最高傑作の問題作が帰ってきた！　スマホ版「ニューダンガンロンパV3」のプレイレビューをお届け（ネタバレなし）

　2020年に10周年を迎えた，ハイスピード推理アクションゲーム。

　その名は言わずと知れた「ダンガンロンパ」シリーズ。


　2020年5月，10周年記念としてスマホアプリ版「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 Anniversary Edition」（ダンロンAE）がリリースされると，同年8月には「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 Anniversary Edition」（スーダン2AE）も配信されました。

　その勢いのまま，ナンバリングタイトル最新作「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期 Anniversary Edition」（iOS / Android。以下，V3AE）も続くかと思いきや，音沙汰なし。
　2021年11月，上記の三部作などを収録したNintendo Switch「ダンガンロンパ トリロジーパック」が発売されるも，続報はなし。

　このままスマホ版はなしか……という心配が脳裏をよぎること約半年。2022年4月12日，ついにスマホ版が配信されました！

　これを大いに記念して，本稿では“発売当時に賛否両論を巻き起こした最高傑作の問題作”，V3のプレイレビューをお届けします。


　なお，ダンロンシリーズはすべて“ストーリーがつながっています”。とくにV3は過去作品のプレイ経験の有無により，得られる体験が大きく異なってしまいますので，未プレイの人たちは注意してください。

　一応，シリーズに共通しているゲーム性については過去記事で紹介しておりますので，気になる人は参考にどうぞ！

「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期 Anniversary Edition」ダウンロードページ

「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期 Anniversary Edition」ダウンロードページ

「V3」はただの続編ではない……

　V3は，ゲームシリーズのナンバリングタイトル3作目です。

　しかし，ダンロンシリーズにはスピンオフタイトルやアニメなどの派生作品がいくつも存在し，V3はそれらの関連作品をも絡めた“最終編”とも呼ぶべき内容となっています（今後さらなる続編の可能性もありますが，事実上，本稿では最終編と呼んでいます）。

　そんなわけで「ナンバリングしか遊んでない……」という人のために，V3AEを遊ぶ前に予習しておきたい作品を紹介しましょう。

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●「絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode」

　PS Vitaで発売されたスピンオフタイトルで，ゲームジャンルはハイスピードなコトダマアクション。TPS要素が強めです。

　ダンロンからスーダン2までの間の物語が描かれますが，アクションが苦手な人からは「難しすぎる！」と悲鳴があがった意欲作。
　とはいえ，本編に密接に関わるのでプレイは逃せません。

　主人公はダンロンの主役「苗木 誠」の妹「苗木こまる」で，同じくダンロンの登場キャラクター「「腐川冬子」と絶望に挑みます。
　PS4 / PCに移植済みなので現行機でもプレイ可能。

「絶対絶望少女」公式サイト

●「ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園」

　……おや？　V3がナンバリングで言うところの3作目のはずなのに，「ダンガンロンパ3」の名を冠していますね。気になりますね。

　こちらはアニメシリーズですが，V3のアニメ化ではありません。
　けれど，ゲームも含む「（ダンロンの）希望ヶ峰学園」シリーズの完結編であり，ダンロン，スーダン2，絶対絶望少女とも関連します。

　本アニメには以下の「絶望編」「未来編」「希望編」があります。

○アニメ「絶望編」（全11話）
　“初代ダンロンの前日譚”とも呼べる内容で，活躍するのは主にスーダン2の登場人物たちです。スーダン2好きは絶対見ておくべき。

○アニメ「未来編」（全12話）
　アニメ絶望編と同時期に放映され（厳密にはこちらが先），スーダン2のさらに未来の物語です。歴代の登場人物に加え，オリジナルキャラクターも豊富。絶望編と交互に見ることで謎がどんどん明かされます。

○アニメ「希望編」（全1話）
　アニメの最終作品。1話のみ。絶望編と未来編が交わってフィナーレ。この絶望の先に，本当に希望などあるのか……？
　彼らがどんな結末を迎えるのかは，その目で確かめてください。

アニメ「ダンガンロンパ3」公式サイト

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　上記作品をもって，ゲームもアニメも含む希望ヶ峰学園編シリーズは完結しました。ほかにもスピンオフ小説などがあり，すべてを丸っと網羅するV3の都合上，それらもできれば知っておくに越したことはありませんが，最悪「V3にちょっと知らない子が出てる」くらいで済みます。

