プレイレポート
「三國志 新作(仮)」はMMO型の戦略シミュレーションだった。35周年めのクローズドβテストで呉越に激震走る
本作は「三國志」シリーズの35周年記念作品として,同社の「シブサワ・コウ」ブランドが開発・運営を担当する“MMO型の戦略シミュレーション”だ。そして2020年3月26日から3月30日にかけて,ゲーム内容をお披露目する参加者5000名規模のクローズドβテストが行われた。
そこで明らかになったのは,本作ではプレイヤー自身が君主となり,1枚の3D大陸マップのいずこかで,あらゆる奪い合いを繰り広げながら中華統一を目指すというゲーム性であった。全体的にスマホナイズされたSLG,あるいはRTSでおなじみの陣取りゲームの装いであるが,ところどころに“三國志らしい三國志”を感じさせる,そんな方向性だ。
なお今回は,前半でゲームシステムの解説を,後半でゲームプレイの流れを紹介する。各々時間が許すところまで読んでほしい。
※本稿は,ゲームシステムおよびバランス調整を目的としたクローズドβテストでのプレイ体験を元としている。そのため,ローンチ時に一部仕様などが異なる可能性があることはご了承いただきたい。
「三國志 新作(仮)」公式サイト
35周年の戦場はスマートフォンで
「財宝、拠点、都市、そして天下を、この世のすべてを奪い取れ!」。物騒なコンセプトを掲げた本作の所感だが,やることはスマート,やれることは膨大,殺(や)ろうと思ったら無限大といったところだ。
舞台は「洛陽を中心に広がる中国大陸全土」。登場武将の年代もあって詳しくは設定していないだろうが,黄巾の乱から菫卓の政権掌握を経て,そこから幕が開いた群雄割拠の時代,などというイメージを持った。
ゲームの大きな目的は,洛陽を占拠すること。この世界には魏呉蜀といった三国志ならではの勢力は存在せず,プレイヤー自身が名もなき君主として都市を構え,同じく名もなきプレイヤー同士で「軍団」を組み,大陸全土に固定で点在している実在の「主要都市」の占拠を競い合う。
ただしルールがある。主要都市にはC〜SSまでのランクがあり,SSランクの洛陽を落とすには,Sランクの長安・許昌・鄴・襄陽・建業・成都を落とさなければならず,S都市を占拠するにはA都市を占拠しなければならず……と続いていくため,Cランクから堅実な占領戦が求められる。
プレイヤーの都市はゲーム開始時にランダムでポップするが,わりと気軽に遷都(移動)できるため,洛陽占拠に駒を進めていくほど戦火は大きくなるだろう。だが,この世界ではCランクの占領戦だろうと,内政に勤しみたいときだろうと「誰もが敵軍となり得る」のを忘れてはならない。前ばかり見ていると後ろから刺される,これも三国志の教えである。
そんな乱世に備えてやるべきことは,大きく3つある。時間で資源がたまる各種施設の「内政」,自軍を出撃させて戦闘・採集をする「軍事」,戦力の要となる「武将の強化」だ。資源集めのために都市の基礎能力を高めていく流れは,SLGおよびRTSにおける文脈のとおりである。
さまざまな内政施設は,強化するたびに開発時間(リアルタイム)が伸びていく。都市中央の「政庁」は施設LVの上限開放のために必須だが,序盤は「木材」が最優先,追って「石材」「鉄鉱」を拡張しつつ,民家・田畑・倉庫・兵舎・城壁を適度に上げていくとよさそうだった。
なお,施設は強化していくごとに木材から石材へ,石材から鉄鉱へと,その時々で要求される資源が変化する。このあたりも加味して調整していけば,より効率的な内政が可能になるのかもしれない。
軍の要である三国志のスター「武将」は,基本的に「求人」で得る。これはいわゆるガチャであるが,がっつり肉食系で捕らえにいく登用と,時の河の流れに身を任せる仕官,主にこれらで人材問題を解決してきた三國志シリーズのプレイスタイルから考えると,妙に字面が面白い。
武将のランクは「N」「R」「SR」「SSR」。兵科は武将依存で「歩兵」「弓兵」「騎兵」。さらにレベルやステータス,戦闘スキルの「戦法」,パッシブスキルの「技能」などが個々に設定されている。
