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  • 発売日:2020/02/28
  • 価格:通常版2300円(税込)/パッケージ限定版6800円(税抜)
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「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場
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印刷2020/02/12 11:00

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「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場

画像集#007のサムネイル/「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場
 ハブロッツは本日(2020年2月12日),同社のゲームブランドSukeraSparoより,2月28日に発売を予定しているPC向けアドベンチャーゲーム「推しのラブより恋のラブ」の物語チーム(シナリオライターのオグリアヤさんと,中国語版翻訳担当のウルホシ ケイジンさん&英語版翻訳担当のメルさん)の公式インタビューを公開した。

 本作のクリエイター陣が制作時のエピソードと「推しのラブより恋のラブ」の魅力を語る,4週連続インタビュー企画第3弾は,オグリアヤさんウルホシ ケイジンさんメルさんが登場。主人公の「速星あくる(CV:CV:猫村ゆき)」のモデルとなった人物や“百合の魅力”についてなど,ディープな内容が語られている。

画像集#008のサムネイル/「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場

 4週連続インタビュー企画の最終回となる次回は,2月19日に掲載。声優チーム(速星あくる役の猫村さんと古館 恋役の北大路ゆきさん)が登場の予定だ。

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「推しのラブより恋のラブ」公式サイト


『推しのラブより恋のラブ』応援コラム 第3回
シナリオライター オグリアヤさんの巻

2020年2月28日(金)SukeraSomeroよりドタバタ王道百合コメディ『推しのラブより恋のラブ』が発売されます!

どんな百合ゲーなのか? どんな人たちが制作したのか?
この応援コラムでは連載で「推しラブ」を推すとともに、作品の魅力を皆様へあますところなくお届けしていきたいと思います!

第3回目の本日は「推しラブ」のシナリオライターであるオグリアヤさんと,「推しラブ」を世界へ広げるため中国語に翻訳してくださったウルホシ ケイジン(浥轻尘)さんと、英語に翻訳してくださったメルさんへお話をお伺いしていきます!

まずはオグリアヤさん、よろしくお願いします!

●ご自身について

――まずはご経歴からお伺いできればと思います。シナリオライターとして、これまでどういった作品に携わられていたのでしょうか?

オグリアヤさん(以下、オグリさん):
シナリオライターとしては推し恋が初めての作品です。Webメディアで記事を書いたり、個人で百合小説の同人誌を出したりはしていました。現在は、『初恋シフト』という百合ゲームのシナリオも担当しています。

※『初恋シフト』
県境に立つ田舎のコンビニが舞台のインディーズ百合ゲーム。2019年12月現在、ゲーム開発のための活動支援をpixivFANBOX(ファンボックス)上で募集中。
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/38347861

――この作品にはどのようにして参加することになったのでしょうか?

オグリさん:
台湾の百合同人誌即売会で古賀Pに声をかけられまして……私はサークルとしてR18の大人百合小説(中国語版)を頒布してたんですが、その時SukeraSparoさんは企業スペースで出展されていたんですね。古賀Pとは以前ご挨拶させていただいたことはあったんですが、すごく驚きました。

●『推しのラブより恋のラブ』が生まれるまで

――『推しのラブより恋のラブ』というタイトルはどのように生まれたのですか?

オグリさん:
最初は「推し恋」というタイトルが思いついたんですが、そこから声に出して読みたくなる日本語を意識しながら長くしてみました。

タイトルやキャッチコピーを考える時はテーマごと(今回は「同棲」「宇宙、星」「夢女子」「キャラの名前をもじったもの」など)に10個ずつ案を出すようにしているんですが、今回は計80個くらい案を出して、その中からSukeraSomeroさんに選んでいただきました。

ちなみにボツになった中には「どう星☆あい」「わたしのラブはビアン色」みたいな直球や「あの娘に恋する#NAME#(あの子に恋するナンバーネーム)」みたいな古の夢女子ネタもありました。

☆オグリさん一口メモ☆
#NAME# は夢小説で主人公の名前を任意に変えるためのHTMLタグです。夢女子向けのサイトではたびたび登場する機能です。

――この企画を最初に見た時の印象はどのようなものでしたか?

