紹介記事
「軌跡」シリーズ最新作「英雄伝説 創の軌跡」を紹介。主人公3人の視点で進むメインストーリーで,シリーズ完結に向け動き出した物語を楽しもう
創の軌跡は,2004年発売の「英雄伝説 空の軌跡」に始まり,重厚な世界感や物語,そして戦略性の高いバトルなどが大きな魅力となっている「軌跡」シリーズの最新作だ。
創の軌跡の特徴となっているのが「クロスストーリー」。「英雄伝説 零の軌跡」とその続編「碧の軌跡」の主人公であるロイド・バニングス,全4作で長大な物語が描かれた「英雄伝説 閃の軌跡」の主人公リィン・シュバルツァー,そして“C”と名乗る謎の仮面騎士の3人の視点でそれぞれ異なる物語を追うシステムで,群像劇としての「軌跡」シリーズの魅力をより際立たせるものとなっている。そんな創の軌跡を,物語や新要素を中心に紹介しよう。
「英雄伝説 創の軌跡」公式サイト
主人公3人の異なる視点で描く重厚なストーリー
メインの物語に負けないボリュームの「真・夢幻回廊」
しかし,これに反発した衛士隊がクロスベル市を占領。戦争の再開を声高に唱える彼らにより,クロスベルは新たな緊張感に包まれる。
これに立ち向かうのが,クロスベル警察「特務支援課」のリーダーとして数々の難事件を解決したロイドとその仲間たちだ。ロイドとエリィ・マクダエル,ティオ・プラトー,ランディ・オルランドは,演劇集団のアルカンシェルや,クロスベル出身のユウナ・クロフォードといった協力者の力を借りながら衛士隊の拠点となっているオルキスタワーに突入。魔晄機兵を繰り出し抵抗する衛士隊を無力化したのち,臨時政府が発行した逮捕令状に基づき逮捕し,無事クロスベル解放を果たす。
クロスベル解放から1か月。再独立が正式に認められる調印式が開催され,いよいよ調印が行われようとしたそのときだった。意外な人物が黒い装束をまとった衛士を率い,調印の場に現れる。再独立を妨げようとするその人物の一撃に膝をつき気を失うロイド。記念すべき再独立の日となるはずが,新たな騒乱を生む日となってしまった。
■ロイドのルートに関するキーワード
・クロスベル自治州
エレボニア帝国とカルバード共和国という2つの大国に挟まれながらも,巨大貿易都市として発展を遂げた自治州。2年と数か月ほど前に帝国軍によって併合され,属州として統治下に置かれていた。帝国と共和国を中心に引き起こされた世界大戦の停戦に伴い,自治州として再び独立する日を迎えるが……。
・クロスベル警察・特務支援課
治安維持組織であるクロスベル警察に設立された部署。当初は人気取りの道具と揶揄され市民から軽視されていたが,数々の難事件を解決したことで信頼を集めるようになった。帝国の占領下ではクロスベル警察の解体により解散状態にあったが,ロイドたちは水面下での活動を続けクロスベルの解放を果たす。これによりクロスベル警察の再編と特務支援課の再始動が決定した。
トールズ士官学院に通う学生時代からさまざまな戦いを経験し,トールズ第II分校特務科「VII組」の教官となってからも,生徒たちやかつてのクラスメイトといった仲間たちとともに強大な敵に挑んだリィン。大きな戦いを終えた彼は,鉄道憲兵隊のクレア・リーヴェルトに呼ばれ,教え子であるユウナ,クルト・ヴァンダール,アルティナ・オライオン,ミュゼ・イーグレット,アッシュ・カーバイドとともに,故郷である帝国北部の温泉郷ユミルにいた。
そこに待っていたのは帝国剣術・ヴァンダール流の総師範でクルトの父であるマテウス・ヴァンダール。マテウスにその実力を買われたリィンたちは,ある事件に関する依頼を受けることに。そしてクレアからの説明で,その事件の犯人と思しき人物は“C”と名乗っていることと,クロスベルで起きた新たな騒乱を知ることになる。
■リィンのルートに関するキーワード
・エレボニア帝国
ゼムリア大陸西部に位置する大国。帝国全土を覆った災厄「巨イナル黄昏」の影響により,周辺諸国を巻き込んだ世界大戦が引き起こされる。リィン学生時代の仲間や教え子たちを中心とした「新旧VII組」などの活躍により大戦は終結。国民や諸外国の信用を取り戻すべく,クロスベルや共和国方面などに展開していた帝国軍の即時撤退に動き出した。
・トールズ士官学院 第II分校
帝国中興の祖であるドライケルス大帝によって設立された,200年以上の歴史を持つ士官学校。リィンが教官として着任した第II分校は,新設当初は帝国政府の意に沿わない教官や生徒たちを集めた“訳アリ学校”という扱いだったが,リィンと生徒たちの目覚ましい活躍により大きく評価されることになる。
ナーディアとスウィンが引き受けた依頼は,「新生帝国解放戦線のリーダーを名乗るCという人物にトランクを届けること」。偶然と言える形で2人に出会い,トランクを受け取ったCは,2人の腕前を買ってともに行動することを“依頼”。トランクを開けると,その中には“現在の騒乱の核心に迫る鍵になる”という,意外なものが入っていた。