武将はやはり高ランクであるほど“使いたくなる”が,彼らには都市の施設に任命し,該当施設の生産性を向上させる「内政要員」としての役割もある。そのため,文官系にも活躍の場があるというわけだ。むしろ,軍備に傾倒する段階でもなければ内政要員のほうが高価値すらありえる。
武将は部隊に「編制」するが,同じ兵科の武将で組ませると戦力(部隊の強さ),兵力数などにボーナスが付加される。プレイを進めていくと副将や補佐の枠なども開放されるため,多種多様な編制が生まれていきそうだが,応用法を見いだせないうちは同兵科染めが最善だろう。
編制が済んだら,出撃の時間である。あたり一面にランダムでポップする「賊」の退治,各種資源を集められるポイントでの「採集」,SSR武将すら得られる(可能性がある)「探索」,主要都市への攻城戦,そしてほかの君主の都市や部隊に対する襲撃などを目論んでいこう。
なおゲーム序盤は主要都市ではなく,Dランクの「荘園」「交易所」といった小さな拠点を取りにいくべきだ。そこで小競り合いのひとつでも起きれば戦い方も学べる。D拠点の耐久値は数千くらいだが,C都市ともなると耐久値が10万と膨大なため,どうせ当面は手が出せないので。
戦闘の操作はシンプルで,対象をタップして「部隊を向かわせる」だけ。進軍ルートの設定もなく,最適解の直進となる。1回の命令ごとに「軍令書」(いわゆるスタミナ)を消費するが,序盤は気にならない。
敵味方の部隊同士が隣接すると戦闘がはじまる。武将の能力,部隊の兵力,兵科の相性,戦法の切りどきなどが勝敗の分かれ目だ。とはいえ,基本はオート戦闘であり,戦法も自動で発動する。細かな位置取りなども,大決戦でもなければ求められないだろう。君主の気分で見守ろう。
だからか,戦闘の傑作「三國志12 対戦版」のような戦術性はなく,最新作「三國志14」のような兵站戦もなくと,ある意味シリーズのなかでも淡白なぶつかり合いであることは否めない。しかし,プレイヤーの周囲にはAIではない奸雄たちが,戦火を虎視眈々と眺めている。急に都市に大部隊が向かってくるかもしれない,戦場で挟撃されるかもしれない。戦術は単純,戦略は複雑。この緊張感は淡白さを補って余りあるものだ。
最後に武将の強化だが,これがなかなか多岐にわたる。武将の強化要素には戦闘やアイテムで上げる「レベル」,特定のステータスを向上させる「グレード」,兵科の基礎レベルを上昇させる「将星ランクアップ」が存在するが,これらを成すためにはさまざまなプロセスが存在する。
グレード素材は,特殊なミニマップで特定の敵部隊と交戦する「修練」で獲得できる。修練のプレイには専用のスタミナを要求されるが,経験値やアイテム類を集めやすい。またスタミナがある限り,スキップ機能で10回分を瞬時に消化できてしまうため,最序盤はひたすら修練をして戦力をある程度整える,といった手段が立ち上がりの要になった。
一方の将星ランクアップは,武将の「友好度」を一定値まで高めつつ,ゲーム内通貨を支払うと行える。友好度は求人で同一武将を得るほかに,交流ポイントを消費して行う「交流」などで上げられる。交流ポイントについては,自軍の武将の友好度を「変換」するなどで獲得可能だ。
さらに未所持の武将でも,交流などで友好度を1000まで上げると「登用」できる。交流のテーブルに現れる武将はランダムなので「曹操がほしいけど曹操が出てこない」などといった課題はあるものの,時間とリソースをかければ狙った武将を確保できるわけだ。よい仕組みである。
ゲーム開始時は操作項目が多めで,忙しく感じた。しかし時間が経つにつれて内政は落ち着いていく。そして軍事は必要なときに注力すればいい,武将の強化は時間をかけてゆっくり付き合っていけばいい,などと得心していくと,このゲームの本来のスピード感が見えてきた。
本作の面白さはこの3点が核となっており,それ以外の「やっておかなくてはならないこと」は最小限に抑えられている(CBT段階だからかもしれないが)。そのため,戦時でもなければゲームに張り付いている必要もなく,人によってはゆったりと付き合えるゲームに思えた。いきなりやることがなくなった,なんて感想を覚える人もいるかもしれないが。
もちろん軍団規模での作戦行動や,昨日までの隣人が修羅と化したなど,その限りではない状況はいくつも想像できる。それでもプレイの忙しさも,どれくらい負担をかけるのかも,各々でコントロールしながら遊びやすい三國志なのは間違いない。大規模の内容ながら配慮を感じる。