　つまり，V3AEを気持ちよく遊ぶための必修科目は「ダンロン → スーダン2 → 絶対絶望少女 → ダンロン3 → V3」で解決です。

　そして，肝心のV3ではどんな物語が展開されていくのか。
　そろそろ気になりますよね！

「V3」をネタバレなしでギリギリ紹介！

　さて，V3の内容についてネタバレにならない範囲で紹介していきます。やはりネタバレは推理の楽しさを奪ってしまいます。それは過去作を遊んだプレイヤーほどうなずいてくれることでしょう。

　だからか，V3に関しては発売から約5年半が経ちながらもいまだに多くの人が肝心なことを語りません。誰もがネタバレへの配慮を徹底し，誰が犯人で，誰が殺されるか，といったことに安易に触れない。
　その点をファンがいかに大事にしてきたのか，再認識できますね。

　ということで，公式でも2章以降のネタバレ自粛が呼びかけられているため，本稿もそれに準拠し，“1章の内容だけ”でお届けします。

※作中における推理，死亡者，犯人などの核心には触れません


　舞台は「才囚学園」。前述しましたが，希望ヶ峰学園編はここまでに完結しておりますので，V3は新たな学園での物語となります。

　登場人物たちはみな卓越した“超高校級”の才能を持っていますが，希望ヶ峰学園の子たちとは事情が異なります。
　この世界の超高校級たちは，政府が奨励する「ギフテッド制度」により特権を与えられ，全国各地に散らばっているという設定です。つまり，当初はこれまでのような同じ学園のクラスメイトではありません。

　……でしたが，「そんな超高校級の学生たちが，気付けば知らない教室に集められ，そこから――以下略」の流れはいつもどおり。とにもかくにも，16人の高校生たちは才囚学園に閉じ込められてしまいます。

　才囚学園の学園長はもちろん，シリーズ名物の「モノクマ」。
　さらにモノクマの子供たち「モノクマーズ」も新登場です。

モノクマの声はTARAKOさん。モノクマーズの声はすべて山寺宏一さん。1人5役が見もの

「ここは才能あふれる高校生たちに，コロシアイの一番を競い合わせる場であり，超高校級の才能を持つ16人のためだけに作られた」

　状況も分からずに集められた高校生たちに，そう伝えるモノクマ。この学園は一見すると，確かに脱出できる場所がなさそうでした。

　本当に脱出不可能なのか？　学生たちはここから逃げ出すべく，それぞれ脱出路を探し始める――といった導入で物語の幕が開けます。


　学園内では外に通じていそうな地下通路が見つかります。そこで唐突に始まる，2D横スクロール系のミニゲーム「絶望のデスロード」。

　学生たちは果敢に挑みますが，なかには極悪な罠が待ち受けていることもあり，脱出はそう簡単には叶いません。

　そうして本当に学園からは逃げられないのだと分からされたとき，絶望は絶望を生み，膨れた絶望が「コロシアイ」に発展する。
　少年少女たちに差し迫った絶望感を皮切りとする殺人事件は，どのような理由であれ，やがて起こってしまうのです。

「絶望のデスロード」の様子。2D画面で横スクロールするダンジョンアクションに挑戦します。絶望かつデスの名に恥じぬ凶悪さですが，コツさえつかめばクリアは可能です

　モノクマは一体なにが目的で彼らを集め，コロシアイをさせてくるのでしょう？　モノクマを操る黒幕でも存在するのでしょうか。

　超高校級の学生たちはしばらくして，「犯人vs.犯人特定チーム」に分かれて学級裁判を始めます。負けたほうには死。生き残りが2人以下になり，完全な勝者が確定するまで，これを繰り返す。
　正気とは言いがたい，デスゲームを繰り返すことになるのです。

「偽証」とは？　詳細は後ほど！

　ここまでで「なんだこれまでと同じね……」なんて思うのはもったいない。物語の導入こそ様式美ですが，ダンロンシリーズはいつだって犯人や犯行の動機，その意外性でファンの度肝を抜いてきました。

　同じ流れを見せつつも，同じことの繰り返しはしてきません。

　むしろ本作は「遊び慣れているからシステムだからこそ，より一層面白いストーリーや，ひと味違う裁判を楽しめる」作りなのです。

魅力的なキャラクターたちを紹介

　V3にはダンロンシリーズにふさわしい，個性あふれるキャラクターたちが現れます。ここで本作に登場する16人の“超高校級”な学生と，コロシアイをさせてくるモノクマたちについて紹介しましょう。