オグリさん:
私の中には3人のオグリアヤがいるんですが、百合オタクのオグリは「百合のトレンドを掴んでるな」と静かに頷いていました(百合のトレンドってなんやねんということを語ると3万字インタビューとかになっちゃうので省きますね)。

女が好きなオグリは「日常で交わることのない二人が交わってる……! この企画書はインクで印刷できるレズビアンバーやで」と思いました。お寿司が好きなオグリはお寿司のことを考えていました。全体的に、ポジティブな印象だった気がします。

――なるほど、お腹がすいてきました……。そして、そこから執筆となるかと思うのですが、ご自身の作風に落とし込む際に工夫されたことなどありますか?

オグリさん:
大人×学生のラブコメという企画を拝見した時、大人×大人ばかり書いてきた自分で書けるか少し心配でした。王道ラブコメは昔から男女も女性同士も好きなんですが、社会人になってからは社会人百合ばかり書いてきたので……。

そこで、ふたりを脳内で大人にすることにしました。恋は20歳のネイリスト、あくるは29歳のOL……推しの色のネイルをしたくてネイルショップに訪れたあくるに、恋(20)はひと目で恋に落ちてました。その場で恋は告白、あくるは戸惑いながらも恋の純粋な好意に惹かれていきます。そのシーンを想像した瞬間、これはたとえいつ出会っても恋に落ちる運命の二人になれるなと思ったので、そこから過去にさかのぼって二人を出会わせました。ターミネーターみたいなもんですね。

画像集#003のサムネイル/「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場

●執筆、制作について

――いつ頃からどのくらいの期間で執筆されたのでしょうか

オグリさん:
2018年の冬頃から企画に入らせていただき、キャラの肉付けやプロット制作を開始して、たしか2019年の3月頃から本格的にシナリオをつくりはじめました。ちょうど同時期に彼女と別れて傷心のまま多種多様な女性と多種多様な関係を結び、6月くらいからちゃんと書き始めて9月にはできていたような……。

――オグリさんご自身の人生でも怒涛の時期だったのですね! ちなみに執筆の際、印象的だった出来事はありますか?

オグリさん:
R18のアペンドシナリオの描写についてSukeraSomeroさんと話しあった際、アンダーヘア(陰毛)を生やすか生やさないかで議論が紛糾したことが印象に残っています。VIO脱毛していたとしても成人女性で生えていないことはないので、私は生やしたかったんですが、それで避けてしまうユーザーの方もいるらしく……私も陰毛が生えてる合理的な理由を説明できなかったので、結局無毛になりました。

――この物語を執筆するうえでどんなところが一番大変でしたか? また、難しかったでしょうか?

オグリさん:
モチーフにした作品のニュアンスを現代の同性同士のラブコメに落とし込む部分ですね。その作品はファンタジー色が強いので一緒に暮らすハードルも高くないんですが、現代日本で良識のある大人の女性が高校生を家に住まわせるには理由づけが必要でした。

また、女の人に急に抱きついたり、嘘をついてたくさんの女性にアプローチしたりするあくるのラブコメ的行動や考え方をなくし、私なりに現代の価値観へとアップデートしています。

ほかにも、あくるは恋のアプローチを強く断りますが、それが同性愛差別につながらないよう同性だからという理由でアプローチを否定しないことを心がけたりとか……男女問わず、現代を生きるユーザーにも受け入れられるラブコメ表現について結構悩みました。

――女の子のオタクカルチャー(オタ活の様子)がいきいきと描かれていますが、モデルになった人や実際のエピソードなどがあるのでしょうか? 教えて頂ける範囲でそのエピソードなどございましたら教えて下さい。

オグリさん:
オタクの友達や自分自身をモデルにしています。例えば、志乃とあくるは幼馴染で仲がいいのですが、オタク趣味で言えば死ネタが好きな志乃とハッピーエンドが好きなあくるは解釈が合いません。これは、私の高校時代の友達二人の関係性をもとにしています。また、言動やエピソードのモデルではないのですが、あくるのオタク趣味への姿勢や根の真面目さ、ショタ好きなどはVtuberの鈴鹿詩子さんを参考にしながら執筆しました。

☆オグリさん一口メモ☆
鈴鹿詩子さん
にじさんじ所属のバーチャルライバー。画面の向こう側の世界のチビっ子たちに人気絶大のカリスマ的「うたのおねえさん」。
https://nijisanji.ichikara.co.jp/member/utako-suzuka/

――ご自身で気に入っているシーンなどありますか?