それでは以降はおまけとして,実際にプレイしてみた流れを追いつつ,個人的な体験記を書き連ねておく。読者の方々は,時間があれば引き続きお目通しを。そしてコーエーテクモゲームスの方々は,CBTアンケートの参考意見のひとつとしてご覧いただきたい。
ここからがほんとの呉越同舟だ
2020年3月26日14時。CBTがはじまった。すぐさまテスター環境からログインし,ゲームのチュートリアルを進めていく。若干長いし細かい。もうちょっとコンパクトかつ報酬の獲得手順もスマートにしてほしい。
本作のナビキャラクターが現れる。美人で聡明な雰囲気がヒシヒシと伝わってくる才女の「盧 蓮香(ロ レンコウ)」。ファンコミュニティではロちゃんか,はすかちゃんか,そんな感じで親しまれると思う。
チュートリアルの流れで「張遼」が仲間になる。まさかの泣く子も黙る遼来遼来だが,ほかに適役がいるかというと,趙雲や周瑜では“勢力の色”が強いし,彼の日本での人気を考えると(大きくはそれこそ同社の三國無双シリーズだろうが),なかなかどうして納得の選出に感じる。
チュートリアル武将の特権で,張遼がだいぶ強くなる。たぶん実際強い。CBTの配布特典で求人を引いた(出すが適切?)。SSR枠の「関羽」「孫尚香」「鍾会」「周泰」が加わる。CBTでは参戦武将が絞られていたが,N武将も結構豊富。かわいい笑顔のおじさんがどんどん出てくる。
チュートリアルを終える。己の都市がどこにあるのかを調べる。ちなみに当時の中国大陸は,大きく13の「州」に分かれていて,州を構成する「郡」,郡を構成する「県」で国が構成されていた。これを日本の地理に置き換えてみると,関東圏の東京の新宿みたいな呼び方である。
当の居城があったのは呉越。呉越。全体マップの右下の角を舐めるような場所にある呉越。歴史上では海を渡っての交易で日本とも交流があったなど,外交の要衝のひとつとされていたようだが,本作に海はない。ゲーム的に言えば,中央から少し離れた絶妙な閑散地帯より人が来そうだが,それをもってしても辺地と呼ばれそうな四隅のうちの1か所である。
余談だが,呉越のことは知らずとも「呉越同舟」の四字熟語を存じている人は多いだろう。これは呉の国と越の国が小競り合いばかりしていた,仲が悪かった春秋時代のこと。同じ舟に乗り合わせた呉人と越人がメンチを切り合っていたとき,いきなりの嵐に見舞われたが,どちらが口を出すでもなく一致団結の協力で乗りきった。いつもは仲が悪い者同士も,非常時であれば協力できるし,素晴らしいチームワークを生み出せるのだ,という孫子の例え話から生まれた言葉である。あくまで例え話である。本当にあったかどうかは定かではない。つまりそういう地域である。
アイテムで遷都(都市の位置を移動)することは容易かったが,有名どころに移っても,気合いの入った武人系君主たちに袁術されてしまう気がしたため,まずは袁術されないために呉越に身を置くことにした(皇帝ともなられた偉大なる袁術氏に対しての他意はございません)。
プレイ開始から約2時間。忙しかった内政が落ち着きはじめる。わずか数日のCBTのためにエネルギッシュな軍事活動はしない方向でと,とりあえず修練で稼ぐことに。修練はスキップ機能を使うと楽でいい。アイテム類を購入できる「商店」でスタミナ回復アイテムを確保し,ひたすらスキップで回す。5分くらいで初期戦力がまあまあ強くなった。
あとささいなことを。本作ではなにかアクションする際に「アイコン」をタップするが,最初は意味が分かりづらい。タップ操作自体は問題ないのだが,そのアイコンがどういうアクションを示しているのか,文章での説明がない。そのため,覚えるまでひとしきり押して試すほかない。覚えてしまえばスマートなUIであるが,最初はちょっと困る気がする。
少し余裕が出てきて,都市の周辺を調べる。NPCの賊兵が闊歩している。石材を採集できるポイントがある。なんかデカい都市がある。
目と鼻の先にあったのは,R氏(仮名)なる君主が築いた都市であった。双方の都市は恋人未満の近さにある。R氏とは今後,項羽と劉邦のように仲睦まじい関係になろうと思索した。そうだ,せっかくなので「軍団」に入り,そこに誘ってみるのはどうだろう。呉越の地名を尊重し,「呉」で軍団名を検索。1件引っかかったところにお邪魔することに。