○赤松 楓（CV：神田沙也加）

超高校級の「ピアニスト」。
本作の主人公。幼少のころからピアノが大好きで，数々のコンクールで受賞した経験があります。明るくかわいい，シリーズ屈指のヒロイン・オブ・ヒロインです

○天海 蘭太郎（CV：緑川 光）

超高校級の「？？？」。
自分の才能を忘れた謎の青年。過去作の誰かを彷彿とさせますが，名前も外見まったく違います。冷静かつ楽天家ですが，時折なにかを知っているかのようなそぶりをちらつかせたり？

○最原 終一（CV：林原めぐみ）

超高校級の「探偵」。
正確には，探偵の叔父のもとで働く探偵見習い。かつて殺人事件を警察より先に解決したことで超高校級に認定されましたが，これでも超高校級を名乗るにしては少々心もとない経歴。弱気な面も強いですが，行動力や洞察力は名探偵級

○入間 美兎（CV：石田晴香）

超高校級の「発明家」。
「いかに寝たまま楽して生活できるか」を信条とする，ダメ人間と天才のはざまにいる発明家で自信家な少女。口の悪さは天下一品で，ひどい下ネタを連発しますが，自分が受けに回ると一転してザコザコになってしまいます

○王馬 小吉（CV：下野 紘）

超高校級の「総統」。
構成員1万人以上の悪の秘密結社の総統……とのことですが，自らを「嘘つき」だと言います。どこまで本当なのか見当がつかず，つかみどころもない。泣いたり，笑ったり，怒ったり，鋭かったりしますが，そのどれもが嘘の可能性も？

○白銀 つむぎ（CV：小松未可子）

超高校級の「コスプレイヤー」。
昔は衣装を作る側でしたが，愛のないコスプレイヤーに制作物を着てほしくないと，自らコスプレイヤーになりました。彼女のコスプレはあくまで「仮想のキャラクター」に限定され，現実の人の“変装”をするとアレルギーが出ちゃいます

○キーボ（CV：柿原徹也）

超高校級の「ロボット」。
成長型AIや録音機能を搭載している，高機能なロボット。基本的に“作られたモノ”だからか至って冷静な性格ですが，ロボット差別な話になると沸点が低くなります。どうも発明家の入間からは観察対象にされており？

○春川 魔姫（CV：坂本真綾）

超高校級の「保育士」。
愛想が悪く，面倒見も悪く，そもそも子供が好きじゃない。なのに子供に好かれてしまうという複雑な才能を持っています。プロフィールのとおり，人当たりも悪い子です

○獄原 ゴン太（CV：武内駿輔）

超高校級の「昆虫博士」。
狼に育てられ，動物や昆虫と会話できるようになった青年。動物はともかく，なぜ虫と話せるのかは謎ですが，人並み外れた巨体に馬鹿力を宿します。狼に恩返しすべく紳士を目指していますが，虫の話になるとヒートアップしがち

○東条 斬美（CV：井上喜久子）

超高校級の「メイド」。
元々はアルバイトでメイドを始めたものの，どんな依頼でも完璧に遂行してしまう天才肌。頭脳明晰で運動神経も抜群。メイドゆえ，誰かのために奉仕することに喜びを感じます

○真宮寺 是清（CV：鈴村健一）

超高校級の「民俗学者」。
民俗学の研究のため，多くの土地でいろいろな人間を見てきた経験から，「人には無限の美しさがある」という持論を持つに至る。思想に違わず，ミステリアスな雰囲気の男性

○茶柱 転子（CV：徳井青空）

超高校級の「合気道家」。
師匠と一緒になんとなく作り上げた武術“ネオ合気道”の使い手。喜怒哀楽が激しく，女の子相手には頼もしい敬語娘ですが，男子を「男死」と呼ぶほどに大の男嫌いです

○星 竜馬（CV：大塚明夫）

超高校級の「テニス選手」。
世界で活躍していた将来有望なテニス選手……でしたが，とある事件でマフィアを壊滅させ，死刑囚となり，それ以来テニスを捨てました。CVでお察しのとおり，とってもダンディ

○夢野 秘密子（CV：田中あいみ）

超高校級の「マジシャン」。
自称“超高校級の魔法使い”で，自身の奇術を魔法だと主張するも認めてもらえず，マジシャンとしか見てもらえないことを嘆く日々。極度の面倒くさがりで，口調も老人のようです