オグリさん:
とある繁華街の二丁目であくるが女性からナンパされるシーンが個人的には大好きです。あくるは身長もあるし、立ち居振る舞いもきれいだから女性からモテるんですよね。コメディっぽいシーンではあるんですが、あくるの恋への気持ちの転換点でもあるので、個人的に好きなシーンです。あとはR18のアペンドは好きなシーンだらけですね。詳しくは言えないんですが、お酒ってエッチだな……って。

●キャラクターたちについて

――あくる、恋、志乃たちはどのようにして生まれて来たのでしょうか? また、それぞれの子たちにどのような印象をお持ちですか?

オグリさん:
【あくるについて】
私の性癖のすべてを詰め込みました……というのは半分冗談ですが、モチーフにした作品の主人公を元に、大人の女性とオタクの要素を盛り込んでいます。社会人のキャラが好きなのでキャラクターを作るときは早々に職種を決めるのですが、今回企画をいただいた際から『高級ホテルのフロント係』が思い浮かんでいました。

そこから掘り下げていって「給与は安くないし、いい生活をしていそう」とか「外国語を話せるのが必須だし、それがオタク趣味で身につけたものだと面白いな」とか「美容意識は低くないけどお金の使い方が下手で、デパコスばっかり買ってそう」とか、キャラクターの輪郭が見えてきたような気がします。

あとは、それなりにかわいい女の子を見てきた恋がひと目で恋に落ちるような、ビジュアルや仕草を心がけています。結果的に、私の性癖が詰め込まれたキャラクターになってしまいました。真面目だけど頭が硬いわけではなくて、物静かだけど自分を楽しませるのが上手な、恋ちゃんが惚れるのもわかる素敵な女の人だと思います。

【恋について】
恋ちゃんは企画でいただいた段階から、私の中には住んでいないキャラクターだと感じたので、モチーフにした作品のヒロインをベースにしながら今まで接してきた人達を思い浮かべて設定の肉付けをしています。

恋ちゃんは一途な女の子で、あくるを振り向かせるためならちょっとした嘘もついてしまうようなずるさを持った子でもあります。したたかと言ったほうがいいかもしれません。

そのような部分も含め、あくると対照的な考え方やビジュアルになるようにしました。ただそれだけでは恋には落ちても、お互いを思いやれる恋人にはなれないので、根の性格はあくるに近い人物にしています。嘘をつけば後悔するし、したたかだけど自分を騙してまでは物事を成し遂げたいとは思わない、そんな一途な女の人だと思います。あとリバ寄りのネコです。

【志乃について】
画像集#001のサムネイル/「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場
志乃はあくるにとっての良き相談役であり、時に起爆剤を放り込むストーリーをリードしてくれるキャラクターとして設定しました。

そのため、二人よりも意図的に頭のいい(視野の広い)キャラクターにしています。その上で言うにもあれですが、自分をかなりモデルにしました。作中で志乃は一週間で同人誌即売会を立ち上げますが、実際私も一ヶ月弱で同人誌即売会を立ち上げたことがあったり、行動力が強すぎるオタクなんですね。

自分自身でも、そのことがわかっているから周囲と一線を引いた立ち位置におさまっています。他人とコミュニケーションを取ることが少ないホテルのリネン係として働いていたり、恋愛の当事者らしい発言がなかったり……自覚ある変人というか……なんというか。

――ちなみに、書いていて楽しいのはどのキャラでしたか?

オグリさん:
全員かな……と思うんですが、しいていえばあくるの過去の推しキャラ達です。あくると同世代なので、当時流行っていたジャンルを思い出しながら楽しく書かせていただきました。

――オグリさんが親友、恋人、妹にするならどのキャラクターを選びますか?

オグリさん:
タイプだけで言うとあくるのことが好きなんですが、あくるにとっての恋に私はなれないので、片思いしている親友ポジションになりたいです。あとは恋ちゃんが妹だったら、メイクやネイルを教えてくれて毎日楽しそうだなって……福岡の天神あたりに住んでいる恋ちゃん(20)が東京にやってくる時1/5くらいの頻度でうちに泊まりに来てほしいものです。

●百合について

――オグリさんの思う「百合」の魅力とはどのようなものでしょうか?