しばらくして軍団長から挨拶される。2人めの団員だったことから肩書きだけの副団長に任命される。さっそくR氏に「うち呉越なんだけど,君どこ住み?」と融和を持ちかけようとした。嗚呼無常。彼あるいは彼女はすでに違う軍団に籍を置いていた。その手酷い裏切りに我憤慨。
ややあって,都市近くの採集場に部隊を派遣した。すると都市のすぐ近くに賊が湧いた。同時にR氏が動く。こちらの都市のプライベートエリアと思いたい繊細な地点に,彼あるいは彼女の部隊が入り込んだ。ピンときたね。「こいつ,殺(と)りにきやがった」。奴は項羽だったのだ。
採集場で資源を集めた部隊は,帰還せずに倒されてしまうと資源を奪われる。つまり,R氏は賊を討つと見せかけて,我が部隊の背後を狙う可能性があった。こちらは幸運なことに,計2部隊を派遣していたことから,いずれか一方が襲われても挟撃を仕掛けられた。絶え間ない緊張の時間が続く。R氏はそのまま賊を狩っていた。終わったら帰っていった。
彼あるいは彼女は,最初から賊の経験値が目当てだったのかもしれない。それか「都市の近くに賊がいると危なく見えるんで狩っときますねー」という無言の友情だったのかもしれない。というか,別に周囲のことはなにも気にせずモブ狩りをしていただけで,こちらの思惑など想像すらしていなかったのかもしれない。まず間違いなくそうな気がした。
今度はさらに近距離に,敵君主が現れた。うちの城壁と接吻するかのような距離感に放置された部隊からは「おめえの都市とか3秒でクラッシュだよ」の意志を感じ取った。いつでも反撃できるよう身構えた。半日もすると,どこかに遷都していた。彼あるいは彼女が占拠したまま放置していったDランク拠点の荘園は,CBTの不具合のためか,何度攻撃しても占拠し返すことはできず,消えない刀痕のように最後まで残っていた。
さらに遷都の乱数が,我々にSEKIHEKI WARの開戦を望んだのだろうか? 新たな脅威としてリアルで2センチもないような距離に,戦国の梟雄の名を冠す敵が現れた。有償通貨を使ってまでその場所を選んだとは思いたくないし,もはや名前だけでおぞましい敵であることは明白だったので,爆破自爆に備えて城壁の強化を急ぐ。気づいたらいなくなった。
そうか。戦乱は人の心も乱す。城壁と城壁との隔たりは,怯えと疑いを生み,やがて「やられる前にやれ」という正義を宿す。信じられぬなら,信じるくらいなら,先に討って己が利にせよと。項羽と評したR氏もCBTが終わるそのときまで,襲ってくることは1度もなかった。三國志 新作(仮)の君主たるもの,矛と盾の前に徳を示し,琴瑟相和すべし(※)。
※三國志 新作(仮)をやりはじめた初心者は,周囲に存在している人たちに対して思わず「こいつらみんな敵か!」などと身構えてしまうが,まずは険しさを隠して「こんにちは」からはじめると,きっと仲のいい夫婦のような友達を作れるに違いない,の意。
ミッションの消化,イベントの参加などでコツコツ遊んでいた日曜の正午。我が軍団の副団長のひとりが単身,攻城戦に挑んでいた。せっかくなので徐州にあるC都市「彭城」の近くに遷都し,乗っかる。城の周囲には恐ろしげな施設が複数設置されていたが,別にそれらは無視して城だけ潰せばいいと分かったのは,時間切れで大敗したあとのことだった。
それから,CBT最後の決戦として「夜間攻城戦参加求ム」の伝令が放たれた。現地に集まったのは3人だけ。彭城は項羽率いる楚軍3万人が,劉邦率いる漢連合軍56万人を急襲し,大勝利を収めた忌み地であることから,戦争中にR氏が襲いかかってくることも考慮していたが,ついぞ現れなかった。彼あるいは彼女はやはり,項羽ではなく劉表だった。
疑い疲れていたころ,スマートフォンに「あっ! あなたの都市がなんか襲われてますね!(笑)」といった意の通知がゲームから届いた。急いでログインすると,誰かの強力な軍勢に囲まれ,城壁の耐久値もあとわずかとなった都市の様子が目に入る。敵はR氏だけではなかった。
