどんどん磨かれていきますよ。
――シーズン2では,レベル100に達するまでの時間が約40%早くなるそうですが,こうした変更を加えたのはなぜでしょう。また,今後はレベル100でのコンテンツが中心になっていくのでしょうか。
ピエピオラ氏:
プレイヤーは無意識にゴールを設定したうえで「ディアブロ IV」をプレイしており,その多くはレベル100であるようです。レベル65あたりからレベルアップが遅くなるため,プレイの意欲が下がっていくわけですね。
我々がゲームを作るうえで最も大事にしていることは「どうやってプレイヤーに楽しい経験をしてもらうか」です。無意識のゴールに到達できないことがストレスであるならば,それを緩和するのが我々のやるべきことだということです。
今回の変更により,プレイヤーがエンドゲームに到達するのが早くなるので,そこにコンテンツを用意しなければならない。その1つがウーバーボスです。シーズン2にはウーバーデュリエルを追加するといった取り組みをしています。
――「オーバーウォッチ 2」では,「ディアブロ IV」とのコラボモード「サンクチュアリの試練」が登場しました(関連記事)。「ディアブロ IV」がBlizzard作品とコラボする可能性はありますか。
イズメイ氏:
現状,話せることはありません。ただ,プレイヤーの声があれば検討します。
――最後に,日本のコミュニティにメッセージをお願いします。
ピエピオラ氏:
今後も「ディアブロ IV」のアップデートを続けて,最も楽しいゲームを目指していきます。そのためにはコミュニティの声が大事です。私自身も日本の「ディアブロ IV」のDiscordチャンネルに入っているので,ぜひコメントをもらいたいと思います。
イズメイ氏:
全世界のコミュニティの中でも日本はコアプレイヤーが多い傾向にあり,今後も興味深く見ていきたいと思います。来月にはファンイベント「BlizzCon」が行われますが,「ディアブロ IV」もちょっとした発表をできると思います。楽しみにお待ちください。
「ディアブロ IV」公式サイト
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