○百田 解斗（CV：木村良平）

超高校級の「宇宙飛行士」。
宇宙飛行士の訓練生。年齢を偽って試験を受けたところ，10代初の宇宙飛行士試験合格者となりました。夢とロマンを大事にしており，発言がいつも熱い。コミュニケーション能力も高く，面倒見も良い，みんなの頼れる兄貴分

○夜長 アンジー（CV：鈴木みのり）

超高校級の「美術部」。
「島の神さまがいつも隣にいる」と信じており，自身の美術作品にも「神さまに体を貸しているだけ」と言い放ちます。独特なイントネーションが印象的な日本語の使い手

●モノクマ＆モノクマーズ（CV：TARAKO＆山寺宏一）

モノクマとモノクマーズ。
モノクマは白黒なクマのぬいぐるみにして，才囚学園の学園長。コロシアイを強制してくるシリーズおなじみのマスコットですが，その正体は不明。モノクマーズはその子供たち

　といったように，相変わらずな個性派ぞろいです。

　それでもV3はダンロンやスーダン2と比べると，登場人物のプロフィールの時点では“匂わせ”がやや薄い感じがしますよね？

　なのに，V3を堪能するにはなぜか膨大な大前提が必要となってくる。そこが本作をより楽しめるかどうかのキモとなるわけです。

ゲームを構成する3パート。前作からの変更点

　それでは，実際のゲームパートについても触れていきましょう。

　V3は大きく3つのゲームパートに分かれて進行します。基本的には過去作品と同様なものの，いくつか新要素も導入されました。

■（非）日常編パート

　メインストーリーを進めながら，クラスメイトたちとの交流を深めていくパートです。変更点はほぼありません。

「（非）日常編パート」は3Dマップの学園内を移動。初代ダンロンの操作感に近いです。そしてカメラ機能にリバースモードが搭載されました（感涙）

仲間と交流して，絆を深めることができます

■非日常編パート

　（非）日常編パートを進めていくと，やがて事件が発生し，非日常編パートへと移行します。こちらも変更点はほぼありません。

　事件の証言を聞かなければならない人や，調べなければならない場所は，マップ画面を開くと「！」マークがついています。「！」マークへのジャンプを繰り返せば，学級裁判に必要な証拠はそろいます。
　スマホ版ならではの楽々操作で，捜査を進めていきましょう。

■学級裁判パート

　学級裁判パートでは，主に「議論」関係の要素が増えました。

　V3のキモは「嘘」。もとから議論で矛盾を指摘したり，犯人の嘘を暴いたりするゲームではありましたが，本作ではなんと主人公（＝プレイヤー）までもが“嘘を使える”ようになりました。

　なお，学級裁判の難易度は推理＆アクションで別々に設定可能です。苦手なものがあったら「シンセツ」で攻略するのがオススメ。
　難易度はいつでも変更できるので，物足りなければ調整しましょう。


　おなじみ「ノンストップ議論」では，嘘を使えます。

　議論中，画面をロングタップすると「コトダマ」が「ウソダマ」へと変化し，相手に撃ち込めます。あえて嘘をつくことで，本来は正しいことを言っている人も論破できてしまうのです。

　これによりV3ではいつもの「論破」，スーダン2からの「同意」に加えて，「ウソダマでの論破＆同意」も増えました。
　どの場面でなにを使い分けるか，判断がとても重要です。


　さらに精神集中時はウィークポイントに赤いマーカーが現れ，そこにコトダマを撃ち込むことで「V論破」になります。
　V論破に成功すると学級裁判の評価が上がります……が，そこまでゲーム的な影響はないので，無理に狙わなくても大丈夫です。

　ただし，一部の議論には有効なウィークポイントが二つあり，正攻法とは異なる論破によって“裏ルートに分岐”します。
　裏ルートに入ると，話の本筋は変わらないものの，そこだけのセリフや流れが見られます。物語展開を全部見たい人は覚えておきましょう。


　「パニック議論」は，スーダン2のパニックトークアクションを思い起こさせる字面ですが，分割表示されたウインドウで複数のキャラクターが同時に発言をするので，そこから矛盾点を見つけよう，というものです。プレイ感覚的にはノンストップ議論に近いです。

　ただ複数人の会話をすべて見て，矛盾を探し，コトダマを当てなければならない都合上，難易度はノンストップ議論よりも高め。
　大声をあげたキャラクターを黙らせることで，初めてほかの人物の発言にコトダマを当てられるようになる場合もあるため，矛盾点を探すのも難しいですが，アクション的な対応も求められます。