オグリさん:
百合の魅力……百合の魅力……うーん、比較的わかりあえるはずの同性同士なのに、それでもわかりあえないのが私が好きな百合の魅力かと……だから知りたいと思うし、もどかしい。そんな二人の関係性が大好きです。

――最近オグリさんの中で熱い百合はどんなものですか?

オグリさん:
最近は恋愛感情がマイブームです。恋愛感情としか言えないような感情が描かれている作品を読んでは「は〜〜〜どっこい! 恋愛感情〜〜〜〜」って叫んでいますね。

たとえば『おとなになっても』の朱里と綾乃や『あの娘にキスと白百合を』の伊澄と千春、『とどのつまりの有頂天』の蓮と美古都とか『熱帯魚は雪に焦がれる』の小夏と小雪とか……好きなのに嫌われるのがこわいから踏み込めない関係が私の中の流行の最先端ですね。

いまさら何を言ってるんだと思うかもしれないんですが、流行は何度でもめぐるので、恋愛感情は私の中では三度目くらいのブームです。人間の感情の中で一番かわいいものって「嫌われたくない」という感情だと思ってるので「嫌われたくなくない、でも踏み込みたい」みたいなモノローグがあると嗚咽しちゃいますね。

●『推しのラブより恋のラブ』について

――オグリさんの思う「推しラブ」の一番の見どころはどんなところですか?

オグリさん:
DSマイルさんのかわいいイラストと、夢女子全開のあくると報われない恋ちゃんの掛け合い、老剣客秋山コヘエくんの登場シーン全般ですかね……私だと一つに絞れないので、ぜひ本編をお楽しみいただいて好きなポイントを見つけていただけたら嬉しいです。

――今作は英語と中文に言語を切り替えてプレイできるということで、日本に関わらず広い範囲で遊んで頂ける仕様となっていますが、世界の方へどんなところが伝わるといいと思いますか?

オグリさん:
日本のオタク文化が作中にたびたび登場するので、その点でも楽しめる内容になっているかと思います。また、大人が登場する日本の百合作品は、まだまだ海外に進出していないと思うので、大人のキャラクターが登場する百合作品の魅力が伝わったら嬉しいです。

――最後に作品を待つファンの皆様へメッセージをお願いします。

オグリさん:
『推しのラブより恋のラブ』はイラストやデザイン、キャスティングまで素敵な作品を作られてきた方々が百合への愛を込めて作った作品です。恋愛感情の百合オタクも一生懸命あくると恋の恋を応援しながら書きました。明るく楽しめる百合コメディになっているかと思うので、今まで百合ゲームをやったことがない人もぜひプレイしてみてください。

――ありがとうございました!

百合作品への想い、女の子へのリスペクトをすべて捧げて作品を作り上げるオグリさんの熱いこだわりを感じるお話でした。表現、描写に一切嘘偽りのないリアルな女の子同士の世界がキラキラと描かれている『推しのラブより恋のラブ』!みなさまどうぞお楽しみに!

オグリアヤ(Oguri Aya)
画像集#004のサムネイル/「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場
シナリオライター。会社員として働く傍ら、女性同士の特別な関係を描く「百合」ジャンルの創作活動に励む。大人百合中心同人誌即売会2OLの立ち上げから企画・運営までを担当。見守り百合アドベンチャーゲーム『初恋シフト』メインシナリオライター。

twitter :
https://twitter.com/A_oguri



シナリオ翻訳担当ウルホシ ケイジン(浥轻尘)さん&
メルさん の巻

●ご自身について

――まずは簡単に自己紹介やご経歴からお伺いできればと思います。

ウルホシ ケイジンさん:
インディゲームのローカライゼーション及びパブリッシングをやっています。

メルさん:
イギリスの大学の日本学部から卒業して、2012年に日本に引っ越ししました。2014年からフリーランスになって、日英翻訳に集中しました。最初はスマホの乙女ゲームの翻訳をやって、経験が積んだらビジュアルノベルを翻訳することになりました。

今まではフロントウイング様の「ISLAND」、すみっこソフト様の「はるまで、くるる」、ゆずソフト様の「千恋*万花」、様々なジャンルのノベルゲームを翻訳しました。ずっとビジュアルノベルやエロゲーのファンなので、憧れていた作品を仕事で翻訳するのは本当に夢みたいです。

●『推しのラブより恋のラブ』について

――この作品にはどのようにして参加することになったのでしょうか?


