テストレポート
Palitの「GeForce RTX 3090 GamingPro OC」で8K解像度の「デススト」や「Forza Horizon 4」を快適にプレイできるのか?
本稿でテストするPalit Microsystems(以下,Palit)製「GeForce
NVIDIAは,RTX 3080を「4K解像度をターゲットとしている」とアピールしていたが,それより高性能なRTX 3090では,ピクセル数にして4K解像度の4倍にもなる7680×4320ドット,いわゆる8K解像度でのゲームプレイが可能であると主張している。とはいえ,8K解像度のディスプレイやテレビは高価であり,2020年時点で所有している人は稀だろう。そうした現実もあり,NVIDIAはRTX 3090のレビュワー向けガイドで,「Dynamic Super Resolution」(以下,DSR)を利用した仮想的な8K解像度のテストを紹介していたほどだ。
PalitのGeForce RTX 3090 GamingPro OC製品情報ページ
カード長約30cmの大型カード
テストに入る前に,Palit
Palit 3090 GamingPro OCは,Palit独自設計の大型クーラーを採用したRTX 3090搭載カードである。
カード長は実測で約302mm,厚みは実測で約55mmと,相応に大きめのグラフィックスカードだ。ただ,重量は実測で約1190gと,見た目からくる印象ほど重くない。空気の流れを確保するための空間が大きいからだろう。
裏面側には金属製の強固なプレートがあり,大重量のカードがたわまないように補強するのに加えて,放熱板も兼ねるという流行の構造を採用している。
このファンに合わせてバックプレートには,空気が流れるようにハニカム状の孔が多数開けられており,外観上の見どころと言えようか。
PCI Express(以下,PCIe)補助電源コネクタは,カードの背に8ピン×2を備えるオーソドックスな構成だ。また,RTX 3090だけの仕様であるNV Link用コネクタも,ブラケット近くに備えている。
映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4出力×3とHDMI 2.1出力×1という,GeForce RTX 30シリーズではごく一般的な仕様だ。インタフェースが並ぶ部分以外,ブラケットにもハニカム状の孔をたくさん開けてエアフローを確保しているのが目を惹くところか。
GALLERIA ZA9C-R38でPalit 3090 GamingPro OCをテスト
そこで今回は,サードウェーブが展開するゲーマー向けPCブランド「GALLERIA」のハイグレードモデル「GALLERIA
ZA9C-R38については,2020年11月掲載の記事で詳しく紹介しているが,数あるGALLERIAのゲーマー向けPCの中でも,上位モデルに位置付けられているハイスペックなデスクトップPCだ。CPUにはIntelの10コア20スレッド対応「Core i9-10850K」を,マザーボードにはASUSTeK Computer製の「PRIME Z490-P」を採用しており,グラフィックスカードには,RTX 3080搭載カードを採用するといった具合に,極めて充実したスペックを有している。このPCであれば,RTX 3090の高性能も十分に生かせるであろう。
ただ,標準搭載の電源ユニットは出力750Wなので,消費電力の多いRTX 3090を搭載すると,電力面での余裕があまりない。本製品をベースとして,さらに高性能なパーツに交換してみたいという人は,BTOオプションで出力850Wかそれ以上の電源ユニットを選択するのをお勧めする。
ちなみに,GALLERIA ZAシリーズには,ZA9C-R38とほぼ同じスペックで,RTX 3090搭載カードと出力850Wの電源ユニットを標準搭載する「GALLERIA ZA9C-R39」という製品もあるので,RTX 3090を搭載するPCを求めている人は,こちらを選べばいい。
ZA9C-R38には,大重量のグラフィックスカードを支えてマザーボードの破損を防ぐサードウェーブ独自のステー(支柱)「リジッドカードサポート」が標準で搭載されている。これは,筐体内部の縦方向に取り付けられた支柱と,支柱にネジ止めされた金具を組み合わせてグラフィックスカードを上下方向から挟み込むことで,大重量のカードによるたわみや,PCの移動時に生じる振動や衝撃からマザーボードを保護できるというものだ。
さて,ZA9C-R38でグラフィックスカードを交換するときは,以下のような手順をとる。
- リジッドカードサポートを一旦取り外す
- 装着済みのグラフィックスカードを取り外す
- 新しいグラフィックスカードを取り付ける
- リジッドカードサポート側にあるカードを挟み込む金具の位置を,新しいグラフィックスカードの幅に調整する
- 新しいグラフィックスカードを挟み込んでリジッドカードサポートを取り付ける
テストに用いたZA9C-R38は,標準でPalit製の「GeForce
というわけで,Palit
PC本体 | GALLERIA ZA9C-R38 |
---|---|
CPU | Core i9-10850K(10C20T,定格3.6GHz,最大5.2GHz,共有L3キャッシュ容量20MB,TDP 125W) |
メインメモリ | DDR4 2666MHz 16GB(8GB×2) |
グラフィックスカード | Palit GeForce RTX 3090 GamingPro OC(GeForce グラフィックスメモリ容量 24GB) |
ストレージ | PCIe x4 M.2 SSD 1TB |
無線LAN | 非搭載(※BTOカスタマイズで搭載可能) |
有線LAN | 1000BASE-T対応 |
電源 | 出力750W(80PLUS GOLD) |
公称本体サイズ | 220(W)×440(D)×480(H)mm |
公称本体重量 | 約14kg |
