プレイレポート
“まるで映画みたい”を体現する,最近の実写アドベンチャーゲームがすごい。Wales Interactiveの3タイトルからその魅力を紹介
今回紹介するのは,イギリスのゲームメーカーWales Interactiveがリリースした「The Shapeshifting Detective」,「Late Shift」,「The Complex」の3本だ。こちらはSteamで「The Bunker」(日本語非対応)と4本バンドルになっていたので購入してみた。「The Shapeshifting Detective」と「Late Shift」は,PS4,Nintendo Switchでも国内向けに配信されている。
PS4/Switch用ミステリーアドベンチャー「ザ・シェイプシフティング・ディテクティヴ」が本日リリース
Circle Entertainmentは本日,PS4/Switch用ソフト「ザ・シェイプシフティング・ディテクティヴ」のダウンロード販売を開始した。本作は,変身能力を持った探偵サムとなって殺人事件の調査を行うミステリーアドベンチャー。各登場人物との会話を1600本以上の実写ムービーで収録し,ゲームを始めるたびにランダムで犯人が選出されるゲームシステムが特徴だ。
映画の結末をプレイヤー自身が決める。Switch向けサスペンスADV「レイト・シフト」が6月20日に発売
CIRCLE Entertainmentは本日,Switch向けADV「レイト・シフト」を2019年6月20日に発売すると発表した。価格は1480円(税込)。本作は,2016年にリリースされたインタラクティブ映画をゲーム化したタイトルで,映像内の主人公の行動をプレイヤー自身が決めていく「遊べる映画」とも言える作品だ。
3本をまとめて取り上げるのは,それぞれが1周2時間弱でクリアできるボリュームだからだ。その分,値段はかなり安く,いずれも2000円以内で購入できる。映画を1本観る感覚で,手軽に楽しめる価格だと思う。
まず,それぞれのゲーム内容を簡単に紹介しておこう。
「The Shapeshifting Detective」
変身能力を持った探偵サムとなって,殺人事件の調査を行うミステリーアドベンチャー。最大の特徴は,各登場人物との会話を1600本以上の実写ムービーで収録している点。さらに,ゲームを始めるたびにランダムで犯人が選出されるため,一筋縄には行かない捜査を何度も楽しめる。
「Late Shift」
2016年公開のインタラクティブ映画をゲーム化した犯罪サスペンスゲーム。主人公は,駐車場で働いている数学専攻の大学生マット。彼はある日,駐車場に侵入した強盗に脅され,オークションの盗難事件に巻き込まれる。プレイヤーはストーリーが進む中で180個もの選択を時間内に行うことになる。大人しく強盗に協力するか? それとも逃げるか?
「The Complex」
英国で撮影された完全実写のインタラクティブSFスリラー映画をアドベンチャーゲーム化したもの。舞台は生物兵器による攻撃を受けた後のロンドン。主人公エイミーは,研究所で治療薬の開発にあたっていたが,ある日,侵入・脱出不可能な研究所の本部に閉じ込められてしまう。そこで治療薬を巡った陰謀を知ってしまったエイミーは,自分や仲間の命をかけたさまざまな選択を迫られることになる。
1番の魅力はもちろん“全編実写”という点。これに関しては,多くを語るより,スクリーンショットを見てもらったほうが納得してもらえると思う。映画の1シーンにしか見えないが,本稿に載せる画像はすべてゲームのスクリーンショットだ。
これまでにも実写を用いたゲームはたくさんあったが,その多くは静止画でテキストを読むノベルスタイルだった。しかし,今回紹介しているタイトルは,実写映像がシームレスにつながったムービーゲームで,映画鑑賞をしている感覚に近い。ノベルゲームと比べると,複雑な出来事やボリュームのある設定は無いが,スピーディなストーリー展開で,短時間に物語を左右する選択をいくつも迫られる。
自分が選んだ選択肢によってストーリーが変わっていくのはアドベンチャーゲームとしては当たり前だが,選択肢ごとに違う映像が用意されているのがすごいと思わされるポイントだ。カットの切り替えを利用してシーンをつなげているので違和感もほどんどない。ゲームの開発・撮影はさぞや大変なのだろうと思うばかりだが,これがこんな低価格で遊べて良いんだろうか。
普通の映画では絶対に描かれないであろうルートを自分で作り上げ,それを実際に映像で見られることもムービーアドベンチャーゲームの面白さだ。例えば,主人公を徹底して悪役に仕上げてみたり,ヒロインを見捨ててみたり,最後の最後でくるっと手のひらを返してみたり。選択肢によって話が変わってきたり,主人公の人柄も見え方が変わる。ゲームのエンディングは複数用意されているので,幾通りの物語を楽しむことができる。
スキップやチャプターの選択ができないなど,ゲームとしてはどうしても不満に感じる点はいくつかある(2周目からは1度見たシーンをスキップする機能が加わっている作品もある)。それでも,映像のクオリティが映画そのものな上に,脚本には映画「シャーロック・ホームズ」のマイケル・ロバート・ジョンソンさんや,ゴールデングローブ賞やエミー賞で作品賞を受賞したHuluのドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のリン・レニー・マキシーさんが参加しているので,先の気になるストーリー展開と,どちらを選ぶか迷う絶妙な選択肢に,エンドロールを迎えるまで夢中で見入ってしまった。
最初にも書いたように価格が映画1本分かそれよりも安いぐらいなので,手にも取りやすいはずだ。時にはこういった変わり種なゲームを遊んでみるのもいかがだろう。
また,2020年6月にはイザナギゲームズより,全編実写のムービーゲーム「Death Come True(デスカムトゥルー)」(PC / PS4 / Nintendo Switch / iOS / Android)が発売予定となっている。ダンガンロンパシリーズの小高和剛氏がシナリオ&ディレクションを務めた実写ムービーゲーがどのような作品になるのか,こちらも期待して発売を待ちたい。
- 関連タイトル:
ザ・シェイプシフティング・ディテクティヴ
- 関連タイトル:
ザ・シェイプシフティング・ディテクティヴ
- 関連タイトル:
レイト・シフト
- 関連タイトル:
The Complex
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