ウルホシ ケイジンさん:
プロデューサーさんとは昔からのご縁があって、この度はお誘い頂いて、参加することになりました。

メルさん:
私がイノセントグレイ様の百合シリーズ「FLOWERS」の翻訳を担当したことを知ってくださった方から連絡がきました。

私がすでにSukeraSparoの「ことのはアムリラート」を知っていて、新しい百合ゲームが開発中で、日英翻訳者を探していることを聞いたらすぐに「やりたい!」と返事しました。このプロジェクトに関わることになって本当にありがたいです。

●翻訳作業について

――いつごろから、どれくらいの期間をかけて作業をされていましたか?

ウルホシ ケイジンさん:
2019年11月から2020年2月まで、約4か月です。私が担当しているのは翻訳、校正、テスト及びチームのまとめ役などなど、チームの皆さんがもっと自分の担当分野に専念できるように色々走り回っています。

――『推しラブ』の翻訳作業において、一番こだわったところ(工夫されたところ)はどんなところでしたか?


ウルホシ ケイジンさん:
やはりネットスラングですかね(笑)。流行の時期が過ぎたらネット死語になりかねますなので、原文忠実をモットーにしている私はもともと絶対使わない主義ですが、今回の「推しラブ」にはネットスラングが含まれていて、どのように上手く、そのバランスを維持するか苦心しました。

メルさん:
キャラのボイスやお芝居と翻訳のマッチングです。恋ちゃんはギャル子なので、どうやって英語で表せるのかを悩んでいて、最近の若い女の子がどのような言葉を使っているのかを調べてみました。やっぱりあくるが言っているように若い子が本当に宇宙人みたいですね!

――『推しラブ』の翻訳作業において、一番難しいかったところはどんなところでしたか?

ウルホシ ケイジンさん:
一番難しかったのは「推し」の翻訳です。中国語には類語がありません。好きなアイドルやキャラクターを呼ぶ時は普通に愛称で呼んでいます。ですが、元々日本語の「推し」も正式な日本語ではありませんし、近年、「単推し」などのネット用語も中国のオタクの間に広がりました。さんざん頭を悩ませた結果、そのまま「推」を使うことにしました。

メルさん:
ガチャゲームやオタク文化の言葉を翻訳することです。英語圏でもこういう文化が日本に大きく影響されて、ファンが日本語の言葉をそのまま使うことがあるし、ファンだけが分かる独得な言葉も多いです。このようなネットスラングをあまり分からないまま適当に使ったら変な印象になってしまうので、ちゃんと理解するように努力しました。

――翻訳作業中、印象的だったエピソードなどあればお聞かせください。


ウルホシ ケイジンさん:

印象的なエピソードではないですが、志乃とあくるが推しの為に言語を勉強し、他の国のONLY展で同人誌を販売することになるなんて、凄まじい行動力を感じさせられました。「推し」は単なる「好きなキャラクター」だということだけに留まらず、自分にいい影響を与え、自分をもっと素敵な存在にしてくれる、とても素晴らしい存在だと思います。

メルさん:
ネタバレになるからハッキリ言えませんが、結末あたりにあるキャラについて色々が明かされて、特に一つの真実が翻訳しづらくて、頭を抱え思いされました!日本語で同じ漢字なのに読み方が色々あるっていうのは難しいですよ!

――ちなみに『推しのラブより恋のラブ』というタイトルはどんな風に翻訳されたのですか?