　「反論ショーダウン・真打」は，登場人物たちとの1対1のミニゲームで，前作の反論ショーダウンとほぼ似た内容です。

　スマホ版では画面タップで斬る方向を決め，指を離したらその方向にある発言を斬れます。ここでもV論破ができ，ノンストップ議論と同じく学級裁判の評価が上がりますが，ゲームの進行に影響はありません。


　「発掘イマジネーション」は，3色のブロックで埋まったイラストを発掘するため，ブロックを消していくパズルゲームです。

　スマホ版では該当ブロックをタップするだけで消せるようになったので，オリジナル版と比べるとずいぶんと遊びやすくなりました。


　「ブレインドライブ」は，前作のロジカルダイブの発展形。以前の題材はスケートボードでしたが，今回はカーレースです。

　難易度の高さは相変わらずで，推理が解けてもレースで詰まることも。コースアウトすると車体が跳ね返ってしまい，想定外の選択肢を選んでしまったり，事故を起こしたりするので注意しましょう。

難易度「シンセツ」ですら，なんの役にも立たないレベルの難しさですが，その先に超弩級の面白いストーリーが待っていると信じて，ここで投げずにがんばってほしいと願います……

　「閃きアナグラム Ver. 3.0」はこれまでと同様ですが，文字が見えなくなりました。集中して画面中央を明るくしたら文字が見えるようになったり，差し込む光で文字が見えたりすることがあります。


　「議論スクラム」は，これまでになかった新要素で，2チームに分かれて討論を交わすものです。V3のゲームシステムで一番の見どころと言えるのが，この議論スクラム。学級裁判の舞台が各陣営に分かれるように動きますが，この演出が実にかっこいい。必見です！

議論スクラム中のBGMはかなりの推し曲！　盛り上がる旋律や演出を楽しんでください

　続いて「理論武装」は，反論ショーダウン・真打のように1対1での議論です。ただし，こちらはリズムゲームのようになっています。

　さらに「クライマックス推理」もこれまでとほぼ同じですが，ダミーのコマがなくなりました。代わりに，一定のコマを埋めないと次のピースが表示されなくなっています。最初からすべてのコマが明かされていないぶん，ミスをしやすくなっているので注意が必要です。


　これら数々のミニゲームを乗り越え，事件のクロを特定できれば，その章はおしまい。そして物語は次の章の（非）日常編パートへ。
　このあたりのゲーム進行についても変わりありません。

　前述しましたが，なかでも注目は議論スクラム！　元々「ゲームならではのカメラ演出」に凝ったシリーズでしたが，V3ではより三次元的な切り口が取り入れられました。各自の席が場面にあわせて動く演出は，舞台版ダンロンから着想を得たのでしょうか？　最高です！

議論スクラムの演出が好きな人にこそ，ついでに宣伝してしまう舞台版ダンロンシリーズも見てほしいという，筆者の思いよ，届け！　舞台「ダンガンロンパ THE STAGE」では，V3で赤松 楓役の神田沙也加さんが江ノ島盾子を演じるなど，役者さんたちの熱演も必見です！

　これらシステム的な新要素や演出面の強化により，V3では学級裁判に割かれるプレイ時間がこれまでよりも多くなり，シリーズの魅力である推理アクションをたっぷりと楽しめるようになりました。

　そして，作中ではシリーズ屈指のトリックが待ち受けます。これにより多くの人は「そう来たか！」と膝を打つことになるでしょう。

「宇宙一周ラブバラエティ」をはじめ，
「超高校級の才能育成計画」などオマケもたくさん！

　恒例のゲームクリア後の「オマケモード」ですが，V3AEは歴代のスマホ版と比べて，内容が最も充実しています。

　まず「宇宙一周ラブバラエティ だんがん紅鮭団」は，初代のスクールモードやアイランドモードに相当する，自由行動だけを楽しめるモードです。プレイ期限は10日で，夜時間はカジノに挑戦できます。

カジノではスロットマシーンで遊べたり……

鮭がつかみ取れます！

　「超高校級の才能育成計画」は，“もしV3の登場人物たちが希望ヶ峰学園に入学したら”というifを描くお話で，希望ヶ峰学園での3年間の学生生活を題材にしたボードゲームです。キャラクターの成長要素もある，言うなれば人○ゲームです。ここでは歴代の登場人物たちも同級生として姿を見せてくれて，一緒に学園生活を送ることができます。