悪逆非道の蛮族に都市を蹂躙されることを覚悟しつつ,ゲーム的になにができるのかを調べる。まずは城壁を調べた。「緊急修復」(有料通貨必要)のボタンがある。押す。残り2000だった城壁の耐久値が52000になる。あとちょっとだった城壁が全回復した場面を見たときの相手の気分が知りたい。ついでに都市を殴っていた敵軍に部隊を差し向ける。相手は放置プレイで気づいていなかったのか,一方的に殴れる。結果,当方無傷,先方壊滅。5万の兵と高価な兵器がすべて地面の肥やしになった。
これは今後の仕様次第だが,少なくとも現行の環境で誰かの都市を攻撃するのは,あまりに危険かつ無謀な行為に思えた。勝利さえすれば資源を奪い取れるのだろうが,それでも防衛の手段が強力すぎる。当然,本作のメインディッシュは主要都市の奪い合いだろうし,都市に攻め込まれないように休戦状態にできるシステムも存在するし,ここ十数年間で生まれた「1度壊滅させられたら引退するほかない戦略ゲーム」とは比べ物にならないほど再起しやすいストレスフリーさだが,相当の戦力差があっても,ログイン中の相手の城を落とすのはリスクしかないと感じた。
まぁ,都市攻撃に相応のリスクを背負わせることで,内政屋にものんびりプレイヤーにも鋭い反撃の牙を持たせられていると言える。
攻城戦では,タイムリミットまでに目標を落城させることが求められる。時間と戦力がせめぎ合うシビアさのなか,それ相応の作戦力とコミュニケーション力,それらをつなぎ合わせる団結力が攻略のカギとなる。そして日曜の夜間。開戦と同時に,2人の団員が突撃する。1人は普通に忘れててAmazonプライムで「映画 すみっコぐらし」を検索していた。
副団長「誰もこないねー(;・∀・)」
軍団員「援軍いないねー(´・ω・)」
よんかめ「ここにいるぞ!」
副団長&軍団員「援軍キター(∩´∀`)∩(*´▽`*)」
数分遅れで間に合ったその攻城戦は,とくに別の軍団からの横やりが入ることもなく,最初から最後まで「今のみんなの火力で時間制限までに落とせるのか」だけを眺める戦いであった。だが,それを見ているときに感じる熱さ,恐れ,楽しさは,本作における至上の体験なのだろう。足りるのか,足りないのか,それだけを心に浮かべて画面を見守った。
広大な大陸の片隅で行われていたのは,誰にも注目されない,歴史にも残らない,我々のちっぽけな一大決戦「彭城の戦い」。やがて,勝ちどきとともに城内に我々の御旗が上がる。「よくやったな,よんかめ」。両腕を組んで後方君主面してる,R氏の姿がうっすらと見えた気がした。
CBT期間中は「武将が帰還中のまま帰ってこない」「命令した武将が動いてくれない」などの課題が浮き彫りになったが,大きなものは期間中に修正された。厳しいケースでは我が軍団の軍団長のように「タイトルのエラーでずっとログインできない」といった症状も見られたが,そこはCBTということで,ローンチまでの懸案事項として対処してくれるだろうから,不運に見舞われていた人も期待値をアップデートするといい。
「三國志 新作(仮)」の正式タイトルが,シリーズ35周年記念にかけて「三國志XXXV」になると予想されているかは定かではないが,本作は「(ナンバリング的な細々とした機能搭載の)三國志はスマホでありえない」といった想像を覆してくれた。コンシューマ的な君主プレイ,ないし武将プレイでの体験とはやはり違い,外交もシステムではなく個々人のコミュニケーションによるところが大半だが,三國志らしさとスマホゲームらしさが喧嘩せずに両立しているバランスはなかなか見事である。
実際に遊んでみると,大半のプレイヤーはスマホナイズされている部分への感想が先立つとは思う。プレイを深めていった先に構造問題が隠れているかもしれないし,キツめに言ってしまえばIP戦略的な“ガワ”に魅せられている可能性もあるが,それを踏まえてもなお“光栄の三國志”を感じさせてくれる。そういうゲームなのがよく分かる。正式タイトルやCBTのフィードバックも含めて,今後の動向にも期待がかかる。
「三國志 新作(仮)」公式サイト
(C)2020-2023 コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)2020-2023 コーエーテクモゲームス All rights reserved.