ウルホシ ケイジンさん:
元の軽快な雰囲気を失わずに、中国のオタク用語を取り入れて、オタクではない方にでも楽しめられるように工夫しています。

例を言うと、中国語タイトル「一生推不如一生恋」は「一生推すより一生恋する」という意味です。「XX一生推し」のは中国のオタクでもよく言う言葉なので、このタイトルを見た瞬間に思わず吹き出すかもしれません。

又、あくるの中国語名「愛来」は「ラブが来る」という意味が含まれて、クリア済みのプレイヤーがゲームを振り返ってみれば、また新しい楽しめ方が湧いてくるかもしれません。あくると恋のカップル名は「恋愛」、「愛恋」、「ラブラブ」、「ラブコイ」など、色々な可愛い可能性を感じさせています。

メルさん:

日本語のタイトルで意味が色々詰め込んでいて、例えば「恋」は恋愛の意味が含まれているし、キャラの名前にもなるので直訳するのは無理です。そのため新しいタイトルを考えました。日本語の省略「推しラブ」をそのままにして、英語の新タイトルを追加しました。

「OshiRabu; Waifus Over Husbandos」。あの有名な「花より男子」が英語で「Boys Over Flowers」に翻訳されたので、それを基づいて「Waifus Over Husbandos」にしました。英語圏のアニメやガチャゲームのファンが女推しキャラを「Waifu」、男推しキャラを「Husbando」と言います。あと恋はあくるをお嫁にしたいので、結局(二次元の)男性ではなく、(本物の嫁の)女性のほうがいいっていう意味が含まれています。

●百合について

――お二人の思う「百合」の魅力とはどのようなものでしょうか?

メルさん:
可愛い女の子が好きなので、可愛い女の子を二倍にするには損はないです!

ウルホシ ケイジンさん:
ピュアで繊細な思いです。乙女心を持つ二人が寄り添って、そしてぶつかり合い、そこから何かが生まれる……。そんな二人だけの片隅に咲いた一輪の純白な花に名前を付けるなら、それは「百合」です。

画像集#002のサムネイル/「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場

――お二人はどんな百合作品がお好きなのでしょうか?最近熱い百合などありましたか?

ウルホシ ケイジンさん:
最近のお薦めは宮原都先生の「一度だけでも、後悔してます。」です!家賃が払えない無職の女性と体で払わせると言い張る大家さん、恋のCから始まるラブコメディー! 皆さん、家賃を払うことができなくても、セ○○スしに来る美少女大家さんはいないから、ちゃんと払ってくださいね!

メルさん:
昔に遡ると初めて触った百合作品は「マリア様がみてる」でした。あの百合百合な女子高校ライフが魅力的で、ドキドキしました。

あとは「神無月の巫女」……やっぱり黒髪の百合子が好きですね!(笑)
イノセントグレイ様の「FLOWERS」シリーズは設定とか雰囲気で「マリア様がみてる」と似て、ちょっと懐かしい思いでやりました。静かに女の子たちの間の複雑な関係が器用に書かれていて、少しシリアスの物語を楽しみたい方におすすめです。

あと、最近はちょっと(かなり)変わっているホラー系の百合ノベルゲーム「真愛の百合は赤く染まる」も楽しんでいました。気の弱い方にお勧めしませんが、ホラーが好きなのでホラー系百合があって嬉しいです。

――お二人の国での百合カルチャーの盛り上がりはどのような印象ですか?


ウルホシ ケイジンさん:
まだあまり浸透していない……ですね。最近ヒットしたのは元々人気があって高く評価された「やがて君になる」、話題性がある「Citrus」、日常系や萌えアニメが好きな人でも楽しめられるソフト百合作品「私に天使が舞い降りた!」等々です。

しかし、毎年各地で百合ONLY展が開催されたり、自発的に百合ゲームの宣伝をする人がいたり、百合の新作アニメを語り合いたり……まだまだ小さな輪ですけど、確実に百合を好きでいる人がいます。
今回の「推しラブ」も今のところ、DSスマイル先生のウェイボーでの宣伝以外中国大陸向けの広報はないですが、作品の情報がかなり広がっていて驚きました。

メルさん:
イギリスでアニメ・漫画などがまだニッチェのサブカルチャーなので、百合はもっとニッチェですね。しかし、最近同性結婚が法的に認められて、LGBTに興味がある方もいるので、テレビドラマとかでもLGBTキャラが出てきて、百合ファンも嬉しいと思います。

もっとグローバル的な視点からみると英語圏で同人ゲームみたいな「インディーズゲーム」が最近ブームになって、百合ゲームも色々出てきます。Studio Élanの「Heart of the Woods」とebi-himeの「Blackberry Honey」がおすすめです。

