Intel，次世代CPU「Tiger Lake」でゲームを動かすデモを披露。開発中の単体GPU「DG1」でのゲームデモも行われたカンファレンスをレポート

　北米時間2020年1月6日，Intelは，CES 2020で行ったプレスカンファレンスで，開発中の次世代CPU「Tiger Lake」（開発コードネーム）によるゲームのデモや，同社が提唱する次世代ノートPC規格「Project Athena」（プロジェクトアテネ）に準拠した新型ノートPCなどを披露した。
　プレスカンファレンス自体は，Intelが手がけるAIやデータ処理，スポーツ中継向けの新技術といったテーマが中心で，ゲーマーや一般消費者向けの話題は少なかったのだが，4Gamer読者も関心のありそうな話題に絞ってレポートしよう。

2画面スマホの流れがノートPCにもやってくる

Gregory Bryant氏（Executive Vice President，General Manager Client Computing Group，Intel）

　一般消費者向けの話題を担当したIntel上級副社長のGregory Bryant氏によるパートは，まずProject Athenaの最新状況に関する説明から始まった。
　そもそもProject Athenaとは，あるべき次世代のノートPCを定義する仕様をまとめた規格としてIntelが策定したものだ（関連記事）。Project Athenaは，高性能であることだけでなく，起動時間が短いとか，バッテリー駆動時間が長い，インターネットへの接続が素早いといったモバイル向けの要件を定義したものなので，当然ながらこれに準拠したノートPCは携帯性やバッテリー駆動時間に重点を置いたものばかりであり，単体GPUを積んで高いグラフィックス性能を誇るゲーマー向け製品はまずない。

Project Athenaの主な構成要件。性能重視のゲーマー向け製品とは方向性が異なる

　そんなProject Athenaに準拠したPCは，順調に製品数が増えているそうで，プレスカンファレンスの時点で25機種，2020年内には50機種以上が登場するとのこと。さらに，Windows搭載ノートPCだけでなく，Project Athenaに準拠したChrome OS搭載ノートPC「Chromebook」も，ASUSTeK ComputerとSamsung Electronics（以下，Samsung）から登場する予定だそうだ。

　そして2020年には，Project Athenaに「Dual Screen Specification」という仕様が加わるという。


　名称から想像が付くと思うが，これはいわゆる2画面分のディスプレイパネルを搭載するノートPCを想定した仕様だ。2019年のスマートフォン市場においては，2つ折り可能な有機ELディスプレイを採用するSamsungの「Galaxy Fold」を代表とする2つ折りスマートフォンが話題となった。そのトレンドをノートPCにも取り入れるものと理解していい。OSレベルでのマルチディスプレイ対応が遅れたAndroidとは異なり，WindowsはOSでのマルチディスプレイ対応が充実しているので，スマートフォンほど無理矢理なことをしなくても2画面を利用できるのは大きな利点だ。

　ステージでは，Lenovoが開発した2つ折り対応ノートPC「ThinkPad X1 Fold」や，Dellの2画面搭載2-in-1ノートPCが披露され，2020年には各社から2画面搭載ノートPCが登場してくるようである。ゲーマーとしては，2画面搭載ゲーマー向けノートPCなんてものが登場してくると面白そうだ。

2つ折り対応の有機ELパネルを採用したThinkPad X1 Fold（左）。右はDellの2画面搭載2-in-1ノートPCだ

次世代CPU「Tiger Lake」は内蔵GPUで「Warframe」が動く

　次はTiger Lakeの話題である。
　Tiger Lakeは，Intelが「10nm＋」と呼ぶ製造プロセスを用いて開発中の次世代CPUである。CPUコアにAI処理ユニットを組み合わせ，さらに「X^e」アーキテクチャと呼ばれる次世代の統合型グラフィックス機能も実装するというIntel期待の新CPUだ。
　ステージでBryant氏は，Tiger LakeのCPUパッケージと搭載マザーボードのサンプルを披露して，開発が順調に進んでいることをアピールしていた。

Bryant氏が右手に持っているのがTiger LakeのCPUパッケージで，左手に持っている細長い基板が，搭載マザーボードのサンプルだ

　ところで，Tiger Lakeの主な特徴を示したスライドに，「Thunderbolt 4」という新しい名称のインタフェース技術が出てくる。ただ，本稿執筆時点でThunderbolt 4という規格は，IntelのWebサイトやThunderboltのWebサイトにも見当たらないので，これがどういったものかは正直分からない。

Tiger Lakeの主な特徴を示したスライド

　ステージ上では，このTiger Lakeを使ったノートPCのデモ機でアクションゲームの「Warframe」を実行するデモが披露された。PS4世代のゲームでも，Tiger Lakeの統合型グラフィックス機能で快適にプレイできますよ，というデモというわけだ。

Tiger LakeによるWarframeのデモ。とはいえ，単にマップを歩き回るシーンを見せただけなので，戦闘における快適さはまったく分からない

　もっとも，ゲーム映像の解像度やグラフィックス設定，実際のフレームレートは明らかにされなかったので，実力のほどはまだ未知数である。とはいえ，グラフィックス性能の向上は確実に期待できるので，単体GPUを搭載しないProject AthenaのようなノートPCでも，プレイできるゲームの幅が広がりそうではある。

　さらに，X^eアーキテクチャの単体GPU版である「DG1」を使い，「Destiny 2」を実行するというデモも披露された。

DG1の主な特徴を示したスライド

　こちらもグラフィックス設定やフレームレートは明らかになっていないので，あくまでも「快適に動いていますよ」と見せるだけのものだが，製品版の登場も遠くないようで，今後の展開に期待したいところだ。

DG1でDestiny 2を実行している様子。こちらもマップ内を移動するだけのデモだった

Intel 公式Webサイト

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