OS | 64bit版Windows 10 Home |
Forza Horizon 4,DEATH STRANDING,CONTROLを8K解像度でプレイ
それでは,Palit
まずはゲームへのテストを行う前に,簡単なベンチマークテストで本製品がRTX 3090搭載カードとして,どれくらいの性能を持っているかを調べておく。テストに用いたのは,定番のベンチマークソフト「3DMark」だ。結果はグラフ1のとおり。
ドライバソフトのバージョンに違いはあるが,参考までにRTX 3080搭載のZA9C-R38で計測したスコアと比較してみると,Fire Strikeは約3%,Time Spyでは約10%高い結果となっている。今回,とくに重要なのは,DirectX 12対応テストであるTime Spyで,Palit
ゲームのテストに用いたタイトルは,以下の3タイトルである。
- Forza Horizon 4
- DEATH STRANDING
- Control Ultimate Edition(以下,Control)
RTX 3090といえども,すべてのゲームタイトルを8K解像度の最高品質で60fps以上を実現するほどの力はない。しかし,これらのタイトルは,NVIDIAが8K解像度でも高画質の設定で60fps以上を実現できるとしているので,今回のテストに適すると判断した次第だ。
そこで,解像度を8K,描画品質プリセットを「ウルトラ」に設定してゲーム内にあるベンチマークテスト機能を何回か実行してみたところ,平均フレームレートは約67fps,最小フレームレートでも約56fpsという非常に高いスコアを記録した。
8K解像度での描写は,4K解像度と比べて一段と精細だ。分かりやすい場面として,細い網目のようなステージの部分をピックアップしてみた。上から順に,8K,4K,そしてフルHD解像度の順で並べている。サムネイルは見た目が同じになるように「Photoshop 2021」でトリミングしたうえで縮小したものだが,8K解像度はフルHDはもちろん,4K解像度と比べてもステージを構成する鉄骨が細かく描かれているのが分かるはずだ。
サムネイルをクリックすると,フルサイズの画像を確認できる。大きな画像になるが,8K解像度の鮮明さがよく分かるサンプルなので,ぜひ見てほしい。
そこで今回は,8K解像度でV-Syncをオフ,「フレームレート上限」を240fpsに設定したうえで,すべての描画品質を最高設定,DLSSも品質重視の「クオリティ」に設定してプレイしてみた。
DEATH STRANDINGにはベンチマーク機能がないので,NVIDIAのベンチマークツール「FrameView」を使ってフレームレートを計測しつつ,画面上でも確認することにした。
プレイ中にフレームレートの推移を見ていると,ほとんどのシーンで55fps前後をキープしており,8K解像度でも快適さは損なわれていない。建物の細部や乗り物に付いた錆(さび),地面に生える草など,細かいところまで描写できているのは素晴らしい。
FrameViewで計測した平均フレームレートは約52fps,99パーセンタイルフレームレートは約41fpsと,60fps張り付きとはいかないものの快適にプレイできる程度の表示を実現できている。
解像度による描写の違いが分かりやすいシーンとして,ゲーム内の「気象観測所」をピックアップしてみた。建物周囲の足場を見ると,4K解像度やフルHDでは一枚板のように見えるが,8K解像度では網目になったメッシュウォークであるのがきちんと見てとれる。メッシュの向こうに建物が透けて見えるのが,サムネイルでも分かるはずだ。それに加えて,壁に書かれている「BRIDGES WEATHER STATION」と「UCA-37-355」という文字も,8K解像度ならどちらも読めるが,4K解像度では後者だけしか読めず,フルHDでは後者も読み取りにくい。
8K解像度の精細感がよく分かるゲームと言えよう。
それを踏まえたうえで,GeForceユーザー向け無料ソフト「GeForce Experience」の最適設定を適用したうえで,表示解像度8Kで50〜60fps程度のフレームレートを確保できる設定をFrameViewで計測しながら探ってみた。その結果,レンダリング解像度を2560×1440ドットにすると,表示解像度が8Kでも平均フレームレートが約60fps,99パーセンタイルフレームレートでも49〜53fps程度は確保できると確認できた。
ちなみに,DLSSを有効にした状態(※DLSS自体の品質設定はない)では,表示解像度8K,レンダリング解像度5120×2880ドットが最高解像度となる。ただ,この設定だとフレームレートは30fpsを下回るのでプレイアブルとは言い難い。また,DLSSを無効にして表示解像度とレンダリング解像度をどちらも8Kにすると,10〜15fps程度までフレームレートが下がった。
Controlでは,ほかの2タイトルほど解像度の違いが分かりやすい場面がなかなか見つからなかったのだが,以下の画像で壁にかけられたエンブレムを見ると,解像度による精細感の違いが分かるかと思う。
表示解像度8K,レンダリング解像度2560×1440ドットだと,エンブレムに彫られた鷲の羽1枚1枚が精密に描写できている。2枚目の表示解像度4K,レンダリング解像度2560×1440ドットでもほぼ同程度の描写をできているが,若干細部の精細感が劣るようだ。3枚目の表示解像度フルHD,レンダリング解像度1280×720ドットになると,明らかに精細感が劣り,細部がボンヤリした画像になっているのが分かると思う。
DLSSとの組み合わせで,8K解像度でもプレイアブルな映像を表示できるのは,RTX 3090ならではといったところか。
Palit 3090 Gam ing Pro OCで8K4Kゲーム時代に備えよう
8Kとは言わず4K解像度でも,Palit
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