3人のルートはチャプターで区切られており,CHAPTER 2以降はチャプターメニューからプレイヤーの任意のタイミングで切り替えて楽しめるようになる。チャプター内の各ルートを終盤まで進めると,次のチャプターが開放。物語が大きく展開していく。
一度は倒れるも,クロスベルの平和のため再度立ち上がるロイド,Cを追って帝国に赴くリィン,謎の目的をもって暗躍するC。どのルートも先が読めない,とても興味深いイントロダクションとなっており,ルートを切り替えながら物語を追う感覚は新鮮だ。
それぞれの立場や開始地点が違い,それぞれの目的も異なるが,例えばロイドのルートで描かれた“なぜあの人物がクロスベルにいたのか”が,リィンのルートでクレアの言葉から明かされるなど,違うルートを体験することでほかのルートの出来事の真相が見えることがあるのも面白い。各ルートの登場人物同士が出会うシーンは,もちろんそれぞれの視点で描かれるので,これもなかなか熱いものがある。
3つのルートはそれぞれなかなかのボリュームがあり,本稿で紹介したCHAPTER 1だけでもかなりのプレイ時間となる。ここで便利なのが「高速スキップモード」。これは2018年3月に発売された「英雄伝説 閃の軌跡I:改」以降の作品に実装された機能で,その名のとおりフィールド移動やイベント,バトルなどの速度を上げられるものだ。
ボタン一つで使用できるので,レベリングや街の探索などは高速スキップモードでサクサク進めて,ストーリーイベントやボス戦はじっくり楽しむといった,プレイヤーの気分やプレイスタイルに合わせて切り替えられるので,より快適にゲームが楽しめるだろう。
各ルートをある程度進めることでアクセス可能となるのが「真・夢幻回廊」だ。メインストーリーに登場したキャラクターたちで自由にパーティを編成し,謎に満ちた異空間「夢幻回廊」に挑むという攻略型コンテンツで,イベント中などを除くプレイヤーの任意のタイミングでチャレンジできる。
複数の階層に分かれた広大なダンジョンである「夢幻回廊」では,多くの敵が待ち受けている。守護魔獣と呼ばれる魔獣などの一部の強敵を倒すと,「封印石」と呼ばれるアイテムを獲得。これを開封することで,「ミニゲーム」やさまざまなキャラクターの「エピソード」,「夢幻回廊」のみ使用可能なキャラクターなどが開放される。
これもかなりのボリュームで,「あのキャラクターのエピソードが見たい!」という軌跡シリーズファンだけではなく,ダンジョン攻略や手ごわい敵とのバトルを楽しみたいRPGファンにもおすすめのコンテンツだ。
探索パーティ以外のメンバーで挑む総力戦「スクランブルレイド」や,通常の階層とは構造が異なる特殊エリア「幻想丘陵」なども,挑戦しがいのあるものとなっている。メインストーリーを有利に進められるものを獲得できることもあるので,積極的に足を運んでみよう。
「ATバトル」と呼ばれる行動順が勝敗を左右する独特の戦闘システムも進化。CP(クラフトポイント)を消費して使用する戦技「クラフト」と「Sクラフト」,BP(ブレイブポイント)を使い,ターンを消費せずに味方全体に特殊効果を発動する「ブレイブオーダー」などに加え,新たな技「ヴァリアント・レイジ」が追加された。
パーティメンバーが5人以上いるときにアサルトゲージを消費することで使用できる「ヴァリアント・レイジ」は,敵全体に物理攻撃を行う「ヴァリアントアタック」と全体魔法攻撃を繰り出す「ヴァリアントアーツ」,味方全体のHPを回復する「ヴァリアントヒール」という3種類があり,どれもその効果は絶大だ。
それぞれEP回復やCP上昇,バフやデバフといった付与効果もあり,さらにバトルのメンバー以外が参加することでその効果は上がる。ヴァリアント・レイジを活かしつつさまざまな技や仲間との連携を駆使し,強敵に挑もう。
創の軌跡は,軌跡シリーズ全体の完結に向け新たにスタートを切った,終章の始まりと言える作品だ。それだけに,シリーズ作品を知っておくに越したことはないのだが,シリーズ未プレイの人は,ロイドやリィンたちのこれまでの活躍を描いた「零の軌跡」「碧の軌跡」「閃の軌跡」のあらすじをまとめた「プレストーリー」を読んでおくといい。また,これらの作品はすべてPS4で遊べるので,創の軌跡でシリーズの魅力に触れ,もっと深く知りたいと思った人はこちらもチェックしてみるといいだろう。
久しぶりに軌跡シリーズを遊ぶ人,数作ほどシリーズから離れていたという人も,創の軌跡の発売をきっかけに,あらためて完結に向け動き出した軌跡シリーズの物語を追いかけてみてはいかがだろうか。
「英雄伝説 創の軌跡」公式サイト
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