　そして本モードで育てたキャラクターは，続いて紹介する「絶望のダンジョン モノクマの試練」で使用できます。
　実質，絶望のダンジョンに挑むための前哨戦と言えますが，オリジナルストーリーだけでも十分に楽しめるのでお好みで遊びましょう。


　才能育成計画で1人以上を育てきるとアンロックされるダンジョンRPG「絶望のダンジョン モノクマの試練」は，才能育成計画で育てたキャラクターで最大4人パーティを結成し，ダンジョンに挑むものです。
　会社つながりで言うところ，ぶっちゃけ風○のシレンです。

　このモードそのものではキャラクターは成長しないので，才能育成計画でどのように育成したかで攻略方針が変わっていきます。
　好きなキャラ同士で組ませたりして，絶望を乗り越えましょう。

　さらに絶望のダンジョンで手に入れた報酬を使い，カード機「超高校級のカードDEATHマシーン」を利用できます。
　ここで手に入れたカードは育成計画で使用可能なキャラクターとなり，レア度が高いほど育成計画での成長速度も早くなります。

　つまりゲームサイクルとしては，才能育成計画→絶望のダンジョン→カードDEATH→以降繰り返しと，3モードをぐるぐる回すイメージです。

　このほかスマホ版には，こちらも恒例のイベントスチルなどを堪能できる各種ギャラリーコンテンツも搭載されており，ゲーム本編などで得た「モノクマメダル」を使用してアイテムを開放できます。
　基本的な仕様はダンロンAE，スーダン2AEとほぼ同様です。

○イベントギャラリー
　作中のイベントシーンを見返すことができます。キャラクターたちの初登場シーンやモノクマ劇場など，多数のイベントを収録。

○ムービーギャラリー
　作中のムービーシーンを見返すことができます。各章のおしおきシーンなどもここに含まれます。

○アートワークギャラリー
　さまざまなな設定資料画などを拝めるギャラリーです。キャラクター設定画ももちろん見られます。

○サウンドギャラリー
　作中のBGMを聴くことができます。画面右側には音楽を試聴している登場人物たちのシルエットがランダムで表示されます。

○モノモノマシーン

　ゲーム本編の「モノモノマシーン」と同様，モノクマメダルを消費して利用するガチャガチャです。思うがままに引きましょう。

○シンミツギャラリー
　一度見た親密度イベントを回想できます。絆のカケラで見られるイベントなども，ここで再度楽しむことができます。

○キャラクターギャラリー

　スマホ版だけのオマケ要素。ゲーム内で使用されたキャラクターのフェイスアイコンとボイスを閲覧できます。モノクマメダルは不要。

○アルティメットギャラリー
　こちらもスマホ版だけのオマケ要素。V3の貴重なティザーイラストなどを見られます。ほとんどは公式設定資料集で使用されたイラストですが，画面一面に大サイズで表示されるのがうれしいですし，スマホでお手軽に見られて，待ち受けにできるのも超うれしいです。
　気に入った画像があれば，どんどん開放していきましょう。


　最後に。筆者もここまで書くべきかを悩みましたが，本稿ではあえて触れます。V3は発売当時，いろいろと賛否両論が湧きました。
　なぜそうなったのかは，ゲームをクリアすれば分かることです。

　しかし，筆者は「これぞダンガンロンパだ！」と感じました。
　より正しく書き起こすのであれば，私はこのゲームを遊び終わったときに，この作品を否定する理由が見つかりませんでした。

　「ダンガンロンパ」はいつだって，希望と絶望の物語でした。それはV3でも変わらずです。当時そういう感想を抱き，今でも否定的な感情がないから，私はこうしてV3を大いに紹介したいと思っていました。
　遊んだ結果，どう思うかは人それぞれかもしれません。この作品を遊んだ人たちの心に強い残滓のようなものが残るかもしれません。その残滓はもしかしたら，人によってはとてつもなく重いかもしれません。

　でも重くていいのです。「ダンガンロンパ」は重い作品なのです。それを忘れさせてくれるユーモアがふんだんに散りばめられているだけで，根底のテーマはいつだって重かった。だから，それを直球でぶつけられて，頭を強く打たれるような衝撃を感じても，それは当然の出来事。
　それをどう受け止めたかで，賛と否に分かれただけのこと。

　歴代最高傑作という呼び名と，問題作という過激表現が共存するV3。
　本稿がそんな作品を最後まで見届けるきっかけになれば幸いです！

「V3は最高傑作ゆえに評価が割れた」。あくまで個人的にですが，これが筆者の見解です！

「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期 Anniversary Edition」ダウンロードページ

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