●『推しのラブより恋のラブ』について

――この作品に初めて触れた時の印象をお聞かせください。

ウルホシ ケイジンさん:
タイトルから見てはじめはアイドルとファンとのラブストーリーと勘違いしました(笑)。ビジュアルが素晴らしいと思っています。

メルさん:
ストーリーを読む前でもDSマイル様の絵に一目惚れでした。水彩画みたいに優しいけど、鮮やさもあります。

内容的には微笑ましい感じがしました。恋ちゃんが単純にあくるの趣味に興味を持ってくれて、あくるも素直に推しキャラへの愛情を表して、オタ友の志乃と盛り上がっているシーンもありますので、オタク生活は恥ずかしいことではないという印象がよかったです。
あと、可愛い! 普通に可愛いです!

――ちなみにお気に入りのキャラクターは?

ウルホシ ケイジンさん:
あくるのように楽しそうな人と一緒に作品の感想を交わし、イベントに参加するのは考えるだけで面白いです。もしあくるは推しを追いかける日常を毎日ツイッターにあげるなら、全部「いいね」をつけるのでしょう(笑)。

メルさん:
あくるです! 私の性格に近いからです。(笑)
しかし恋ちゃんも可愛くて魅力的……やっぱり私があくるの身になって恋とイチャイチャしたいです!

――お二人の思う「推しラブ」の一番の見どころはどんなところですか?

ウルホシ ケイジンさん:

やはりオタク生活ですね。今はガチャゲームが流行っている時代です。プレイヤーたちの日常を語る作品はそうそうないので、そこが見所かと私は思います。

メルさん:
オタクのあくるとギャルの恋のやり取りが面白いです。どうやってこのまったく性格が違うキャラが恋人になるのかが気になってどんどん読みたくなってしまいます。

――日本の女の子たちのリアルなオタクライフが満載の作品ですが、お二人の母国の女の子たちとはどのような部分が同じで、どんな部分が違うと感じられましたか?

メルさん:
実はもう8年間ぐらいずっと日本に住んでいましたので、イギリスのことは分からなくなってしまいました(笑)

ウルホシ ケイジンさん:
好きな作品のファンアートを描いたり、MADを作ったり、ネットでレアガチャを引いたスクリーンショットをあげるところが同じです。違う所を言うと……、とある有名な乙女ゲームのプレイヤーたちは、推しを「旦那」と呼び、お互いを「奥さん」と呼び合います。同人誌を作るのもウェブショップの印刷サービスを使うことがあるとお聞きしました。

――では最後に、作品を待つファンの皆様へメッセージをお願いします!

ウルホシ ケイジンさん:
多言語対応、特に中国語に対応する新作百合ゲームは滅多にないので、そんな素晴らしいプロジェクトに参加出来て光栄です! 世界の百合愛好者よ! 最新作ゲームを一番早くプレイできる時代が来たよ! 是非楽しんでみてくださいね!

メルさん:

どんな言語でも「推しラブ」を楽しんでいただければ嬉しいです!!
SukeraSomero様と一緒に百合を世界に広げたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします!

――ありがとうございました!


文化の違い、言葉の違いがあるとしても「百合」に国境なんてないということを実感させて頂きました!今まさに英語や中国語をお勉強中の皆様には、本当に為になるエピソード満載でしたね。百合をたしなみつつ語学習得もできるだなんて一石二鳥!翻訳者さんたちの百合への愛にもぜひ触れてみてくださいね。

ウルホシ ケイジン(浥轻尘)

画像集#005のサムネイル/「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場
中国出身、ゲームパブリッシャ会社に在職中、趣味でボランティア翻訳活動をしています。翻訳したゲームジャンルはRPGからノベルゲームまで、約4本あります。気になるゲームやパブリッシングを担当するゲームなら無料な翻訳サービスを提供することでも可能です!気軽にお問い合わせください。

メル

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メルです!イギリス生まれ育ち、2012年オックスフォード大学の日本学部を卒業して、来日しました。ビジュアルノベル中心に日英翻訳をやって、ローカライズやパブリッシング会社の運営もやっています。趣味はゲーム、読書、猫ちゃんと遊ぶことです。



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